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三章 愛される存在に
2 人体の不思議 前世の記憶はなにも役に立たなかった
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妊娠後、軽いつわりの後は暇を持て余していてた。ならばと、お昼すぎにお庭に出ようと玄関にひとり向かうと、ススっと執事のユルゲンが近づいて来てにっこり。
「クルト様お手を」
「いや…別に大丈夫だよ?」
「大きなお腹で階段は危のうございますから」
「……はい」
ユルゲンは僕の手を取り、ゆっくりとねって声を掛けてくれ、一段ずつ降りる。
「はい到着。足元に注意してお散歩して下さいませ」
「はい……」
今お腹は中々のサイズになった。ご飯はなに食べても美味くて少し太り、そして屋敷の人の目が痛い。僕を見張っているような、監視してるような感じで常に見られているような。今日はティモが実家の用事で数日お休みで、ひとりでプラプラしてたからもあるんだろうけどさ。
「キツい……メンタルに来るな」
ふらふらと庭師のモーリスを見つけて、精が出るねと声を掛けた。
「クルト様。お加減はいかかですか?」
「うん元気だよ。でもみんなの目が痛いの」
「あはは。仕方ありませんよ。みんな旦那様のお子様を楽しみにしていますからね」
「分かるんだけどさ」
花壇の縁に座って僕はモーリスの作業を見ていた。彼くらいなんだよ妊娠前と変わらないのはね。
「はい。トゲは取ってあります」
「ありがとう」
僕の好きなオレンジのバラ。縁が少し赤い、いい香りのバラだ。
「今が最盛期ですね。このバラは」
「ふーん。次はどれ?」
モーリスは隣の花壇を指さして、
「あちらの花壇の蕾が見えますか?あれですよ。少し黄色みが強いですかね。香りはこれよりもいいんです」
「ふふっ楽しみだね」
彼の育てるバラは香り高い。実家のバラもいい香りだったけど、手入れの問題かこちらの方が強い香りなんだ。
「クルト様の実家は少し山の方ですから、土も気温も違います。そのせいでしょう」
「そんなので変わるの?」
「ええ。植物は繊細ですよ」
そこへローベルトがツカツカ怖い顔でやって来た。
「ハァハァ。どこに行かれたかと探しました。ティモがお休みですから、私がお側におります。おひとりで行動しないようにして下さいませ」
「はい……」
息苦しい。仕方なくローベルトとお庭を散策してから部屋に戻ることにした。庭師のモーリスにまたねと手を振り、お気を付けてと微笑んでくれる。もう少し……おおぅ…生む前に弱りそうだ。だけど、お茶は美味い。
「こちらは料理長特製の焼き菓子です」
「ありがとう」
フォークで小さく切って口に入れる。あっあんまり甘くない。
「でしょう?少しふっくらされたのを気にされてましたから、砂糖を減らしたそうです。減らしても美味しくと研究してくれました」
「うん。とても美味しいよ」
ローベルトは、今までが細かったから今がちょうどいいくらいだけどなあって。
「そうっ言って自分を甘やかすと、デブデブになるんだよ。産めば戻るとみんな言うけど信じてない」
「そうかなあ。うちの妻は戻りましたけど。その後太りましたが」
「なら今から注意する!」
ローベルトも一緒にもぐもぐ。僕は他の貴族のように側仕えを横に置いておくことはしない。一緒に楽しむんだ。いや……ただ単にひとりのお茶が寂しいからだけど。
「そうですか?クルト様は食べてもさほど太らない方ではないですか?」
「うーん……分からん。親戚の叔父に恰幅のいい方がいるし、おば様方も……」
母様の親戚筋はみんな横に大きい……怖い。太ったら……うーん。アンジェ嫌がるかもだから。
「どうですかね。旦那様のお母様はまあまあ大きかったですけどね」
「そうなの?」
「ええ、ほらこの絵の方です」
壁に掛かっている歴代の先祖の絵画。ほほう確かに少し……お父様はアンジェによく似てるな。お母様はクヌート様に似てる。が、お父様はスタイル抜群だ。ここんちアンの子どもいなかったからな。お母様の実家の方はよく知らんし。
「ちょっとくらい旦那様は気にしませんよ」
「そうかもだけどベルント様じゃないけど、かわいくいたい」
「ふふっ確かに。まだお若いですからね」
僕は次の妊娠が出来る頃二十一歳になる。まだまだ……ね。そして夜。
「もうすぐだな」
「うん。後二週間くらい。そういや妊娠の勉強する頃バタバタしてて、僕どうやって赤ちゃんお腹から出てくるか聞いてない。まさか……お尻の穴から?」
プッとアンジェは吹いた。
「そんな大きな卵をお尻からとか、駄目になるだろ」
「だよね。じゃあお腹が勝手にパックリ?」
「それじゃ死ぬ」
面白い発想だなと笑う。そちらはどう生まれるんだと聞かれて、もう体の作りが違ってアンにはちんこはないし、そのような作りで生まれると実演込みで説明した。
「すご……女の人辛くないのか?」
「辛いよ。お腹痛いし、僕は男だから本当の痛みは分かんないけど、お股からスイカ産むみたいな痛みって」
「ゲッ……こちらはそんなのはない。適齢期なら多少の違和感くらいだよ」
「そう。よかった」
魔力が働いて臨月になると卵みたいに産まれる。気が付かないで寝てるうちになんて人もいるくらい痛みはない。
「この花の紋のあたりから出てくるんだ。ふたりの親が触れると殻が溶けて赤ちゃんが出てくる」
「へえ……それもすげぇ」
なんて話してて臨月の頃、朝目が覚めると卵がお腹の前にあった。おいおい僕はどうかしてるわ。寝ながら出産とか。
「アンジェ起きて。早く!」
「んあ…早いな」
「いやね。卵が産まれた」
はっ?とガバッと起き上がり、僕のお腹の前の真っ白な卵を見つめる。
「おおぅ……絶対触るなよ。今侍医を呼んでくる」
「うん」
ローベルト!ローベルトと叫びながらガウンのままアンジェは出て行った。
「卵だ。鶏の卵のビッグサイズのような……いつの間にだな。お腹のバラは消えてるね」
お腹を擦りながら正座して卵を見つめていると、廊下からバタバタと走る足音がして息切れしてる侍医のおじさん。ごめんねこんな朝早くに。
「おお……産まれちゃいましたね。あと二日くらい猶予があるかと」
まあいいと旦那様とクルト様が手を置いて、少し魔力を流して下さいと言われた。ふむふむとふたりで魔力を流すと、スゥーッと殻が消えて赤ちゃんが出て来た。赤ちゃんは空気に触れたら泣き出して、反射で僕は抱き上げた。
「アンジェ赤ちゃんだ。かわいい」
「ああ、俺に似てるかな」
「うん」
スッポンポンで湿っていて、ふぎゃあふぎゃあと泣く赤ちゃんは、僕の知ってる赤ちゃんだった。殻と繋がってたへその緒を切るからよこせと、侍医が抱き上げてプチン。乳母が洗浄の魔法を掛けて、フカフカのおくるみに包んでどうぞって渡された。あったかくて泣く姿すらかわいいと堪能して、
「アンジェもどうぞ」
「あ、ああ……なんと…」
前の世界と変わらない赤ちゃんだ。三キロくらいに見える普通の赤ちゃん。とてもかわいい。
「アンジェかわいいね」
「ああ……ありがとう。俺を父親にしてくれて」
「いいえ。どういたしまして」
アンジェは乳母に赤ちゃんを渡すと僕を抱いた。
「ありがとう……三十過ぎて父になれた。もしかしたらもう無理かもって前は思ってたんだ」
「よかった。アンジェがこんなに喜んでくれて」
言ってなかったが俺たちの母は後妻なんだ。だから俺たちは遅い子どもだったんだと言う。
「父は俺と同じように先妻が病で亡くなり、その人とは子どもはいなかったんだ。だからかな、父は俺たちをとてもかわいがってくれた」
「そっか……」
この子が今のアンジェくらいになるとアンジェは六十過ぎ。まあ普通か。この世界だと少し遅いのかな?
