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第四章
第22話『真綾とデート……?』
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午後2時、時計台の下。
和昌は意味がないと理解していながらも足元を見たり、袖や襟を直す。
キョロキョロと辺りに視線を移して落ち着いていない様子。
「……」
少し前まで、空き時間は全てアルバイトをしていた。
その後は平日にダンジョンへ入っておいて何を言っているんだ、というツッコミをされるだろうが、どうしてもソワソワしてしまう。
3連休の2日目、本日の予定は真綾とのお出掛け。
「お・ま・た・せ」
その声に振り返ると、そこには真綾の姿が。
「待っちゃった?」
「全然。俺も数分前に着いたところだよ」
真綾は何かを期待するかのように、下ろしている長い黒髪を人差し指でクルクルとしている。
和昌はその意味を理解できないほど鈍感ではない。
しかし残念なのが、それら知識は女性経験が豊富だから知っているとか、アルバイトの心得でもなく――ゲームで手に入れた知識なのである。
「いつもとイメージが違う感じだけど、こっちの方も似合ってると思うよ」
清楚系という言葉が似合う、と思っていて、実際に和昌は真綾に対してそういったイメージを抱いていた。
喋り口調だけなら、誰とでも分け隔てなく話ができるクラスの中心人物みたいな人物。
しかし今は紺色のジャケットにジーンズ、といった、落ち着いたお姉さんが着こなしていそうな服装となっている。
「実はこの日のために、新調したのですっ」
「なるほど?」
和昌は、その言葉の意味をいまいち理解出来なかった。
恋愛的な意味で勘違いしてもいいのか、はたまたそういうタイミングに出くわすことができたのか、という風に思考が巡る。
「それじゃあレッツゴーっ」
と、拳を突き上げる真綾の姿を観て、和昌は『そこら辺はいつも通りなんだね』と心の中で呟いた。
「それじゃあまずはどうしよっか」
「んー、悩む」
そこそこ見慣れているショッピングモールへ来ているわけだが、予定は未定の状況で足を運んでいる。
というのも、前もって2人で来る場所は決めていたものの、真綾の提案で「行き当たりばったりがいい」ということになっていたのだ。
一応、気になって理由を尋ねたものの「なんとなく~」というものだった。
「ん、あれって」
真綾は前方であることに気付いて小走りで向かって行き、和昌も咄嗟に追いかける。
「どうしたの? ここには1人で来たの?」
駆け寄った先には、1人の幼い少女の姿があった。
「ううん、おかあさんといっしょにきたの……うっ、ぐすっ」
目線を下げている真綾を見習い、和昌も背を低くする。
「そっかぁ~。じゃあ、お姉ちゃん達と一緒にお母さんを探そうっ」
「へぇ?」
今にも泣きだしそうになっている少女の頭を優しく撫でる真綾。
「1人で居ると危ないかもしれないからね。お姉ちゃん達とお話しながら歩かない?」
「んー……でも、おかあさんが『しらないひとについていっちゃダメ』っていってたよ?」
「ぐぬぬ。それは確かにその通り……。和昌くん、どうしよう」
和昌は手を差し伸べたらいいのか、それとも気の利いた言葉が必要なのかを1人で悩んでいたところ、助けの手を求められる。
当然そんなタイミングなものだから、言葉が詰まってしまう。
「ん、んー……じゃあせめて、座れるところで話をしてみるとか?」
「ナイスアイディーア! ――じゃあ、お姉ちゃん達が怪しい人達じゃないってわかるまでお話をしよっか」
「それならだいじょうぶ、かな?」
「うんうんっ――あそこのベンチに座ろ~」
2人はゆっくりと立ち上がり、真綾が少女の手を優しく引い行き、3人でベンチに腰を下ろした。
「まずは自己紹介から。お姉ちゃんの名前は、真綾っていうの。名前は難しいと思うから、お姉ちゃんのままで大丈夫だよ」
「うんー、わかった!」
「お、お兄ちゃんの名前は、和昌っていうんだ。よろしくね」
「じゃあ、お兄ちゃん!」
