206 / 210
168ステラの逆襲③
しおりを挟む急遽、王宮に向かうことになった。
ただし、正門ではなく裏門を通りお忍びで王妃陛下に面会をする手はずだ。
王妃陛下ともう二度とお会いすることはないと思っていたのにこんな形で面会をすることになるとは思わなかったけど。
大丈夫だろうか?
今では、貴族としての生活をしているけど元平民でもあるのだから。
何より私は、王妃陛下にとっては大切な息子をさんを破滅に追いやった一人でもあるのだから。
最後にお会いした時は私に気を使ってくださったけど、やっぱり会いにくいな。
「ステラ、心配しなくていい」
「ですが…」
「王妃陛下は厳しい方であるが、愛情深い方だ。アルフレッド様を突き放されたのも愛ゆえだ」
「それは…」
周りからの悪意を少しでも向かないようにと考えたのも解る。
「大丈夫だ。だから気を張らずに普段の君で…」
「そうですね!では短剣をお貸しください」
「ん?」
普段の私のままでいいと言うのであれば、これからの交渉に命をかけなくては。
なんとしても成功させるべく本気を解っていただかなくては。
「私のものですが。どうぞ」
「何故渡した」
「いけませんか?」
傍に控えている女性騎士の方が手渡してくれた。
「これで血を流して血判をして…」
「止めないか!」
「ステラ、するんだったらもっと正式なものに‥‥」
「お前は止める気がないのか!」
流石リゼ様のお父様だ。
怒り方がおんなじで怒った時の表情がそっくりだ。
そして何所までも優しい人だ。
「とになく血判はしなくていい。危ないから短剣は返しなさい」
「じゃあ、他に武器を」
「ならば他の物を…」
「アルステッド!お前はどうしてそうなんだ!」
他の武器を用意しようとしてくださったアルステッド様に泣き出す始末だ。
「皆様、そろそろ邸を出られた方が良いかと」
「くっ…胃が痛い。神経も…」
まだお若いのに大変だわ。
カリスタに帰国したら胃薬を沢山を送って差し上げよう。
こんなことを考えながらお忍びで王妃陛下に面会をすることになったのだけど。
「この度の計画を、是非協力させてほしい」
「え?」
早々に告げられた言葉に私は驚いた。
「あの…」
「話はある程度来ている。この機会に馬鹿どもを一度に片づけたい。勿論ハニトラ要員はこちらで手配をする」
「あっ…ありがとうございます」
かなり拍子抜けしてしまった。
恨み言の一つや二つ言われて、小娘が生意気だと言われると思っていたのだけど。
思いのほか友好的だった。
565
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
幼馴染が熱を出した? どうせいつもの仮病でしょう?【完結】
小平ニコ
恋愛
「パメラが熱を出したから、今日は約束の場所に行けなくなった。今度埋め合わせするから許してくれ」
ジョセフはそう言って、婚約者である私とのデートをキャンセルした。……いったいこれで、何度目のドタキャンだろう。彼はいつも、体の弱い幼馴染――パメラを優先し、私をないがしろにする。『埋め合わせするから』というのも、口だけだ。
きっと私のことを、適当に謝っておけば何でも許してくれる、甘い女だと思っているのだろう。
いい加減うんざりした私は、ジョセフとの婚約関係を終わらせることにした。パメラは嬉しそうに笑っていたが、ジョセフは大いにショックを受けている。……それはそうでしょうね。私のお父様からの援助がなければ、ジョセフの家は、貴族らしい、ぜいたくな暮らしを続けることはできないのだから。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる