【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

文字の大きさ
23 / 66
第四章

第23話『三連休最後の日の過ごし方』

しおりを挟む
 いよいよ、3連休最終日。

 仲の良い友人と過ごす休日、というのを今までほとんど経験してこなかったということもあり、嬉しい疲労感を感じていた。

 そんな和昌は今、自室のベッドに寝転がり、布団の温もりに包まれながらぼんやりと天井を眺めている。

「いろいろあったなぁ……」

 身に覚えのない大炎上を経験し、夢でもあり人生の目標でもあったゲーム実況者を引退することになった。
 そこからというものの、もはや転職というかたちで探索者となったのが記憶に新しい。

 ここまでたったの8日。

「まるでゲームの主人公にでもなった気分だ」

 偶然にも珍しい装備を手に入れ、名前を変えて配信者として活動を開始。しかも今は美少女揃いのパーティで活動している。

 どう考えたって現実的ではない。
 ここ数日は、まるで夢の中で物語が描かれていたと錯覚してしまうほどであった。

「この装備の実力ってどんな感じなんだろうな」

 体を横に倒し、ベッドに立て掛けてある剣――【叶化の剣エテレイン・ソード】と、棚に掛けてある【朱護の盾ヴァーミリオン・プロテクトシールド】へ視線を移す。

「もしもこの装備がなかったら今頃どうなっていたんだろうな……」

 暗中模索な人生を歩んでいた未来を想像する。それと同時に、どちらがなかった状況で彼女達の前に駆け付けていた絶望的未来な最悪も脳裏に過る。
 探索者として活動するということがどういうことなのか。ダンジョンへ入っている限り、常に死と隣り合わせという現実が突きつけられてしまう。

 そんなことばかり考えていると未来に不安しか抱けないため、ベッドから起き上がり家事に取り掛かる。




「とりあえず、こんなもんか」

 ある程度を終え、パソコン前に腰を下ろす。
 ぐーっと背伸びをし、モニターとパソコンの電源を入れた。

 ここ数日は、帰宅しても疲労感から休憩を主にしていたから、ゲームにほとんど触れていなかった。だからこそ、天乃の前でパソコンを操作することに不安を覚えていたというのもあったのだ。
 じゃあ折角の独り時間なのだからゲームをやろう――という気分でもなく、古巣でもある動画を観てみようと操作する。

 新しいアカウントだから、チャンネル登録や履歴などがリセットされており全て新鮮味が出ていた。
 しかしそんな中、とあるゲーム実況チャンネルが『おすすめ欄』に表示されている。

「……なんだか、懐かしいな」

 たった1週間程度ぐらいしか業界から離れていないというのに、懐かしさを感じてしまう。
 しかもその偶然見つけたチャンネルが、互いに切磋琢磨していたような存在だったから尚のこと。

「あれ……?」

 元々、自分もその世界に居たからこそ視界に入ってしまうことがある。それは、再生数。
 和昌は大体の平均再生数は、毎回1万再生ほどであった。伸びる時は5万再生ぐらい。
 ともなれば、肩を並べているような人達も大体は同じだった。だが、今表示されている数字は500程度。そのままチャンネルへ飛んで行っても、それは同じだった。

「どうしたんだろう」

 違和感を確かめるべく、自分より有名だった実況者のチャンネルを観にいったら、そこまで変わっていない。
 ではなぜ。と、思っても答えは出ず。

 もしかしたらボイスロイドを使用したゲーム実況というジャンルが衰退してしまったのかもしれない、という懸念は外れたものの、だからといって原因がわかったわけでもない。

「……」

 再生数のところ、チャンネル登録者数を確認してみると……知り合いであった人達は、和昌と切磋琢磨をしていたことからチャンネル登録者数に大差があったわけではない。大体、1万人~2万人程度。しかし今表示されているのは、1万人を切っていたのだ。

 さすがの和昌もなにかを察するものがあり、文字を打ち始める……が、すぐに手が止まった。

「今の俺に、何ができるっていうんだ」

 身に覚えがなかったとしても、アカウントが削除されてしまうほどの大炎上を経験した。
 そんな人間が、たったの数日しか経っていなかったとして、どうして声をかけられるのか。チャットだけだったにしても知り合いだった、だから声をかけた、なんていうのは相手からしたらタダの迷惑行為でしかない。

「……未練たらたらだな」

 どれだけ気になったとしても、これ以上は関与してはいけない。と、判断した和昌は、本当に心の整理がつくまでこういった動画を避けることを決める。

 一旦ブラウザを閉じようとした時だった。

「ん」

 パソコンデスク上に置いてあるスマホに着信が。

「どうかしたの?」
「いやさぁ、今って暇してたりしない?」
「ちょうど暇ではある」
「よしきた」

 和昌は一切の迷いがなく応答した相手は芹那だった。

「なんだか、いろいろと懐かしくなってね。また少し前みたいに話ができたらって、さ」
「……なるほどな。それは俺も思ってたところ。んじゃあVC繋ぐ?」
「奇遇ね。私もパソコンの前」
「じゃあかけるね」

 和昌は通話をきり、パソコン側でアプリケーションを操作して通話をかける。

「あーあー、大丈夫そう?」
「大丈夫。私の方も音量とか大丈夫?」
「問題なし。じゃあ何する? ゲームとか?」
「それはそれであり。でもやっぱり、私達の最初って言ったら――アニメとかの話でしょ」
「あー、たしかにな。なるほど。俺達らしいな」

 ブラウザで新規タブを開き、元々開いていたタブを閉じた。

 それからというものの、互いに時間を忘れて好きなものをお勧めし合い、あっという間に時間が経過。
 こうして三連休は無事に終え、それぞれのことを再確認すると同時に新しい一面を知ることができた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...