「いや、初めの子としては遅いが、こんなもんかな」
「ならいいか」
クルト様は体を検査しましょう。旦那様たちはどっか行けと言われて追い出されてた。
「ではクルト様は全裸になって下さいませ」
「はい」
パンツも全部脱いで横になるとお腹を押したりちんこを念入りに調べた。
「足を開いて」
「へ?」
「お尻を診ます」
「ああはい」
指がプスッと入ってうねうね。んふぅ……
「気持ちよく感じますか?」
「うん…あっ……」
「ここは?」
「そこは出ちゃ……うよ…ムリッなにすんの!」
「いいから出して下さい」
「んーーっ」
侍医はちんこ掴んで出したのを受けると、手をフキフキ。お尻も拭いてくれた。感じて漏れちゃうからね。てかさ、異様に早く絶頂したけど?なにこれ。侍医のおじさん手練れ……
「異常はなさそうですね」
「ハァハァ……よかった」
たまになにも感じなくなる人がいると説明してくれる。そうなるとお尻の感覚がなく、うんちも漏れたりするらしい……こわっ!
「めったにいないんですけど、高齢で産んだりするとあるんです。理由は不明。当然夫婦生活も気持ちよくもないからしなくなります」
「な、なにか妊娠で起きるの?」
うーんと侍医のおじさんは考えながら、
「魔力がどうも関係してるらしいまでは研究されてるんですけどね。この麻痺が起きると年とともに自力歩行も難しくなる。下半身全部の感覚が麻痺してしまうんですよ」
「なにそれ……」
恐怖しかねえ。なんで子ども産むだけで下半身麻痺?
「どこかで卵の殻を作る、産む時の痛みのなさとか、アンの体に備わっている産むための魔力器官が悪さしてるんじゃないかな?と、私は考えてますけどね」
若い、もしくは年齢が行き過ぎてると出産で痛みがあるそうだ。その痛みは魔力が上手く働かないどころか、たぶん神経を攻撃する。楽に産めるけどデメリットが前の世界と違いすぎて怖い。下半身不随になるなんて……
「あなたなら治せるかもしれませんがね」
「ああはい。そうですね」
もしかすると出来るかもだね。でも僕がやるのは神の奇跡に近いやり方だから、治療とは言えないのでは?と言うと、
「そうですね。医者が出来る方法でないとね。神の加護では原因は分かりませんから、出来れは解明したいところです」
「うん。研究で見つかるといいね」
ええと笑うと、侍医は閨の復活は最低二ヶ月、出来れば三ヶ月はしないように。今話したことが起きる場合ありだそう。産んだ後は見た目に変化はなくとも、体にダメージはあるからねって。ちんこ太いから指とは違うと力説。まあね。
「後おっぱい見せて下さい」
「はい」
侍医はサワサワと全体を触り、次に乳首を摘んでグリグリ揉んで来る!痛い!痛いだろ!
「我慢して……うーん」
「クッ…うっ…先生痛いのマジで……とっても…涙出る」
「もう少しですから耐えて。おっぱい出ませんよ」
「ふうぅ……いたい……っなんの拷問だよッ」
「がまん!」
痛みに耐えていると胸が温かくなって乳首が熱い!
「よし!ほらおっぱい出ました」
「へ?」
胸からとぷとぷと漏れてる。白いミルクだ。ほおーすごい。
「今日の日が暮れる頃から赤ちゃんに飲ませて下さい。その頃から飲むようになりますから」
「あの……おっぱい垂れ流しは……どうすれば?」
「はいこれ」
渡されたのはブラ……ブラだよチューブトップ!ってか、いきなり胸が大きくなってる!Bカップはあるだろ!乳首もデカい!
「漏れるから胸当ての間にあて布してね。おっぱいは三ヶ月はあげて下さい。後は牛のミルクで乳母任せでも育ちます」
「はい」
「それとおっぱいは血が作りますから、たくさん食べて下さいね。クルト様痩せすぎだから!ったく。私は太れと言いましたよね?」
「ええ……はい。すみません」
妊娠中にたっぷり太ってないとだめなのに。なんで太らなかったのかとブツブツ。ごめん、現世の知識で食事減らしてた………あはは申し訳ない。母乳が出なくなる頃には体重は元に戻るのにって、侍医の先生にクドクド叱られて、細かく注意事項を教わり、
「では、なにかありましたらお声がけを」
「分かりました」
それとと改まり、遅くなりましたが、
「おめでとうございます。私も旦那様たちのお子様が見られて嬉しゅうございます」
「ありがとう」
ではと出て行って、入れ違いにアンジェやみんなが入って来て今の説明をした。
「ああ、そういう。ノルンによってはキレるかもな」
「うん。エッチなことしてると勘違いする……うん。ありそうですね」
みんな若くて経験のない者ばかりで変な感心をして、うんうんと頷いた。ローベルトは知っててひとりドヤ顔。
「クルトは疲れてるからこのまま寝ろ。食事は運ばせるから」
「はい」
布団を掛けて横になるとアンジェも隣に。なにしてる?仕事に行け?
