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第三章
第18話『普通ではありえないクエスト』
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探索者連盟支部へ辿り着いた一行は、いつもと違う雰囲気を感じ取っていた。
「どうしたんだろ」
「なんだかちょっと騒がしいような……?」
真綾と天乃が疑問を口に出すと、和昌と芹那も辺りを一瞥する。
「やっぱり気のせいってわけじゃないよな」
「ね。――あっちの方に人だかりができているから、行ってみる?」
「受付嬢のところへ向かう途中だし、行くか」
進行方向右側に、人だからを目指して足を進める一行。
つい先ほど、一般人を目の当たりにしたからこそ腰などに携えている武器に目線がいってしまう和昌だったが――漏れなく全員が所持していることから、探索者だということを把握できた。
「ん、あれって掲示板じゃない?」
到着して早々、そこに居る全員が同じ方向を向いていることを疑問に抱いた芹那は、ぴょんぴょんとジャンプして状況を確認した。
「おいおい、こんなクエストをやってこいって言うのか」
「ため息しか出ねえよな」
「まあでも、報酬がしっかりと出るんだったらやらねえともったいねえからな」
「あーあー、てかこれさ。クエストやらねえと地上に戻れねえし、先にも進めねえんじゃねえか」
そんな声がどこから聞こえてきた。
「……ここをかき分けて掲示板のところに行くよりも、受付嬢のところで情報を確認した方が速そうだな」
そう判断した和昌は、すぐに実行する。
幸いにも、ほとんどの探索者が掲示板の方に集まっているため、足を止めることなく向かうことができた。
「あの、通りがかったときに聞いたのですが。何かあったのですか?」
「そうなんですよー。私たちもつい先ほど情報を伝達されましてね。どうやら、ダンジョン内でモンスターが多数確認できるようです」
この街へ辿り着いた初め、担当してくれた【初心者窓口】の受付嬢。
地上の――オペレーターとして和昌へ情報を流している、あの表情がほとんどわからない受付嬢とは天と地の差がある。
能力的な意味ではなく、コミュニケーションの取りやすさ、という意味で。
「それって、別に珍しいことでもないはずでは?」
「私たちも耳にしたときは全く同じことを思いました。ですが、どうやらそうではないようです」
いろいろなことがあって、和昌は完全に忘れていた。
(もしかして、これも受付嬢が言っていたダンジョン災害の一種というわけなのか……? でも、それって揺れが伴うって話だったような?)
受付嬢との会話を思い出すも、やり取りが抜け落ちていることもない――では。
(いや待てよ。つい最近、揺れを感じたことがあった。その時にはダンジョン災害の影響はなかった。じゃあ、揺れと災害は時間差があるということなのか)
しかし同時にこうも思う。
(待てよ。こういう話が組織内で伝達されているということは、俺にも連絡が来てもおかしくはない。いや、来るはずだ。まさか連絡のし忘れ、なんてことはないよな? ああでも、今回は他の【モータル・インデックス】に載っている人も居るって話だったな。ということは後回しにされている可能性が……まあ、俺みたいな末端が最後ってのは仕方がないか)
と自己完結した和昌は、「だからといって、今このタイミングでは連絡をしてこないでくれ」と切に願った。
「あの、掲示板の内容を確認できていないのですが。話を小耳に挟んだのですが、『大量のモンスターを討伐しなければならない』『討伐しないと後にも先にも移動ができない』という感じに」
「そうなんです。地上からの連絡が入った時、私も驚いて大きな声が出てしまいましたもん。なんと――1パーティ辺り、100体はモンスターを討伐しなくちゃいけないということでした」
「100体!?」
「そうなんです。だから、この街に居るパーティ数と討伐数を数えると――ざっと、1500体は討伐しなくちゃいけない計算になります」
「わーお……」
和昌は、あまりにも現実的ではない数字を耳にして言葉を失ってしまう。
当然、若干後方に待機している3人も同じく。
「それって、俺らみたいな駆け出しパーティも対象になるんですか?」
「あー、そこら辺は安心してください。皆様のようなパーティは、目標討伐数が半分になりますので」
「よっかったー……ん? それでも半分なんですか?」
「申し訳ございません。今回は特例も特例ですので、目標達成は低く見積もっても、結局のところはそれより多く討伐して欲しいというのが本音です」
「な、なるほど。ですよね」
