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一章 お、おれ?
7 過ぎた恋人だったんだ
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あの日の話し合いで、とりあえず俺は納得することにはした。まあ、考えても先なんて分からないもんなってね。
その後もいつも通り、毎週和樹に予定がなければ遊びに来ていた。平日も時間があれば、夕飯食べたり楽しく過ごしている。
でもねぇ、出来る人は多趣味だよね。俺は美術館に付き合ったり、演劇観に行ったり。俺にはない趣味ばかりで、行きつけのバーとかも違っておしゃれだ。
知識量も半端なくて、なにを質問してもきちんと全て答えてくれる。彼は俺のなにがよくて一緒にいるんだろうか。その疑問は日々大きくなっていって、モヤモヤは膨れ上がっていく。
愛されてるのは感じてるけど、卑屈……とは違うのか、俺は凄いなあって思うだけになっていた。心になにか負の感情の澱のようなものが溜まってて、もういつ溢れてもおかしくない。俺はソファでコーヒーを飲みながら、
「ねえ、俺のどこが好き?」
「うーん?」
考えてるふうな「うーん」ではなくて、楽しそうに「う~ん(笑)」だ。
「智は時々聞くよね」
「だって……」
「だってなんだよ」
俺といて楽しいか?そりゃあセックスはこれでもかってくらい気持ちいいし、和樹もだろう。でも俺そんくらいしか価値がない気がする。彼よりかなり若いのは確かで、体力があるから絶倫の和樹に合わせられるし。それ以外になにかある?全部劣ってるんだよ。和樹より秀でてるものなんかないもん。
「あのさ。俺は和樹にとって「セックス」しか価値ないような気がするんだ」
「はあ?」
「そうでしょ?他に価値あるの?俺なんにも返せてないし、俺の良さなんか言えないでしょ?」
俺は和樹に……こんな気持ちを持つとかどうかしてるのは分かってる。でもこんな卑屈な気分になったのは初めてなんだ。
学生時代は恋人と呼べるのか怪しい人ばかりで、セフレと恋人?友だち?の境みたいな人ばかり。だから前の人は「初めて恋人だ」と胸はって言える人だったんだよ。
恋愛経験が乏しくて、この気持ちが何なのか分からない。なら嫌われるんなら早いほうがいい。彼も新しい恋人を見つけたほうが建設的たし、こんな卑屈なやつが隣にいるのも嫌だろう。
俺は和樹好きだけど、何もかも見劣りする自分が嫌いだ、辛い気持ちが大きくなって崩壊寸前だよ。離れるのは寂しいけど、俺には過ぎだ人だったんだ。
「……お前何言ってんの?」
「あ、うん……」
マグカップを両手に持って見つめた。だって和樹と俺はどう考えても釣り合ってないんだよ。薄々わかってはいたけどさ。だからもういいかなって、今まで思ってたことを全部話した。
美術館も映画の好み、食事のこと、洋服のこと。上げればキリがないけど、違いに驚き、自分の足りなさを実感したんだと。
これを言うのが怖くて、自分に合わせて貰うのもなんか違う気がしてて黙ってたけど、この先これでは無理だ。
あーあ……同じ会社だから能力なんて似たり寄ったりだろ?とか思ってた、バカな俺を殴りたい。
「智也、本気で言ってる?」
「うん。俺は和樹みたいにはなれない」
せっかくの休日の午後。普段なら出かけてる時間なんだけど、気分が乗らなくて部屋にいたいって頼んだんだ。自分の気持ちを立て直す手持ちのアイテムもなくなって、和樹の笑顔も辛く感じてね。今日はベタベタしちゃダメな気がして、隣にただ座っていた。
「なんでそんなふうに考えるんだよ。僕と合わない趣味なら、俺は無理と言えばいいだろ。俺はこれがしたいと提案すればいいじゃないか!」
正論だね。その通りでなにも反論はない。
「うん。それが正しいと思うよ」
「ならなぜしないんだよ!」
「好きだからこそ出来なかったんだ!嫌われたくなかったんだよ!」
俺がしたいことなんかたかが知れてる。和樹にとっては楽しくもなんともないだろう。
正直俺は好きな人が「同じ価値観」で隣にいてくれれば、どこにもいかなくても幸せを感じるくらいなんだ。家でいちゃいちゃ抱き合ってるだけでもいい。
だけど和樹はアクティブに色んなことを外に求め、共感してくれという人。それは会社での雑談で知ってて、実際に彼は行動に移す。みんなの話で知らないことは本気で食いついて、不明を埋める。
「なんだろうね、趣味ばかりじゃないんだ。考え方のクセとか諸々全部だよ」
「な……ッ」
