月の破片を受け取って 〜夢の続きはあなたと共に〜

琴音

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四章 戦とアンジェ

1 開戦

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 最初の農地襲撃から時々盗賊は現れたけど、その地の私兵で事足りていた。そのうち国も「このくらいなら」手を出さなくてもなんとかなるんじゃないのかな?って漠然とみんなが思い始めていた頃。

「アンジェ帰ってこないね」
「ええ。遅いですね」

 もう普段なら寝る時間なのに帰って来ない。なにかあったのかな?ってティモと話していると、僕の部屋をノックなしでエルムントが駆け込んで来た。

「クルト様!旦那様から城に来てくれと連絡がありました!お支度を!」
「ゔっ…こんな夜中に?」
「ええ。国境に敵兵士が集結しているそうです。松明がたくさんで……夜明けにこちらに進軍してくるかもと」
「分かった。ティモ戦闘服を」

 ティモはグッと喉を鳴らし、はいと返事した。エルムントは、アンジェに指示されていた非常時対応に移りますと僕に簡単な説明をし、部屋を出て行った。ティモは僕とエルムントとのやり取りの間に、嫌だ嫌だと言いながらポロポロと涙をこぼしていた。

「なんで奥様がこんなにも……お子様も生まれて、本当ならお母様を楽しんでいいはずなのに」

 悔しいと泣きながら僕に戦闘服を着せる。神は意地悪だ。クルト様は勇者になりたくてこの世界に来たはずじゃないのに!と叫んだ。そして堪えきれない様子でうわーんと僕に縋りつき、声を上げて泣き出した。

「ティモ……ありがとう。その気持ちが嬉しいよ」
「僕はあなたとお子様に囲まれて……僕の子どもと遊んで…うわーん!イヤだあ」

 今度は対人だからなにが起きるか分からないって、僕の服の襟を掴んで、ズルズルと床に滑り落ちた。僕は仕方なく自分で服を着て、床に伏して泣いているティモの背中に手を置いた。

「ティモ待ってて。僕はあなたと子どもたちの元に戻るよ」
「あっ…クルト様…僕は……」
「大丈夫。前も帰って来たでしょう?」

 ティモは首を横に振り、訓練もされてないあなたが心配だと叫ぶ。

「多少はしたよ?近衛騎士さんとことかでさ」
「そんなの魔法の研究みたいなものでしょ!」
「あはは。そうだけどさ」

 彼の背中をポンポン。ティモのすがる目を一瞥して、行って来るよと声を掛け部屋を出た。ティモはアンらしい考え方をするんだ。分かるんだよ気持ちはね。だけど、今うちの国の白の賢者は僕しかいないんだ。
 廊下を早足で歩き、迎えの馬車に乗る。城からの騎士がすでに乗っていて、説明を聞きながら急いで向かった。到着後は前回と同じ晩餐会の会場は、物々しい戦闘の本部場所に変わっていた。

「来たかクルト」
「遅くなりました!」

 いや、間に合ってるからいいと、地図の前に案内された。

「すまない。だが、前回の反省でお前を早めに呼んだんだ。国境で撤退させる」
「はい」

 ハルトムート様は、敵陣は以前シュタルクとの街道があった森の入口付近に陣を構えている。ここだと指を指す。

「狙いはあの辺りの領地の小麦や家畜。そこを足ががりに、国内の制圧と踏んでいる」
「はい」

 ゲリラのような戦い方をしてくるつもりか、宣戦布告がない。通常なら前もって書簡が来て理由を述べる。そして時間指定があり、そこで口上を大将が上げるのが通常だが、そんなものはないという。だから理由は想像だそう。それにあちらから見れば、我らは軍事力はあってないようなもの。お前たちふたりがカギで、残りは後方支援になる。

「溢れた敵兵を国に入れないためだ」
「はい。かしこまりました」

 ユリアン様はすでに近くの領地に行っていて、陣営の指揮を騎士団長ハンネス様と取っている。そちらと合流してくれと言われた。今回もラムジーの部隊を借りられたから、お前たちにつけると。すると後ろから声がした。

「お久しぶりですね。クルト様」
「うわっラムジー!元気だった?みんなもギー…立派な戦士になったね」
「ええ。二十歳もゆうに超えましたからね」

 懐かしい顔につい僕は笑顔になった。あれからも戦闘があったはずなのに、誰も欠けなかったラムジーの隊はすごいね。

「うちは騎獣の操作が特別上手い者のみ。普段は王家の指揮官の護衛をしてるんですよ」
「へえ、すごい」

 昔なじみに会って嬉しいのは分かるが、すぐにアンジェと向かえとハルトムート様は手をヒラヒラさせる。

「明朝だと我らは考えている。急げ!」
「はい!」

 僕らはラムジーたちと庭に出てすぐに現場に向かい、またもやあまりの速さに死にかけで到着。上空から森を見ると松明がゆらゆら揺れて、その光に照らされて人がたくさんいるのが分かった。

「甲冑を着ている者が少ないな。寄せ集めでしょうか」

 ラムジーの言葉に、アンジェは眼下を見つめながら、

「……多分な。シュタルクに装備が残っていなかったんだろう。出来立てで国の名もない王がいる国もどき。レジスタンスに近いのだろうな。戦術もどう来るか分からん」

 かなり手前に明かりをほとんど消していた、我が軍の陣営がある。まず、ユリアン様たちに話を聞こうと向かった。

「よく来たねクルト」
「ユリアン様はいつも通りお元気で」
「あはは。僕はいつでも元気だよ。それでな」

 こちらへ来いと、真ん中のテーブルに広げられた地図の前に出た。そして彼の話では敵兵はこちらに三千、バルシュミーデに五千、ヘルテルに一万の兵が国境の街道手前にいると順番に指を指す。

「ムカつく。うちを侮ってるな」
「ああ、うちの戦力が弱々で、この人数で事足りると思われてるんだろう」

 あちらも数は多いが統率が取れるかは未知数。国と名乗らぬうちから他国を攻めてくるし、宣戦布告の手順も知らぬのか知っててしないのか。現在までない。ハルトムート様の言ってた通りだな。

「バルシュミーデ、ヘルテルも同じだ」
「このあたりを舐めきってるな。王はどこから来たんだ?」

 アンジェの質問にハンネス様が説明してくれた。

「密偵の話では、北の大国ケンプフェル王国だそうだ。あちらの王位継承の内乱が起こって、惨敗の末放逐された王子らしい」
「王子……そりゃあマズいな」

 アンジェたちの話では、王子はある程度の軍事の勉強をしていたはずで、あちらから王子に味方した貴族も連れてきてるはず。侮れないと言う。

「僕も聞いた時あっちゃあって思ったよ。ケンプフェル王国は大きいだけに軍事力もある。どうやって手に入れたのか、今回騎獣の部隊が少しだけどいるんだよ」
「それはまことか!」

 ラムジーが焦ったように口を挟んだ。

「う、うん。もしかしたらそちらの戦士を捕虜として捕まえて、吐かせたのかもね?」
「な、なんということだ……」

 ラムジーの隊の騎士は驚愕し言葉を失った。あれは国土の貧しい我が王国の、王が苦心して編み出したもの。初代の王は魔法使いとして多大な力を有していた素晴らしい……なにゆえこのようなと歯ぎしりをする。

「今まで盗まれなかったのが僕には不思議だよ」

 ユリアン様がラムジーにだろ?って声を掛けた。

「今まで誰も捕虜にならなかったなんて、ないだろ?」

 無言のラムジーたちに追い討ちで問い正すと、ラムジーは、苦しそうに漏れないのは…捕虜になったら自害してるからだと言葉を絞り出した。

「えっなんで!」

 僕は叫んでしまった。人の命より大切なものなんかないでしょって。するとラムジーは哀しそうな顔をした。僕を悲しみが混じる、憧れのような表情を浮かべた。

「クルト様は幸せに生きて来られたのですね。我らには人より術です。我らの国では術を漏らした者は死罪。それほど大切な、我らの生きるすべなのですよ」

 こうしてこちらに来るのも、あなたの国が参戦の賃金や農作物を護衛の対価で出してくれるから。タダでこちらの国に参戦はしません。タダなら自国の陣に行きますよと言い切る。

