205 / 210
167ステラの逆襲②
しおりを挟むこの国は腐敗しきっている。
どんなに国を良くしようとしても、邪魔をする人間が多すぎた。
「調べれば調べるほど出て来るな」
「これだけの人を犠牲に…」
あの変態大臣を筆頭に、これまで罪のな人を苦しめ、若い女の子を食い物にしてきたのは多すぎた。
その中にあのクソ男、サリオンの父親もいる。
聞けばあの男は相当の変態親父だった。
「でも、どうしてモラハス家はまだ残っているのでしょう」
「最後まで利用できると考えたのだろう。だから資金援助と弁護をしたんだろう…実際あの女に比べれば罪はまだ軽いようだ」
「元婚約者に暴行を加えてその後も…」
「だが、決定的な証拠がないことと。関係が良くなかったことで被害者側にも原因があると言えばどうなる?」
「そんなの屁理屈でしょう」
「平等な判断がされないのがこの国の現状だ。男が浮気をしても罪にならず、夫が妻を殴って殺人未遂でも罪に問われない。妻の躾だと言えばな…」
何所までも女性に厳しすぎる世の中だわ。
ティメリア王国の政権は実質王妃陛下のものとなっているのに。
「泣き寝入りせざる得ない状況だ。同じような罪を犯す者が庇いあっている…証拠が弱すぎるんだ」
「私は…私自身の為にも彼らを徹底的に潰したいです。ハニートラップを仕掛けます」
こんな時の為に愛読しておいてよかった。
罠女の極意。
ハニートラップを得意とするスパイ女の小説だ。
あの手この手を使って男達を誘惑し惑わし最後は地獄に叩き落とすのだ。
「ここは協力者が必要だ。正直、男女の事情に詳しいプロが必要だろう」
「そうですね」
恋愛経験豊富な女性が必要になる。
そんなこんなでアルステッド様が頼られた方というのが――。
「まったく、二人とも無茶をしたね」
「そういう言い方はないじゃないですか父上」
「はぁー…」
何故かシネンシア辺境伯爵様だった。
「話は聞いた。ステラ、危険すぎる」
「でも、このままではリゼ様が!」
「あー…その件に関してはあるお方が動いていらしてね」
あるお方?
シネンシア辺境伯爵がここまで言う方とは誰なのかしら?
「王妃陛下が直々に動かれている」
「えっ…王妃陛下が!」
国母である王妃陛下が動くほどって、相当酷いことをしたのか。
「以前から王妃陛下は、彼らを始末したがっていた…しかし隠れ蓑を見つけることができず、うまく逃げ隠れされていた。どうやら闇オークションを率先しているようでね」
「あのクソ大臣が!」
「その闇オークションに参加している貴族は王妃陛下に反発する貴族だ」
ここまで腐っているなんてもう生かしておく必要はないわ。
「そこでだ。王妃陛下が君との面会を望んでいる」
「喜んで!」
「早いな。もう少し考えなくていいのか」
同じ敵を持つ者同士だもの。
会うのが怖くないと言ったらウソになるけど、今はそんなことを言っている余裕はないわ。
617
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる