巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!

ユウ

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5.最低な男~シアンside

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我が学園始まって以来の問題が起きた。
二人の女子生徒の喧嘩に私の友が巻き込まれ、現在も生死の境を彷徨っている。

事件が起きた時、生徒会会長のアレンディス殿下と副会長の私は問題を起こした生徒を尋問していた。


くだらない茶番劇に巻き込まれて殺人未遂事件にまで発展したなんて最初は耳を疑ったけど、この連中ならば可能性はあるのだ。




以前から問題視されていた二人の生徒。
そして彼女達を取り巻く生徒達のおかげで学園の空気は最悪だった。

それでも表向きはこの下らない問題を漏らさないように努力していたの私達生徒会だった。



「学園内で強力な魔法を使うのは禁じられている。例外はない」

「魔法を使った生徒を停学処分とします」

「待ってください!そんな…」

「そうです!」


異論が許されるはずがない。

「そんな…俺は彼女を守ろうとしただけで」

「婚約者が危険な目に合いながら貴方は真っ先に彼女を守り、そして炎の魔法に風の魔法をかけるなんて殺意があるとしか思えませんわ」

「それはジゼルが彼女に危害を…」

「危害?何を言ってますの」


ジゼルは、できるだけ周りの生徒が傷つかないように結界を敷いていたわ。

「彼女は他の生徒に危害を加えないように結界を…」

「だが、その場にいたんだ。ナターシャを苛めようとして。咄嗟にカモフラージュしたんじゃないか?シャーロット嬢に命じられて…もしくは助け振りをして背後から攻撃しろと」

「私を侮辱なさる気?そんな真似をすると!」

この男は何処まで彼女を邪推して悪女に仕立て上げたいのか。


「ハルバート。君がナターシャを愛しているのは解るが…罪なき婚約者をここまで侮辱するのは人としてどうなんだ」

「誤解ですわアレンディス様!私と彼はそんな関係ではありません」

「ナターシャ!何を…」

「この際、そんなことはどうでもいい。問題は学園の規則では生徒同士の決闘や魔法の発動は禁じられている。決まりを破った所生徒は退学だ。例にも漏れず君も」

「そんな!俺は間違ったことは…」

「さっきから聞いていれば、自分の事ばかりですのね?婚約者が今も生死の境を彷徨っていると言うのに…彼女が死んでも心配もしないなんて」

「むしろ望んでいるんじゃないか」

「いくら何でも口が過ぎるぞ!」


口が過ぎるのどっちなのかしら?
さっきから黙って聞いていれば好き放題を言っているけど。


「私は生徒会副会長として当然の対応をしたまで。ですが、私が彼女の友人である以上は色眼鏡で見られるでしょうから、風紀員に判断を任せますわ。よろしいでしょうか」

「それが妥当だな。私も公平な判断をすべきだ。無理なら両家に報告した後に裁判をすればよい」

「裁判…そんな大袈裟すぎる」

この男、本当に馬鹿だわ。
この場で無意識に本音をポロリと零すなんて馬鹿でしょ?馬鹿すぎるわ。




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