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第三章
第18話『街並みを堪能しながら食事会』
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「やはり落ち着く」
「だよね」
外へと連行さえた後、フローラの奢りで食事処に立ち寄っている。
目の前に並ぶのは人間が安心して食べることができる料理が並んでいて、昨日とは比べものにならないほど安心感を得ている。
見た目も匂いも格別なものーーと言えるほど豪華ではなく庶民的な野菜中心の料理だけど、それでも昨日の生々しい食材に比べたら満足感が凄い。
「メノウはとりあえず、セリナを見習ってくれ」
メノウは目を輝かせ、料理に顔を近づけて匂いを堪能している。
まるで、というかそのまんな犬みたいな行動をされると、一緒に居る俺たちが変な目で見らてしまう。
それに比べたらセリナは、人間として活動していた時間が長いから姿勢を真っすぐだ。
「主様、これはどうやって使うのですか?」
「どっちの手が持ちやすいかによるが、片手にフォーク、反対の手にナイフを持って――こうやるんだ」
「ほうほう! こうですか」
「げっ」
「おいひいです!」
どう考えても肉料理にフォークで刺してナイフで切ったとは思えない、『パキッ!』という音が耳に届いた。
メノウは、とりあえず動作を真似ただけだから切れ目しか入っていないし、フォークも逆手になっている。
美味しそうに頬を膨らませている姿はかわいらしいが、残された皿が真っ二つに割れて悲惨なことになってしまっていた。
そして、メノウだけが気付いていない目線を、辺りから注がれている。
「メノウ、頼むからもう少しだけ声を小さくしてくれ」
「はい!」
その返事も、小さくしてくれたらよかったんだけどね?
この状況で頭を抱えても、さすがに許されるだろう。
しかし幸いにも辺りから注がれる視線は、迷惑がられていたり、奇異の目線を向けられているわけではない。
なんせ「あそこの席に座っている子たち、かわいい」「観光かしら? 道案内役に立候補してこよっかなぁ~」という声が耳に届くばかりだから。
男性客に限っては、「俺、パーティに誘っちゃおうかな」「あの一緒に居る男、どうせ執事かなんかだろ」という声も聞こえてくる。
楽しく食事をしたいだけなのに、いろんな意味で目立ってしまっているな。
「うん、美味しいな」
「ここのお店、結構好きなの」
「調理されたお肉は美味しいね。あの肉でも挑戦してみようかしら」
「それ本気?」
「もちろん」
塩やハーブなどと一緒に炒めてあるであろう肉は、焼くだけの肉を食べる行為とは似て非なるものだ。
しかしそれは動物の肉であるから可能なわけで……モンスター肉でも可能なのか?
「主様、この葉っぱも美味しいです」
「健康にいいから、サラダはじゃんじゃん食べた方がいいぞ」
「本当ですか! ちょっと苦いような気もしますが、慣れるように頑張ります!」
元気な返事で何より。
もう、注意することを諦めた方がいいのかもしれない。
大事な場面とかでは、もはや一言も喋らないように命令すればいいだろう……たぶん。
「たしかに美味しい。村では出会えなかった味ね」
「わたしも数日ぶりというだけで、より美味しく感じちゃう」
楽しい食事の時間。
セリナとフローラは、礼儀正しく食事を進め、頬を抑えて幸せそうだ。
しかしメノウも既に気が付いているだろう、視界に入らない方向から普通ではない目線を感じる。
メノウが、ただ目の前の食事に夢中になっていて警戒を怠っていないことを願いつつ、体をほぐすように動かして辺りを一瞥するも――。
――目線を送ってきていた人物の特定をすることはできなかった。
「それにしても、窓から見える街並みは人の通りも合わさっていいわ。落ち着きがありつつも、活気ある人たちが楽しそうに生活している」
「セリナも気に入ってくれたようで嬉しいわ」
「でも、ちょっと寂しくもある」
「どうして?」
「私が知らないところでアレンがいろんな経験をしていて。体も心も成長して、本当に夢を叶えちゃったんだなって」
警戒している間に、なんだか俺のことについて話が繰り広げられようとしていないか?
