86 / 92
最終章 僕が来る前に戻った……のか?
最終話 僕らの新しい始まり
しおりを挟む
アンジェのマイブームは変わらず、激しい快感を楽しんで……るのか?まあ、いいけど。などと、僕は日々お茶会や色んな式典に出席したりしていた。家にいる時は、この世界は紙が豊富ということは本がいっぱいだから、街に本を買いに行ったりして、図書室で読み耽ることが多かった。そしてある日、アンジェの視察について行くと、
「おお……なにこれ」
「お前の神殿だ」
「マジか」
真っ白な神と同等な見た目の神殿で、一軒家くらいの大きさ。ちんまりと町の公民館的な敷地の隅っこに出来上がっていた。中のステンドグラスの前には、僕が魔法省のローブを羽織り両手を天に掲げている像があった。でもお顔がかなり若いかな。
今日はこの村の元捕虜の方たちに視察に来てくれと呼ばれて来たんだ。今まで試行錯誤して、やっと完成したのを僕に見せたいからってね。
「これ……」
「いい出来だな」
「ああ……そうね……」
後ろでは褒めて褒めてってみんなの圧がヒシヒシ伝わる。はああ~……僕を祀ってもなんにも出ないよ。げんなりして後ろを振り向くと、キラキラした目がたくさんで、言葉に詰まった。
「素敵でしょう?あなたの功績を称えました。我らはここで土地をもらい、お嫁さんも迎えられた。どれほどあなたに感謝しているかを形にしました」
元捕虜のみんなで頑張ったそうだ。これを作るためにみんなでチマチマお金を貯めて、術者を雇ってね。この神殿の建物は、特別な術者が必要なんだ。そのお金で、自分たちで美味しいものでも食べればいいのにと僕は思ったけど、アンジェは気持ちは受け取ってやれって。受け取るけどさあ。
「クルト様。我らの国は、跡継ぎ以外の子が他に土地をもらうことが出来ません。周りが険しい山で草木も生えない乾燥地帯ばかりなのです。開拓をしようにも難しい土地なのですよ。てすから、農業をしたいなら他国に行くか、家を手伝うしかありません」
当然おうちは結婚したりして、家族の人数が増えればお金に余裕はなくなる。二子以降は穀潰しのように扱われるそうだ。ひどいね。それにアンは嫁に行けばすむが、ノルンは辛い状況になる。それを救ってくれたのですよって、みんな幸せそうに笑う。ほら見て!こんなかわいらしい妻もと、肩を組んで幸せそうに笑う人たち。
「うん。それに関してはよかったと思う。でもね……僕を祀ってもなんのご利益もないし、僕も出せないし」
そんなもの求めてはいませんよと、みんなあははと笑った。
「俺たちに幸せをくれた白の賢者だと、子どもやみなに伝えるためのものなのです。そのための神殿ですからね」
「そう……」
自己満足ですからお気になさらず!それに感謝はアルテミス様の神殿に行っていますって。うん、本来はそこだね。
「でも、クラネルト王国はアルテミス様の神殿がラングールの領地にしかないんですよ。だから領内で募金活動をしていまして、お金出し合って現在製作中です」
「ふーんどこに?」
あなたのお屋敷の後ろの、町外れの農地です。そこしか適任の場所が空いてなかったからだそう。みんなが行きやすく、ついでに僕の住む屋敷見学も兼ねているそうだ。なんだ?領主の屋敷見学ってと小首を傾げたら、アンジェが、
「神殿が出来れば人も増えるだろ。ワイバーンの牧場兼訓練場も近いし、城下も近く観光するところも多い。そのうち街になるだろうからな。というか俺が今いじってる」
「はあ?」
お前は嫌かもしれないが、国内の民の要望が来てたんだってさ。アルテミス神の神殿は俺も資金を出しているんだ。楽しみになって。アンジェ僕の知らないところで、もう。
「アルテミス様は平時はあんまり気にされる神様じゃないから、ちょっと嬉しいかな」
「だろ?白の賢者の領地以外ではすでに放棄されたり、撤去されたりしていた。あちこちの領地で復活しているらしいぞ」
「へえ。なら少しはみんなに認識してもらえるかな。それは嬉しいなあ」
でしょうとみんなニコニコしてくれた。普段魔獣が襲って来ない理由さえ忘れてる民が多い。また落ち着けば忘れるかもですが、今はブームです。忘れ去られない努力も必要で、そのシンボルがあなただと、みんなが。
この小さな神殿の意味はきっと後々強くなる。私たちはあなたの功績を未来に伝えます!と元気よく……それはいらねえ。アルテミス様だけでいいとは言えなかった。あんまりにも幸せそうで、否定の言葉なんか言える雰囲気もなかったし。
「また来てくださいませ。クルト様、アンゼルム公爵には、本当に感謝しております」
「うん。みんなが幸せそうで僕らも嬉しいよ」
みんなの歓迎を受けて、公民館的なところでお茶をしながら、あの戦の後の話なんかを聞いて帰宅。彼らはアンジェの畑や牧場の一部で雇ったんだ。まだ開拓してなかった場所を農地にして、従業員として雇った。多少人手不足の農地にも行ってもらったりもしたんだ。読み書きの出来る人は、農協に当たる部署にも就職してもらった。
ちなみにエルムントはその手配で大変だったようだ。ワイバーンの牧場というか訓練所も作らなくちゃならないし、ゼェメに魔獣使いはどこに行けばいるかと聞いて遠くに探しに行ったり。でもエルムントは、訓練が終わったワイバーンに乗せてもらったら楽しかったらしく、苦労も吹っ飛ぶと笑っていた。
「上空から見渡す我が領地の美しさは格別でした。青々と茂る麦に野菜。城下は人々の幸せそうな営みが見えました。自分の努力が、ひと目で分かるようで嬉しかったですよ」
「そっか。よかったね」
なんて会話もあったんだ。あんなに嬉しそうに笑うエルムントを、僕は初めて見たんだ。いっつも僕らを叱るか、普段は表情が少ないからね。それが終わってからの引退だから満足ですって。今は孫に囲まれて優雅に家で過ごしているそうだ。僕は視察の帰りに、執務室で報告がてらお茶を飲んでいた。
「なんかあっという間だったね」
「ああ。お前が来てから暇なしでなあ。やっと落ち着いたかな」
シュタルクの最後の足掻きにアンジェは忙しくなり、僕と共に討伐。その後はゼェメの暴挙による戦の対応。終われば国交の準備で城はてんやわんや、ワイバーンの捕まえ方や、育成の指導のための人の配置などやること満載。それもようやく落ち着いたんだ。
「父上、少しよろしいですか?」
「ああ」
リーンハルトが端っこの席から、ここ分からんとアンジェに聞きに来た。ヴィルフラムに聞いてもなんか頭に入らないんだよねって。
「ああこれは……」
リーンハルトは学園を卒業し、ヴィルフラムに付いて領地のことを学んでいる。まずは領地運営とはなんぞやからね。僕も分かってないから、彼らを眺めていた。
「んー……ああっはい。分かりました」
「急がなくていい。確実に覚えろ」
「はい」
リーンハルトはノルンだったんだ。アンジェによく似た青年になった。すぐ下はやはりアン。その下はノルンぽい。
「母様、視察はいかがでしたか?母様の信者は多かったでしょう?」
「あーうん。僕の神殿はいらんかなって思ったけどね」
「あはは。母様に感謝なんですよ。それだけのことをしたのです」
リーンハルトは母様は神に愛された、とても素晴らしい白の賢者です。どこに視察に行っても、あなたのお母様に感謝してますって、民に言われるそうだ。
「そうだけど……僕にしたら当たり前のことをしただけだよ。それがお役目だからね」
リーンハルトは僕の隣に座りそんな母様を誇りに思います。でも俺たちは不安で辛かったのも本当ですと笑う。
「アンが、それも母親になった者が戦に行くことは、みんなよしとはしていませんでした。学園でもお前の母親はおかしいと言われましたね」
「ごめんね」
ノルンのように騎獣に跨り、父上と参戦。敵を殲滅し慈悲も与える。商売にも手を出し領地を潤わせ、ノルンのように表に出るなど、はしたないと同級生に言われたそうだ。……ごめん。
「ですが俺は母様の出自もあるし、あなたの当然の考え方かなあって思っていました。ですから勝手に言ってろと、無視してました」
「ありがとう。リーンハルト」
でも毎回両親が帰ってこないんじゃ?と、幼い頃は兄弟で泣いてました。なにをしているか理解してからは特に辛かった。白の賢者はなんでも出来るけど、加護の力を抜けば個人の力はそんなに強くない。母様は優しいし、少し心が弱っちいから不安でしたって。よく見てるねこの子は。