「ヤダ。今日は休む。ローベルト連絡をしてくれ」
「はい」
そしてみんないなくなり……困った人だね。
「アンジェダメでしょう」
「いいだろ。普段頑張ってるんだから。ふふっお乳の匂いがする」
「漏れてるからね」
ブラをペロンと捲り……大きくなるんだなって。
「乳首も胸も赤ちゃん仕様になるんだ。飲ませなくなると元に戻るらしいけど、乳首は不明。人によるらしい」
「ふーん」
胸をサワサワサワって口に含む。んふぅ……
「アンジェダメ……」
「甘いんだな。牛より濃いし」
「なんの研究だよ!」
「初めてだから全部体験したくてさ」
あん…赤ちゃんはたぶんそんなネロンって舌を動かす吸い方しません!
「もったいないだろ?」
「あなたは育たないでしょ!」
「そうだけどさ。母親とはこんななるんだな」
「ふふっうん」
エロく楽しんでから僕の胸をしまっておいでって。
「ありがとう。クルト本当にありがとう」
「いいえ。僕も赤ちゃん嬉しいんだ。だって僕の子どもだよ。夢に見た僕の子どもなんだ」
僕、実は子ども大好きね。ゲイに産まれたのを少し恨んだりもした。だーって絶対生まれないし、女性を騙したりもしたくなかったからね。
「嬉しいんだ。大好きな人との子どもなんだよ?」
「うんうんそうだな。気が立つだろうが少し寝よう」
「はい」
見た目なんともなかったはずなのに目を閉じるとぐぅと速攻落ちた。出産とは痛み以外は前の世界と変わらないようです。んぐぅ……
「クルト様お手を」
「いや…別に大丈夫だよ?」
「大きなお腹で階段は危のうございますから」
「……はい」
ユルゲンは僕の手を取り、ゆっくりとねって声を掛けてくれ、一段ずつ降りる。
「はい到着。足元に注意してお散歩して下さいませ」
「はい……」
今お腹は中々のサイズになった。ご飯はなに食べても美味くて少し太り、そして屋敷の人の目が痛い。僕を見張っているような、監視してるような感じで常に見られているような。今日はティモが実家の用事で数日お休みで、ひとりでプラプラしてたからもあるんだろうけどさ。
「キツい……メンタルに来るな」
ふらふらと庭師のモーリスを見つけて、精が出るねと声を掛けた。
「クルト様。お加減はいかかですか?」
「うん元気だよ。でもみんなの目が痛いの」
「あはは。仕方ありませんよ。みんな旦那様のお子様を楽しみにしていますからね」
「分かるんだけどさ」
花壇の縁に座って僕はモーリスの作業を見ていた。彼くらいなんだよ妊娠前と変わらないのはね。
「はい。トゲは取ってあります」
「ありがとう」
僕の好きなオレンジのバラ。縁が少し赤い、いい香りのバラだ。
「今が最盛期ですね。このバラは」
「ふーん。次はどれ?」
モーリスは隣の花壇を指さして、
「あちらの花壇の蕾が見えますか?あれですよ。少し黄色みが強いですかね。香りはこれよりもいいんです」
「ふふっ楽しみだね」
彼の育てるバラは香り高い。実家のバラもいい香りだったけど、手入れの問題かこちらの方が強い香りなんだ。
「クルト様の実家は少し山の方ですから、土も気温も違います。そのせいでしょう」
「そんなので変わるの?」
「ええ。植物は繊細ですよ」
そこへローベルトがツカツカ怖い顔でやって来た。
「ハァハァ。どこに行かれたかと探しました。ティモがお休みですから、私がお側におります。おひとりで行動しないようにして下さいませ」
「はい……」
息苦しい。仕方なくローベルトとお庭を散策してから部屋に戻ることにした。庭師のモーリスにまたねと手を振り、お気を付けてと微笑んでくれる。もう少し……おおぅ…生む前に弱りそうだ。だけど、お茶は美味い。
「こちらは料理長特製の焼き菓子です」
「ありがとう」
フォークで小さく切って口に入れる。あっあんまり甘くない。