というかセリナの目線、幼馴染というよりは親の目線だよね、それ。
「まあたしかに、いろんな経験をしたのはその通りだけど」
「そして悔しい」
「なんだよ急に」
フォークとナイフを置いたセリナは、フローラへ顔を向ける。
「私がアレンの返ってくることができる場所を守り続けていた間に、フローラと出会っていちゃいちゃしていたことが」
「だからどうしたんだよ急に」
「そ、そうよ。わたしは別にそんなことはしていないわよ」
「そうだぞ。毎日毎日厳しい訓練をやり続けていたり、危険な任務を遂行するために各地を移動したり」
「実質デートじゃない」
「んなわけあるかっ」
セリナは俺が村を飛び出した後、ずっと帰る場所を守り続けてくれていたのは理解した。
寂しい思いをさせてしまっていたことも。
でも俺と顔を合わせるなり、あっさりと村も家もあっさりと捨てたのはさすがに驚いたけど。
「俺もフローラも遊びで騎士団で活動していたわけじゃない」
「そうよ。みんながみんなを支え合って高めって、称え合って鼓舞していたの。そこに恋愛関係なんてあるわけないじゃない」
「待てフローラ、最後の言葉だけは訂正しなくちゃいけないだろ」
「え? あ、そういえば」
「そういえば居たよな、俺たち団員が頑張っている最中にこっそり愛を育んでいたやつらが」
「居たわね、間違いなく」
ちょうど、今のメノウが食事に夢中な感じの雰囲気と同じやつだった。
そんなやつが、騎士団補給係の女の子と恋仲になっていて、気づけば脱退報告をして回っていたやつが居た。
一番結婚からは遠そうなやつだったのに、一番最初にやることをやっていたという。
「懐かしい話に突入するのはいいが、その前に。フローラ、この後の予定が詰まっていたりするか?」
「いいえ、大丈夫よ」
「だったら少し、寄り道したい」
「いいわよ。でもどこに?」
「ちょっと体を動かそうかなと思って」
フローラは首を傾げて「何を言っているんだ」と言いたそうにしている。
セリナは疑問を浮かべることなく目線を向けただけで首を縦に振ってくれた。
メノウは……。
「主様、おかわりはして大丈夫ですか……?」
「1回だけな」
「ありがとうございます!」
と、言った感じで。
この中で一番危機管理能力を働かせていてほしい存在なのだが、まあ……俺が能力を使えているからいいか。
ん? そういえば、【聖剣】の能力を使える俺と契約した【魔剣】のセリナは状況を把握していたり?
『セリナ、さっきから見てきている人たちに気付いているか?』
『ええ、もちろん。殺意まではなさそうだから相手にしていなかったわ』
『わかった、ありがとう』
なるほど、であれば心強いな。
「ここはわたしの奢りなのだから、みんなも1品ずつ追加で注文して大丈夫よ」
「俺はいいや、この後すぐ運動するんだし」
「私も同じく」
「そう? じゃあメノウ、一緒に追加注文しましょう」
「うんっ」
満面の笑みで応えるメノウは、能天気というかお気楽というか。
でもセリナの話を参考にすると、警戒するまでもない存在だと判断しているのかもな。
まあたしかに、あんなモンスターを次々にバッタンバッタンを敵と認識して反応するなら、それ未満は的ですらないと言われたらその通りではある。
「じゃあこれっ」
「わたしはこれにしようかな」
そ、そうだよね?
普通に楽しんでいるだけじゃないよね?
「だよね」
外へと連行さえた後、フローラの奢りで食事処に立ち寄っている。
目の前に並ぶのは人間が安心して食べることができる料理が並んでいて、昨日とは比べものにならないほど安心感を得ている。
見た目も匂いも格別なものーーと言えるほど豪華ではなく庶民的な野菜中心の料理だけど、それでも昨日の生々しい食材に比べたら満足感が凄い。
「メノウはとりあえず、セリナを見習ってくれ」
メノウは目を輝かせ、料理に顔を近づけて匂いを堪能している。
まるで、というかそのまんな犬みたいな行動をされると、一緒に居る俺たちが変な目で見らてしまう。
それに比べたらセリナは、人間として活動していた時間が長いから姿勢を真っすぐだ。
「主様、これはどうやって使うのですか?」
「どっちの手が持ちやすいかによるが、片手にフォーク、反対の手にナイフを持って――こうやるんだ」
「ほうほう! こうですか」
「げっ」
「おいひいです!」
どう考えても肉料理にフォークで刺してナイフで切ったとは思えない、『パキッ!』という音が耳に届いた。
メノウは、とりあえず動作を真似ただけだから切れ目しか入っていないし、フォークも逆手になっている。
美味しそうに頬を膨らませている姿はかわいらしいが、残された皿が真っ二つに割れて悲惨なことになってしまっていた。
そして、メノウだけが気付いていない目線を、辺りから注がれている。
「メノウ、頼むからもう少しだけ声を小さくしてくれ」
「はい!」
その返事も、小さくしてくれたらよかったんだけどね?
この状況で頭を抱えても、さすがに許されるだろう。
しかし幸いにも辺りから注がれる視線は、迷惑がられていたり、奇異の目線を向けられているわけではない。
なんせ「あそこの席に座っている子たち、かわいい」「観光かしら? 道案内役に立候補してこよっかなぁ~」という声が耳に届くばかりだから。
男性客に限っては、「俺、パーティに誘っちゃおうかな」「あの一緒に居る男、どうせ執事かなんかだろ」という声も聞こえてくる。
楽しく食事をしたいだけなのに、いろんな意味で目立ってしまっているな。
「うん、美味しいな」
「ここのお店、結構好きなの」
「調理されたお肉は美味しいね。あの肉でも挑戦してみようかしら」
「それ本気?」
「もちろん」
塩やハーブなどと一緒に炒めてあるであろう肉は、焼くだけの肉を食べる行為とは似て非なるものだ。
しかしそれは動物の肉であるから可能なわけで……モンスター肉でも可能なのか?