「我らの国は作物も人の住むための平地も少ない。荒れ地と勾配のきつい岩ばかり。それを細々と耕して口を拭っているんです。バルシュミーデも似たようなもので、こういった戦に参戦し、稼がないと、食事を口にすることすら難しいのです」

 川は春先の雪解け水だけで夏には枯れてしまう。多少の水の施設はあるが余裕は全くない。ヘルテルは強い魔法使いは多くはなく、騎獣は少ない魔力でも操れるため、生活のために戦士になる者が多い。農業専属の民は少なく、土地だけで言えばこちらの足元にも及ばない、貧弱な国なのですと、悲しそうに笑う。

「騎獣の術が漏れたのならば、我らはその者を始末しなければなりません」

 ラムジーの決意の籠もった言葉に、テントの中はヒンヤリとした空気が流れる。ヘルテルの騎士は強い気持ちで騎士になるんだな。国のため、生活のために、なんて強い人達なんだろう。

「私とアンゼルム様の騎獣以外は、漏らした者の始末、騎獣の術を会得した者の始末に向かいます。どうかお許しを」

 ラムジーが深々と頭を下げる。誰も否とは言えず、ユリアン様は好きにすればよかろうと答えた。

「ありがとう存じます」
「それまではこちらに付いてくれ」
「もちろん。仕留めた後は合流いたします」

 それから僕らは戦術の説明をされて、少しでも寝ろとベッドに入った。ユリアン様らは前もって寝ていたそうだ。なぜかユリアン様がテントに案内してくれて、入口で去り際に、

「いたすなよ。クルト様が弱るから」
「しねえよ!」

 アンジェは怒鳴り返した。布団に入り怒りが収まらないアンジェは、

「俺をなんだと思ってるんだ。ユリアンは」
「緊張させないようにでしょ?」
「ふん、どうだか」

 数時間でも寝ていれば、ポーションで体は持つぞと抱かれて眠り、朝日の登る前に起きた。寝室になっているテントを出ると、ユリアン様はすでに起きていて、ラムジーたちもすでに動いている。

「寝られたか?」
「ああ、どうだ様子は」

 不味いねとユリアン様は笑う。

「何班かに分かれているな。手には剣と弓で戦闘陣形を取り、後ろにはでっかい杖を持った魔道士が何人も控えてた」

 アンジェは渋い顔で、あーあって。

「やはり軍事に長けていたか」
「ああ、僕もボンクラならなあって少し期待したんだけどね」

 簡単に朝の食事を詰め込み、ラムジーたちと打ち合わせ通りに敵の上空に移動。かなり手前だったけど、眺めていると森の木の隙間から何かがキラリと光った。しまった!敵の騎獣が高速で向かってくる!アンジェ!

「下がれクルト」

 アンジェが大量の魔法陣を空に展開、前と下に向かって一斉にファイアーアローを放つ。すげぇ……炎の矢が雨のように降りそそいでいる。

 前の騎獣は矢に当たり落ちて行き、ギーたちが猛スピードで落ちていく騎獣を追う。そして敵の落ちた場所から盛大な爆発音と土煙が上がった。その煙から矢がキラリと光ったのが見えて、僕は防壁を展開し防げた。よかった訓練の成果だね。