「それにティモのことですよね?会うことが出来なくなったのは、俺たちも堪えました」
「あの、それはごめんなさい」
後で父上に聞きました。白の賢者はそんな制限もあるのかと驚き、俺は……いいえなんでもありませんとにっこりして立ち上がり、仕事に戻って行った。
「なにか言いかけたけど?」
「うん内緒だ。これはノルン同士の話しだから、母親は知らなくていい」
「ふーん。ケチ」
「ケチとかじゃないんだ。お前ふうに言うなら、父親と息子の男同士の……そのな。色々あるんだよ!」
「ふーん」
この時の言い淀んだ話はずいぶん経ってからリーンハルトに聞いたんだ。そう、彼がお嫁さんをもらってからね。
「母様。俺は婚前の遊びをしないと決めていたんだ。仲間から誘われても全て断り、お嫁さんに自分を全て捧げようとね。あの時言いかけたのはそれ。教育とかは別だよ?」
「へえ、なんで?」
リーンハルトは本当にアンジェの若い頃によく似た姿に成長した。瓜二つって感じなのにおしゃべりで、どこかユリアン様の雰囲気を感じさせるイケメンになっていた。僕の質問に、母様それ聞くの?と照れながら、
「実はさ、万が一、神の何かの都合で、俺に白の賢者の天啓が来ないとも限らないじゃない。まあ、結果俺の天啓はアレス様だけど、黒の賢者の力はいただけなかった」
「うん。気にしてる?」
ああ、それはなあって。もういいんだってリーンハルトは笑った。
「別に俺でなくてもいいから気にしてない。って言ったら嘘だけど、そこは今の話に関係ない。あのさ、父上も母様も潔癖に近いじゃない。それを……その、なんだろうなあ。俺はいいなって思ったんだ。いつまでも仲良くて、ばっかみたいにイチャイチャしててさ」
バッカみたいには余計だけど、そうなるまでには、僕らは苦労もしてるんだよね。
「うん。父上に聞いてる。だから俺もと思ってね」
「ふーん」
なんて話を未来にするんだけど、この時の僕はリーンハルトもアンジェも口を割らず、知らずにいたんだ。
「これで報告書は終わり。ヴィルヘルムあとは頼む」
「お疲れ様でした。旦那様」
「クルト部屋に戻ろう」
「うん」
僕はこの後も幸せに過ごした。アンジェに愛され、子どもたちも順調にお嫁に行ったり、もらったり。僕らの賢者としての功績は、国中で認められていて、その他のワイバーンの導入などもあり、フリートヘルムの領地は近世の礎を作ったと褒め称えられた。王を支えるに相応しい働きをした公爵と、アンジェは尊敬されたけど、当然敵も増えた。
「おはようアンジェ」
「おはよう」
昔の懐かしい夢を見た。リーンハルトが成人した頃か。リーンハルトは、屋敷でお嫁さんと昔のアンジェのようにやりたい放題で目に余る。エルムントの気持ちが今ものすごく分かるね。
「おはようございます。本日は忙しいですよ!」
「ああ、分かっている」
アンジェはだるそうに答える。僕らは朝食を取ったら城下の貴族街に引っ越しなんだ。ローベルトは楽しそうに窓を開け、ほら支度しますから急いでと、僕らを急かす。
「早いものですね。もう代替わりとは」
「だなあ。あっという間だったよ」
領地だけだけどリーンハルトに引き継ぐんだ。本来親が出て行く必要なんかないんだけど、僕らは親世代がいない屋敷で過ごしていたから、なんとなくいない方がやりやすいかなって。近くにはいるし、アンジェは大臣は続けている。ローベルトは不意に窓を開ける手を止めた。
「黒の賢者はリーンハルト様だと思ったのですがね」
「うん……こればっかりは、人の力ばかりじゃないから」
彼は黒の賢者の加護が貰えなかったんだ。三子のエミールに加護があった。だから魔法省大臣はエミールになる。魔力も彼の方が多く、武術の才もあったんだ。だから屋敷と領地はリーンハルト、大臣はエミールとなった。こうなるのは珍しいことでもなく、僕がいい例だね。跡継ぎが必ず賢者になる訳でもない。
