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三章 愛される存在に
1 アンジェに欲しいと言われた
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「んあ…も…アンジェ……出ちゃ…あー……」
「ハァハァ……イキな」
んーーっぎもぢいい……深く押し込まれるの好き。すごく気持ちいい。アンジェに乗って震えていた。
「クルト…俺な、子どもが欲しいんだ。お前との子が」
「あっ…うっ……うん……?」
次は噛みながらしていいかと問う。朦朧とした頭でいいかなと思えた。
「あー……いいよ…噛んで」
「ありがとう」
暗黒の森の事後処理も落ち着き、アンジェはきちんと夕方には帰って来るようになった。そして毎晩僕を求めるようにもなっていた。交われなかった時間を取り戻すとでも言うように。アンジェが果てて、少し休憩。並んで寝転んで、
「アンジェ……どんな赤ちゃんかな?」
「きっと俺たちの子だからかわいいよ」
「うん。アンジェに似てるといいな」
「そうか」
僕はどんな子どもでもいいんだけど、せっかくならアンジェに似てるといいなあって。イケメンは正義でしょ!
「あはは。俺はモテてたらしいが、反対に嫌われてもいたんだ。無口とかではなくてな」
「なんで?」
「なんか冷たそうって思われてたらしい」
目つきの悪さかなって。俺がぼんやりしてる時を見てて思われてたらしいって。
「みんな見る目がないね。こんなに優しくて愛情深いのに」
「……それは、クルトだからだ」
「やん!んふふっ」
休憩は終わりだと僕に乗ると唇が重なり、僕の股間を責める。先をヌルヌルと擦りながら舌が絡む。
「噛みたいんだ」
「いいよ」
僕をうつ伏せにすると、ずくんと押し込む。
「ハァハァ……奥を開くぞ」
「いいよ…アンジェ」
アンジェが背中に張り付いてガブッとうなじにッ……うっ…あっ…
「この奥に俺のを入れる」
「うん…はあ……」
グチュグチュといつものように押し込まれてるんだけどお腹がおかしくて、アンジェのが深く刺さり……ガタガタ震えた。お腹から強い快感がして、涙が溢れた。エッチの快感で涙出るってなに?
「ア、アンジェ……深い……の…怖…い」
「俺も…クッ……これ……ウッ…」
腰を強く引いてグウッと強く押し込まれると、いつもよりずっと奥に吸い込まれるように感じて、ガブリとうなじを強く噛まれた。
「クルト!グッ」
「深いの!お腹ドクドクするの!いやああ!」
アンジェは興奮してガブガブと何度も噛んで、お腹に吹き出すのが分かる。子種が入って来て、お腹の深いところがあっかいのが分かるんだ。僕はおしっこ漏らしてるみたいに感じてた。お腹もちんこも全部気持ちよくて……もうムリ…快感にガタガタして目の前真っ白……ダメ…だ……
そして、意識を取り戻し目を開けると、アンジェがチュッとしてくれる。
「起きたか?ここを見てくれ」
「うん?」
アンジェが布団をはぐと、僕のお腹を擦って見ろって。おヘソの下にバラの花が、手のひらサイズで金色に浮いている。
「なにこれ?」
「ふふっ種付けが成功した証だ」
「へえ……きれいだね」
「これはうちの…王族の妊娠紋だ。家ごとに違っているんだよ」
とてもキレイだ。僕の好きなバラの色にも似ている、美しい花がお腹に咲いていた。
「ごめん強く噛みすぎた。うなじを出せ」
「うん」
髪を上げるとヒールと。キズが治るとチュッと噛んだところにキスをした。
「俺も子作りは初めてで自制が効かなかった。とても気持ちよくて血も甘くて酔って……その、よかった」
「んふっ僕もとても気持ちよかった」
「そうだな。前も後ろも漏れてたもんな」
「うっ……」
これから三ヶ月大人しくしててくれって。赤ちゃんが生まれるまでは無理は禁止。城の魔法訓練も、お茶会も禁止。俺も早く帰るから大事にしてくれって。