和昌は、真綾とは正反対にぎこちなさすぎる笑顔をみせる。
もはや引きつっているようにしか見えず、真綾にはクスクスッと笑われているが、幸いにも少女には好印象であった。
「わたしのなまえはさき!」
「ありがとうさきちゃん。お母さんは絶対に見つけてくれるから、ここで沢山お話をしようね」
「うんっ」
和昌は、真綾がみせる自然な笑顔に感心する。
それと同じくして、このまま話を続けても問題無さそうではあるが、迷子センターに頼んだ方がいいのではないか――という事を提案をしようとしたが、あることに気が付く。
真綾は、この少女と出会ってから『迷子』という単語を使っていなかった。
しかしそんなことは些細な事で、ただの偶然かもしれない。
だけどもしも少女を不安な気持ちにさせないための配慮だった場合、和昌はその努力を無に帰してしまう。
そう思った和昌は、ズボンの右ポケットからスマホを取り出して真綾にメッセージを送る。
『こんなタイミングでごめん。一応、確認しておきたくて』
それだけ送り、スマホを少女より高く上げて画面をアピールした。
おかげで少女は気にしていない様子で、真綾も気が付いてスマホを確認する。
『どうかしたの?』
『迷子センターに届けてから話をしてもいいんじゃないかな?』
『それだとこの子が泣きだしちゃうと思って』
『いろいろとわかった。このまま居よう』
連絡を取り合っている間、少女は自身のポケットから取り出した飴の袋で遊んでいた。
そして確認もとれ、和昌も気持ちを切り替えて話に入ろうとする。
「さきちゃんは飴が好きなのかな?」
「うんっ! いちごとかりんごとか!」
「お兄ちゃんも、梅味の飴が好きなんだ。すっぱじょっぱくて」
「……うめ?」
少女は、和昌が唐突にそんなことを言い始めるものだから、キョトンとした表情で首を傾ける。
「お姉ちゃんは、葡萄とか桃の飴が好きだよ~」
「私もぶどうともも、すきっ」
(くっ……小さい女の子と話を合わせるのって難し過ぎだろ……)
和昌は真綾と少女の会話を耳に、自分の不甲斐なさを噛み締める。
結果、自分から話題振るのを辞めて相槌に徹することを決めた。
「さきちゃんの好きな食べ物って何かな?」
「うーんとねぇ~、おかあさんのハンバーグがすき!」
「いいね~。お姉ちゃんもハンバーグ作れるけど、きっと、さきちゃんのお母さんには負けちゃうだろうな~」
「うんっ! おかあさんのハンバーグはいちばんおいしいんだよ!」
少女も笑顔で、仲睦まじい空間が形成されていく。
気づけばそこに壁はなくなっていた。
もはや和昌は相槌を打つのを躊躇ってしまうほど。
少女の目線も真綾にしか向いていない。さながら姉妹の会話を隣で聴いているような感じで。
「それでねそれでね――あっ!」
「ん?」
少女は視界端に入った影へ声を上げる。
何事かと思った真綾は振り返り、和昌も視線を向けた。
「さきっ!」
「おかあさん!」
そこには息を切らし、ぜえぜえと肩を揺らしている女性が立っていた。
親子が再会を果たした瞬間ではあるのだが、和昌は心配の種が芽生える。
(これってもしかして、俺達が誘拐した――みたいな構図に見えてるんじゃないか)
と。
しかし、それはすぐに杞憂となった。
「本当にありがとうございます」
3人の前に立った母親は、事情を説明するまでもなく状況を理解し、深々と頭を下げたのだ。
「いえいえ! 私達はただ、さきちゃんと楽しくお話をしていただけですから」
「私が目を離してしまったせいでこんなことになってしまいましたので、せめてお礼位は言わせてください」
誠心誠意に気持ちを伝えようとしてくる母親を前に、さきが口を開く。
「おかあさん、わたしたのしかったよ! おにいちゃんとおねえちゃんがおはなししてくれたのっ」
顔を上げた母親は、座っていると同じ目線になるよう屈む。
「優しいお兄ちゃんとお姉ちゃんで良かったわね」
「うんっ!」
そのまま和昌と真綾に向かい、謝意を述べる。
「本当にありがとうございました」
「私達も楽しかったので、全然問題ないですよっ」
「そうですね」
真綾はニカッと笑い、和昌は優しく微笑む。