「でしょう?少しふっくらされたのを気にされてましたから、砂糖を減らしたそうです。減らしても美味しくと研究してくれました」
「うん。とても美味しいよ」
ローベルトは、今までが細かったから今がちょうどいいくらいだけどなあって。
「そうっ言って自分を甘やかすと、デブデブになるんだよ。産めば戻るとみんな言うけど信じてない」
「そうかなあ。うちの妻は戻りましたけど。その後太りましたが」
「なら今から注意する!」
ローベルトも一緒にもぐもぐ。僕は他の貴族のように側仕えを横に置いておくことはしない。一緒に楽しむんだ。いや……ただ単にひとりのお茶が寂しいからだけど。
「そうですか?クルト様は食べてもさほど太らない方ではないですか?」
「うーん……分からん。親戚の叔父に恰幅のいい方がいるし、おば様方も……」
母様の親戚筋はみんな横に大きい……怖い。太ったら……うーん。アンジェ嫌がるかもだから。
「どうですかね。旦那様のお母様はまあまあ大きかったですけどね」
「そうなの?」
「ええ、ほらこの絵の方です」
壁に掛かっている歴代の先祖の絵画。ほほう確かに少し……お父様はアンジェによく似てるな。お母様はクヌート様に似てる。が、お父様はスタイル抜群だ。ここんちアンの子どもいなかったからな。お母様の実家の方はよく知らんし。
「ちょっとくらい旦那様は気にしませんよ」
「そうかもだけどベルント様じゃないけど、かわいくいたい」
「ふふっ確かに。まだお若いですからね」
僕は次の妊娠が出来る頃二十一歳になる。まだまだ……ね。そして夜。
「もうすぐだな」
「うん。後二週間くらい。そういや妊娠の勉強する頃バタバタしてて、僕どうやって赤ちゃんお腹から出てくるか聞いてない。まさか……お尻の穴から?」
プッとアンジェは吹いた。
「そんな大きな卵をお尻からとか、駄目になるだろ」
「だよね。じゃあお腹が勝手にパックリ?」
「それじゃ死ぬ」
面白い発想だなと笑う。そちらはどう生まれるんだと聞かれて、もう体の作りが違ってアンにはちんこはないし、そのような作りで生まれると実演込みで説明した。
「すご……女の人辛くないのか?」
「辛いよ。お腹痛いし、僕は男だから本当の痛みは分かんないけど、お股からスイカ産むみたいな痛みって」
「ゲッ……こちらはそんなのはない。適齢期なら多少の違和感くらいだよ」
「そう。よかった」
魔力が働いて臨月になると卵みたいに産まれる。気が付かないで寝てるうちになんて人もいるくらい痛みはない。
「この花の紋のあたりから出てくるんだ。ふたりの親が触れると殻が溶けて赤ちゃんが出てくる」
「へえ……それもすげぇ」
なんて話してて臨月の頃、朝目が覚めると卵がお腹の前にあった。おいおい僕はどうかしてるわ。寝ながら出産とか。
「アンジェ起きて。早く!」
「んあ…早いな」
「いやね。卵が産まれた」
はっ?とガバッと起き上がり、僕のお腹の前の真っ白な卵を見つめる。
「おおぅ……絶対触るなよ。今侍医を呼んでくる」
「うん」
ローベルト!ローベルトと叫びながらガウンのままアンジェは出て行った。
「卵だ。鶏の卵のビッグサイズのような……いつの間にだな。お腹のバラは消えてるね」
お腹を擦りながら正座して卵を見つめていると、廊下からバタバタと走る足音がして息切れしてる侍医のおじさん。ごめんねこんな朝早くに。
「おお……産まれちゃいましたね。あと二日くらい猶予があるかと」
まあいいと旦那様とクルト様が手を置いて、少し魔力を流して下さいと言われた。ふむふむとふたりで魔力を流すと、スゥーッと殻が消えて赤ちゃんが出て来た。赤ちゃんは空気に触れたら泣き出して、反射で僕は抱き上げた。
「アンジェ赤ちゃんだ。かわいい」
「ああ、俺に似てるかな」
「うん」