「いやあの、アンジュ心配し過ぎじゃ?」
「いいや、なにがあるか分からないだろ」
「そうだけどさ」
なんて言ってるとローベルトがおはようございますぅと入って来て、カーテンを開けて窓も開く。いい天気ですよって振り向いて、全裸で寝転がってる僕に、お布団かけないとお腹冷えますよぉとニコニコ……ん?とお腹をガン見して絶句。
「ギャアアア!クルト様が妊娠されてる!大変だ!乳母を!いや違う侍医?いやああ!みんな大変!クルト様があ!」
と、叫びながら出て行った。
「なに……あれ?」
「あはは!嬉しくてパニックになったんだろ」
「ああそう」
きっと風呂の支度はされてるから入ろうって立ち上がると、息を切らしたローベルトとティモが部屋に戻って来た。
「ギャアアア!本当だ!クルト様が大変だ!ど、どうしよう!あ、あ、ローベルト乳母を……いや違う!」
ふたりでワタワタ。
「ティモ、ローベルト落ち着け。俺たちは風呂入りたい」
ふたりはハッとして、ど、どうぞとローベルトはカクカク歩く。
「みんななんでこんななの?」
「あー……ベルントとは子がいなかったから待望の跡継ぎって喜んでるんだな」
「にしてはさ」
困ったなあっていいながら、アンジェに促されてお風呂場へ。不審な動きでローベルトに体を洗ってもらい、お風呂に浸かった。
「はあ……アンゼルム様にお子様……こんな日が来るとは……なんとめでたい」
「落ち着けよローベルト」
ローベルトはお風呂の縁で僕のお腹のお花の紋をうっとり眺めていた。
「落ち着けません!どれだけ屋敷の者が楽しみにしていたかあなたは知らないんだ!」
風呂場で叫ぶなローベルト……うるせえ。ふたりで叱った。
「すみません……つい」
僕はアンジェに抱かれてゆらゆら。湯船の縁にローベルトは居座り僕のお腹をずっと凝視。穴開くんじゃってくらい凝視。
「ローベルト。そんなに見てるとお腹に穴開くよ」
「開きません。なんて美しい紋でしょうか。赤ちゃん……楽しみだなあ」
王族の紋は特別でとても美しい。うちはマーガレットの花で、あれも可憐で素敵なんですよって。貴族は花びらの多い花の紋が多く、民は一重の花が多いそう。
「そういやうちはなんなんだろ?今度兄様に聞いてみよう」
「クルト様のお家は八重のキキョウですよ。家紋で分かりますから」
「へえ……王家はバラなんて家紋にないよね?ねえアンジェ」
そうだなって微笑んで、個人的な紋、蝋印とかにあしらわれているそうだ。国の家紋は双頭のワシでくちばしには麦が咥えられている。農業国らしい家紋で、公式なお手紙の蝋封はこちらになる。
「お前の蝋印もバラだ」
「あ、そっか。お手紙出さないから気が付かなかった」
個人的に僕のところに手紙は来ない。実家からは来るけど、アンジェ宛に一緒に入ってて返事はいらぬ。兄様が行くからって先触れの手紙のみ。
「僕が使うことあるのかな?」
「いずれな。奥様同士だったり、学友だったり。子どもが出来ると付き合いが増えるものだよ」
俺が握りつぶしている手紙も多いからなって。何してんの?
「だってイヤなんだよ。番になってもお前を外に出すのが本当にイヤ」
「なんで?誰も僕になんか手を出さないよ。アンジェ怖いし、僕個人にそんな魅力はないでしょう?白の賢者抜けばさ」
「……分からんだろ」
「なにが?」
お茶会は許してるし、舞踏会とかは同伴だから安心だけど、それでも本当はイヤだそう。
「アンジェ?」
僕の肩に頭を乗せて耳にチュッチュッと。
「ふう……クルトが愛しすぎておかしいのは自覚してる。お前が悪く言われないギリギリを攻めてる。お前の友だちの手紙は燃やした。本当は家から出て欲しくない」
はい?燃やしたとは?どうしたんだこの人。そう言えばベルント様がとても愛情深い人だよって。これか!