ちなみにコンラートの加護は、医神アスクレピオス様だ。なんで?と思ったけど、彼は薬学に興味があったらしく、それでのようだね。今はお嫁には行ったけど、魔法省の管轄の薬学研究所にいるんだ。たまに帰って来て、母様、僕は出産後の下半身麻痺の研究をしているんだって、この間教えてくれた。なんの発見もまだないけどねって。そんなことを思いながら、
「次世代が生まれるとさ。僕は前の賢者は力がなくなるかと思ってたんだけどねぇ」
「俺もそう聞いていたがな」
加護はなくならなかった。父様もなくなった体で動いていたけど、父様も白の賢者だったんだ。なぜ分かったかというと、ヨルク様が次代の白の賢者を連れて、クラネルトにあいさつに来た時に発覚。諸々城のレセプションが終わって僕に会いたいと要請があったんだ。それで歓迎会の宴の前に、城の客間で面談となったんだ。
「なぜそんなふうに伝わったんだ?これは個人が賜る加護だ。重なる時期があって当然だろう」
「「へえ……」」
エルネルトはなぜそのような誤解が生まれたんだ?と逆に問われた。僕も分からん。
「黒も白も国にひとりとそう信じてました。だから誰かが加護を貰えばその人からなくなるかと……なあクルト?」
「ええ。僕も父からそう聞いていました」
エルネストは長い間戦もなかったし、黒の賢者は戦いもしなかったのかと問われたが、アンジェは、はいとしか言えない。そう伝わっていたから。
「どれほどこの国は幸せに生きてきたのやら。羨ましいのう」
呆れたように言われたけど、それがこの国だ。始祖の王が望んだ世界の実現が命題だからなあとアンジェ。ポカポカな陽だまりで畑を耕して汗を流し、貴族も民も仲良く暮らす。村長と村人のような国がいいと始めた国なんだと、ヨルク様に説明した。
「ですから力を使うところがなく、加護の後は天啓もほぼない。親も俺に天啓があった時、自分の加護はなくなったと認識しておりました」
「うちも……だから僕が討伐や戦に参戦してて」
そうかとヨルク様。新たな白の賢者の方、ヨルク様のお兄様の子どもさんで、ジョルダン様も僕らの話に驚いていた。こんな近くの国なのにこれほど違うのは、なんだか自分たちの始祖を恨みますよって。
「まあなあ。我らの国はバルシュミーデもだが、西の戦火を逃れた民からの国だ。見つからないように険しい場所を選んだようだ。こちらはそれより前に力のある王が開国した。その差だな」
二つの国は繁栄した我が国の近くならなんとか出来ると住み着いたけど、その当時の白の賢者にそれほど力がなかった。その後も似たりよったりで土地の活性化が苦手。ヨルク様が得意なだけだそうだ。だから今は昔に比べ作物も採れるようにはなったが、元が悪いためそこそこ。だからうちを頼るのがやめられないんって。
二国はゼェメの領主勧誘には乗らなかったが、空いた農地を借りて飛び地として耕している。もうすぐクラネルトに頼らなくても、自分たちでなんとか出来るところまで目前だそうだ。まあ、地代があるからなんともだけどねと、ヨルク様はガハハと笑った。
「まあなんだ。なにかあったら子を助けてやればよい」
「はい」
なんてことがあったんだ。だから僕らはそのまま白と黒の賢者のまま。僕は時々嵐にやられる実家の領地をタダで復旧に行く。
「ねえねえアンジェ。新しい屋敷は僕らの側仕えとグレゴールたちと少しのメイドさんたちになるよね。どんな暮らしになるかな?」
「変わらんよ。俺の領地の仕事がなくなるだけだ」
「えーっ」
でも俺は早く帰ってくるかなって、家から近いしなって。そうだね!エミールに大臣譲ったらなにする?暇になるよって聞いたら。
「そうだなあ。旅行でもするか?始祖の国、西に行ってみるとか」
「おおっいいね。遠くて中々だけど、ワイバーンなら半年もあれば行けるかな」
「たぶんな」
そんな話をしながら忙しなく支度して新しい屋敷に到着。
「ここがこれから僕のお家か」
「そうだ。こじんまりしたけど二人なら広い」
「うん」
庭は庭師のモーリスの二番目の子がやってくれている。ユリアン様のお庭のようにしてくれって頼んで、ミンミーやリスとか、かわいく植栽を刈ってもらった。お花はオレンジに限らず色々季節のお花を植えてもらった。噴水もガゼボもかわいらしくね。僕はいつまでたっても、かわいい物が好き。
