【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

文字の大きさ
30 / 66
第四章

第30話『能力を知れたことは、かなりの収穫だ』

しおりを挟む
「それにしてもさっきのすっっっっごかったね」

 と、鼻息荒く前のめりに話をする真綾。

「値段のことを聴いた時はさすがに驚いたけどね」
「たしかに!」

 時刻は12時30分。
 お昼時のファミレス、店内には様々な客が食事を楽しみながら賑やかな空間となっている。

「もっと早めに伝えておけばよかったとは思ってたんだけど、遅れてごめん」
「いやいや、自分が和昌くんの立場だったら同じ風にしてたと思うもん。全然気にしないで」
「そうね。あそこまで高額になると、どんな反応をされちゃうかある程度は予想できるし」
「俺も最初、この装備の鑑定結果を伝えられてた時は夢なんじゃないかって思った」
「だよね~」


「だけど気になっていることはあるんだよね。どうして、芹那だけに伝えてあったのかな?」
「そこは私も気になってる」

 一瞬、和昌の心臓がキュッと握られた気分になり、表情が引きつる。

「芹那とは前からの知り合いだったから、話をしている流れで言っちゃったんだ」
「まあそうね。その時は、私も2人と全く同じ反応をしたものよ」
「そういう感じ」

 真綾と天乃は、「ふぅーん」と口を揃えてジト目で視線を向けてきている。

「本当だって。芹那とは学校が一緒で、中学1年の時に一緒のクラスで意気投合したのがきっかけなんだ」
「お、同じ学校……」
「それを言われると疑いようがないね」
「ぐぬぬ」

 天乃は鼻から息を抜き、真綾は理由が納得できても悔しがっている。

「と、とりあえずご飯を食べ始めよう」

 既に注文した食べ物は運び込まれていた。

 それぞれは手を合わせ、「いただきます」。

「いろいろ凄かったけど、装備についていろいろと知れたのは大きな収穫だったと思う。芹那、提案してくれてありがとう」
「いいよこれぐらい。でもあの感じ、探索者連盟が管理している割には不親切よね。レア装備を偶然にも手に入れたといっても、カズは初心者なのに」
「そう言われてみればそうだけど、実際のところは厄介払いって感じだろ。あっち側からすれば、こんな装備を持ち歩いている人間とはできるだけ関わりたくないだろうし」
「総合的にはそうかもしれないけど、初心者だからこそ、もっと危険な状況に陥るってことだってあるわけじゃない」
「自分で言うのもなんだけど、問題に巻き込まれる確率は高いだろうな。初心者だからこそ」
「でしょ」

 芹那が話す内容は、非の打ち所がない。

 レア装備以外は装備を持ち歩けないからこそ、それを知っている人間は狙いを定めて近づいてくる可能性だってある。口車に乗せられて装備を奪われたり、目を離している隙に盗まれる可能性だったりも。

 初めて出会った人間が、真綾と天乃のような純粋な探索者であったからよかったものの……こういった出会いでさえ仕組まれてしまう事だってあり得たわけだ。
 2人もほぼ初心者だったからというのもあるが、窃盗するためだけに探索者になるという輩も居ないわけじゃない。

「探索者を護り、管理するのが探索者連盟だっていうのに。詳しいことはわからないけど、逆に、レア装備を手に入れた探索者は軒並みああいった対応をされるのかもしれないけど」
「もしそれが本当だったら、悲しい話ではあるけどな」

 デミグラスソースがかけられているオムライスを頬張りつつ、和昌はふと思う。

「ゲームとかって話になるけど、こういった珍しい装備を手に入れた人物って、特殊な依頼を受ける宿命にあるってのがあるよな」
「そういった物語は珍しい話じゃない。現実でもそういったことがあるかもだけど、まさか新米探索者に危険な依頼は回されないんじゃない?」
「アニメとか映画とかでもそういう話はあるよね。装備は強くても、相手もそれ相応に強いけど」
「相手にする装備によって違うし、それが素人じゃない可能性が高いって話だからな。もしも俺が対応しなくちゃならなくなった場合、怖すぎて逃げ出す自信はある」
「あそこまで凄い装備を所有している人間のセリフではないわね」

 ゲームなどの話題に移ったものだから、天乃も話題に入ってくる。
 しかし悲しいことに真綾だけは蚊帳の苑で、チャーハンを運び終えたスプーンを加えて視線だけを送り続けていた。

「で、でもさ。さっき、初めてしっかりと見てたけど剣と盾の能力が凄かったよね」

 と、会話の中に入ろうと模索した真綾は、なんとか話題を戻そうと試みる。

「本当に、凄すぎる。盾の機能性は多種多様すぎるし、強固すぎる。剣の方は、もうなんというか言葉がみつからない」
「うんうんっ。盾は使い方次第ではもっと可能性がありそうだったよね」
「剣の方は、ぶっちゃけヤバすぎるって話だけど」
「使っていた俺でも、あんまり理解はできてないからな」

 何を呑気な事を言っているんだ、と部外者に聞かれたらそう思われるかもしれないが、あの光景を目の当たりにした当事者であれば、和昌が思っていることを理解できている。
 理屈でどうこうって、簡単に説明できる内容ではなかった。

「受付嬢の人に避難する様に言われたけど、あの瞬間じゃ逃げても間に合わなかったよね」
「あの瞬間、『あ、部屋が壊れる』ってことしか考えられなかったね」
「私も同じことを思ってた。『あー、これ終わった』って」
「本当に申し訳ない。俺も、無我夢中で制御できるかもわからなかったんだ」

 あの瞬間の感情を、和昌は思い出す。
 今でも繊細に憶えている、目の前から突進してくる恐怖。そして、高鳴る鼓動。
 いくら相手が中ボス、というそこまで珍しくない種類のモンスターだったとしても、記憶として残っていた【サルイ】は和昌にとって強敵であった。

 恐怖の象徴との対峙、そして願いと渇望。

 様々な感情が渦巻き、ただ勝利を欲していた。

「でもさ、物体というか作り物とかには影響が出ないってわかったのはかなりの収穫なんじゃないかな。もしも地上のどこかであの力をぶっ放したとしても、建物を吹き飛ばさないで済むんだし」

 鼓動が早まり始めているのを感じ、それを治めるように和昌はコップに注がれている水を一気に飲み干す。

「そんな怖いことを言うのはやめてくれよ。てか、俺が地上で剣の能力をぶっ放すってどういう状況だよ」
「まあそうね。もしもそんなことがあったら、それこそ勘弁してほしい状況よね」
「そろそろ込み始めて来ているから、早めに食べちゃお~」
「いろいろと話し過ぎちゃったね」
「だな」

 一行は食べることに専念し、店を後にした――。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

処理中です...