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第三章
第17話『僕たちはパーティ』
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みんなが待っている場所に到着した。
和気藹々と会話を続けているところ、先ほど見た光景について報告。
そして、戦闘をするかどうかの意見を募ることにした。
「でもさ、ソルジャーラットってさっき戦ったやつらのボスだよね。必勝法とかあるの?」
桐吾の質問はごもっとも。
今日が初対面のメンバーで、練度が足りない状況のなか挑む相手にしては、いささか強すぎると思うのが普通。
でも、必勝法なんて持ち合わせていない。
みんなの視線が集まるなか、ありのままを話した。
「正直に言うと必勝法はない。しかも……作戦と言えるものも思い付いていない」
「えっ、そうなの!? 私はてっきり――」
守結はそこまでいうと、「あっ、いっけね!」といわんばかりに自分の口を手で押さえた。
僕が目を合わせると、「てへっ」と軽く舌を出している。
その反応を見るに、やっぱり僕任せだったのね。と、ため息を吐きたくなるのを堪えてた。
「でも、僕は――勝てると思う」
「本当に大丈夫なの? 私の回復が追い付くか心配だけど……」
「私も美咲と同じく不安がある……かな」
「私なんて絶対にへんなところにスキル発動する気しかないよ」
後衛からは不安の声が聞こえてくる。
ここまで順調に進んできたからこその不安なのかもしれない。
成功は自信に繋がるけど、逆に言えばこれ以上欲張る必要もないとも言える。
でも、前衛の意見は相反するものだった。
「私はいけると思うっ! だってほら、さっきまでの私たちの連携なんて最高だったじゃないっ」
「そうだね。僕も賛成かな――志信のことを信じるよ」
「そうだな! 俺もいけると思うぞ。みんなになら背中を任せてもいいと思ってる」
任せてる側、任される側、それぞれに感じているものが違ったようだ。
後衛からしたら、前に出てもらっている。という罪悪感。
前衛からすれば、背中を守ってもらっている。という安心感。
どちらも互いの力を認め合っているがゆえに起きてしまった認識の差。
そう、みんな薄々わかっている。
僕たちなら――。
「僕たちは今日初めて組んだパーティだけど、最高の仲間に出会えたと思っている。それに、これは強制じゃない。これは授業であって強制力のあるものじゃない。――でも、僕は挑戦してみたい」
僕が話している間、みんなからの視線は僕に集約している。
若干の不安も見せないように拳を力強く握って、胸に当てて話を続けた。
「僕は今までこんな素晴らしい機会に恵まれたことはない。これは僕の意思――みんなの判断に任せるよ」
「私、やるよ」
「うん、僕も」
「俺だってやるぜ!」
前衛の意気は変わらず、前向きなまま。緊張の色は見えず、守結に限っては目をキラキラさせている始末。
でも、このまま多数決で決めたくはない。少数の意見であっても、無理強いをするようであれば断念するつもりだ。
まず初めに口を開いたのは美咲だった。
「私も一緒……私も……」
その一言がかなり意外だったようで、彩夏が目を見開いて、手を口に置いて視線を向けている。
「私、パーティとか人の集まりのなかで自分の意見を言ったことがなかった。いや、私は回復役で、私の意見なんて求められなかった。――でも、今は……いいんだよね……?」
美咲は僕の目を真っ直ぐ見つめている。
その目線には、不安、心配、希望が複雑に混じっている様に感じた。
そんな美咲に、僕は言葉ではなく、一度だけ首を縦に振る。
それを見た美咲は、目を閉じて一度だけ深呼吸をして言葉を続けた。
「私――やりたい。やってみたい。私も挑戦してみたい」
「……あー、これは私もやるっきゃないっしょっ。親友がやるって言ってるのに、私だけやらないとか情けなさすぎるしっ」
彩夏は、そう切り出すと美咲と目を合わせてニカッと笑った。
「はぁ……あーあ、なにこの流れー。こんなときに私だけやらないとかありえないでしょ?」
と、幸恵は首の後ろで両手を組み始めた。
どう聞いても皮肉にしか聞こえない内容――でも、その顔には笑顔があり、声色は明るく逆にやる気が入ったようにしか見えない。
「じゃーあ、決まりっ。私たちパーティはこれからエリアボスとの戦いに挑みましょー!」
「あー、これあれだ。志信くんが決めるところを守結がかっさらっていったやつだ。……どんまい志信くん」
「ま、まあ、そこらへんは気にしてないし、いつも通りだから……」
「はははっ、苦労してますなぁ」
右拳を高らかに突き上げる守結。
やれやれと浅いため息を吐いている僕を見て、肩を二回叩いて慰めてくれた幸恵。
