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外編 甦りのアッシュ
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「今の君たちのレベルでアスガイアに渡航出来るか否かは、渡航管理室で決めることになっている。水先案内人に一度会ってみて、話を聴くと良いな」
ギルドマスターに渡航決定業務を請け負う水先案内人と会うように勧められ、アッシュとポックル君はギルドを後にした。
冥府エリア移動の船を待つための港『古代ペルキセウス村』では、乗船チケットを求めて列が出来ていた。
「漁港が本来の姿って話だけど、冒険者の方が人数多いな。みんな、カルマっていうのを解消してから転生するつもりなんだろうか」
「カルマは、来世にも引き継がれてしまいますし、出来れば転生前に解消したい要素の一つですね」
「輪廻の蝶々っていうのもカルマと関係ある何かなのかな? そのうちヒントが得られると良いんだけど」
人だかりをくぐり、ようやくアスガイア方面の乗船券売り場に辿り着く。
「輪廻の蝶々という比喩表現にしたのは、答え合わせは自分達でしなくてはいけないのでしょう。さて、アスガイア行きの船便は……」
「本日の予定は18時に一便のみか。まだ昼だから、数時間余裕があるけど。しかし、地上が荒れて来てるんじゃ、冥府にも影響あるよなぁ」
社会情勢が悪くなり死者が増えた影響で、他の便は乗船客でいっぱいの様子。船便だけでなく、陸路や空路の案内も出ている。
「はぁい! 押さないで、並んでくださいね~。ユグドラシル経由での輪廻が決まった方は、魂を飛行させる空路もございます」
胸元に『臨時』と書かれた名札をつけた精霊鳩がチケット売り場で整列を手伝っていた。
「あのお方は……かの有名なフクロウ精霊のポックル様、ポックル様ではありませんか」
「おや、キミは。確か研修の時にワタクシが指導したデン君では無いですか。今はここで、仕事を?」
別の精霊に仕事を一旦任せて、精霊鳩がパタパタと飛びながらポックル君に挨拶する。ポックル君は自称精霊鳩を名乗っており、決してフクロウではないはず。だが、ふくふくとした毛量やパッチリとした大きな目から誰もがフクロウだと疑わないようだ。
「はいっ! 勤務地変更で、最近になってここに配属されたのであります。直属の上司がかなり偉いお方で、常に緊張の連続ですがこれも修行と……」
「ふうん。常に緊張している割に、余裕よねぇ……デン君」
死神のような黒いローブを装備した青眼の美少女が、お喋りなデン君を睨みつけて注意する。
「ひぃいいいっ! いやあの、ポックル様にお会いできたのが嬉しくてつい浮かれてしまいまして」
「ポックル様? ああ、このフクロウ君ね。鳥業界では随分とフクロウ君の地位が高いのね」
「あの、お言葉ですが水先案内人様? ワタクシこう見えても、精霊鳩でございます……水先案内人様?」
黒フードの美少女には、すでにポックル君の声は届いていないようだった。彼女の視線は、まっすぐアッシュに向かっている。
「……アシュリー? 嘘でしょ。貴方、現世にようやく転生したのにもう戻って来ちゃったのっ」
「えぇと、オレの名前はアッシュでアシュリーではないけど、転生?」
「アッシュ、それが貴方の今の名前なの。姉の私を覚えていないなんて、そっか……生まれ変わったらもう別人ってことよね」
姉といえば、アッシュにはラクシュという双子の姉がいる。黒フードのせいで黒い前髪と青眼を確認出来る程度だが、ラクシュと死神は系統としては近い顔立ちである。
「クルックー! 魂の感動の再会という感じでしょうか? しかし、ご安心を。アッシュ様は、人間としては命が失くなりましたが、精霊としてはまだ生きているのです!」
「甦り? そう突然、悪かったわね。私はベルナ。現役精霊だけど、今はここで冥府の水先案内人をしているの」
