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56.最後の仕掛け人
しおりを挟む完全に終わったな。
ここまで言われれば、もう返す言葉があるはずがない。
ルイスはある意味、王配として足りないものがあった。
優し過ぎる事だ。
例え酷い仕打ちを受けたとしても最後は許してしまう甘さが命取りになる。
時には武器にもなるだろうが、馬鹿女の行動がルイスに覚悟を持たせたのだろう。
皮肉な事だが。
「連れて行け、重罪人だ」
「ハッ!」
「オスカー!助けて…お願い!」
ここまで来るとある意味ドン引きだ。
すり寄れる相手ならば誰でもいいと思っているのが気色悪い。
「軽々しく呼び捨てにしないでもらいたい。俺はお前を見るたびに不快だったんだよ」
「どうして…」
「それを言うか?俺の無二の親友を長年に渡り虐げて来た女を何故好感を持てる?俺はこの日をずっと待ち望んでいた…お前とルイス様が婚約解消をする日を」
「何で!何でよ!」
口で言っても解らないようだな。
「誰がご老公にお前の悪行を話したか解るか?弁護士が何故あそこまで用意周到だったか」
「えっ…」
本当におめでたい女だ。
いかにストラス家の顧問弁護士であっても貴族にたてつくのは難しいし、遺言があっても金で握りつぶせるはずだ。
そうしないように裏から手を回した者がいると思わないなんて。
「お前を破滅に導く為に悪徳商人を仕向けたのは俺だ」
「は?」
「キャルドンも馬鹿で助かった。まぁ元は娼婦の息子で毒殺して正妻を殺して妻の座を得た女だからな。そこまで頭が回らなかったんだろう…今は他の金ヅルを見つけているさ」
「アンタの所為で…アンタの所為で!」
「身から出た錆だ。恨むんなら自分を裏めよ」
暴れ出そうとも無意味だ。
俺の部下に抑え込まれているんだからな。
「殺してやるぅー!お前達を殺してやる!」
「嬉しい発言だ。これでお前は確実に重罪人にできる。証言もばっちりだ」
「何よそれ!」
「音声録音機だ。お前を罪人として永久に鉱山に縛り付けるにはより悪意を持っていると、証拠として提出しなくてはならない。お前は狂っていないと証言した後に最も重い罪にかけてやる」
国外追放なんて生ぬるい。
火炙りもギロチンも温すぎる。
楽に死なせてやらない。
十年間俺の親友を侮辱し傷つけた罪は重いのだから。
きっちり支払ってもらうぜ?
お前の一生をかけてな?
貴公子と呼ばれようとも俺は腹黒なんだ。
ルイスのように甘くないし優しく紳士ではないのだから加減なんてしてやらない。
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