「主様、この葉っぱも美味しいです」
「健康にいいから、サラダはじゃんじゃん食べた方がいいぞ」
「本当ですか! ちょっと苦いような気もしますが、慣れるように頑張ります!」
元気な返事で何より。
もう、注意することを諦めた方がいいのかもしれない。
大事な場面とかでは、もはや一言も喋らないように命令すればいいだろう……たぶん。
「たしかに美味しい。村では出会えなかった味ね」
「わたしも数日ぶりというだけで、より美味しく感じちゃう」
楽しい食事の時間。
セリナとフローラは、礼儀正しく食事を進め、頬を抑えて幸せそうだ。
しかしメノウも既に気が付いているだろう、視界に入らない方向から普通ではない目線を感じる。
メノウが、ただ目の前の食事に夢中になっていて警戒を怠っていないことを願いつつ、体をほぐすように動かして辺りを一瞥するも――。
――目線を送ってきていた人物の特定をすることはできなかった。
「それにしても、窓から見える街並みは人の通りも合わさっていいわ。落ち着きがありつつも、活気ある人たちが楽しそうに生活している」
「セリナも気に入ってくれたようで嬉しいわ」
「でも、ちょっと寂しくもある」
「どうして?」
「私が知らないところでアレンがいろんな経験をしていて。体も心も成長して、本当に夢を叶えちゃったんだなって」
警戒している間に、なんだか俺のことについて話が繰り広げられようとしていないか?
というかセリナの目線、幼馴染というよりは親の目線だよね、それ。
「まあたしかに、いろんな経験をしたのはその通りだけど」
「そして悔しい」
「なんだよ急に」
フォークとナイフを置いたセリナは、フローラへ顔を向ける。
「私がアレンの返ってくることができる場所を守り続けていた間に、フローラと出会っていちゃいちゃしていたことが」
「だからどうしたんだよ急に」
「そ、そうよ。わたしは別にそんなことはしていないわよ」
「そうだぞ。毎日毎日厳しい訓練をやり続けていたり、危険な任務を遂行するために各地を移動したり」
「実質デートじゃない」
「んなわけあるかっ」
セリナは俺が村を飛び出した後、ずっと帰る場所を守り続けてくれていたのは理解した。
寂しい思いをさせてしまっていたことも。
でも俺と顔を合わせるなり、あっさりと村も家もあっさりと捨てたのはさすがに驚いたけど。
「俺もフローラも遊びで騎士団で活動していたわけじゃない」
「そうよ。みんながみんなを支え合って高めって、称え合って鼓舞していたの。そこに恋愛関係なんてあるわけないじゃない」
「待てフローラ、最後の言葉だけは訂正しなくちゃいけないだろ」
「え? あ、そういえば」
「そういえば居たよな、俺たち団員が頑張っている最中にこっそり愛を育んでいたやつらが」
「居たわね、間違いなく」
ちょうど、今のメノウが食事に夢中な感じの雰囲気と同じやつだった。
そんなやつが、騎士団補給係の女の子と恋仲になっていて、気づけば脱退報告をして回っていたやつが居た。
一番結婚からは遠そうなやつだったのに、一番最初にやることをやっていたという。
「懐かしい話に突入するのはいいが、その前に。フローラ、この後の予定が詰まっていたりするか?」
「いいえ、大丈夫よ」
「だったら少し、寄り道したい」
「いいわよ。でもどこに?」
「ちょっと体を動かそうかなと思って」
フローラは首を傾げて「何を言っているんだ」と言いたそうにしている。
セリナは疑問を浮かべることなく目線を向けただけで首を縦に振ってくれた。
メノウは……。
「主様、おかわりはして大丈夫ですか……?」
「1回だけな」
「ありがとうございます!」
と、言った感じで。
この中で一番危機管理能力を働かせていてほしい存在なのだが、まあ……俺が能力を使えているからいいか。
ん? そういえば、【聖剣】の能力を使える俺と契約した【魔剣】のセリナは状況を把握していたり?
『セリナ、さっきから見てきている人たちに気付いているか?』
『ええ、もちろん。殺意まではなさそうだから相手にしていなかったわ』
『わかった、ありがとう』
なるほど、であれば心強いな。
「ここはわたしの奢りなのだから、みんなも1品ずつ追加で注文して大丈夫よ」
「俺はいいや、この後すぐ運動するんだし」
「私も同じく」
「そう? じゃあメノウ、一緒に追加注文しましょう」
「うんっ」
満面の笑みで応えるメノウは、能天気というかお気楽というか。
でもセリナの話を参考にすると、警戒するまでもない存在だと判断しているのかもな。
まあたしかに、あんなモンスターを次々にバッタンバッタンを敵と認識して反応するなら、それ未満は的ですらないと言われたらその通りではある。
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