前回、この場所に来訪したときは別の死神が乗船チケット付近で働いていたから、おそらくアッシュとは初対面だ。
「ベルナさんか、確かに姉のラクシュに似てるし前世で姉弟と言われれば納得するよ。オレはこれから船に乗って、アスガイア冥府エリアへと渡る予定なんだ」
「ええっっ?」
「ぽぽぽーーー」
アスガイアという名を聞いた精霊鳩のデン君が、『ぽぽー!』と驚きの声をあげながら、くるくると旋回する。動揺するほど、今のアスガイア冥府エリアは危険区域なのかとアッシュは不安になるった。
「失礼だけど、アッシュ君は今何レベルくらいかしら。アスガイア冥府エリアは、ロキという悪神の支配下で悪霊のレベルが高くてね。ランクが基準に達していなければ、おそらく乗船許可は得られないわ」
「クルックー! ワタクシは精霊鳩としてはぶっちぎりのトップ、まさかのSランクです。と言っても、サポート枠ですが」
「へぇ? さすがはフクロウ君ね。鳥精霊の中ではフクロウ族はだいたいSランクだから、キミもその基準値なだけだと思うけど」
自慢げに胸を張るポックル君。
だが、精霊鳩としてはエリート扱いでも、フクロウ精霊としては普通と言われてしまい、ちょっぴりガッカリした様子。
「問題はメインであるオレのステータスか。人間としては身体が弱くて殆どの戦歴は一般兵扱いだよ。精霊ラルド様の粋な計らいで剣聖アッシュの称号と大剣をあつらえて貰って、この世界にも持ってこれたんだ」
「人間として弱くても今は霊体、素質があれば剣聖としてやれるかも知れないけど……。まぁいいわ、特別クエストだし、弟の転生体だし。私が担当してあげる。ステータス測定器のある輪廻研究所でデータを取得しましょう」
ベルナは甦りのクエスト担当を水先案内人として引き受けることをアッシュに告げると、被っていたフードを上げてサラサラの黒いボブヘアと清廉な顔だちをはっきりと見せた。
「……!」
手紙と写真でしかやり取りしていない、離れ離れの双子の姉ラクシュにベルナはかなり似ていて、驚きのあまりアッシュは言葉を失う。
「今度こそ、弟のカルマを解消するために……ね」
それは、魂の双子の片割れとの再会なのであった。
ギルドマスターに渡航決定業務を請け負う水先案内人と会うように勧められ、アッシュとポックル君はギルドを後にした。
冥府エリア移動の船を待つための港『古代ペルキセウス村』では、乗船チケットを求めて列が出来ていた。
「漁港が本来の姿って話だけど、冒険者の方が人数多いな。みんな、カルマっていうのを解消してから転生するつもりなんだろうか」
「カルマは、来世にも引き継がれてしまいますし、出来れば転生前に解消したい要素の一つですね」
「輪廻の蝶々っていうのもカルマと関係ある何かなのかな? そのうちヒントが得られると良いんだけど」
人だかりをくぐり、ようやくアスガイア方面の乗船券売り場に辿り着く。
「輪廻の蝶々という比喩表現にしたのは、答え合わせは自分達でしなくてはいけないのでしょう。さて、アスガイア行きの船便は……」
「本日の予定は18時に一便のみか。まだ昼だから、数時間余裕があるけど。しかし、地上が荒れて来てるんじゃ、冥府にも影響あるよなぁ」
社会情勢が悪くなり死者が増えた影響で、他の便は乗船客でいっぱいの様子。船便だけでなく、陸路や空路の案内も出ている。
「はぁい! 押さないで、並んでくださいね~。ユグドラシル経由での輪廻が決まった方は、魂を飛行させる空路もございます」
胸元に『臨時』と書かれた名札をつけた精霊鳩がチケット売り場で整列を手伝っていた。
「あのお方は……かの有名なフクロウ精霊のポックル様、ポックル様ではありませんか」
「おや、キミは。確か研修の時にワタクシが指導したデン君では無いですか。今はここで、仕事を?」
別の精霊に仕事を一旦任せて、精霊鳩がパタパタと飛びながらポックル君に挨拶する。ポックル君は自称精霊鳩を名乗っており、決してフクロウではないはず。だが、ふくふくとした毛量やパッチリとした大きな目から誰もがフクロウだと疑わないようだ。
