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35.王都へ帰還
しおりを挟む畑拡大計画が成功した後に王都に戻る日が来た。
結婚式の準備がある程度整ったので王宮に戻るようにと手紙が届いた。
「ルイス。王宮に戻ったら敵だらけじゃ。覚悟はできておるな」
「はいママ上」
「大臣とて味方ではない。しかし敵かばかりではない事も覚えておくのじゃ。私や姉上はそなたの味方ぞ」
敵は多いかもしれないけど、ここまで心強い味方はいない。
「ピー!」
「そうじゃったな。モモもいるではないか」
「モモちゃん…」
そうだ俺はこの子の里親でもあるんだからしっかりしないと。
モモちゃんが大人になるまでは俺がこの子をしっかりと守らないとだめなんだから。
「案ずるでない」
「そうだよ、君には私達がいる。公爵家の肩書は伊達じゃないからね」
モリアーヌ領地から王都に向かうまでの間、俺の手をしっかり握っていてくれた二人は大丈夫だと言ってくれた。
「王族派はそなたの味方じゃ…貴族派達がそなたを仇名そうとしても私達が守る故」
「君は毅然としていなさい。君は選ばれて王配になったんだ。天は君を選んだのだから」
巡り巡って俺の運命は動き出した。
それは受け入れるべきことだ。
だから俺も戦わないくてはいけない。
パパ上とママ上を守るためにも。
家族を守る為にも。
そしてこんな俺をずっと待ってくれていた姫様の為にも俺は負けるわけには行かない。
「良い顔になった。そうじゃ、何も卑下することはない」
「はい、ママ上」
「王配としての勤めは王を支え共に苦悩を分かち合う事。腕っぷしが強い等意味がないのじゃ。最後の一人になっても味方でいる覚悟じ」
かつてカレンディス女王陛下を支えたシュヴァン殿下は何思っていたのだろうか?
決して身分は高くない地位にいながら王配となった時、何をおもっていたのだろうか?
「義兄上は最後まで国の行く末を、姉上を…そして娘のリディアを思いながら天に召された」
「ママ上…」
「私には子は出来なかったが、リディアの夫となる者が私の子だとおっしゃったのじゃ」
「慈悲深く懐の深い方だったよ。君は殿下によく似ておられる」
未だに慕う者が多いとされるシュヴァン殿下を心から慕う二人。
俺なんて足元にも呼ばないけど。
一歩ずつ歩いて行こう。
愛する人を守れる力は無くとも支えられるよおうに。
心を壊さないように。
包み込めるように大きくなりたいと切に願う。
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