彼は俺には眩しすぎた。三十半ばとは思えない落ち着きと、勉強が趣味みたいに色んなことに興味を持つ姿勢とかね。俺もないわけじゃないけど、常にアンテナ張って自分を高めようとしているように俺は感じていた。
「俺は和樹の側にいれば色々学べるし、あなたに恥ずかしくない人になれるかと思ったんだ。背伸びにも意味があるかなってね」
話しながら横を向いたらヒッ!顔が怖くて喉から変な音が出た。
「誰が僕みたいになれと言った?そんなものは求めていない!」
「で、でも……俺は和樹に恥かかせるようなことしたく……」
「黙れ!そんなこと思ったこともない!」
俺の言葉にかぶせて否定された。なんでそんなに怒るの?俺間違ってる?そう聞くと全部間違ってる!と怒鳴った。
「僕は智也のそのままが好きなんだ。花がほころぶような笑顔に惹かれたんだよ」
「え?なにそれ…」
智也、お前が思っているよりずっと素敵なんだと言われた。人に何かしてもらえば素直にありがとう、ごめんなさいがきちんと嫌味なく言える。これは大人になると出来ない人が多いんだよって。
言い訳先行で心からの謝罪が出来ないからミス連発、仕事が出来ない人に上から目線で見下す発言とねと。うちの会社はそんな人が多いそうだ。パワハラギリギリの嫌味を言う人がね。
俺の素直さを感じて、そのうち俺自体に興味が湧いて好きになったそうだ。
「和樹は優しいよね。俺は自分の能力の限界を知ってるんだ。だからあんまり裏とか考えないようにしてて、言葉のまま受け取るようにしてる。それを純粋と取ってくれてるんだろ?でもそれは違う。考えても無駄なことはしないだけ。他人に興味がないとも言うね」
「そんなことない!それはお前のいいところなんだよ!」
和樹がイライラしているの俺は初めて見た。ごめんね、俺はこんななんだよ。猫とかペットならかわいいんだろうけど、俺は和樹にとってそれ以上にはなれないんだ。
怒りとイライラを隠さない和樹を見て、怖さより申し訳ない気持ちしかない。あの時勢いで「うん」と言わなければよかったと後悔した。付き合ってる間は不安だったけど、隣にいると安心出来る心地よさもあったんだ。こんなに好きになる前に言えばよかった。
「ごめんね、俺帰る」
「なんで帰るんだよ!僕の話は終わってない!」
立ち上がった俺の腕を掴んで引き止めた。
「もう無理だろ。和樹も分かってるでしょ?俺を恋人にしてても意味ないって感じてるでしょう?セフレにしかならないヤツを「恋人」とは呼ばないよ」
「なに言って……僕はそんなこと感じたこともない!」
「和樹、手を離して」
「いやだ!僕の話を聞いてくれ!」
こんなに感情をあらわにしてる和樹は見たことなかった。俺は思ったよりは愛されてたのかな。本当にありがとう。俺は力一杯手を引き抜き、カバンを持って玄関に向かった。
「待てよ!」
「和樹にはもっといい人いるよ。これからも仕事ではいつも通りお願いします」
「ふざけんな!」
後ろから抱きしめられた。ふふっこの体温と体は大好き。でも俺には過ぎだものだったね。諦めの感情が大きくて涙すら出ない。大好きだったのにさ。こんなに引き止められて嬉しいのに。後から哀しみが来るのかもね。
「離して和樹。今までありがとう」
「いやだ!お前は何か勘違いしてる!僕の言葉が足りなかったんだ。言い訳させてくれ!」
「違うよ。俺は今でも和樹が好き。でも隣にはいられない」
「なんでだよ!僕はお前が!クソッ」
首に回る腕をポンポンと叩いた。
「嬉しいよ。でもね、俺は和樹のパートナーとしては足りなさ過ぎる。尊敬もしてるし愛してもいた。俺がダメなんだよ」
少し腕の力が緩んだところで振り解き「ありがとう」と部屋を出た。楽しく、でもどこか辛い恋は、いま終わった。
その後もいつも通り、毎週和樹に予定がなければ遊びに来ていた。平日も時間があれば、夕飯食べたり楽しく過ごしている。
でもねぇ、出来る人は多趣味だよね。俺は美術館に付き合ったり、演劇観に行ったり。俺にはない趣味ばかりで、行きつけのバーとかも違っておしゃれだ。
知識量も半端なくて、なにを質問してもきちんと全て答えてくれる。彼は俺のなにがよくて一緒にいるんだろうか。その疑問は日々大きくなっていって、モヤモヤは膨れ上がっていく。
愛されてるのは感じてるけど、卑屈……とは違うのか、俺は凄いなあって思うだけになっていた。心になにか負の感情の澱のようなものが溜まってて、もういつ溢れてもおかしくない。俺はソファでコーヒーを飲みながら、
「ねえ、俺のどこが好き?」
「うーん?」
考えてるふうな「うーん」ではなくて、楽しそうに「う~ん(笑)」だ。
「智は時々聞くよね」