みんなそれぞれの反応をみせ、ソルジャーラット討伐会議を始めた。
和気藹々と会話を続けているところ、先ほど見た光景について報告。
そして、戦闘をするかどうかの意見を募ることにした。
「でもさ、ソルジャーラットってさっき戦ったやつらのボスだよね。必勝法とかあるの?」
桐吾の質問はごもっとも。
今日が初対面のメンバーで、練度が足りない状況のなか挑む相手にしては、いささか強すぎると思うのが普通。
でも、必勝法なんて持ち合わせていない。
みんなの視線が集まるなか、ありのままを話した。
「正直に言うと必勝法はない。しかも……作戦と言えるものも思い付いていない」
「えっ、そうなの!? 私はてっきり――」
守結はそこまでいうと、「あっ、いっけね!」といわんばかりに自分の口を手で押さえた。
僕が目を合わせると、「てへっ」と軽く舌を出している。
その反応を見るに、やっぱり僕任せだったのね。と、ため息を吐きたくなるのを堪えてた。
「でも、僕は――勝てると思う」
「本当に大丈夫なの? 私の回復が追い付くか心配だけど……」
「私も美咲と同じく不安がある……かな」
「私なんて絶対にへんなところにスキル発動する気しかないよ」
後衛からは不安の声が聞こえてくる。
ここまで順調に進んできたからこその不安なのかもしれない。
成功は自信に繋がるけど、逆に言えばこれ以上欲張る必要もないとも言える。
でも、前衛の意見は相反するものだった。
「私はいけると思うっ! だってほら、さっきまでの私たちの連携なんて最高だったじゃないっ」
「そうだね。僕も賛成かな――志信のことを信じるよ」
「そうだな! 俺もいけると思うぞ。みんなになら背中を任せてもいいと思ってる」
任せてる側、任される側、それぞれに感じているものが違ったようだ。
後衛からしたら、前に出てもらっている。という罪悪感。
前衛からすれば、背中を守ってもらっている。という安心感。
どちらも互いの力を認め合っているがゆえに起きてしまった認識の差。
そう、みんな薄々わかっている。
僕たちなら――。
「僕たちは今日初めて組んだパーティだけど、最高の仲間に出会えたと思っている。それに、これは強制じゃない。これは授業であって強制力のあるものじゃない。――でも、僕は挑戦してみたい」
僕が話している間、みんなからの視線は僕に集約している。
若干の不安も見せないように拳を力強く握って、胸に当てて話を続けた。
「僕は今までこんな素晴らしい機会に恵まれたことはない。これは僕の意思――みんなの判断に任せるよ」
「私、やるよ」
「うん、僕も」
「俺だってやるぜ!」
前衛の意気は変わらず、前向きなまま。緊張の色は見えず、守結に限っては目をキラキラさせている始末。
でも、このまま多数決で決めたくはない。少数の意見であっても、無理強いをするようであれば断念するつもりだ。
まず初めに口を開いたのは美咲だった。
「私も一緒……私も……」
その一言がかなり意外だったようで、彩夏が目を見開いて、手を口に置いて視線を向けている。
「私、パーティとか人の集まりのなかで自分の意見を言ったことがなかった。いや、私は回復役で、私の意見なんて求められなかった。――でも、今は……いいんだよね……?」
美咲は僕の目を真っ直ぐ見つめている。
その目線には、不安、心配、希望が複雑に混じっている様に感じた。
そんな美咲に、僕は言葉ではなく、一度だけ首を縦に振る。
それを見た美咲は、目を閉じて一度だけ深呼吸をして言葉を続けた。
「私――やりたい。やってみたい。私も挑戦してみたい」
「……あー、これは私もやるっきゃないっしょっ。親友がやるって言ってるのに、私だけやらないとか情けなさすぎるしっ」
彩夏は、そう切り出すと美咲と目を合わせてニカッと笑った。
「はぁ……あーあ、なにこの流れー。こんなときに私だけやらないとかありえないでしょ?」
と、幸恵は首の後ろで両手を組み始めた。
どう聞いても皮肉にしか聞こえない内容――でも、その顔には笑顔があり、声色は明るく逆にやる気が入ったようにしか見えない。
「じゃーあ、決まりっ。私たちパーティはこれからエリアボスとの戦いに挑みましょー!」
「あー、これあれだ。志信くんが決めるところを守結がかっさらっていったやつだ。……どんまい志信くん」
「ま、まあ、そこらへんは気にしてないし、いつも通りだから……」
「はははっ、苦労してますなぁ」
右拳を高らかに突き上げる守結。
やれやれと浅いため息を吐いている僕を見て、肩を二回叩いて慰めてくれた幸恵。
みんなそれぞれの反応をみせ、ソルジャーラット討伐会議を始めた。
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