「二陣が来る。クルトこちらへ」
「はい」

 ラムジーにアンジェの騎獣に寄せてもらい、同時に攻撃。一度にある程度の戦力を奪うからなって。

「行くぞ!」
「はい!」

 僕も念じて出せるだけの魔法陣を出した。地上から見れば魔法陣しか見えないくらいだろうって数だ。

「ファイアーアロー!」
「シャイニングアロー!」

 一斉に降りそそぐ赤と白に光る矢は、地上に猛スピードで落ちていく。下からはぎゃあ!うっとかたくさんの声がする。

「ギーは無事かな?」
「たぶんね。作戦は知ってますから」

 ラムジーは余裕そうに答えると、ギーたちが戻って来た。

「ラムジー様、ここにいる者は始末しましたが、バルシュミーデ、ヘルテル側にも小部隊がいるようです」
「そうか……ヘルテルはまあいいが、バルシュミーデか。あちらにうちの戦士はあまり行ってないんだがな」

 どうすることも出来ないが、あちらの仲間が始末出来ることを願うと話しを区切り、ギー、地上はどうだと報告を求めた。

「かなり戦士が残ってますね。防御に長けた魔法使いが数人います」
「ふん。想定済みだ。行くぞクルト」
「はい」

 これは矢ではムリかなあと僕は感じた。時間を掛ければそりゃあいつかだけど、そんなことしてたらこちらに死者が出るかもだし。僕は地上に敵しかいないことをギーに確認した。

「我らの後ろにしか味方はいません」
「ありがとう」

 アンジェは先程より矢が太くなって攻撃。僕は矢を全部ミサイルに変更。

「いっけえ!」

 なんですかあれ?とラムジーの声と共に地上は大爆発。こちらまで爆風が吹き上がり、火薬のけむりが、ゲホゲホッううっ相当な高さにいるんだけど喉がやられる。

「なにも見えないなあ。ゲホッ」
「ゲホッなんだあれは。クルト!」
「うん。僕特製ミサイル浄化付き」
「あ?」

 モクモクしてなんも見えないから、僕は風を起こして吹き飛ばすと……あれま。木も人もなんもないけど?でかいクレーターがあちこちで、人の姿がない。あー……やりすぎたかな?

「人はどこかな?」
「クルト……」
「はい……ごめんなさい」

 はあとため息でまあいいと。ラムジーの残りの三人が降りて確認してくれた。地上の後方支援の騎士も散って捜索。この戦闘の間に朝日は昇り、地上を照らし始めると、所々に人を発見。でも手を上げて降伏してるね。

「降りますか?」
「ああ」

 すーっと降りると百人いるかどうか。

「こ、殺さないで!」

 僕らを見ると土まみれで切り傷から出血しながら命乞いをしていて、敵は恐怖にプルプル震えていた。うちの後方部隊が剣を突きつけ、逃げないようにしている。

「他はどこだ」
「い、いません!ここにいるだけでみんな吹き飛んで…分かりません!」

 アンジェが目の前の、普段着に剣と胴着だけの兵に聞くとそう答える。

「嘘つくなよ」
「嘘など!この有り様で生きてるのが不思議なくらいなのに!死体すら見当たらないくらい爆散しましたよ!」

 フン。捕まえておけとアンジェは後方の騎士に命令して、残りは更に捜索。嘘があったら背後から狙われるからね。ラムジーたちは上空を飛び回り探した。が、人の形をしてないなにかはあったけど、死体の数はあってないとヒソヒソ聞こえた……確実にやりすぎた感がある。ここまで威力があるとはちょっと僕も想定外だった。

「クルト」
「はい……ごめんなさい」
「いいんだが、こちらは誰も死なずに済んだしな」

 うーんと考えて、アンジェは捕虜に王はどこにいる?と聞く。

「戦には参戦してないかと。元シュタルクの城にいるはずです」
「ふーん」

 クルリと振り返り、アンジェはバルシュミーデの国境に向かうと宣言。ここから戦闘地域が近いからね。ラムジーたちに乗せてもらい、そちらに向かった。一時間もせずに戦闘地域に到着。激しく戦っているのが見えた。騎獣も数十騎いて、ラムジーの唸り声と歯ぎしりが背後から聞こえる。