「はあ……アンジェありがとう。でもね、公爵夫人なんだから、もう少し王妃以外のお茶会も参加した方がいいと思うよ?」
俺が威嚇してるから文句なんか出ない。俺の腕にいてくれればいいと背中からギュッとする。なにしてんだかなあ。
「アンジェは大臣で黒の賢者なの。僕も白の賢者であなたの奥さん。社交は大切だよ?」
「うん……理解はしてるんだが、気持ちが付いていかない。ごめん」
ローベルトはクスクスと笑う。
「旦那様にこんな一面があるとはと、屋敷の者は驚いていますよ。ベルント様の時はなにも言わなかったから」
「そうなの?」
「ええ。ベルント様腕っぷしが強かったし」
「ああ、そうね」
お腹を眺めながら落ローベルトは懐かしいとベルント様の頃を話してくれた。彼の頃はアンジェは好きにしろって全て放置。問題はベルント様はキレやすく喧嘩腰になるから、アンジェは謝ってばかりで城では肩身が狭かったそう。大臣の仕事の次に謝ってたくらいだそうだ。
「すぐキレてよその奥様の胸ぐら掴んだりしてね」
「あはは!やりそうだね」
僕はお茶会とか諸々出るようになると、ベルント様の話を聞くようになっていた。
アンジェはあの暴れ馬なんとかしろってあちこちからクレームの嵐で、無表情はその頃に磨きがかかったそうだ。それは……気の毒に。
「民が貴族のフリしてるだけか、魔物かなにかに取り憑かれてるのかと言われてな。ベルントは結婚前はあんまり社交の場に出ないヤツだったからみんな知らなくて、そのせいで俺は余計無表情になった」
「あはは!ベルント様すごい」
だから、ベルント様は違う意味で外に出さなくなったそうだ。問題行動をするなと注意すると俺にもグーで殴りかかるし、大変だったんだよって。
「野生のくまみたいだね」
「もうクマの方がかわいいくらいだ。元気な頃は俺は周りの苦言に怯えて、気が休まらなかった」
今はないが庭の隅に鍛冶場を作って、実家から職人も呼んで籠もらしてた。その方が安全だったから。そんなだからアンジェ同伴以外はお茶会も呼ばれなくなってね。そんなになってもベルント様は気にもしてなかったそうだ。
「暑いな。出よう」
「うん」
アンジェはベルント様を愛してたが、ヒグマだったとげんなりしていた。あははそんな話はベルント様から聞かなかったな。
「かわいい奥様演じてたんだから言う訳ない」
「そっか」
お風呂上がりにティモのお水飲んで寛ぐ。
「あんまり冷たい物はよくないかも……僕もまだ子どもいないから分からないですけど」
「平気だよ。うちのは飲んでいた」
「そう。ローベルトの奥様が大丈夫ならいいか」
ふたりの側仕えは……なんでふたりだよ。
「ティモなんでここにいるの?」
「だって……心配なんですもの」
「妊娠しても今までと変わんないよ」
ティモはクワッと目を剥いた。瞳はふざけんな!とでも言いたげな色。
「ですが!そうだ旦那様、禁欲をお願いします。クルト様に負担をかけないように!」
「分かっている」
ジーッとアンジェをティモは睨む。ものすごく疑っている目だ。
「ティモ、俺は禁欲は得意だ。知ってるだろ」
「ええ。ですが以前と違うかも……と疑っております」
え?っとアンジェ。本気で驚いている。
「キスぐらいは……なあ?」
「ふふっ妊婦はとてもいい匂いがします。耐えられますか?」
妊娠すると香りに変化が出る。ホルモンバランスが変わるのかなんかのようで、番に妊婦を守れと信号を出すらしい。それがその…なんだ。欲情する人もいるらしい。でも、いたしたから流産とかはあんまりないそうだ。
「ああ、たぶん」
「たぶん?」
「耐えるよ!信じてくれ」
ふんと鼻を鳴らし、主に向ける態度ではないティモ。
「クルト様。妊娠中しちゃだめとかはありませんが、お腹は急に大きくなり疲れますからね?つわりもあります。たった半年ですが禁欲を!」
「え?半年?」
産んで三ヶ月は妊娠すると体の負担が大きく、三ヶ月以内に妊娠した赤ちゃんは正常に生まれない可能性が高い。年齢関係なく!だから気をつけろって……ティモが怖い。
「若さを過信してはなりません」
「へい……」
そんな妊娠初日だった。
「ハァハァ……イキな」
んーーっぎもぢいい……深く押し込まれるの好き。すごく気持ちいい。アンジェに乗って震えていた。
「クルト…俺な、子どもが欲しいんだ。お前との子が」
「あっ…うっ……うん……?」
次は噛みながらしていいかと問う。朦朧とした頭でいいかなと思えた。
「あー……いいよ…噛んで」
「ありがとう」
暗黒の森の事後処理も落ち着き、アンジェはきちんと夕方には帰って来るようになった。そして毎晩僕を求めるようにもなっていた。交われなかった時間を取り戻すとでも言うように。アンジェが果てて、少し休憩。並んで寝転んで、
「アンジェ……どんな赤ちゃんかな?」
「きっと俺たちの子だからかわいいよ」
「うん。アンジェに似てるといいな」
「そうか」
僕はどんな子どもでもいいんだけど、せっかくならアンジェに似てるといいなあって。イケメンは正義でしょ!
