28 / 66
第四章
第28話『多機能な盾』
しおりを挟む
「まずは正面からの圧力テストをします」
窓から覗き見た時に、ある程度把握はできていたものの部屋というにはあまりにも無機質な灰色の壁になっていて、演習場という言葉がお似合いの場所。長方形間隔で線が入っている壁は、説明されていた通り可動式となっている。
和昌は左手を前へ差し出して、青白く光る半透明のシールドを展開。
正面の壁が垂直に伸びてくる。
「このままゆっくりと押しておきますので、耐えてみてください」
言われるがままに待機していると、壁とシールドが接触する。
第1に、壁は消滅しない。
第2に、壁が跳ね返らない。
第3に、体が後退しない。
「なるほど。その盾には衝撃吸収もしくは衝撃分散の能力があると思われます」
「そういうことだったのか」
あの時、穴から落下からの着地した瞬間を思い出した。
「押されている感覚はありますか?」
「あ、ちょっとだけあります」
「なるほど、わかりました。ここまでの力で押して、そんな感じなのですね」
「ちなみに、例えるならどれぐらいなんですか?」
「走行中のトラックと正面衝突しているぐらいですかね」
「えぇ!?」
驚きのあまり声を大にしてしまい、部屋中に反響した。
「それでは、壁を2枚にしてやっていきます。もう片方の手もご使用ください」
後方から壁がゆっくりと近づいてきた音が鳴っている。
「もしかしたら体への負担が大きいかもしれませんので、無理はせずに中断してください」
「わかりました」
前後に手を出し、壁に挟み込まれるようなかたちになった。
1枚の壁の大きさは、体半分ぐらいの大きさだが見た目以上の耐久力があり、それによって込められる力も上がっている。
「現在、両手でトラックを止めているような状況ですがいかがですか?」
「……あまり、問題ありません」
「そうですか。となると、もしかしたら衝撃分散と衝撃吸収の両方が備わっていると結論付けられますね」
実験をしている研究員とやりとりをしているのかと錯覚してしまうほどに、受付嬢は物事を淡々と述べていく。
「基本的なテストはこんな感じですが、使用していてお気づきになられた能力はありませんでしたか?」
「そうですね……両手を前に出して攻撃を防ごうとすると、こういう感じになります」
「ほほお」
片手のシールドでさえ、頭から足の先まで攻撃を防げるほどの大きさ。だがこうして両手を合わせると、前面に半球体のシールドになる。
こうしてシールとを展開していると、正面だけではなく、両体側も攻撃を防げるように。
「それをこうして――みると、こんな感じになります」
両手を頭上に持っていくと、シールドは更に拡大化。地面から高さ2メートルは超える半円を護ることができる。
「これでは、ほぼ無敵状態と変わらないですね」
「で、ですね」
和昌は、自分の事でありながらもどこか他人事にしか捉えられない。
「ここまで来ると、逆に弱点を探りたくなりますね。少々怖いかもしれませんが、追加でやってみませんか?」
「できれば怖くない方法でお願いしたいのですが、例えばどんなことがあるのですか?」
「炎とか水とか氷とか、岩とか投擲物とかとかですね」
「ほどほどにしてもらえるのなら、お願いしたいです」
「ではやりましょう。もしもの時、そう。強力なモンスターと対峙した時や、避けなければならないですが対人戦に備えて」
「……そうですね。やりましょう」
強いモンスターとの対峙――この言葉を聞いて、サルイとの戦闘を思い出す。
もしもこれら装備がなかったとしたら、和昌は既に絶命していた。運良くも1体目を討伐できたとしても、真綾と天乃を救出することや、そこから地上への帰還を果たすことはできなかった。
しかも、自身がレア装備を所持していうだけで視線を集めることもある。
そして、もしかしたらモンスターだけではなく人間と戦うことになるかもしれない。だとしたら、今の内にいろいろと装備のことを知っておいた方が得策だ。
「じゃあそのままで、始めましょう」
「お願いします」
壁は元の位置へ戻っていた。
次はどうなるのかと思っていると、壁がパカッと開いて噴出口のようなものが複数個出現。
「――っ」
想像以上の速度で、石や氷などが飛んできたものだから咄嗟に目を閉じてしまう。
「なるほど、こうなりますか」
シールドにぶつかり、それぞれが地面にゴトゴトと落ちていく。
嵐のような音がすぐに止み、目を開けると――。
「こ、こんな感じになるのか」
辺りには、弾丸の雨でも降り注いだのかと錯覚してしまうほどの物が転がり落ちていた。
「寒かったり、熱かったりとかはありましたか?」
「あんまりなかったと思います」
「なるほど、それはそれで面白いですね。その感じから察するに、呼吸は普通にできていそうですから、全てを完全に遮断しているというわけではなさそうですね。どちらかというと、浄化……に近い感じでしょうか」
「な、なるほど?」
和昌は、恐怖心から目を閉じていただけだから、受付嬢が解析して伝達してくれている情報を理解できていない。
(何がなんだかわからないけど、これだけの攻撃を防いだってことなんだよな……この手袋、ヤバすぎんだろ)
しかし同時に、こうも思う。
(この万能すぎる装備を、おいそれと人前で披露してしまったら大変なことになるに違いない。しかも、その情報が強盗みたいな人に知られでもしたら……)
力に頼りすぎると、自身に災いが降りかかってきてしまう。そうなってしまえば、みんなにも危害が加わってしまう、と。
「もうここまで来たら、この施設では計測不可能です。ですので、一旦掃除をしますので退出をお願いします」
「わかりました」
「数分で終わりますので、次は剣のテストを始めましょう」
和昌は受付嬢から案内された通りに、入り口として使用した扉の方へ歩き始めた。