「俺が味方に撤退の指示を出すから、よしと合図を送ったら、さっきのを敵にぶん撒け」
「あ、はい」

 アンジェは風魔法を使い、バルシュミーデの戦士にだけ聞こえるように言葉を送る。ほえ……なんて繊細な魔法なんだ。薄い緑の風に見える煙のような筋が、バルシュミーデの甲冑の人に漂う。すると戦士が後方に下がり始めた。

「よし、いいぞ」
「はい!うーっいっけえ!」

 盛大に空に魔法陣。そこから無数のミサイル浄化つきをばら撒く。魔法陣が見えた時点で、バルシュミーデの戦士は全速力で逃げて行く。

「上空で待機!」
「うん!」

 地面に着弾大爆発で……さっきより多く撒いたせいか、爆風で僕らは騎獣ごと吹き飛ばされた。

「きゃああ!」
「しっかり捕まって!」
「は、はい!」

 爆風に耐えていると、アンジェが風を起こし地面が見えるようにして確認。んふふっマズい。木もなにもないかも。後方に下がった騎士も見えねえ……あっいた。剣を構えた騎士たちはクレーターだらけの地面を、呆然としながらも敵の捜索をして、生き残りを仕留めていく。どこにいたのか数騎残っていた騎獣が、猛然と槍を構えウォーッと雄叫びを上げながら、僕らにに向かって来た!

「ふん!」

 後ろのラムジーがアイスアローを飛ばし全て命中。ぎゃあと落ちて行く途中に騎獣は消えて、人はそのままドスンと地面に落ちて動かなくなった。

「我が手で仕留められてよかったです」
「うん……」

 そこに一応なのか、ギーたちが降りて行き剣でドスッとトドメを刺している。

「あの者たちはこの辺りの人種ではありませんね。北の白金の髪、赤い目の……新しい王の国の民でしょう」
「そう……」

 地上では敵はいないと手を振る騎士の合図で、僕らは地上に降り立った。

「ありがとうございます。朝から膠着状態でしてね。それにしてもすごかったですよ。初めてみました。鉄の塊がたくさん降ってきたかと思うと全部爆発ですもの」

 興奮したバルシュミーデの騎士が説明してくれた。ごめんね、詳細は説明できないんだ。うふふっと笑って僕は誤魔化した。そこにアンジェが神に愛された白の賢者の奇跡だと纏めて、みんなほえーって感心して、それ以上突っ込んで来なくなった。これに納得するのもすごい。白の賢者なら当たり前とでも言うかのように彼らは納得してしまったんだ。これを不思議がらない、バルシュミーデの白の賢者はどんな戦い方するのかな……会うのは不安だけど会ってみたいと思った。

「上手く誤魔化したんだ。これ以上なにか言うなよ」
「はい」

 アンジェは感がいいな。まあ、僕の顔になにか描いてあったのかもだけど。アンジェは他の戦闘地域はどこだと聞いて僕らはそちらに向かい、僕が攻撃……一度の攻撃で一割も残らず吹っ飛ばすから殲滅せんめつと呼んでもいいくらいの有り様。生き残りは捕虜として一部捕まえていく。
 日が落ちる頃には、クラネストとバルシュミーデは終戦した。僕らはひとりで百人分くらいの仕事をしているようで、勇者がいると戦闘が早くて助かるとあちらこちらからしたけど、僕は聞こえないふりしていた。後はヘルテルだ。

「そちらの白の賢者は参戦してるの?」

 ラムジーはいやあって苦笑いで参戦はしてますが、最初のクルト様の技ぐらいしか俺は見たことがなく、苦戦してるかもねえって。

「ここから騎獣でどのくらいかかる?」

 アンジェがラムジーに聞くと、早くて騎獣で三時間。ですが、我らは誰も休まず騎獣の上での食事でここまで来ました。クルト様は降りたら立てないほどの疲労のはずだ。無理しても誰も得しないどころか、集中力が欠如して死が近くなる。きちんと休んで明日参りましょうと提案して来た。気が立っててあんまりわからんけど、戦闘に長けている人の言うことは聞こうとなった。なので、みんなでクラネストの陣営に戻ることにしたんだ。





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