「ほら、見てないで入るぞ」
「うん」
僕らの新しい日が今日から始まる。
「おお……なにこれ」
「お前の神殿だ」
「マジか」
真っ白な神と同等な見た目の神殿で、一軒家くらいの大きさ。ちんまりと町の公民館的な敷地の隅っこに出来上がっていた。中のステンドグラスの前には、僕が魔法省のローブを羽織り両手を天に掲げている像があった。でもお顔がかなり若いかな。
今日はこの村の元捕虜の方たちに視察に来てくれと呼ばれて来たんだ。今まで試行錯誤して、やっと完成したのを僕に見せたいからってね。
「これ……」
「いい出来だな」
「ああ……そうね……」
後ろでは褒めて褒めてってみんなの圧がヒシヒシ伝わる。はああ~……僕を祀ってもなんにも出ないよ。げんなりして後ろを振り向くと、キラキラした目がたくさんで、言葉に詰まった。
「素敵でしょう?あなたの功績を称えました。我らはここで土地をもらい、お嫁さんも迎えられた。どれほどあなたに感謝しているかを形にしました」
元捕虜のみんなで頑張ったそうだ。これを作るためにみんなでチマチマお金を貯めて、術者を雇ってね。この神殿の建物は、特別な術者が必要なんだ。そのお金で、自分たちで美味しいものでも食べればいいのにと僕は思ったけど、アンジェは気持ちは受け取ってやれって。受け取るけどさあ。
「クルト様。我らの国は、跡継ぎ以外の子が他に土地をもらうことが出来ません。周りが険しい山で草木も生えない乾燥地帯ばかりなのです。開拓をしようにも難しい土地なのですよ。てすから、農業をしたいなら他国に行くか、家を手伝うしかありません」
当然おうちは結婚したりして、家族の人数が増えればお金に余裕はなくなる。二子以降は穀潰しのように扱われるそうだ。ひどいね。それにアンは嫁に行けばすむが、ノルンは辛い状況になる。それを救ってくれたのですよって、みんな幸せそうに笑う。ほら見て!こんなかわいらしい妻もと、肩を組んで幸せそうに笑う人たち。
「うん。それに関してはよかったと思う。でもね……僕を祀ってもなんのご利益もないし、僕も出せないし」
そんなもの求めてはいませんよと、みんなあははと笑った。
「俺たちに幸せをくれた白の賢者だと、子どもやみなに伝えるためのものなのです。そのための神殿ですからね」
「そう……」
自己満足ですからお気になさらず!それに感謝はアルテミス様の神殿に行っていますって。うん、本来はそこだね。
「でも、クラネルト王国はアルテミス様の神殿がラングールの領地にしかないんですよ。だから領内で募金活動をしていまして、お金出し合って現在製作中です」
「ふーんどこに?」
あなたのお屋敷の後ろの、町外れの農地です。そこしか適任の場所が空いてなかったからだそう。みんなが行きやすく、ついでに僕の住む屋敷見学も兼ねているそうだ。なんだ?領主の屋敷見学ってと小首を傾げたら、アンジェが、
「神殿が出来れば人も増えるだろ。ワイバーンの牧場兼訓練場も近いし、城下も近く観光するところも多い。そのうち街になるだろうからな。というか俺が今いじってる」
「はあ?」
お前は嫌かもしれないが、国内の民の要望が来てたんだってさ。アルテミス神の神殿は俺も資金を出しているんだ。楽しみになって。アンジェ僕の知らないところで、もう。
「アルテミス様は平時はあんまり気にされる神様じゃないから、ちょっと嬉しいかな」
「だろ?白の賢者の領地以外ではすでに放棄されたり、撤去されたりしていた。あちこちの領地で復活しているらしいぞ」
「へえ。なら少しはみんなに認識してもらえるかな。それは嬉しいなあ」
でしょうとみんなニコニコしてくれた。普段魔獣が襲って来ない理由さえ忘れてる民が多い。また落ち着けば忘れるかもですが、今はブームです。忘れ去られない努力も必要で、そのシンボルがあなただと、みんなが。
この小さな神殿の意味はきっと後々強くなる。私たちはあなたの功績を未来に伝えます!と元気よく……それはいらねえ。アルテミス様だけでいいとは言えなかった。あんまりにも幸せそうで、否定の言葉なんか言える雰囲気もなかったし。
