【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

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第四章

第28話『多機能な盾』

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「まずは正面からの圧力テストをします」

 窓から覗き見た時に、ある程度把握はできていたものの部屋というにはあまりにも無機質な灰色の壁になっていて、演習場という言葉がお似合いの場所。長方形間隔で線が入っている壁は、説明されていた通り可動式となっている。

 和昌は左手を前へ差し出して、青白く光る半透明のシールドを展開。

 正面の壁が垂直に伸びてくる。

「このままゆっくりと押しておきますので、耐えてみてください」

 言われるがままに待機していると、壁とシールドが接触する。

 第1に、壁は消滅しない。
 第2に、壁が跳ね返らない。
 第3に、体が後退しない。

「なるほど。その盾には衝撃吸収もしくは衝撃分散の能力があると思われます」
「そういうことだったのか」

 あの時、穴から落下からの着地した瞬間を思い出した。

「押されている感覚はありますか?」
「あ、ちょっとだけあります」
「なるほど、わかりました。ここまでの力で押して、そんな感じなのですね」
「ちなみに、例えるならどれぐらいなんですか?」
「走行中のトラックと正面衝突しているぐらいですかね」
「えぇ!?」

 驚きのあまり声を大にしてしまい、部屋中に反響した。

「それでは、壁を2枚にしてやっていきます。もう片方の手もご使用ください」

 後方から壁がゆっくりと近づいてきた音が鳴っている。

「もしかしたら体への負担が大きいかもしれませんので、無理はせずに中断してください」
「わかりました」

 前後に手を出し、壁に挟み込まれるようなかたちになった。
 1枚の壁の大きさは、体半分ぐらいの大きさだが見た目以上の耐久力があり、それによって込められる力も上がっている。

「現在、両手でトラックを止めているような状況ですがいかがですか?」
「……あまり、問題ありません」
「そうですか。となると、もしかしたら衝撃分散と衝撃吸収の両方が備わっていると結論付けられますね」

 実験をしている研究員とやりとりをしているのかと錯覚してしまうほどに、受付嬢は物事を淡々と述べていく。

「基本的なテストはこんな感じですが、使用していてお気づきになられた能力はありませんでしたか?」
「そうですね……両手を前に出して攻撃を防ごうとすると、こういう感じになります」
「ほほお」

 片手のシールドでさえ、頭から足の先まで攻撃を防げるほどの大きさ。だがこうして両手を合わせると、前面に半球体のシールドになる。
 こうしてシールとを展開していると、正面だけではなく、両体側も攻撃を防げるように。

「それをこうして――みると、こんな感じになります」

 両手を頭上に持っていくと、シールドは更に拡大化。地面から高さ2メートルは超える半円を護ることができる。

「これでは、ほぼ無敵状態と変わらないですね」
「で、ですね」

 和昌は、自分の事でありながらもどこか他人事にしか捉えられない。

「ここまで来ると、逆に弱点を探りたくなりますね。少々怖いかもしれませんが、追加でやってみませんか?」
「できれば怖くない方法でお願いしたいのですが、例えばどんなことがあるのですか?」
「炎とか水とか氷とか、岩とか投擲物とかとかですね」
「ほどほどにしてもらえるのなら、お願いしたいです」
「ではやりましょう。もしもの時、そう。強力なモンスターと対峙した時や、避けなければならないですが対人戦に備えて」
「……そうですね。やりましょう」

 強いモンスターとの対峙――この言葉を聞いて、サルイとの戦闘を思い出す。
 もしもこれら装備がなかったとしたら、和昌は既に絶命していた。運良くも1体目を討伐できたとしても、真綾と天乃を救出することや、そこから地上への帰還を果たすことはできなかった。

 しかも、自身がレア装備を所持していうだけで視線を集めることもある。
 そして、もしかしたらモンスターだけではなく人間と戦うことになるかもしれない。だとしたら、今の内にいろいろと装備のことを知っておいた方が得策だ。

「じゃあそのままで、始めましょう」
「お願いします」

 壁は元の位置へ戻っていた。
 次はどうなるのかと思っていると、壁がパカッと開いて噴出口のようなものが複数個出現。

「――っ」

 想像以上の速度で、石や氷などが飛んできたものだから咄嗟に目を閉じてしまう。

「なるほど、こうなりますか」

 シールドにぶつかり、それぞれが地面にゴトゴトと落ちていく。
 嵐のような音がすぐに止み、目を開けると――。

「こ、こんな感じになるのか」

 辺りには、弾丸の雨でも降り注いだのかと錯覚してしまうほどの物が転がり落ちていた。

「寒かったり、熱かったりとかはありましたか?」
「あんまりなかったと思います」
「なるほど、それはそれで面白いですね。その感じから察するに、呼吸は普通にできていそうですから、全てを完全に遮断しているというわけではなさそうですね。どちらかというと、浄化……に近い感じでしょうか」
「な、なるほど?」

 和昌は、恐怖心から目を閉じていただけだから、受付嬢が解析して伝達してくれている情報を理解できていない。

(何がなんだかわからないけど、これだけの攻撃を防いだってことなんだよな……この手袋、ヤバすぎんだろ)

 しかし同時に、こうも思う。

(この万能すぎる装備を、おいそれと人前で披露してしまったら大変なことになるに違いない。しかも、その情報が強盗みたいな人に知られでもしたら……)

 力に頼りすぎると、自身に災いが降りかかってきてしまう。そうなってしまえば、みんなにも危害が加わってしまう、と。

「もうここまで来たら、この施設では計測不可能です。ですので、一旦掃除をしますので退出をお願いします」
「わかりました」
「数分で終わりますので、次は剣のテストを始めましょう」

 和昌は受付嬢から案内された通りに、入り口として使用した扉の方へ歩き始めた。
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