緑の竜と赤い竜 〜僕が動くと問題ばっかり なんでだよ!〜

琴音

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四章 どうしてこなるんだ

5 わからないことの不安

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 月日は過ぎてエミリオも王都の学園に行き、二人っきりの城。

「静かになったな」
「うん。子どもがいるだけで賑やかだったから。まあトリムたちがいるから完全に静かとは言い難いけど」
「まあな」

 おいでと抱き寄せられて胸に収まる。どうするって聞かれた。なにと聞くと、子どもだよって。夜布団の中でロベールはチュッと頬にキスしてくれる。

「ハイネは無理って言ってんだろ?」
「うん。ロベールをいじればありだけど、火竜の力が不味くなる」
「そりゃ困る」

 僕はロベールに今の伯爵家の進捗しんちょくを話した。父上は母上を説得し、身内と協議して子どもの量産計画の真っ最中。特に西の端の男爵家や東の身内が強く騒いだ。農業と鉱山に特化した地域の身内が子どもが欲しいって。自然も人災も多いからいちいち城に連絡しなくてもいいようにしたいってさ。そんで父上はそのお家に相談に行ったら、そこのオヤジ、自分の子どもを差し出したんだよ。父上ドン引き。

「そこまで切羽詰まってたか?」
「いいえ、確実に竜を手にと領主の男爵が暴走しただけ。お嬢様まだ成人したばかりで、男爵の隣で震えてて見てらんなかったってさ」
「だろうな」

 結婚をこれから控えてる成人したばかりのお嬢様で、側室になるなんて考えもしないお年頃。そんな経験のあるお嬢様を今後もらってくれる人を探すのは不可能になるかもしれない。父上はその日は帰って母様ともう一度相談。母様は侍医に相談してもう一人産むことになったらしい。

「え?お前の母上モーリッツとは歳は離れてたけど、もう大分お年じゃなかったか」
「うん。兄様を一七で産んで僕を二十で産んでる」

 それ無理だよとロベール。うん僕もそう思ってすぐに辞めろって手紙書いてそれは白紙になった。

「よかった」
「だから希望された方のみにしてるそうです。それでも倫理観としてはマズい方も混ざってるけど、お家のためとご夫婦で相談された方とかね」
「うん……それがいいと思う。王族もなくはないやり方だ」

 後は兄上をなんとかするのが早そうなんだけど拒否をしているんだよね。ハイネは僕は別にいいけどと乗り気だったけど、兄上はなあ。

「俺はもう一人いてもいいが、急がなくてもお前とモーリッツがいるから、西はモーリッツ、東はお前で間に合ってる。次世代に賭けようぜ」
「そうだねえ。今生まれた子を兄上の子どもの誰かがお嫁にもらえばいいんだよね。もしくはその先か」

 そうだなあって。火竜の力は今すぐ無くならないから、ロベールはそれでいいよって。

「父上は焦り過ぎなんだよ」
「不安なんだろ。モーリッツも年だし、火竜も俺しか本来の炎を吐けないから」

 そうだけどさ。精霊が守ってくれるのは僕の生きている間だけ。その後はハイネやディオに要相談だからね。僕は自分の内側に話しかけた。

「ねえハイネ。僕ら人が敵にならない限り精霊に味方でいてもらうことは出来ないの?」
「それはもちろん。でも力を貸すのはその時の状況だね。全面的に味方になることは出来ないかもしれないんだ。僕らは人とは考え方が違う。この国がこの森にあることで僕らに悪い影響を及ぼすなら……だね」
「そっか」

 それ以外なら手を貸すし、だから君たちに力の引き出し方を教えた。もし、君らの呼びかけに僕らが応えなかった時、それはこの国が精霊にとってよくない状況ってこと。その時は逃げなさいって。この国が終わる時だからねって。

「森の維持の方を取るってことだよね」
「うん。それが僕の役目なんだ。仲間を守るのが王だからね。森が焼けたりが困るとかじゃないんだ。説明しにくいけど、精霊が生まれない土地になることが困るんだ」
「そんなことになるの?」

 僕が黙ったからロベールはどうしたって。

「ちょっとハイネに相談してた。少し待ってて」
「うん」

 ロベールはなら勝手に触って待ってるって。それはやめろ。えー……ケチって。ケチじゃない。

「相変わらず仲が良くて嬉しいよ」
「ありがとう。でもさ、精霊はどこからでも生まれるんでしょ?」
「そうでもない。、人の街からは生まれないんだよ。穢れた土地の草木からは生まれない」
「そうね……」

 ハイネは精霊は人を穢れと言うけど、悪い意味ではなく人族や獣人、魔族などの魔力で染まった土地がダメなんだ。それはもう君たちの土地になる。もう僕ら精霊の力が及ばず、新たな命を生む力がなくなる。たとえ森を再生しようが、そこはもう精霊の森じゃないと言う。人々の力が土地に染み込むからねって。

「よくわかんないけど、人の臭いがつくみたいなもの?」
「そうだね。その臭いは僕らには毒。だから僕は死んだんだよ。魔素の問題ばかりじゃないんだ」
「そっか……ならそう考えるのも仕方ないのか」

 人と交わるとその臭いが体中に回る。するとゆっくり体を蝕んでいく。トリムのように人の世界で食べて住んでいるだけじゃ死んだりはしない。人の臭いがついても森に帰れば復活する。そんな生活を何百年もすればいつか無理になる。だから人とは契約があってその人の寿命までなんだよって。エルフたちとは住む環境が同じだから長く一緒にいられるそうだ。ふーん。

「だから手つかずの森を守りたいんだね」
「そう。今はまだたくさんあるけどいつかそんな時は来る。だから、約束は出来ない」

 話した内容を乳首に吸いつくロベールを引っ剥がして話した。

「ふーん。森がすぐ街になるなんて考えられないな。人もそんなにいないし、森がないと肉に困る」
「そうだけど、いつかそんな日が来るのかもね」
「そんな時とは何年先だよ。俺が思うに千年は軽く掛かるだろ。どれだけこの大陸に人の住まない土地があると思ってるんだ」
「ほとんど森か山かな。あと少し砂漠。北は雪や氷に埋まってる」

 だろ?ってことはハイネは永遠に俺たちの味方。彼らに見限られないように、森に手を出さず生活することの方が大切だよって。確かに。

「エッチするなら僕は眠るよ。またね」
「ありがとうハイネ」

 そしてロベールは、話しはまたなとパジャマに手を入れる。

「一番いい時期に失踪してたんだ。こんな……」
「うっ…くぅっ……っ」

 右の乳首を強く摘んで捏ね、反対に吸い付き舌の先が刺激する。んうっ

「アンはこのくらいの歳が一番誘う体になる。それを……ムカつく」
「なに言って?」

 こっちの話しだ。脚開けって言いながら全部脱がした。

「ふふっ少し痩せたが……堪らない」
「え?」
「毎晩抱いても足りない。発情など関係ない。いつでもリシャールは俺を誘う」
「は?」

 ここも俺に興奮してくれて硬いしと手を添わせ、ここもと香油を手に取り指を入れる。

「気持ちいい?」
「ハァハァ……いい」
「よく見たい」
「ふえ?」

 僕の脚を開いたまま指で責めてくる。前も先を捏ねながら……ンっくっ……っ出るッ恥ずかしい格好で余計に。

「出ちゃ……イクっ」
「イケばいい。出せよ」

 なんかこの格好恥ずかしい。目が開けられない。あっうーっ

「果てたな」
「ハァハァ……明かり消して。見られるの恥ずかしい」
「消したら見えないだろ。お前も俺を見てくれよ。俺はどんな顔してる?」
「え?」

 僕は目を開けてロベールを見つめた。相変わらずのいい体で興奮して頬を赤くしてる。見つめる瞳は……

「欲しそうな顔してるだろ」
「うん」
「いつも欲しいんだ。リシャールをいつも……誰にも渡さない。国として考えれば緑の竜は多い方がいい。早くたくさんいた方が国のためになる。だが」

 ロベールは自分のを掴み僕に押し込んで覆い被さり、僕の両手をしっかり握り唇が重なる。

「俺は弱い。お前がいないなど考えられないし、他の者と共有などありえない」

 腰を振りながらお前は俺のものなんだ。誰も触れてはならない。今後誰にも触れされないと首筋に噛みつく。アーッ

「ロベールッロベールもっと噛んでッ僕はあなたの……アーッ」
「煽るなよ。抑えられなくなる」

 発情期でもないのに激しい。強く抱き締め腰は止まらず、何度射精しても萎えず責め立てる。お互いの匂いに酔い興奮は収まらずに噛まれるたびに僕も果てた。でも足りなくてロベールが自分のものと感じたくて噛んだ。

「ふふっ噛まれるとなんか嬉しいな。お前も俺が欲しいんだと思えて心が満たされる」
「ごめんなさい痛い?」
「いや、気持ちいい」

 ロベールは愛されてるのは分かってるんだが、お前からのねだりは心が充たされ支配欲が強くなる。そして強く守りたくなる。体を重ねることはそれを特別感じて幸せなんだと言う。

「ぼ…くもだ…よ…」
「うん。こんなになって俺を喜ばせるからな」

 時々言葉を交わしたけど、ほとんど喘いでいるだけで交わることに集中した。触れる手は優しく、噛まれる痛みは独占欲を感じた。嬉しくて涙が溢れロベールと何度も名前を呼んだ。

「ハァハァ……ロ、ロベール。僕もうなにも出ない……」
「ああ……俺もムリ……ハァハァ……」

 発情期でもないから体力ポーションも用意してなくて、息は上がるし整ってもだるい。僕はロベールの上で動けない。

「ごめん。なんかハイネにムカついて」
「それは当然だろうけど……」
「そう言うんじゃなくて……俺がリシャールを抱く時間を奪われたのがムカつく」
「ああそっち。僕もそれは思う。隣にいられなかったのは寂しく思う」

 お前が思ってるより俺は寂しかったと顔を見せろと言う。手をついて起き上がり、僕の目を見つめて強い喪失感で苦しかった。帰ってくると信じてたけどそれが揺らぐ時もあった。もしかしたら精霊ではなく、魔物に襲われたんじゃないか、精霊が無理させて死んでるんじゃないかとか、そんなことを考えたりもした。俺がどれほどの悲しみでひとり泣いていたかお前は知らない。エミリオにもリーンハルトにも見せず、強い父のフリして頑張った。とても苦しかったんだと、頬に涙が伝う。

「ロベール……ごめんなさい」
「お前が悪いんじゃない。相手を思う愛情を俺たちは甘く考えてたんだ。それは人も精霊も関係ないと分からなかったのがな」

 精霊の愛は薄いと人々は思っていた。人から見ればあっさりした愛情で、ドライに動いているように見えていたんだ。それがそうでもない者がいると今回初めて知った。僕はロベールの頰を伝う涙に自分も辛くなった。こんなに大切に思ってくれてる彼を悲しませた自分が許せない。彼の頰に手を添えて、

「ごめんね。泣かないで」
「うん。もうどこにも行かないでくれ」
「はい。ずっとお傍にいます」

 明日は休みだからこのまま寝ようって。今度はコンソールの明かりを消してくれた。暗くなるとカーテンの隙間から、月の青白い光が漏れている。

「ロベール愛しています。誰よりも愛しています」
「うん。俺も」

 翌日はお休みだからとふたりでゆっくり過ごし、その次の日僕は恨みつらみを書いた手紙を父上に書いて出した。これ以上ロベールを苦しめるのならば、父上でも許さんと。僕はもうロベールを悲しませることはしたくないんだ。あんな涙を溢させたくはない……





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