「あはは。俺はモテてたらしいが、反対に嫌われてもいたんだ。無口とかではなくてな」
「なんで?」
「なんか冷たそうって思われてたらしい」
目つきの悪さかなって。俺がぼんやりしてる時を見てて思われてたらしいって。
「みんな見る目がないね。こんなに優しくて愛情深いのに」
「……それは、クルトだからだ」
「やん!んふふっ」
休憩は終わりだと僕に乗ると唇が重なり、僕の股間を責める。先をヌルヌルと擦りながら舌が絡む。
「噛みたいんだ」
「いいよ」
僕をうつ伏せにすると、ずくんと押し込む。
「ハァハァ……奥を開くぞ」
「いいよ…アンジェ」
アンジェが背中に張り付いてガブッとうなじにッ……うっ…あっ…
「この奥に俺のを入れる」
「うん…はあ……」
グチュグチュといつものように押し込まれてるんだけどお腹がおかしくて、アンジェのが深く刺さり……ガタガタ震えた。お腹から強い快感がして、涙が溢れた。エッチの快感で涙出るってなに?
「ア、アンジェ……深い……の…怖…い」
「俺も…クッ……これ……ウッ…」
腰を強く引いてグウッと強く押し込まれると、いつもよりずっと奥に吸い込まれるように感じて、ガブリとうなじを強く噛まれた。
「クルト!グッ」
「深いの!お腹ドクドクするの!いやああ!」
アンジェは興奮してガブガブと何度も噛んで、お腹に吹き出すのが分かる。子種が入って来て、お腹の深いところがあっかいのが分かるんだ。僕はおしっこ漏らしてるみたいに感じてた。お腹もちんこも全部気持ちよくて……もうムリ…快感にガタガタして目の前真っ白……ダメ…だ……
そして、意識を取り戻し目を開けると、アンジェがチュッとしてくれる。
「起きたか?ここを見てくれ」
「うん?」
アンジェが布団をはぐと、僕のお腹を擦って見ろって。おヘソの下にバラの花が、手のひらサイズで金色に浮いている。
「なにこれ?」
「ふふっ種付けが成功した証だ」
「へえ……きれいだね」
「これはうちの…王族の妊娠紋だ。家ごとに違っているんだよ」
とてもキレイだ。僕の好きなバラの色にも似ている、美しい花がお腹に咲いていた。
「ごめん強く噛みすぎた。うなじを出せ」
「うん」
髪を上げるとヒールと。キズが治るとチュッと噛んだところにキスをした。
「俺も子作りは初めてで自制が効かなかった。とても気持ちよくて血も甘くて酔って……その、よかった」
「んふっ僕もとても気持ちよかった」
「そうだな。前も後ろも漏れてたもんな」
「うっ……」
これから三ヶ月大人しくしててくれって。赤ちゃんが生まれるまでは無理は禁止。城の魔法訓練も、お茶会も禁止。俺も早く帰るから大事にしてくれって。
「いやあの、アンジュ心配し過ぎじゃ?」
「いいや、なにがあるか分からないだろ」
「そうだけどさ」
なんて言ってるとローベルトがおはようございますぅと入って来て、カーテンを開けて窓も開く。いい天気ですよって振り向いて、全裸で寝転がってる僕に、お布団かけないとお腹冷えますよぉとニコニコ……ん?とお腹をガン見して絶句。
「ギャアアア!クルト様が妊娠されてる!大変だ!乳母を!いや違う侍医?いやああ!みんな大変!クルト様があ!」
と、叫びながら出て行った。
「なに……あれ?」