しかしこんな状況でも、パーティとして立てた目標を達成するためには情報を仕入れ、進まなければならない。
「今って、お時間的に大丈夫ですか?」
「はい大丈夫ですよ。どうかなされましたか?」
「えっとですね。俺たち【窟蒼透石鑛石】を……沢山集めるため、情報が欲しいんです」
「な……なんと。かなりの冒険になるのですけど、大丈夫ですか? 正直、危険ですのでお勧めすることはできないのですが」
「発掘されるであろう階層などの情報は持っているので、手に入れるのが簡単じゃないことは理解しています」
「なるほど……一応ですが、階層数が増えていくにつれてモンスターも強くなっていく傾向にあります。必ず、というわけではないので運が良ければ、ここまで戦ってきたモンスターだけの可能性もあります」
受付嬢から、とても心配されていることが伝わってくるから、和昌達はその忠告を聞くことなく進もうとしていることに罪悪感を抱き始めてしまう。
「大丈夫です。俺たち、実は【サルイ】を既に5体ほど討伐しているんです」
「え、それは本当ですか?」
「はい。証拠を出せと言われると困っちゃいますけど」
「い、いえ。そこまで疑ってはいないので大丈夫です。凄い話ですね。普通は避けてくる相手ですが」
「さすがに楽勝だった、というわけではなかったですよ」
「ですよね。それにしても不思議ですね。皆様は情報から読み取るに、本当の新米探索者だということは把握しております。ですが、こんな短期間に【サルイ】とそこまで遭遇するなんて……」
「何かあるのですか?」
「いえ、そういうわけではないのですが……今までなかった情報でしたので。気にしないでください。何事も、初めてのことはは初めてなのですから」
「そ、そうですね」
受付嬢はカウンター手前にある、自分用のメモ紙に記入をし始める。
「えっとですね。情報検索はあちらの端末で行えますので、ご自由にお使いください」
「わかりました、ありがとうございます」
「耳に胼胝ができてしまうかもしれませんが、現地に向かう際はくれぐれもご注意ください。ただでさえ危険なのに、このような異常事態ですから」
「はい。俺たちも無謀に突っ込んでいくわけではないので、さすがに命を第一に行動します」
「それを聞けて安心しました。それでは、お気をつけて」
全員が一礼し、4人は案内にあった端末へと移動した。
「どうしたんだろ」
「なんだかちょっと騒がしいような……?」
真綾と天乃が疑問を口に出すと、和昌と芹那も辺りを一瞥する。
「やっぱり気のせいってわけじゃないよな」
「ね。――あっちの方に人だかりができているから、行ってみる?」
「受付嬢のところへ向かう途中だし、行くか」
進行方向右側に、人だからを目指して足を進める一行。
つい先ほど、一般人を目の当たりにしたからこそ腰などに携えている武器に目線がいってしまう和昌だったが――漏れなく全員が所持していることから、探索者だということを把握できた。
「ん、あれって掲示板じゃない?」
到着して早々、そこに居る全員が同じ方向を向いていることを疑問に抱いた芹那は、ぴょんぴょんとジャンプして状況を確認した。
「おいおい、こんなクエストをやってこいって言うのか」
「ため息しか出ねえよな」
「まあでも、報酬がしっかりと出るんだったらやらねえともったいねえからな」
「あーあー、てかこれさ。クエストやらねえと地上に戻れねえし、先にも進めねえんじゃねえか」
そんな声がどこから聞こえてきた。
「……ここをかき分けて掲示板のところに行くよりも、受付嬢のところで情報を確認した方が速そうだな」
そう判断した和昌は、すぐに実行する。
幸いにも、ほとんどの探索者が掲示板の方に集まっているため、足を止めることなく向かうことができた。
「あの、通りがかったときに聞いたのですが。何かあったのですか?」
「そうなんですよー。私たちもつい先ほど情報を伝達されましてね。どうやら、ダンジョン内でモンスターが多数確認できるようです」
この街へ辿り着いた初め、担当してくれた【初心者窓口】の受付嬢。
地上の――オペレーターとして和昌へ情報を流している、あの表情がほとんどわからない受付嬢とは天と地の差がある。
能力的な意味ではなく、コミュニケーションの取りやすさ、という意味で。
「それって、別に珍しいことでもないはずでは?」
「私たちも耳にしたときは全く同じことを思いました。ですが、どうやらそうではないようです」
いろいろなことがあって、和昌は完全に忘れていた。
(もしかして、これも受付嬢が言っていたダンジョン災害の一種というわけなのか……? でも、それって揺れが伴うって話だったような?)