「それじゃあ私達はお先に失礼します。お母さんもお疲れでしょうし、少しでも休んでいってください」
「本当に、いろいろとありがとうございます」
真綾と和昌は立ち上がり、さきへ笑顔で手を振って親子の元から去った。
「和昌くん、付き合ってもらっちゃってごめんね」
「いいよあれぐらい。俺も見過ごせなかったから」
「ありがとう」
肩を並べて歩く2人は「お互い様だね」と目線を交わす。
「でも真綾が居てくれて助かったよ。俺なんて、何を話したらいいかわからないし、どう接したらいいかもわからなかったから」
「小さい子と話すのって難しいよね。私も経験がなかったら、和昌くんと同じ風になってたと思うもん」
「やっぱりわかってたんだ」
「ちょっとごめんだけど、最初は笑いそうになっちゃったけどね」
「ですよねー」
和昌はトホホ……と両肩を落す。
「だけど、真綾の新しい一面を知れたような気がしてよかったよ」
「お? 面倒見がいいお姉さんキャラになった?」
「んー、どっちかっていうと同級生ポジションだけど」
「え~。実際に同い年だから否定しきれないのがなんだか悔しい」
和昌は今の今まで、自ら深い人間関係を築くことはなく、ゲーム実況者としての目標を叶えるべく、その他を蔑ろにしてきた。
しかし今、ほとんど右も左もわからない状況で生活が始まってしまったが、この新しい環境が心に染みてきている。
(いつまでみんなと一緒に居られるかわからないけど……今は、今を楽しむしかないんだよな)
昨日は天乃と一緒の時間を過ごし、少しだけ心の整理ができたもののやはり過ってしまう。
もしも自身の経歴が知られた時、どのような反応をされてしまうのか。
今の楽しい関係性が一瞬にして壊れてしまうのではないか、と。
「じゃあ残り時間を楽しんで行こーっ!」
と、和昌の不安なんてお構いなしに満面の笑みで拳を突き上げる真綾。
(そうだ。どんな結果になったとしても、今は一緒に居てくれるみんなと楽しむんだ)
それがせめてもの償いなんだ、と気持ちを切り替える。
「とりあえず、デザートとか?」
「うひょーっ! 賛成賛成賛成!」
2人は仲よく、今日という日を目一杯楽しんだ。
和昌は意味がないと理解していながらも足元を見たり、袖や襟を直す。
キョロキョロと辺りに視線を移して落ち着いていない様子。
「……」
少し前まで、空き時間は全てアルバイトをしていた。
その後は平日にダンジョンへ入っておいて何を言っているんだ、というツッコミをされるだろうが、どうしてもソワソワしてしまう。
3連休の2日目、本日の予定は真綾とのお出掛け。
「お・ま・た・せ」
その声に振り返ると、そこには真綾の姿が。
「待っちゃった?」
「全然。俺も数分前に着いたところだよ」
真綾は何かを期待するかのように、下ろしている長い黒髪を人差し指でクルクルとしている。
和昌はその意味を理解できないほど鈍感ではない。
しかし残念なのが、それら知識は女性経験が豊富だから知っているとか、アルバイトの心得でもなく――ゲームで手に入れた知識なのである。
「いつもとイメージが違う感じだけど、こっちの方も似合ってると思うよ」
清楚系という言葉が似合う、と思っていて、実際に和昌は真綾に対してそういったイメージを抱いていた。
喋り口調だけなら、誰とでも分け隔てなく話ができるクラスの中心人物みたいな人物。
しかし今は紺色のジャケットにジーンズ、といった、落ち着いたお姉さんが着こなしていそうな服装となっている。
「実はこの日のために、新調したのですっ」
「なるほど?」
和昌は、その言葉の意味をいまいち理解出来なかった。
恋愛的な意味で勘違いしてもいいのか、はたまたそういうタイミングに出くわすことができたのか、という風に思考が巡る。
「それじゃあレッツゴーっ」
と、拳を突き上げる真綾の姿を観て、和昌は『そこら辺はいつも通りなんだね』と心の中で呟いた。
「それじゃあまずはどうしよっか」
「んー、悩む」
そこそこ見慣れているショッピングモールへ来ているわけだが、予定は未定の状況で足を運んでいる。