「また来てくださいませ。クルト様、アンゼルム公爵には、本当に感謝しております」
「うん。みんなが幸せそうで僕らも嬉しいよ」
みんなの歓迎を受けて、公民館的なところでお茶をしながら、あの戦の後の話なんかを聞いて帰宅。彼らはアンジェの畑や牧場の一部で雇ったんだ。まだ開拓してなかった場所を農地にして、従業員として雇った。多少人手不足の農地にも行ってもらったりもしたんだ。読み書きの出来る人は、農協に当たる部署にも就職してもらった。
ちなみにエルムントはその手配で大変だったようだ。ワイバーンの牧場というか訓練所も作らなくちゃならないし、ゼェメに魔獣使いはどこに行けばいるかと聞いて遠くに探しに行ったり。でもエルムントは、訓練が終わったワイバーンに乗せてもらったら楽しかったらしく、苦労も吹っ飛ぶと笑っていた。
「上空から見渡す我が領地の美しさは格別でした。青々と茂る麦に野菜。城下は人々の幸せそうな営みが見えました。自分の努力が、ひと目で分かるようで嬉しかったですよ」
「そっか。よかったね」
なんて会話もあったんだ。あんなに嬉しそうに笑うエルムントを、僕は初めて見たんだ。いっつも僕らを叱るか、普段は表情が少ないからね。それが終わってからの引退だから満足ですって。今は孫に囲まれて優雅に家で過ごしているそうだ。僕は視察の帰りに、執務室で報告がてらお茶を飲んでいた。
「なんかあっという間だったね」
「ああ。お前が来てから暇なしでなあ。やっと落ち着いたかな」
シュタルクの最後の足掻きにアンジェは忙しくなり、僕と共に討伐。その後はゼェメの暴挙による戦の対応。終われば国交の準備で城はてんやわんや、ワイバーンの捕まえ方や、育成の指導のための人の配置などやること満載。それもようやく落ち着いたんだ。
「父上、少しよろしいですか?」
「ああ」
リーンハルトが端っこの席から、ここ分からんとアンジェに聞きに来た。ヴィルフラムに聞いてもなんか頭に入らないんだよねって。
「ああこれは……」
リーンハルトは学園を卒業し、ヴィルフラムに付いて領地のことを学んでいる。まずは領地運営とはなんぞやからね。僕も分かってないから、彼らを眺めていた。
「んー……ああっはい。分かりました」
「急がなくていい。確実に覚えろ」
「はい」
リーンハルトはノルンだったんだ。アンジェによく似た青年になった。すぐ下はやはりアン。その下はノルンぽい。
「母様、視察はいかがでしたか?母様の信者は多かったでしょう?」
「あーうん。僕の神殿はいらんかなって思ったけどね」
「あはは。母様に感謝なんですよ。それだけのことをしたのです」
リーンハルトは母様は神に愛された、とても素晴らしい白の賢者です。どこに視察に行っても、あなたのお母様に感謝してますって、民に言われるそうだ。
「そうだけど……僕にしたら当たり前のことをしただけだよ。それがお役目だからね」
リーンハルトは僕の隣に座りそんな母様を誇りに思います。でも俺たちは不安で辛かったのも本当ですと笑う。
「アンが、それも母親になった者が戦に行くことは、みんなよしとはしていませんでした。学園でもお前の母親はおかしいと言われましたね」
「ごめんね」
ノルンのように騎獣に跨り、父上と参戦。敵を殲滅し慈悲も与える。商売にも手を出し領地を潤わせ、ノルンのように表に出るなど、はしたないと同級生に言われたそうだ。……ごめん。
「ですが俺は母様の出自もあるし、あなたの当然の考え方かなあって思っていました。ですから勝手に言ってろと、無視してました」
「ありがとう。リーンハルト」
でも毎回両親が帰ってこないんじゃ?と、幼い頃は兄弟で泣いてました。なにをしているか理解してからは特に辛かった。白の賢者はなんでも出来るけど、加護の力を抜けば個人の力はそんなに強くない。母様は優しいし、少し心が弱っちいから不安でしたって。よく見てるねこの子は。
「それにティモのことですよね?会うことが出来なくなったのは、俺たちも堪えました」
「あの、それはごめんなさい」