「あはは!嬉しくてパニックになったんだろ」
「ああそう」
きっと風呂の支度はされてるから入ろうって立ち上がると、息を切らしたローベルトとティモが部屋に戻って来た。
「ギャアアア!本当だ!クルト様が大変だ!ど、どうしよう!あ、あ、ローベルト乳母を……いや違う!」
ふたりでワタワタ。
「ティモ、ローベルト落ち着け。俺たちは風呂入りたい」
ふたりはハッとして、ど、どうぞとローベルトはカクカク歩く。
「みんななんでこんななの?」
「あー……ベルントとは子がいなかったから待望の跡継ぎって喜んでるんだな」
「にしてはさ」
困ったなあっていいながら、アンジェに促されてお風呂場へ。不審な動きでローベルトに体を洗ってもらい、お風呂に浸かった。
「はあ……アンゼルム様にお子様……こんな日が来るとは……なんとめでたい」
「落ち着けよローベルト」
ローベルトはお風呂の縁で僕のお腹のお花の紋をうっとり眺めていた。
「落ち着けません!どれだけ屋敷の者が楽しみにしていたかあなたは知らないんだ!」
風呂場で叫ぶなローベルト……うるせえ。ふたりで叱った。
「すみません……つい」
僕はアンジェに抱かれてゆらゆら。湯船の縁にローベルトは居座り僕のお腹をずっと凝視。穴開くんじゃってくらい凝視。
「ローベルト。そんなに見てるとお腹に穴開くよ」
「開きません。なんて美しい紋でしょうか。赤ちゃん……楽しみだなあ」
王族の紋は特別でとても美しい。うちはマーガレットの花で、あれも可憐で素敵なんですよって。貴族は花びらの多い花の紋が多く、民は一重の花が多いそう。
「そういやうちはなんなんだろ?今度兄様に聞いてみよう」
「クルト様のお家は八重のキキョウですよ。家紋で分かりますから」
「へえ……王家はバラなんて家紋にないよね?ねえアンジェ」
そうだなって微笑んで、個人的な紋、蝋印とかにあしらわれているそうだ。国の家紋は双頭のワシでくちばしには麦が咥えられている。農業国らしい家紋で、公式なお手紙の蝋封はこちらになる。
「お前の蝋印もバラだ」
「あ、そっか。お手紙出さないから気が付かなかった」
個人的に僕のところに手紙は来ない。実家からは来るけど、アンジェ宛に一緒に入ってて返事はいらぬ。兄様が行くからって先触れの手紙のみ。
「僕が使うことあるのかな?」
「いずれな。奥様同士だったり、学友だったり。子どもが出来ると付き合いが増えるものだよ」
俺が握りつぶしている手紙も多いからなって。何してんの?
「だってイヤなんだよ。番になってもお前を外に出すのが本当にイヤ」
「なんで?誰も僕になんか手を出さないよ。アンジェ怖いし、僕個人にそんな魅力はないでしょう?白の賢者抜けばさ」
「……分からんだろ」
「なにが?」
お茶会は許してるし、舞踏会とかは同伴だから安心だけど、それでも本当はイヤだそう。
「アンジェ?」
僕の肩に頭を乗せて耳にチュッチュッと。
「ふう……クルトが愛しすぎておかしいのは自覚してる。お前が悪く言われないギリギリを攻めてる。お前の友だちの手紙は燃やした。本当は家から出て欲しくない」
はい?燃やしたとは?どうしたんだこの人。そう言えばベルント様がとても愛情深い人だよって。これか!
