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14:舐めれば治る?
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二度も繰り返し口にされた言葉に、僕はポカンとしてしまいました。舐めて?舐めたら、ケインの傷は治るのでしょうか。
「よく騎士の間じゃ、怪我をした時に言うんだよ。『そんなの舐めてりゃ治る』って」
「……そ、そうなんだ」
「そ。オレも腕なら自分でも舐められるけど……背中はなぁ?」
そう言って軽く自分の背中を見やるケインに、僕はハッとしました。そうです、ケインに鞭が打たれたのは腕だけではありません。背中を含め、体中に鞭が当たっていました。ケインは、僕のせいで体中に傷を負ってしまったのです。
「背中は自分じゃ舐められないし。困ってたんだよ。こんな体、気持ち悪くて誰にも見せられないし」
「……」
ケインの声を聞きながら、僕はケインの腕に蛇のように巻き付く、赤紫色の盛り上がった痕をジッ見つめました。ヘビは苦手です。気持ち悪いし、怖いから。でも、アレはヘビではありません。ケインの……僕の友達の大切な体です。
「さぁ、どうする?ラティ」
舐める。どうやって?どんな風に?
僕はパラパラとウィップのページを捲るように、記憶の中を探し回りました。すると、一つだけ使えそうなページを見つけました。
「ラティ?」
少しだけ遠くに、ケインの声が聞こえます。
--------
ねぇ、ウィップ。今日ね、庭の隅で可愛い黒猫の親子を見つけたよ。すごーく可愛くて、お母さん猫が子猫を体中舐めるの。舌をながーく出して、ペロペロ、ペロペロって。ずーっとね。
ウィップにも、見せてあげたかったなぁ。
--------
そう、あのお母さん猫みたいに舐めればいいのです。だって、あの時の子猫は凄く気持ち良さそうでした。
「っは。やっぱ、無理なんだろ?キレイなんてウソ……っぁ!」
「ん」
僕はケインの差し出された腕に、ゆっくりと舌を這わせました。プクリと盛り上がった傷痕に触れると、舌の上に熱くてしょっぱい味がジワリと広がります。
あぁ、ケイン。これで少しでも、キミが痛いのが治るといいんだけど。
「ぁ……ら、ラティ?」
「っん、ふぅ……っふ」
頭の上から振ってくるケインの声を無視して、僕は鞭の痕に対して舌を行ったり来たり優しく滑らせました。少しだけ「ヘビ」みたいなんて思っていた鞭の痕でしたが、近くで見ると全然そんな事はありません。ケインの体に刻まれているのです。それは、もう僕にとってキレイな刺繍の模様のように見えました。
「ん、ん……ちゅっ。っふ、ンっ」
「っ」
ペロペロと、猫のお母さんを思い出しながら舌でケインの腕を舐めていきます。
すると、腕の付け根に近い部分まで来たところで、一際プクリと熱を持った場所に行きつきました。
「い゛っっ!」
「っケイン!大丈夫!?」
その瞬間、ケインの口から短い悲鳴が漏れ、僕は舐めるのを止めて顔を上げました。目の前には痛みに目を細めるケインが、これまで見た事がないような凄い目つきで僕を見下ろしています。きっと、とても痛かったのでしょう。
「ケイン。ご、ごめん。ごめんね……あの、ここは、その、舐めるのは、やめとくね……」
「は?何言ってんだよ」
「え?」
「なぁ、ラティ。治してくれるんだろ?」
痛いところは触らない方が良いかと思ったのですが、ソレは間違っていました。そうです。僕はケインの傷を治す為にやっているのです。
「ちゃんと全部舐めろよ」
「はい……」
そう、痛い所こそ、ちゃんと舐めなければ。
ジッと此方を見つめながら口にするケインの頬は微かに赤く、金色の髪の毛から覗く耳もほんのり色付いています。もしかすると、傷のせいで熱があるのかもしれません。全部、僕のせいです。
「ケイン、ごめんね。がんばるね、僕」
「……いいから、早く」
「ん」
「よく騎士の間じゃ、怪我をした時に言うんだよ。『そんなの舐めてりゃ治る』って」
「……そ、そうなんだ」
「そ。オレも腕なら自分でも舐められるけど……背中はなぁ?」
そう言って軽く自分の背中を見やるケインに、僕はハッとしました。そうです、ケインに鞭が打たれたのは腕だけではありません。背中を含め、体中に鞭が当たっていました。ケインは、僕のせいで体中に傷を負ってしまったのです。
「背中は自分じゃ舐められないし。困ってたんだよ。こんな体、気持ち悪くて誰にも見せられないし」
「……」
ケインの声を聞きながら、僕はケインの腕に蛇のように巻き付く、赤紫色の盛り上がった痕をジッ見つめました。ヘビは苦手です。気持ち悪いし、怖いから。でも、アレはヘビではありません。ケインの……僕の友達の大切な体です。
「さぁ、どうする?ラティ」
舐める。どうやって?どんな風に?
僕はパラパラとウィップのページを捲るように、記憶の中を探し回りました。すると、一つだけ使えそうなページを見つけました。
「ラティ?」
少しだけ遠くに、ケインの声が聞こえます。
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ねぇ、ウィップ。今日ね、庭の隅で可愛い黒猫の親子を見つけたよ。すごーく可愛くて、お母さん猫が子猫を体中舐めるの。舌をながーく出して、ペロペロ、ペロペロって。ずーっとね。
ウィップにも、見せてあげたかったなぁ。
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そう、あのお母さん猫みたいに舐めればいいのです。だって、あの時の子猫は凄く気持ち良さそうでした。
「っは。やっぱ、無理なんだろ?キレイなんてウソ……っぁ!」
「ん」
僕はケインの差し出された腕に、ゆっくりと舌を這わせました。プクリと盛り上がった傷痕に触れると、舌の上に熱くてしょっぱい味がジワリと広がります。
あぁ、ケイン。これで少しでも、キミが痛いのが治るといいんだけど。
「ぁ……ら、ラティ?」
「っん、ふぅ……っふ」
頭の上から振ってくるケインの声を無視して、僕は鞭の痕に対して舌を行ったり来たり優しく滑らせました。少しだけ「ヘビ」みたいなんて思っていた鞭の痕でしたが、近くで見ると全然そんな事はありません。ケインの体に刻まれているのです。それは、もう僕にとってキレイな刺繍の模様のように見えました。
「ん、ん……ちゅっ。っふ、ンっ」
「っ」
ペロペロと、猫のお母さんを思い出しながら舌でケインの腕を舐めていきます。
すると、腕の付け根に近い部分まで来たところで、一際プクリと熱を持った場所に行きつきました。
「い゛っっ!」
「っケイン!大丈夫!?」
その瞬間、ケインの口から短い悲鳴が漏れ、僕は舐めるのを止めて顔を上げました。目の前には痛みに目を細めるケインが、これまで見た事がないような凄い目つきで僕を見下ろしています。きっと、とても痛かったのでしょう。
「ケイン。ご、ごめん。ごめんね……あの、ここは、その、舐めるのは、やめとくね……」
「は?何言ってんだよ」
「え?」
「なぁ、ラティ。治してくれるんだろ?」
痛いところは触らない方が良いかと思ったのですが、ソレは間違っていました。そうです。僕はケインの傷を治す為にやっているのです。
「ちゃんと全部舐めろよ」
「はい……」
そう、痛い所こそ、ちゃんと舐めなければ。
ジッと此方を見つめながら口にするケインの頬は微かに赤く、金色の髪の毛から覗く耳もほんのり色付いています。もしかすると、傷のせいで熱があるのかもしれません。全部、僕のせいです。
「ケイン、ごめんね。がんばるね、僕」
「……いいから、早く」
「ん」
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