後で父上に聞きました。白の賢者はそんな制限もあるのかと驚き、俺は……いいえなんでもありませんとにっこりして立ち上がり、仕事に戻って行った。
「なにか言いかけたけど?」
「うん内緒だ。これはノルン同士の話しだから、母親は知らなくていい」
「ふーん。ケチ」
「ケチとかじゃないんだ。お前ふうに言うなら、父親と息子の男同士の……そのな。色々あるんだよ!」
「ふーん」
この時の言い淀んだ話はずいぶん経ってからリーンハルトに聞いたんだ。そう、彼がお嫁さんをもらってからね。
「母様。俺は婚前の遊びをしないと決めていたんだ。仲間から誘われても全て断り、お嫁さんに自分を全て捧げようとね。あの時言いかけたのはそれ。教育とかは別だよ?」
「へえ、なんで?」
リーンハルトは本当にアンジェの若い頃によく似た姿に成長した。瓜二つって感じなのにおしゃべりで、どこかユリアン様の雰囲気を感じさせるイケメンになっていた。僕の質問に、母様それ聞くの?と照れながら、
「実はさ、万が一、神の何かの都合で、俺に白の賢者の天啓が来ないとも限らないじゃない。まあ、結果俺の天啓はアレス様だけど、黒の賢者の力はいただけなかった」
「うん。気にしてる?」
ああ、それはなあって。もういいんだってリーンハルトは笑った。
「別に俺でなくてもいいから気にしてない。って言ったら嘘だけど、そこは今の話に関係ない。あのさ、父上も母様も潔癖に近いじゃない。それを……その、なんだろうなあ。俺はいいなって思ったんだ。いつまでも仲良くて、ばっかみたいにイチャイチャしててさ」
バッカみたいには余計だけど、そうなるまでには、僕らは苦労もしてるんだよね。
「うん。父上に聞いてる。だから俺もと思ってね」
「ふーん」
なんて話を未来にするんだけど、この時の僕はリーンハルトもアンジェも口を割らず、知らずにいたんだ。
「これで報告書は終わり。ヴィルヘルムあとは頼む」
「お疲れ様でした。旦那様」
「クルト部屋に戻ろう」
「うん」
僕はこの後も幸せに過ごした。アンジェに愛され、子どもたちも順調にお嫁に行ったり、もらったり。僕らの賢者としての功績は、国中で認められていて、その他のワイバーンの導入などもあり、フリートヘルムの領地は近世の礎を作ったと褒め称えられた。王を支えるに相応しい働きをした公爵と、アンジェは尊敬されたけど、当然敵も増えた。
「おはようアンジェ」
「おはよう」
昔の懐かしい夢を見た。リーンハルトが成人した頃か。リーンハルトは、屋敷でお嫁さんと昔のアンジェのようにやりたい放題で目に余る。エルムントの気持ちが今ものすごく分かるね。
「おはようございます。本日は忙しいですよ!」
「ああ、分かっている」
アンジェはだるそうに答える。僕らは朝食を取ったら城下の貴族街に引っ越しなんだ。ローベルトは楽しそうに窓を開け、ほら支度しますから急いでと、僕らを急かす。
「早いものですね。もう代替わりとは」
「だなあ。あっという間だったよ」
領地だけだけどリーンハルトに引き継ぐんだ。本来親が出て行く必要なんかないんだけど、僕らは親世代がいない屋敷で過ごしていたから、なんとなくいない方がやりやすいかなって。近くにはいるし、アンジェは大臣は続けている。ローベルトは不意に窓を開ける手を止めた。
「黒の賢者はリーンハルト様だと思ったのですがね」
「うん……こればっかりは、人の力ばかりじゃないから」
彼は黒の賢者の加護が貰えなかったんだ。三子のエミールに加護があった。だから魔法省大臣はエミールになる。魔力も彼の方が多く、武術の才もあったんだ。だから屋敷と領地はリーンハルト、大臣はエミールとなった。こうなるのは珍しいことでもなく、僕がいい例だね。跡継ぎが必ず賢者になる訳でもない。
ちなみにコンラートの加護は、医神アスクレピオス様だ。なんで?と思ったけど、彼は薬学に興味があったらしく、それでのようだね。今はお嫁には行ったけど、魔法省の管轄の薬学研究所にいるんだ。たまに帰って来て、母様、僕は出産後の下半身麻痺の研究をしているんだって、この間教えてくれた。なんの発見もまだないけどねって。そんなことを思いながら、