「はあ……アンジェありがとう。でもね、公爵夫人なんだから、もう少し王妃以外のお茶会も参加した方がいいと思うよ?」
俺が威嚇してるから文句なんか出ない。俺の腕にいてくれればいいと背中からギュッとする。なにしてんだかなあ。
「アンジェは大臣で黒の賢者なの。僕も白の賢者であなたの奥さん。社交は大切だよ?」
「うん……理解はしてるんだが、気持ちが付いていかない。ごめん」
ローベルトはクスクスと笑う。
「旦那様にこんな一面があるとはと、屋敷の者は驚いていますよ。ベルント様の時はなにも言わなかったから」
「そうなの?」
「ええ。ベルント様腕っぷしが強かったし」
「ああ、そうね」
お腹を眺めながら落ローベルトは懐かしいとベルント様の頃を話してくれた。彼の頃はアンジェは好きにしろって全て放置。問題はベルント様はキレやすく喧嘩腰になるから、アンジェは謝ってばかりで城では肩身が狭かったそう。大臣の仕事の次に謝ってたくらいだそうだ。
「すぐキレてよその奥様の胸ぐら掴んだりしてね」
「あはは!やりそうだね」
僕はお茶会とか諸々出るようになると、ベルント様の話を聞くようになっていた。
アンジェはあの暴れ馬なんとかしろってあちこちからクレームの嵐で、無表情はその頃に磨きがかかったそうだ。それは……気の毒に。
「民が貴族のフリしてるだけか、魔物かなにかに取り憑かれてるのかと言われてな。ベルントは結婚前はあんまり社交の場に出ないヤツだったからみんな知らなくて、そのせいで俺は余計無表情になった」
「あはは!ベルント様すごい」
だから、ベルント様は違う意味で外に出さなくなったそうだ。問題行動をするなと注意すると俺にもグーで殴りかかるし、大変だったんだよって。
「野生のくまみたいだね」
「もうクマの方がかわいいくらいだ。元気な頃は俺は周りの苦言に怯えて、気が休まらなかった」
今はないが庭の隅に鍛冶場を作って、実家から職人も呼んで籠もらしてた。その方が安全だったから。そんなだからアンジェ同伴以外はお茶会も呼ばれなくなってね。そんなになってもベルント様は気にもしてなかったそうだ。
「暑いな。出よう」
「うん」
アンジェはベルント様を愛してたが、ヒグマだったとげんなりしていた。あははそんな話はベルント様から聞かなかったな。
「かわいい奥様演じてたんだから言う訳ない」
「そっか」
お風呂上がりにティモのお水飲んで寛ぐ。
「あんまり冷たい物はよくないかも……僕もまだ子どもいないから分からないですけど」
「平気だよ。うちのは飲んでいた」
「そう。ローベルトの奥様が大丈夫ならいいか」
ふたりの側仕えは……なんでふたりだよ。
「ティモなんでここにいるの?」
「だって……心配なんですもの」
「妊娠しても今までと変わんないよ」
ティモはクワッと目を剥いた。瞳はふざけんな!とでも言いたげな色。
「ですが!そうだ旦那様、禁欲をお願いします。クルト様に負担をかけないように!」
「分かっている」
ジーッとアンジェをティモは睨む。ものすごく疑っている目だ。
「ティモ、俺は禁欲は得意だ。知ってるだろ」
「ええ。ですが以前と違うかも……と疑っております」
え?っとアンジェ。本気で驚いている。
「キスぐらいは……なあ?」
「ふふっ妊婦はとてもいい匂いがします。耐えられますか?」
妊娠すると香りに変化が出る。ホルモンバランスが変わるのかなんかのようで、番に妊婦を守れと信号を出すらしい。それがその…なんだ。欲情する人もいるらしい。でも、いたしたから流産とかはあんまりないそうだ。
「ああ、たぶん」
「たぶん?」
「耐えるよ!信じてくれ」
ふんと鼻を鳴らし、主に向ける態度ではないティモ。
「クルト様。妊娠中しちゃだめとかはありませんが、お腹は急に大きくなり疲れますからね?つわりもあります。たった半年ですが禁欲を!」
「え?半年?」
産んで三ヶ月は妊娠すると体の負担が大きく、三ヶ月以内に妊娠した赤ちゃんは正常に生まれない可能性が高い。年齢関係なく!だから気をつけろって……ティモが怖い。
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「へい……」
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