というのも、前もって2人で来る場所は決めていたものの、真綾の提案で「行き当たりばったりがいい」ということになっていたのだ。
一応、気になって理由を尋ねたものの「なんとなく~」というものだった。
「ん、あれって」
真綾は前方であることに気付いて小走りで向かって行き、和昌も咄嗟に追いかける。
「どうしたの? ここには1人で来たの?」
駆け寄った先には、1人の幼い少女の姿があった。
「ううん、おかあさんといっしょにきたの……うっ、ぐすっ」
目線を下げている真綾を見習い、和昌も背を低くする。
「そっかぁ~。じゃあ、お姉ちゃん達と一緒にお母さんを探そうっ」
「へぇ?」
今にも泣きだしそうになっている少女の頭を優しく撫でる真綾。
「1人で居ると危ないかもしれないからね。お姉ちゃん達とお話しながら歩かない?」
「んー……でも、おかあさんが『しらないひとについていっちゃダメ』っていってたよ?」
「ぐぬぬ。それは確かにその通り……。和昌くん、どうしよう」
和昌は手を差し伸べたらいいのか、それとも気の利いた言葉が必要なのかを1人で悩んでいたところ、助けの手を求められる。
当然そんなタイミングなものだから、言葉が詰まってしまう。
「ん、んー……じゃあせめて、座れるところで話をしてみるとか?」
「ナイスアイディーア! ――じゃあ、お姉ちゃん達が怪しい人達じゃないってわかるまでお話をしよっか」
「それならだいじょうぶ、かな?」
「うんうんっ――あそこのベンチに座ろ~」
2人はゆっくりと立ち上がり、真綾が少女の手を優しく引い行き、3人でベンチに腰を下ろした。
「まずは自己紹介から。お姉ちゃんの名前は、真綾っていうの。名前は難しいと思うから、お姉ちゃんのままで大丈夫だよ」
「うんー、わかった!」
「お、お兄ちゃんの名前は、和昌っていうんだ。よろしくね」
「じゃあ、お兄ちゃん!」
和昌は、真綾とは正反対にぎこちなさすぎる笑顔をみせる。
もはや引きつっているようにしか見えず、真綾にはクスクスッと笑われているが、幸いにも少女には好印象であった。
「わたしのなまえはさき!」
「ありがとうさきちゃん。お母さんは絶対に見つけてくれるから、ここで沢山お話をしようね」
「うんっ」
和昌は、真綾がみせる自然な笑顔に感心する。
それと同じくして、このまま話を続けても問題無さそうではあるが、迷子センターに頼んだ方がいいのではないか――という事を提案をしようとしたが、あることに気が付く。
真綾は、この少女と出会ってから『迷子』という単語を使っていなかった。
しかしそんなことは些細な事で、ただの偶然かもしれない。
だけどもしも少女を不安な気持ちにさせないための配慮だった場合、和昌はその努力を無に帰してしまう。
そう思った和昌は、ズボンの右ポケットからスマホを取り出して真綾にメッセージを送る。
『こんなタイミングでごめん。一応、確認しておきたくて』
それだけ送り、スマホを少女より高く上げて画面をアピールした。
おかげで少女は気にしていない様子で、真綾も気が付いてスマホを確認する。
『どうかしたの?』
『迷子センターに届けてから話をしてもいいんじゃないかな?』
『それだとこの子が泣きだしちゃうと思って』
『いろいろとわかった。このまま居よう』
連絡を取り合っている間、少女は自身のポケットから取り出した飴の袋で遊んでいた。
そして確認もとれ、和昌も気持ちを切り替えて話に入ろうとする。
「さきちゃんは飴が好きなのかな?」
「うんっ! いちごとかりんごとか!」
「お兄ちゃんも、梅味の飴が好きなんだ。すっぱじょっぱくて」
「……うめ?」
少女は、和昌が唐突にそんなことを言い始めるものだから、キョトンとした表情で首を傾ける。
「お姉ちゃんは、葡萄とか桃の飴が好きだよ~」
「私もぶどうともも、すきっ」
(くっ……小さい女の子と話を合わせるのって難し過ぎだろ……)
和昌は真綾と少女の会話を耳に、自分の不甲斐なさを噛み締める。
結果、自分から話題振るのを辞めて相槌に徹することを決めた。
「さきちゃんの好きな食べ物って何かな?」
「うーんとねぇ~、おかあさんのハンバーグがすき!」