「はいっ! 勤務地変更で、最近になってここに配属されたのであります。直属の上司がかなり偉いお方で、常に緊張の連続ですがこれも修行と……」
「ふうん。常に緊張している割に、余裕よねぇ……デン君」
死神のような黒いローブを装備した青眼の美少女が、お喋りなデン君を睨みつけて注意する。
「ひぃいいいっ! いやあの、ポックル様にお会いできたのが嬉しくてつい浮かれてしまいまして」
「ポックル様? ああ、このフクロウ君ね。鳥業界では随分とフクロウ君の地位が高いのね」
「あの、お言葉ですが水先案内人様? ワタクシこう見えても、精霊鳩でございます……水先案内人様?」
黒フードの美少女には、すでにポックル君の声は届いていないようだった。彼女の視線は、まっすぐアッシュに向かっている。
「……アシュリー? 嘘でしょ。貴方、現世にようやく転生したのにもう戻って来ちゃったのっ」
「えぇと、オレの名前はアッシュでアシュリーではないけど、転生?」
「アッシュ、それが貴方の今の名前なの。姉の私を覚えていないなんて、そっか……生まれ変わったらもう別人ってことよね」
姉といえば、アッシュにはラクシュという双子の姉がいる。黒フードのせいで黒い前髪と青眼を確認出来る程度だが、ラクシュと死神は系統としては近い顔立ちである。
「クルックー! 魂の感動の再会という感じでしょうか? しかし、ご安心を。アッシュ様は、人間としては命が失くなりましたが、精霊としてはまだ生きているのです!」
「甦り? そう突然、悪かったわね。私はベルナ。現役精霊だけど、今はここで冥府の水先案内人をしているの」
前回、この場所に来訪したときは別の死神が乗船チケット付近で働いていたから、おそらくアッシュとは初対面だ。
「ベルナさんか、確かに姉のラクシュに似てるし前世で姉弟と言われれば納得するよ。オレはこれから船に乗って、アスガイア冥府エリアへと渡る予定なんだ」
「ええっっ?」
「ぽぽぽーーー」
アスガイアという名を聞いた精霊鳩のデン君が、『ぽぽー!』と驚きの声をあげながら、くるくると旋回する。動揺するほど、今のアスガイア冥府エリアは危険区域なのかとアッシュは不安になるった。
「失礼だけど、アッシュ君は今何レベルくらいかしら。アスガイア冥府エリアは、ロキという悪神の支配下で悪霊のレベルが高くてね。ランクが基準に達していなければ、おそらく乗船許可は得られないわ」
「クルックー! ワタクシは精霊鳩としてはぶっちぎりのトップ、まさかのSランクです。と言っても、サポート枠ですが」
「へぇ? さすがはフクロウ君ね。鳥精霊の中ではフクロウ族はだいたいSランクだから、キミもその基準値なだけだと思うけど」
自慢げに胸を張るポックル君。
だが、精霊鳩としてはエリート扱いでも、フクロウ精霊としては普通と言われてしまい、ちょっぴりガッカリした様子。
「問題はメインであるオレのステータスか。人間としては身体が弱くて殆どの戦歴は一般兵扱いだよ。精霊ラルド様の粋な計らいで剣聖アッシュの称号と大剣をあつらえて貰って、この世界にも持ってこれたんだ」
「人間として弱くても今は霊体、素質があれば剣聖としてやれるかも知れないけど……。まぁいいわ、特別クエストだし、弟の転生体だし。私が担当してあげる。ステータス測定器のある輪廻研究所でデータを取得しましょう」
ベルナは甦りのクエスト担当を水先案内人として引き受けることをアッシュに告げると、被っていたフードを上げてサラサラの黒いボブヘアと清廉な顔だちをはっきりと見せた。
「……!」
手紙と写真でしかやり取りしていない、離れ離れの双子の姉ラクシュにベルナはかなり似ていて、驚きのあまりアッシュは言葉を失う。
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