「次世代が生まれるとさ。僕は前の賢者は力がなくなるかと思ってたんだけどねぇ」
「俺もそう聞いていたがな」
加護はなくならなかった。父様もなくなった体で動いていたけど、父様も白の賢者だったんだ。なぜ分かったかというと、ヨルク様が次代の白の賢者を連れて、クラネルトにあいさつに来た時に発覚。諸々城のレセプションが終わって僕に会いたいと要請があったんだ。それで歓迎会の宴の前に、城の客間で面談となったんだ。
「なぜそんなふうに伝わったんだ?これは個人が賜る加護だ。重なる時期があって当然だろう」
「「へえ……」」
エルネルトはなぜそのような誤解が生まれたんだ?と逆に問われた。僕も分からん。
「黒も白も国にひとりとそう信じてました。だから誰かが加護を貰えばその人からなくなるかと……なあクルト?」
「ええ。僕も父からそう聞いていました」
エルネストは長い間戦もなかったし、黒の賢者は戦いもしなかったのかと問われたが、アンジェは、はいとしか言えない。そう伝わっていたから。
「どれほどこの国は幸せに生きてきたのやら。羨ましいのう」
呆れたように言われたけど、それがこの国だ。始祖の王が望んだ世界の実現が命題だからなあとアンジェ。ポカポカな陽だまりで畑を耕して汗を流し、貴族も民も仲良く暮らす。村長と村人のような国がいいと始めた国なんだと、ヨルク様に説明した。
「ですから力を使うところがなく、加護の後は天啓もほぼない。親も俺に天啓があった時、自分の加護はなくなったと認識しておりました」
「うちも……だから僕が討伐や戦に参戦してて」
そうかとヨルク様。新たな白の賢者の方、ヨルク様のお兄様の子どもさんで、ジョルダン様も僕らの話に驚いていた。こんな近くの国なのにこれほど違うのは、なんだか自分たちの始祖を恨みますよって。
「まあなあ。我らの国はバルシュミーデもだが、西の戦火を逃れた民からの国だ。見つからないように険しい場所を選んだようだ。こちらはそれより前に力のある王が開国した。その差だな」
二つの国は繁栄した我が国の近くならなんとか出来ると住み着いたけど、その当時の白の賢者にそれほど力がなかった。その後も似たりよったりで土地の活性化が苦手。ヨルク様が得意なだけだそうだ。だから今は昔に比べ作物も採れるようにはなったが、元が悪いためそこそこ。だからうちを頼るのがやめられないんって。
二国はゼェメの領主勧誘には乗らなかったが、空いた農地を借りて飛び地として耕している。もうすぐクラネルトに頼らなくても、自分たちでなんとか出来るところまで目前だそうだ。まあ、地代があるからなんともだけどねと、ヨルク様はガハハと笑った。
「まあなんだ。なにかあったら子を助けてやればよい」
「はい」
なんてことがあったんだ。だから僕らはそのまま白と黒の賢者のまま。僕は時々嵐にやられる実家の領地をタダで復旧に行く。
「ねえねえアンジェ。新しい屋敷は僕らの側仕えとグレゴールたちと少しのメイドさんたちになるよね。どんな暮らしになるかな?」
「変わらんよ。俺の領地の仕事がなくなるだけだ」
「えーっ」
でも俺は早く帰ってくるかなって、家から近いしなって。そうだね!エミールに大臣譲ったらなにする?暇になるよって聞いたら。
「そうだなあ。旅行でもするか?始祖の国、西に行ってみるとか」
「おおっいいね。遠くて中々だけど、ワイバーンなら半年もあれば行けるかな」
「たぶんな」
そんな話をしながら忙しなく支度して新しい屋敷に到着。
「ここがこれから僕のお家か」
「そうだ。こじんまりしたけど二人なら広い」
「うん」
庭は庭師のモーリスの二番目の子がやってくれている。ユリアン様のお庭のようにしてくれって頼んで、ミンミーやリスとか、かわいく植栽を刈ってもらった。お花はオレンジに限らず色々季節のお花を植えてもらった。噴水もガゼボもかわいらしくね。僕はいつまでたっても、かわいい物が好き。
「ほら、見てないで入るぞ」
「うん」
僕らの新しい日が今日から始まる。
20
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる