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32豪華な朝食
しおりを挟む色鮮やかな深紅の薔薇に囲まれた庭園。
優しい香りと、朝の目覚めには優しい香りの紅茶を堪能しながら朝食をゆっくりとる。
普段は邸内で食事をするのだが、天気も良いので外で朝食を取ることになった。
テーブルに並ぶのは新鮮な野菜と、体に良いスープと焼きたてのパン。
ジャムは手作りで、ハムもベーコンも申し分ない。
高原の朝食かと言いたくなるような豪華絢爛な食事に舌鼓を打つ。
「外で食事もいいな」
「レオナルド様、朝からすごいですね」
普段から公爵家の食事は豪華であったが今日は一段とすごい。
「そうか?」
「先日、リネット様のご実家から沢山のお野菜やソーセージにベーコンが届きまして」
「ああ…」
なんとなく察した。
私の実家は、両親亡き後に後見人を務めてくださったある方が領地代行をしてくださっている。
当初は成人していない私は領地を引き継ぐことはできなかった。
元よりこの国では女性が爵位を継ぐことに難色を持つ貴族が多かったことで領地を国に返上すべきだと言われたが、間に立ってくださったのが第一王子殿下だと聞く。
私の実家は他の領地と異なりノームや、コロボックル等の小人族が生息している。
何千年と住み着いている事から彼らの伺いを立てることなく領地に侵入することはできないし、領主にあるには血縁者であることは絶対だ。
儀式を行えばできなくはないが、彼らが許すかどうかだ。
実は、国王の許可なしに私の実家を強引に自分の者にしようとした輩が痛そうだが、呪いを受けたてしまったこともあるそうだ。
過去に白の魔導士の先祖から強引に領地を奪おうとしたが、早々に仕返しをされたとか。
彼らは私達が思うよりも繊細で、尚且つ警戒心が強く簡単に受け入れない。
故に下手に手を出すよりも取り込む方が良いと思ったのだろう。
妖精は精霊程の力はなくとも人間よりもずっと魔力が強く、豊穣の加護を持つ妖精は国からしても利益があるのだから。
けれど、妖精達は手が加えられた街を好まない。
むしろ自然が多い実家から離れることがなかったので結局恩恵を得ることはなかったのだけど。
「ご実家から速達便で妖精様から届きましたので早速使わせていただきました」
「メープルのご実家にもおすそ分けしたんだけど」
「はい。そうしたら叔父がミルクとバターとチーズをお返しに」
これ、お返しレベルじゃないよね。
王都ではまず食べられない高級バターにジャージ牛乳じゃない?
ヨーグルトだってすごく高価な品で。
「クロテッド領地は現在乳製品で潤っているからな」
「リネット様が子牛をおプレゼントしてくださったおかげです」
いや、子牛はプレゼントしたけど。
家畜用という意味ではなく、番犬の代わりみたいな感じなんだけどね。
クロテッド領地は家畜が少ない。
番犬も少ないので番犬代わりに子牛をプレゼントしたのだ。
子牛は子牛でも普通の牛ではなかった。
魔力持ちの牛だったことから番犬代わりだけではなかった。
弱い魔物は寄せ付けない。
オークですら鳴き声で失神させるし。
後から知ったけど、精霊だったと後から知った。
まぁ、高位精霊ではなく妖精に近いそうだけど。
それでも繁殖力半端なくポンポン子供を作ってくれたおかげでクロテッド領地では乳製品に困ることはない。
普通の牛よりもミルクを出す量が多いし尚且つ新鮮だ。
餌はクロテッド領地の草だ。
木の実も好むけど基本は若草を好んで食べてるとか。
かなりのコスパ良しだ!
けれど、何で今日はこんなにしっかり朝食を取るのだろうか?
何かあったかな?
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