スッポンポンで湿っていて、ふぎゃあふぎゃあと泣く赤ちゃんは、僕の知ってる赤ちゃんだった。殻と繋がってたへその緒を切るからよこせと、侍医が抱き上げてプチン。乳母が洗浄の魔法を掛けて、フカフカのおくるみに包んでどうぞって渡された。あったかくて泣く姿すらかわいいと堪能して、
「アンジェもどうぞ」
「あ、ああ……なんと…」
前の世界と変わらない赤ちゃんだ。三キロくらいに見える普通の赤ちゃん。とてもかわいい。
「アンジェかわいいね」
「ああ……ありがとう。俺を父親にしてくれて」
「いいえ。どういたしまして」
アンジェは乳母に赤ちゃんを渡すと僕を抱いた。
「ありがとう……三十過ぎて父になれた。もしかしたらもう無理かもって前は思ってたんだ」
「よかった。アンジェがこんなに喜んでくれて」
言ってなかったが俺たちの母は後妻なんだ。だから俺たちは遅い子どもだったんだと言う。
「父は俺と同じように先妻が病で亡くなり、その人とは子どもはいなかったんだ。だからかな、父は俺たちをとてもかわいがってくれた」
「そっか……」
この子が今のアンジェくらいになるとアンジェは六十過ぎ。まあ普通か。この世界だと少し遅いのかな?
「いや、初めの子としては遅いが、こんなもんかな」
「ならいいか」
クルト様は体を検査しましょう。旦那様たちはどっか行けと言われて追い出されてた。
「ではクルト様は全裸になって下さいませ」
「はい」
パンツも全部脱いで横になるとお腹を押したりちんこを念入りに調べた。
「足を開いて」
「へ?」
「お尻を診ます」
「ああはい」
指がプスッと入ってうねうね。んふぅ……
「気持ちよく感じますか?」
「うん…あっ……」
「ここは?」
「そこは出ちゃ……うよ…ムリッなにすんの!」
「いいから出して下さい」
「んーーっ」
侍医はちんこ掴んで出したのを受けると、手をフキフキ。お尻も拭いてくれた。感じて漏れちゃうからね。てかさ、異様に早く絶頂したけど?なにこれ。侍医のおじさん手練れ……
「異常はなさそうですね」
「ハァハァ……よかった」
たまになにも感じなくなる人がいると説明してくれる。そうなるとお尻の感覚がなく、うんちも漏れたりするらしい……こわっ!
「めったにいないんですけど、高齢で産んだりするとあるんです。理由は不明。当然夫婦生活も気持ちよくもないからしなくなります」
「な、なにか妊娠で起きるの?」
うーんと侍医のおじさんは考えながら、
「魔力がどうも関係してるらしいまでは研究されてるんですけどね。この麻痺が起きると年とともに自力歩行も難しくなる。下半身全部の感覚が麻痺してしまうんですよ」
「なにそれ……」
恐怖しかねえ。なんで子ども産むだけで下半身麻痺?
「どこかで卵の殻を作る、産む時の痛みのなさとか、アンの体に備わっている産むための魔力器官が悪さしてるんじゃないかな?と、私は考えてますけどね」
若い、もしくは年齢が行き過ぎてると出産で痛みがあるそうだ。その痛みは魔力が上手く働かないどころか、たぶん神経を攻撃する。楽に産めるけどデメリットが前の世界と違いすぎて怖い。下半身不随になるなんて……
「あなたなら治せるかもしれませんがね」
「ああはい。そうですね」
もしかすると出来るかもだね。でも僕がやるのは神の奇跡に近いやり方だから、治療とは言えないのでは?と言うと、
「そうですね。医者が出来る方法でないとね。神の加護では原因は分かりませんから、出来れは解明したいところです」
「うん。研究で見つかるといいね」
ええと笑うと、侍医は閨の復活は最低二ヶ月、出来れば三ヶ月はしないように。今話したことが起きる場合ありだそう。産んだ後は見た目に変化はなくとも、体にダメージはあるからねって。ちんこ太いから指とは違うと力説。まあね。
「後おっぱい見せて下さい」
「はい」
侍医はサワサワと全体を触り、次に乳首を摘んでグリグリ揉んで来る!痛い!痛いだろ!
