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52.自慢のお兄様
静まり返る中、拍手の音が聞こえた。
「素晴らしい兄上ですわね」
「ああ」
拍手を送ったのは生徒会を筆頭だった。
アレンディス殿下とアンリエット様に教師の方々も一緒だった。
「流石だな」
「ええ」
お兄様の訴えは人によっては理想論と罵倒する人もいるかもしれないけど、常に理想をかかげて来たお兄様は覚悟の上だったのかもしれない。
「お兄様!」
「ジゼル?」
「やっぱりお兄様は私の自慢です」
ずっと優しかったお兄様。
優しいだけでなく強いお兄様は正しさを貫いて来た。
だから――。
「どうしたんだ。子供じゃないのに」
「はい…」
お兄様の腕に抱き着くのは何時以来だろうか。
婚約して、お兄様に頼ってはいけないと。
大人にならなくてはいけないと思ってから甘えることも避けた。
「仕方ない子だね」
「はい」
私が隣国に嫁げばもうこんな風にできないわ。
「本当に妬けるな」
「ウィル様」
「だけど、今回ばかりは出番はなさそうだ」
苦笑するウィル様の目は何処までもお優しかった。
「ミハイル殿、貴方の思い痛み入りました」
「改まって何を?」
「貴方のまっすぐな思いを受け継がれておられる大事な妹君はこれより私がお守りします。そして彼女を傷つけることが無いようお守りいたします」
公の場で王太子殿下が膝をつくの異例中の異例だった。
「殿下…」
「これは私の誓いです」
周りは静まり見守っている。
もしやこれは。
ちらりとティエリーとリナリアを見ると。
笑みを浮かべ頷いていた。
大勢に見せつける為でもあったのだろう。
完全に悪役になったシルキス様は罰の悪い表情をしていた。
対するお兄様の評価はそれ以降鰻登りになってしまい。
「あれ以降、ミハイル様のうじゃうじゃと蟻が…最悪ですわ」
「シアン…」
「私の王子様が!」
拗ねるシアンは、お兄様がモテる事を不服そうにしていた。
幼い頃から兄妹のように付き合うがあるが、シアンはお兄様に好意的だった。
それを考えるとシルキス様に同情してしまうかもしれない。
だってシアンの理想の男性がお兄様だし。
身内の贔屓目無しに素敵な人だけど、未だに婚約者がいない状態だ。
その理由としてお兄様は結婚の意思が少ない。
今回のこともあってか慎重になっているのは解る。
だけど、お兄様もご自分の事を考えてくださったら。
「本当に素敵よね」
「アンリエット様?」
「優秀で、人当たりも良く、面倒見が良くて」
まさかアンリエット様はお兄様を。
艶やか表情を見ていらっしゃるのに気づいたが知らない振りをした。
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