窓から覗き見た時に、ある程度把握はできていたものの部屋というにはあまりにも無機質な灰色の壁になっていて、演習場という言葉がお似合いの場所。長方形間隔で線が入っている壁は、説明されていた通り可動式となっている。
和昌は左手を前へ差し出して、青白く光る半透明のシールドを展開。
正面の壁が垂直に伸びてくる。
「このままゆっくりと押しておきますので、耐えてみてください」
言われるがままに待機していると、壁とシールドが接触する。
第1に、壁は消滅しない。
第2に、壁が跳ね返らない。
第3に、体が後退しない。
「なるほど。その盾には衝撃吸収もしくは衝撃分散の能力があると思われます」
「そういうことだったのか」
あの時、穴から落下からの着地した瞬間を思い出した。
「押されている感覚はありますか?」
「あ、ちょっとだけあります」
「なるほど、わかりました。ここまでの力で押して、そんな感じなのですね」
「ちなみに、例えるならどれぐらいなんですか?」
「走行中のトラックと正面衝突しているぐらいですかね」
「えぇ!?」
驚きのあまり声を大にしてしまい、部屋中に反響した。
「それでは、壁を2枚にしてやっていきます。もう片方の手もご使用ください」
後方から壁がゆっくりと近づいてきた音が鳴っている。
「もしかしたら体への負担が大きいかもしれませんので、無理はせずに中断してください」
「わかりました」
前後に手を出し、壁に挟み込まれるようなかたちになった。
1枚の壁の大きさは、体半分ぐらいの大きさだが見た目以上の耐久力があり、それによって込められる力も上がっている。
「現在、両手でトラックを止めているような状況ですがいかがですか?」
「……あまり、問題ありません」
「そうですか。となると、もしかしたら衝撃分散と衝撃吸収の両方が備わっていると結論付けられますね」
実験をしている研究員とやりとりをしているのかと錯覚してしまうほどに、受付嬢は物事を淡々と述べていく。
「基本的なテストはこんな感じですが、使用していてお気づきになられた能力はありませんでしたか?」
「そうですね……両手を前に出して攻撃を防ごうとすると、こういう感じになります」
「ほほお」
片手のシールドでさえ、頭から足の先まで攻撃を防げるほどの大きさ。だがこうして両手を合わせると、前面に半球体のシールドになる。
こうしてシールとを展開していると、正面だけではなく、両体側も攻撃を防げるように。
「それをこうして――みると、こんな感じになります」
両手を頭上に持っていくと、シールドは更に拡大化。地面から高さ2メートルは超える半円を護ることができる。
「これでは、ほぼ無敵状態と変わらないですね」
「で、ですね」
和昌は、自分の事でありながらもどこか他人事にしか捉えられない。
「ここまで来ると、逆に弱点を探りたくなりますね。少々怖いかもしれませんが、追加でやってみませんか?」
「できれば怖くない方法でお願いしたいのですが、例えばどんなことがあるのですか?」
「炎とか水とか氷とか、岩とか投擲物とかとかですね」
「ほどほどにしてもらえるのなら、お願いしたいです」
「ではやりましょう。もしもの時、そう。強力なモンスターと対峙した時や、避けなければならないですが対人戦に備えて」
「……そうですね。やりましょう」
強いモンスターとの対峙――この言葉を聞いて、サルイとの戦闘を思い出す。
もしもこれら装備がなかったとしたら、和昌は既に絶命していた。運良くも1体目を討伐できたとしても、真綾と天乃を救出することや、そこから地上への帰還を果たすことはできなかった。
しかも、自身がレア装備を所持していうだけで視線を集めることもある。
そして、もしかしたらモンスターだけではなく人間と戦うことになるかもしれない。だとしたら、今の内にいろいろと装備のことを知っておいた方が得策だ。
「じゃあそのままで、始めましょう」
「お願いします」
壁は元の位置へ戻っていた。
次はどうなるのかと思っていると、壁がパカッと開いて噴出口のようなものが複数個出現。
「――っ」
想像以上の速度で、石や氷などが飛んできたものだから咄嗟に目を閉じてしまう。
「なるほど、こうなりますか」
シールドにぶつかり、それぞれが地面にゴトゴトと落ちていく。
嵐のような音がすぐに止み、目を開けると――。
「こ、こんな感じになるのか」
辺りには、弾丸の雨でも降り注いだのかと錯覚してしまうほどの物が転がり落ちていた。
「寒かったり、熱かったりとかはありましたか?」
「あんまりなかったと思います」
「なるほど、それはそれで面白いですね。その感じから察するに、呼吸は普通にできていそうですから、全てを完全に遮断しているというわけではなさそうですね。どちらかというと、浄化……に近い感じでしょうか」
「な、なるほど?」
和昌は、恐怖心から目を閉じていただけだから、受付嬢が解析して伝達してくれている情報を理解できていない。
(何がなんだかわからないけど、これだけの攻撃を防いだってことなんだよな……この手袋、ヤバすぎんだろ)
しかし同時に、こうも思う。
(この万能すぎる装備を、おいそれと人前で披露してしまったら大変なことになるに違いない。しかも、その情報が強盗みたいな人に知られでもしたら……)
力に頼りすぎると、自身に災いが降りかかってきてしまう。そうなってしまえば、みんなにも危害が加わってしまう、と。
「もうここまで来たら、この施設では計測不可能です。ですので、一旦掃除をしますので退出をお願いします」
「わかりました」
「数分で終わりますので、次は剣のテストを始めましょう」
和昌は受付嬢から案内された通りに、入り口として使用した扉の方へ歩き始めた。
20
あなたにおすすめの小説
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる