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プロローグ
3 好みでなくても満足させるさ
しおりを挟むある日の夜。数ヶ月に一度くらい来るお客様。
「キャル」
「はい」
ことが終わって彼を腕枕。一晩の客は休憩を挟みながらするんだ。さすがの僕も休み無しはキツい。
「うちに来ないか」
「え?」
「愛妾としてさ」
「はあ……」
「サクディータ」の評判を聞きつけ、城の領主会議の帰りに寄ってくれるようになったラインハルト様。表向き彼はノルンと認識されている伯爵だ。彼の家はラインハルト様以外産まれなかったんだよね。母上様が高齢の出産でさ。
「旦那様がおられるでしょう。まだ新婚なのに何をおかしな事を。んふっ」
僕から視線をそらせ、吐き捨てた。
「あれは家の存続のためだけの夫だ。愛情は交わってもあまり湧かなかった。セックスは下手だし」
「あはは……はぁ」
なんて言えばいいの?僕は行きたくない。好みじゃないんだよね、ラインハルト様。
神経質そうな見た目で、細身で文官の見本の様な方。
「なあ来てくれよ。給金はここと同等には払うからさ」
「あ~……ごめんなさい。ここ気に入ってるんですよ」
「俺だけは嫌か?」
「うーん……」
あなたが嫌とは言えないからなあ。
「このままで。たまにいらして下さいませ」
「なんでだよ」
僕は困った顔をしたはずだ。
「ありがたい申し出ですが、僕には過ぎた申し出です。ここくらいが丁度いいんですよ」
「ふん」
彼はぼんやり天井を眺めていた。
「そうか。気が変わるまで声は掛けるさ」
「はい」
変わらないよ。
客でなきゃ抱きたくないタイブだし。僕の好みは、ふんわり笑顔がかわいらしく、マッチョ過ぎず、柔らかい筋肉でさわり心地のいい人。必須はセックス好きであることだけ。たまに客にいて……思いつくのはサイオスだね。毎回気持ちいいんだ。
「休憩は終わりだ」
僕の乳首を吸い出した。
「僕がしますよ」
「俺がしたい気分なんだ。させろよ」
「はい……あん」
この人も自分よがりのセックスなんだ。自分がしたい事のみ。相手の反応など眼中にはなく、乳首を吸いながら手が僕をまさぐる。今ひとつ気持ちはよくない。相手と気持ちよくなろう、してあげれば自分も気持ちいいを知らないのだろう。きっと旦那様が下手なのは同じだからだな。
「あっんんっ……ふうん」
「乳首好きか」
「あんっ好き」
好きだけどね。でもサイオスの吸い方の方が気持ちいいかな。なんて思いながら長い事愛撫され続け、僕はアンアン喘いだ。嘘くさいと評判の僕の喘ぎに喜ぶということは、そういうこと。
「入れてくれ」
「ハァハァ…うん」
嘘臭く喘いでいるのにも飽きた所だったからラッキー。僕は彼を跨がせてズブリと押し入れた。興奮してたからかな?彼は入れただけでドプドプッと吹き出す。愛液で中もビチョビチョ。
「うんぐぅ……っく」
小刻みに震えてビクンッと。中いいよ。
「ラインハルト様動いても?」
「ああっしてくれぇ」
僕に跨る彼の奥に突き立てるようにズクンと。くうっ気持ちいいっ堪んねえ。イッてビクビクしてる肉に無理やり押し込むこの快感はやめられない。
「キっキャっキャル!アンっ゙待っ…てグッ」
「待てません!ほらっ!」
「うわああ!でちゃうぅ~いい…っ」
「たっくさん出して!ちんこもね」
彼のを掴みくちくちと擦った。
「いや~ん!とまんな~いぃ~」
「ラインハルト様最高だ!」
僕のを強く締め付ける。あは~ん堪んない。こちらが主導権を持てばこの人の締付けはいいから……ああ……気持ちいい……出そ……
「キャルッダメ!ああ~っくうっ壊れちゃうぅ~ん」
「たまにしか来れないんだから楽しんで!」
「やめてぇ~気持ちいいぃ~」
僕は強い快感に逃げるような動きをする腰を掴み、逃がさないようにズンズンと打ち付けた。
「もっとぉ~奥にぃ…あは~っヒィッ!」
力強くドンッと何度も。ビクビクうねうね。彼は出し続けている。僕もこの刺激はもたな……
「くぅっごめんなさい!ぐっ!クウッ」
奥にグリグリと擦り付けるように押し込む。僕の射精にブチュブチュと溢れてラインハルト様はもう跨っているのが精一杯のようだ。腕を掴んで支えていた。
「ああん……中あったかい……ハァハァ……堪んない」
「ハァハァ……満足出来ましたか?」
「うん……キャルのちんこはいい…」
少し腕を緩めたらスルッと腕が抜けて、バタンと後ろにひっくり返った。え!?どこかぶつけたかも?意識がある?
「ラインハルト様?」
「ハァハァ……うっんっ……」
僕は起き上がり這って頭の所に行って様子を確かめた。
「ラインハルト?」
「あんキャルぅ……」
ホッとした。ベッドの縁に頭とかぶつけたのかと思った。
「まだする?」
「水飲む……ハァハァ」
「はい」
ベッドの横の水差しから汲んで抱き起こして飲ませた。
「んっはあ……落ち着いた」
僕も飲んでグラスを戻した。あーよかった。この人好みではないけど、穴は最高。
「もう朝ですけど少し寝ますか?」
「あ?もう?」
「ええ」
僕の声がけに真顔になり、ゴソゴソと僕の腕から抜けてベッドにより掛かりぼんやり。
「もう帰らないと。朝食後の出発なんだ」
「そうですか。ウォッシル」
ザザァと水が舞い僕らを流した。
「ありがとう。さっきの話し真面目に考えてくれ。この快感は捨てがたい」
「ありがとう存じます」
ベッドから降りて僕の方を向いて立った。
「着せてくれ」
「はい」
彼に服を着せ終わると部屋を出て、お付きの者に引き渡し玄関ホールへ。
「またのお越しをお待ちしております」
僕は深々と頭を下げた。
「ああ、城に来る時は必ず」
客が帰るには少し早くて僕らだけだった。ラインハルト様はお付きの者と馬車に乗り、足早に店から離れて行った。僕は両手を上げてうーんと背伸びした。
「ふわ~っねむ」
あくびが出るね。後ろから聞き覚えのある優しい声。
「相変わらずキャルの客は個性豊かだね」
その声に僕は振り向きにっこり。
「おはよ。ヨーゼフ。君の客も帰ったのか?」
「うんさっきね。夜中に飲んだくれて来てね。酔いが覚めたら奥様にバレたら叱られる!ってバタバタ逃げるように帰ったよ」
「ほほう」
ノルン属性あるある。飲むとしたくなる人多いんだ。
「お前控え室に行く?」
う~ん。僕は頭をガシガシ掻いた。
「いや、食堂でサンドウィッチ貰って自室に行くよ。くわ~眠い。客がよくて疲れた」
「そうか。じゃあ俺は少し寄ってから部屋に行くから途中まで一緒に行こうぜ」
「うん。疲れたぁ」
「俺もだ。ホレ見てよ。齧られて血まみれ」
襟をはだけさせると歯型や引っ掻き傷で白い肌が台無し。
「うわっ!ヒール」
僕は治してあげた。
「ありがとう。俺ヒール使えないんだ。水属性でさ」
「僕は光属性だからね。他はぜんぶ生活魔法程度だ」
お前が羨ましいよって微笑む。かわいいんだヨーゼフの笑顔はね。
「ここでは癒やしが最強だもの。俺の魔法なんてここではなんの役にも立たないから」
「そっか。なんか育てるとか?」
「面倒くせえよ」
そんな話しをしながら食堂に行き、サンドウィッチをお皿にもらってヨーゼフと別れた。
「うん。美味いね」
サンドウィッチを食べながら歩いた。行儀悪いけど、部屋に付いたらすぐ寝たかったんだ。ちんこが満足できたら眠くてさ。
クセの強い客は多いけど、その分締まりのいい人も結構いるし、乱れて楽しませてくれる人もいる。この仕事は僕にとっていい仕事だよ。セックス好きには天国だ。最後の一切れを食べる頃には部屋に着いた。
扉を開けてテーブルに向かい皿を置いて、用意されているシードルを飲んだ。
「ああ美味しい。この甘いりんごの香りがいい」
僕は今一人部屋。誰もいないのも最初はなんか変な感じもしたけどもう慣れた。
なんだかんだ毎日楽しいなあ。う~んっくはあ……背伸びして布団に潜り込んだらすぐ寝てしまった。ぐう。
なんて楽しく日々を送っていたんだ。あの日までは………
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