受付嬢との会話を思い出すも、やり取りが抜け落ちていることもない――では。
(いや待てよ。つい最近、揺れを感じたことがあった。その時にはダンジョン災害の影響はなかった。じゃあ、揺れと災害は時間差があるということなのか)
しかし同時にこうも思う。
(待てよ。こういう話が組織内で伝達されているということは、俺にも連絡が来てもおかしくはない。いや、来るはずだ。まさか連絡のし忘れ、なんてことはないよな? ああでも、今回は他の【モータル・インデックス】に載っている人も居るって話だったな。ということは後回しにされている可能性が……まあ、俺みたいな末端が最後ってのは仕方がないか)
と自己完結した和昌は、「だからといって、今このタイミングでは連絡をしてこないでくれ」と切に願った。
「あの、掲示板の内容を確認できていないのですが。話を小耳に挟んだのですが、『大量のモンスターを討伐しなければならない』『討伐しないと後にも先にも移動ができない』という感じに」
「そうなんです。地上からの連絡が入った時、私も驚いて大きな声が出てしまいましたもん。なんと――1パーティ辺り、100体はモンスターを討伐しなくちゃいけないということでした」
「100体!?」
「そうなんです。だから、この街に居るパーティ数と討伐数を数えると――ざっと、1500体は討伐しなくちゃいけない計算になります」
「わーお……」
和昌は、あまりにも現実的ではない数字を耳にして言葉を失ってしまう。
当然、若干後方に待機している3人も同じく。
「それって、俺らみたいな駆け出しパーティも対象になるんですか?」
「あー、そこら辺は安心してください。皆様のようなパーティは、目標討伐数が半分になりますので」
「よっかったー……ん? それでも半分なんですか?」
「申し訳ございません。今回は特例も特例ですので、目標達成は低く見積もっても、結局のところはそれより多く討伐して欲しいというのが本音です」
「な、なるほど。ですよね」
しかしこんな状況でも、パーティとして立てた目標を達成するためには情報を仕入れ、進まなければならない。
「今って、お時間的に大丈夫ですか?」
「はい大丈夫ですよ。どうかなされましたか?」
「えっとですね。俺たち【窟蒼透石鑛石】を……沢山集めるため、情報が欲しいんです」
「な……なんと。かなりの冒険になるのですけど、大丈夫ですか? 正直、危険ですのでお勧めすることはできないのですが」
「発掘されるであろう階層などの情報は持っているので、手に入れるのが簡単じゃないことは理解しています」
「なるほど……一応ですが、階層数が増えていくにつれてモンスターも強くなっていく傾向にあります。必ず、というわけではないので運が良ければ、ここまで戦ってきたモンスターだけの可能性もあります」
受付嬢から、とても心配されていることが伝わってくるから、和昌達はその忠告を聞くことなく進もうとしていることに罪悪感を抱き始めてしまう。
「大丈夫です。俺たち、実は【サルイ】を既に5体ほど討伐しているんです」
「え、それは本当ですか?」
「はい。証拠を出せと言われると困っちゃいますけど」
「い、いえ。そこまで疑ってはいないので大丈夫です。凄い話ですね。普通は避けてくる相手ですが」
「さすがに楽勝だった、というわけではなかったですよ」
「ですよね。それにしても不思議ですね。皆様は情報から読み取るに、本当の新米探索者だということは把握しております。ですが、こんな短期間に【サルイ】とそこまで遭遇するなんて……」
「何かあるのですか?」
「いえ、そういうわけではないのですが……今までなかった情報でしたので。気にしないでください。何事も、初めてのことはは初めてなのですから」
「そ、そうですね」
受付嬢はカウンター手前にある、自分用のメモ紙に記入をし始める。
「えっとですね。情報検索はあちらの端末で行えますので、ご自由にお使いください」
「わかりました、ありがとうございます」
「耳に胼胝ができてしまうかもしれませんが、現地に向かう際はくれぐれもご注意ください。ただでさえ危険なのに、このような異常事態ですから」
「はい。俺たちも無謀に突っ込んでいくわけではないので、さすがに命を第一に行動します」
「それを聞けて安心しました。それでは、お気をつけて」
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