巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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4.優しい使用人

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寝たりきりではないものの、誰かの手を借りて生活しなくてはならないことにもどかしさを感じた私は一日でも早く動けるようになりたくてリハビリをした。


けれど――。


「姫様!」


「うっ…」


ずっと寝たきりだったのでいきなり動くことは出来なかった。


「無理をなさってはなりません…」

「でも…」

一人で満足に歩く事もできないなんて。


「ジゼル嬢!」

「ウィルフレッド様」

「何をしているんだ!まだ安静にしていなくてはならないんだぞ」


なんて姿を見られてしまったんだろうと自己嫌悪に陥っている最中に。

「きゃあ!」

「このまま運ぶ。罰だ」

「ばっ…罰」


抱きかかえられたまま私はテラスに連れていかれる。


「リナリア、お茶の準備を」

そこに若い男性が現れる。

「ウィルフレッド様」

「ティエリー、テラスに準備を」

「かしこまりました」


物腰柔らかい男性だった。


私とあまり年齢も変わらないように見える。


「私の側近で乳兄弟だ」

「お初にお目にかかります。ティエリーと申します。平民故に家名はございません」

「ジゼル・ユーモレスと申します」


貴族に負けない程の美しい所作だった。
アクアパレス王国の男性は落ち着いた人が多いのかしら?


「この度は、手厚い看護と配慮を頂きありがとうございます」

「これは…」

私は自分で立つ事ができないので座った状態でもできる限りの感謝を込めるとティエリーは何処か驚いた表情をしていた。


もしかしてアクアパレスでは礼儀作法の仕方が違う?


「ジゼル嬢、ティエリーは少し驚いているだけです。彼は平民故に貴族の姫君にここまで丁寧に接してもらうのは初めてなので」

「えっ…ですが、私は伯爵令嬢にすぎませんわ」


貴族には階級制度があり、我がユーモレスクは何代も続くも、あくまで伯爵。
侯爵以上や辺境伯爵になれば別だけど。


「こちらこそ未熟故に配慮が足りない事もございますので、何かございましたら何なりとおっしゃってくださいませ姫様」


「あっ…あの」


何故に姫様呼び?
私はそんな大層な呼び方をされる身分じゃないのだけど。



「さぁ行こうか」

「あの、降ろしてくださらないのですか?」

「当然だ」


優しい笑顔なのに有無を言わせないのは少し怖かった。


お兄様以外にお姫様抱っこをされことがない私は恥ずかしさのあまりに顔を俯かせるしかなかった。


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