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閑話4.愚かな執事の最後
しおりを挟むストラス家が傾きだしたのは今から二週間前だった。
納税が日に日に増えだし、領民の生活が苦しくなった頃からだった。
領地経営が上手くい以上は納税を増やすのが一番良いと安易な考えをすた事で状況は悪化した。
そして次にキャルドンが始めた香水等の贅沢品にも重税をしていた。
これまでルイスは、ポーションをできるだけ低価格で売り。
売れ残ったポーションは領民に無料で提供していた。
他にも商品化できないが十分に使える薬草や、食料にそうな物を領民に寄付していた。
ストラス領の民は貧富の差が激しく、食べて行くのもままならない村も少なくなかったのでルイスはできるだけ手助けをしたり、老人や女性と子供しかない村では力仕事ができない者も少なくなく。
軽作業でも食べて行ける仕事を任せていた。
しかし、そんな彼等に無駄な給料を支払うのはおかしいとキャルドンは給料をほとんど支払うことはせず、マリエルも無駄金だと決めつけた。
その所為で職を失い、村からも追い出されてしまった。
一つの村ではなく複数も同じ状況が続けば不満は募り、真面目に仕事をしても同じような事が起きれば領民達は不信感を抱きはじめる。
これまで貢献していた領民の事などマリエルは気にもしてない。
飢え死にしても自分達さえよければいいと言う考えが彼等に伝わってしまっていた。
ここまで酷い状況になれば現ストラス伯爵も黙ってなかった。
ルイスとの婚約を勝手に解消したことで既に仲は最悪な状態に懐ていたが、老い先短い事もあり、マリエルは祖父の事を悪しざまに扱い、嫁であるストラス伯爵夫人も同様だった。
ただし、一部の土地の権利は未だに現領主が持っているのだ。
したがって、ストラス家のお金をすべて自由にできる権利はマリエル達になかったのだが…
一週間前にすべての援助を断ち切る手紙を出していた。
これには流石に焦った執事は直ぐに手紙を届けたが、気にも留めなかったストラス伯爵は捨て置いたまま。
勝手に借金をしてしまい現在に至るのだった。
日に日に借金は膨れ上がり、彼等が知らない所で土地は売り払われてしまっており、手元にある物はほとんどない事を執事は伝えた。
すると…
「この出来損ないが!お前はストラス家に古くから仕えた執事の癖に!なぜ今まで何もしなかったの!」
「なんて出来損ないなの?お祖父様を説得して今すぐ支援してもらえるようになさい!」
「まったく、屑だな」
状況を説明すると、三人は逆ギレして執事を責め続けた。
これまで、真面な生活を送れたのは執事のおかげであることを忘れ言いたい放題だった。
「ルイス並みに仕えない無能な男ね!もういいわ…お前はこの場で解雇よ。今すぐ目の前から、このストラス家から消えないさい!屑が!」
「マリエルお嬢様…」
「気安く私の名前を呼ぶんじゃないわよ。老いぼれが!」
グラスの水をかけられ、執事は顔を俯かせ何も言い返さなかった。
ただ一言だけ告げたのだ。
「承知いたしました。これまでありがとうございました」
荷物も持たずに、そのまま邸を出て行った。
その一週間後、残った使用人も後に続くようにして邸を出て行き、残った使用人は使い物にならないメイドやマリエルのご機嫌取りをするだけしか能のない侍女達だった。
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