「いいね~。お姉ちゃんもハンバーグ作れるけど、きっと、さきちゃんのお母さんには負けちゃうだろうな~」
「うんっ! おかあさんのハンバーグはいちばんおいしいんだよ!」
少女も笑顔で、仲睦まじい空間が形成されていく。
気づけばそこに壁はなくなっていた。
もはや和昌は相槌を打つのを躊躇ってしまうほど。
少女の目線も真綾にしか向いていない。さながら姉妹の会話を隣で聴いているような感じで。
「それでねそれでね――あっ!」
「ん?」
少女は視界端に入った影へ声を上げる。
何事かと思った真綾は振り返り、和昌も視線を向けた。
「さきっ!」
「おかあさん!」
そこには息を切らし、ぜえぜえと肩を揺らしている女性が立っていた。
親子が再会を果たした瞬間ではあるのだが、和昌は心配の種が芽生える。
(これってもしかして、俺達が誘拐した――みたいな構図に見えてるんじゃないか)
と。
しかし、それはすぐに杞憂となった。
「本当にありがとうございます」
3人の前に立った母親は、事情を説明するまでもなく状況を理解し、深々と頭を下げたのだ。
「いえいえ! 私達はただ、さきちゃんと楽しくお話をしていただけですから」
「私が目を離してしまったせいでこんなことになってしまいましたので、せめてお礼位は言わせてください」
誠心誠意に気持ちを伝えようとしてくる母親を前に、さきが口を開く。
「おかあさん、わたしたのしかったよ! おにいちゃんとおねえちゃんがおはなししてくれたのっ」
顔を上げた母親は、座っていると同じ目線になるよう屈む。
「優しいお兄ちゃんとお姉ちゃんで良かったわね」
「うんっ!」
そのまま和昌と真綾に向かい、謝意を述べる。
「本当にありがとうございました」
「私達も楽しかったので、全然問題ないですよっ」
「そうですね」
真綾はニカッと笑い、和昌は優しく微笑む。
「それじゃあ私達はお先に失礼します。お母さんもお疲れでしょうし、少しでも休んでいってください」
「本当に、いろいろとありがとうございます」
真綾と和昌は立ち上がり、さきへ笑顔で手を振って親子の元から去った。
「和昌くん、付き合ってもらっちゃってごめんね」
「いいよあれぐらい。俺も見過ごせなかったから」
「ありがとう」
肩を並べて歩く2人は「お互い様だね」と目線を交わす。
「でも真綾が居てくれて助かったよ。俺なんて、何を話したらいいかわからないし、どう接したらいいかもわからなかったから」
「小さい子と話すのって難しいよね。私も経験がなかったら、和昌くんと同じ風になってたと思うもん」
「やっぱりわかってたんだ」
「ちょっとごめんだけど、最初は笑いそうになっちゃったけどね」
「ですよねー」
和昌はトホホ……と両肩を落す。
「だけど、真綾の新しい一面を知れたような気がしてよかったよ」
「お? 面倒見がいいお姉さんキャラになった?」
「んー、どっちかっていうと同級生ポジションだけど」
「え~。実際に同い年だから否定しきれないのがなんだか悔しい」
和昌は今の今まで、自ら深い人間関係を築くことはなく、ゲーム実況者としての目標を叶えるべく、その他を蔑ろにしてきた。
しかし今、ほとんど右も左もわからない状況で生活が始まってしまったが、この新しい環境が心に染みてきている。
(いつまでみんなと一緒に居られるかわからないけど……今は、今を楽しむしかないんだよな)
昨日は天乃と一緒の時間を過ごし、少しだけ心の整理ができたもののやはり過ってしまう。
もしも自身の経歴が知られた時、どのような反応をされてしまうのか。
今の楽しい関係性が一瞬にして壊れてしまうのではないか、と。
「じゃあ残り時間を楽しんで行こーっ!」
と、和昌の不安なんてお構いなしに満面の笑みで拳を突き上げる真綾。
(そうだ。どんな結果になったとしても、今は一緒に居てくれるみんなと楽しむんだ)
それがせめてもの償いなんだ、と気持ちを切り替える。
「とりあえず、デザートとか?」
「うひょーっ! 賛成賛成賛成!」
2人は仲よく、今日という日を目一杯楽しんだ。
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