「我慢して……うーん」
「クッ…うっ…先生痛いのマジで……とっても…涙出る」
「もう少しですから耐えて。おっぱい出ませんよ」
「ふうぅ……いたい……っなんの拷問だよッ」
「がまん!」
痛みに耐えていると胸が温かくなって乳首が熱い!
「よし!ほらおっぱい出ました」
「へ?」
胸からとぷとぷと漏れてる。白いミルクだ。ほおーすごい。
「今日の日が暮れる頃から赤ちゃんに飲ませて下さい。その頃から飲むようになりますから」
「あの……おっぱい垂れ流しは……どうすれば?」
「はいこれ」
渡されたのはブラ……ブラだよチューブトップ!ってか、いきなり胸が大きくなってる!Bカップはあるだろ!乳首もデカい!
「漏れるから胸当ての間にあて布してね。おっぱいは三ヶ月はあげて下さい。後は牛のミルクで乳母任せでも育ちます」
「はい」
「それとおっぱいは血が作りますから、たくさん食べて下さいね。クルト様痩せすぎだから!ったく。私は太れと言いましたよね?」
「ええ……はい。すみません」
妊娠中にたっぷり太ってないとだめなのに。なんで太らなかったのかとブツブツ。ごめん、現世の知識で食事減らしてた………あはは申し訳ない。母乳が出なくなる頃には体重は元に戻るのにって、侍医の先生にクドクド叱られて、細かく注意事項を教わり、
「では、なにかありましたらお声がけを」
「分かりました」
それとと改まり、遅くなりましたが、
「おめでとうございます。私も旦那様たちのお子様が見られて嬉しゅうございます」
「ありがとう」
ではと出て行って、入れ違いにアンジェやみんなが入って来て今の説明をした。
「ああ、そういう。ノルンによってはキレるかもな」
「うん。エッチなことしてると勘違いする……うん。ありそうですね」
みんな若くて経験のない者ばかりで変な感心をして、うんうんと頷いた。ローベルトは知っててひとりドヤ顔。
「クルトは疲れてるからこのまま寝ろ。食事は運ばせるから」
「はい」
布団を掛けて横になるとアンジェも隣に。なにしてる?仕事に行け?
「ヤダ。今日は休む。ローベルト連絡をしてくれ」
「はい」
そしてみんないなくなり……困った人だね。
「アンジェダメでしょう」
「いいだろ。普段頑張ってるんだから。ふふっお乳の匂いがする」
「漏れてるからね」
ブラをペロンと捲り……大きくなるんだなって。
「乳首も胸も赤ちゃん仕様になるんだ。飲ませなくなると元に戻るらしいけど、乳首は不明。人によるらしい」
「ふーん」
胸をサワサワサワって口に含む。んふぅ……
「アンジェダメ……」
「甘いんだな。牛より濃いし」
「なんの研究だよ!」
「初めてだから全部体験したくてさ」
あん…赤ちゃんはたぶんそんなネロンって舌を動かす吸い方しません!
「もったいないだろ?」
「あなたは育たないでしょ!」
「そうだけどさ。母親とはこんななるんだな」
「ふふっうん」
エロく楽しんでから僕の胸をしまっておいでって。
「ありがとう。クルト本当にありがとう」
「いいえ。僕も赤ちゃん嬉しいんだ。だって僕の子どもだよ。夢に見た僕の子どもなんだ」
僕、実は子ども大好きね。ゲイに産まれたのを少し恨んだりもした。だーって絶対生まれないし、女性を騙したりもしたくなかったからね。
「嬉しいんだ。大好きな人との子どもなんだよ?」
「うんうんそうだな。気が立つだろうが少し寝よう」
「はい」
見た目なんともなかったはずなのに目を閉じるとぐぅと速攻落ちた。出産とは痛み以外は前の世界と変わらないようです。んぐぅ……
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