初恋は一期一会 ~彼女が可愛すぎるので、私の心臓は多忙な日常を送っています~

羽海

文字の大きさ
8 / 35

第8話 二人きりの登校

しおりを挟む

 入学式の翌日。その朝…。
私は竜胆さんに教えてもらった番号の部屋の前にいた。…ここが女神の住まう楽園エデンか。
この扉、実は天界に繋がっているとかありそうだ。
果たして、私なんかが近づいて良いのだろうか。
恐れ多すぎて指が震えるが、慎重に狙いを定めてインターホンを鳴らす。すると、「小森さんね。すぐに行くわ」と返事があったので、扉の前で待つ。

(竜胆さんと一緒に登校…。緊張する。学校の皆に噂されてしまったらどうしよう。あの二人、同じマンションから出てくるの見たよ?みたいな。)

…あれ、これって既成事実ってやつでは?
 そんな馬鹿なことを考えていると竜胆さんがドアを開けて現れた。

「おはよう、小森さん。お待たせ」

「おはよ~!全然待ってないから大丈夫だよ!」

 顔良し声良しスタイル良し。
うん。今日も竜胆さんは最強である。

「それなら良かったわ。では、行きましょうか」

「はーい!」

 私と竜胆さんはマンションを出て、昨日の帰り道と同様に桜が舞い散る道を通って登校する。

「今日は学力調査テストだったかしら?」
 
「そうだね。あと午後からは新入生歓迎会がある感じ!」

「あぁ、明春フェスね。」

 そう。うちの学校の新入生歓迎会は気合が入っていて、フェスのように盛り上がることから、明春フェスとも呼ばれるらしい。学生バンドやダンスユニット、生歌披露などがあり、テンションマックスで騒ぎまくるのだとか。気合入りすぎだろ、いいぞもっとやれ。

「小森さん、お昼は学食?」

「そう、今日は学食だよ~。お母さんがお弁当作ってくれるって言ってたけど、学食で食べてみたくて!」

 学食の名物は、彩り野菜カレー。人参・じゃが芋・玉ねぎの他に、ナス、かぼちゃ、パプリカが入っていてるので、とってもヘルシーだ。そのため、女子校のうちでは不動の人気を誇っている。クチコミでは、
「これを食べてお肌の調子が良くなりました!」
「これ食べたら痩せました!」
「宝くじに当たりました!」とか言われている。
おい最後のやつ名乗り出ろ!!友達にならないか?

「竜胆さんは?」

「私も今日は学食で食べるわ」

「じゃあ一緒に食べようね!」

「えぇ、もちろん」

 ふっ。私たちは強い絆で結ばれているのだ。
今からお昼が楽しみである。

 そんな事を話していると、学校に着いた。やはり、家から学校まで近いと良いね。すごくらくだ。

しかし、先程からチラチラと視線を感じている。
それに心做こころなしか周囲がざわついている。

…ふむ。私たち、目立ち過ぎ説あるな。
でもしょうがない。私と竜胆さん可愛いもんな。
並んだら相乗効果で可愛いが天元突破てんげんとっぱしてしまうのだ。可愛すぎてごめん。
まぁ、注目の的というのも悪くないものだ。むしろ良い気分である。まるで自分が有名人かのように思えるからね。さながら今の私はレッドカーペットを歩く女優の気分である。
ん?年収?百億円くらいかな。
結婚しよう?ごめん。私にはフィアンセ竜胆さんがいるんだ。

そんな妄想をしながら、下駄箱で上靴に履き替えて教室へと進む。

「竜胆さんはテストどんな感じ?」

「順当に行けば問題ないと思うわ」

「おぉ、凄いなぁ。私もそのくらい自信持って言えるように勉強もっと頑張らなきゃ!」

 ちなみに、勉強を頑張る!という決意はテストがある度に毎回している。だが私の決意は雑魚なのだ。一週間ほどしかモチベーションが続かない。
勉強を頑張る前に心を強くするべきかもしれない。山にこもって修行しようかな?滝行とかも良いかも。
…いや、心が強くなる頃には勉強の仕方を忘れそうだ。やめておこう。

 さて、ついに教室に着いてしまった。席の離れている私たちはここで一旦お別れだ。悲しい。
席に着いたらテスト前の復習作業をしよう。そう思いながら教室へと入る。
その瞬間、教室内は静寂に包まれた。
私、嫌われてる?と思ったが違う(え?違うよね?)
おそらく、このクラスの女神と天使竜胆さんと私が一緒に登校してきたことに驚いたのだろう。
やっぱり結構目立ってるんだなぁ。
はいはい、可愛すぎてごめんね(適当)
まぁ、気にしてもどうしようも無いので無視をする。
正直こういう事には慣れているのでね(達観した笑み)

「とりまテスト頑張ろ!」

「そうね。ではまた、お昼にね」

「はーい!」

 そう言って私たちは別れ、それぞれの席に向かった。自分の席に座った私は、テスト範囲のおさらいをする。…こんなんやった記憶がねぇわ。
 危機感を覚え真面目に勉強しながらも、頭の片隅では竜胆さんのことを考えてしまう。それどころかしきりに無意識で彼女に視線が向いている。

恋ってまじでやまい

 そんな事を思いながらも勉強の手は止めない。
テストという名の決戦は、中途半端な準備で挑むと致命傷を負うのだ。
装備をしっかり整えてボス戦テストのぞむのが勇者わたしの役割なのだ。

私、この戦いテストが終わったら竜胆さんと一緒にお昼を食べる約束をしているんだ…。(死亡フラグ)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生して最強召還師になったけど現世に帰ってきた女子高生ですが何か?

苑崎頁
恋愛
女子高生、真島乃亜15歳は通学途中にトラックに轢かれ、魔界に転生した。 魔界に転生した乃亜は魔王たちと契約し、最強の悪魔召喚師になった。 そして堕天使ノアの名も授かった。 しかし、どうにか現世に帰ってきた乃亜を待っていたのは、怠惰な学校生活だった。 現世でも魔王たちがいると思い、魔王を探す旅に出る乃亜。 しかし、先に出会ったのは…? 某小説サイトでは90万PV以上してる作品です。 内容が変な所があるかもですがご了承ください。 女子高生がいろんな人と出会ってしまうお話です…。 コメント、応援。本当にありがとうございます! とても励みになります! 拙い文章ですが、これからもよろしくお願いいたします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...