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41.マリエルの失態②
しおりを挟む使えない人間はゴミ屑以下だから引き留めようともしなかった。
商人なんて星の数ほどいるのに、今まではルイスが規制していたのだから。
本当に目障りな男。
婿入りの分際で我がストラス家の財産を浪費していたのだから。
本当ならもっと贅沢をするべきだった。
もっと商人の出入りを増やして、稼ぐ方法もあったけど。
あの男は意気地なしだった。
やれ商人は選ぶべきだとか、領民の税を減らす為にも贅沢は最小限にするべきだとか。
なんて頭の悪い男なの?
妻に贅沢をさせることこそ夫の役目でしょう?
本当に何も解っていないわ。
あんな薬草を作りしか才能のない男に商売の何たるかは解らない。
だからキャルドンと私で新しい商人を邸に入れ、その商人の商会と契約をして新しいポーションを作った。
ただ体力が回復するだけでなく、美容効果もある商品にして。
他にも香水等も開発した。
けれどそこで問題が起きたのは人手不足だった。
香水に使う花は、領地の奥の森に咲くので怪我人は続出していた。
「これ以上花の採取は危険です。場所も場所ですし…」
「は?」
「何よりあの花は毒成分があります。採取する者にも危険が及ぶのです…どうか!」
香水に使われている花の名前はミスティー。
毒というよりも麻痺成分があるということから薬草にも使われていた。
本来は量を加減して使用すれば問題ないと医学的にも公表されているけれど、ルイスは極端にあの花を使うことを嫌った。
見た目も美しいので商品として冴えるから、私とキャルドンはその花を使い化粧品に使えないか考えたのだった。
試作品を領民に試した所問題なかったので量を増やし、もっと効果を強くする為に大量のミスティーを積んで来るように命じたが、崖から落ちて怪我をする者や、ミスティーの花粉で体が麻痺する者が増えた報告を受けたが、どうせお金をせびる為の口実だと思い取り合わなかった。
そして今回はこんな馬鹿な真似を言うなんてふざけているわ!
「命令よ、ミスティーを取って来なさい?できなければどうなるか解っているの?追放よ」
「そんな!」
「お前の母親は五年前に死にかけだったのを誰が助けたと思っているの?恩を仇で返すなら追放した後に噂を流してやってもいいのよ…私が手を回せば働く場所を奪うこともできるのよ」
平民の分際で何様なの?
この男の母親は五年前に不治の病にかかったのをストラス家の開発したポーションで命を取り留めた。
既に高齢であるから、追放され、噂を流されれば何処にも雇って貰えないわ。
そうなれば野垂れ死になるのが関の山だもの。
誰のおかげで生きているか解らせないと。
きっと頭を下げて許しを請うだろうと思っていた。
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