「だって……」
「だってなんだよ」
俺といて楽しいか?そりゃあセックスはこれでもかってくらい気持ちいいし、和樹もだろう。でも俺そんくらいしか価値がない気がする。彼よりかなり若いのは確かで、体力があるから絶倫の和樹に合わせられるし。それ以外になにかある?全部劣ってるんだよ。和樹より秀でてるものなんかないもん。
「あのさ。俺は和樹にとって「セックス」しか価値ないような気がするんだ」
「はあ?」
「そうでしょ?他に価値あるの?俺なんにも返せてないし、俺の良さなんか言えないでしょ?」
俺は和樹に……こんな気持ちを持つとかどうかしてるのは分かってる。でもこんな卑屈な気分になったのは初めてなんだ。
学生時代は恋人と呼べるのか怪しい人ばかりで、セフレと恋人?友だち?の境みたいな人ばかり。だから前の人は「初めて恋人だ」と胸はって言える人だったんだよ。
恋愛経験が乏しくて、この気持ちが何なのか分からない。なら嫌われるんなら早いほうがいい。彼も新しい恋人を見つけたほうが建設的たし、こんな卑屈なやつが隣にいるのも嫌だろう。
俺は和樹好きだけど、何もかも見劣りする自分が嫌いだ、辛い気持ちが大きくなって崩壊寸前だよ。離れるのは寂しいけど、俺には過ぎだ人だったんだ。
「……お前何言ってんの?」
「あ、うん……」
マグカップを両手に持って見つめた。だって和樹と俺はどう考えても釣り合ってないんだよ。薄々わかってはいたけどさ。だからもういいかなって、今まで思ってたことを全部話した。
美術館も映画の好み、食事のこと、洋服のこと。上げればキリがないけど、違いに驚き、自分の足りなさを実感したんだと。
これを言うのが怖くて、自分に合わせて貰うのもなんか違う気がしてて黙ってたけど、この先これでは無理だ。
あーあ……同じ会社だから能力なんて似たり寄ったりだろ?とか思ってた、バカな俺を殴りたい。
「智也、本気で言ってる?」
「うん。俺は和樹みたいにはなれない」
せっかくの休日の午後。普段なら出かけてる時間なんだけど、気分が乗らなくて部屋にいたいって頼んだんだ。自分の気持ちを立て直す手持ちのアイテムもなくなって、和樹の笑顔も辛く感じてね。今日はベタベタしちゃダメな気がして、隣にただ座っていた。
「なんでそんなふうに考えるんだよ。僕と合わない趣味なら、俺は無理と言えばいいだろ。俺はこれがしたいと提案すればいいじゃないか!」
正論だね。その通りでなにも反論はない。
「うん。それが正しいと思うよ」
「ならなぜしないんだよ!」
「好きだからこそ出来なかったんだ!嫌われたくなかったんだよ!」
俺がしたいことなんかたかが知れてる。和樹にとっては楽しくもなんともないだろう。
正直俺は好きな人が「同じ価値観」で隣にいてくれれば、どこにもいかなくても幸せを感じるくらいなんだ。家でいちゃいちゃ抱き合ってるだけでもいい。
だけど和樹はアクティブに色んなことを外に求め、共感してくれという人。それは会社での雑談で知ってて、実際に彼は行動に移す。みんなの話で知らないことは本気で食いついて、不明を埋める。
「なんだろうね、趣味ばかりじゃないんだ。考え方のクセとか諸々全部だよ」
「な……ッ」
彼は俺には眩しすぎた。三十半ばとは思えない落ち着きと、勉強が趣味みたいに色んなことに興味を持つ姿勢とかね。俺もないわけじゃないけど、常にアンテナ張って自分を高めようとしているように俺は感じていた。
「俺は和樹の側にいれば色々学べるし、あなたに恥ずかしくない人になれるかと思ったんだ。背伸びにも意味があるかなってね」
話しながら横を向いたらヒッ!顔が怖くて喉から変な音が出た。
「誰が僕みたいになれと言った?そんなものは求めていない!」
「で、でも……俺は和樹に恥かかせるようなことしたく……」
「黙れ!そんなこと思ったこともない!」
俺の言葉にかぶせて否定された。なんでそんなに怒るの?俺間違ってる?そう聞くと全部間違ってる!と怒鳴った。
「僕は智也のそのままが好きなんだ。花がほころぶような笑顔に惹かれたんだよ」
「え?なにそれ…」
智也、お前が思っているよりずっと素敵なんだと言われた。人に何かしてもらえば素直にありがとう、ごめんなさいがきちんと嫌味なく言える。これは大人になると出来ない人が多いんだよって。
言い訳先行で心からの謝罪が出来ないからミス連発、仕事が出来ない人に上から目線で見下す発言とねと。うちの会社はそんな人が多いそうだ。パワハラギリギリの嫌味を言う人がね。
俺の素直さを感じて、そのうち俺自体に興味が湧いて好きになったそうだ。
「和樹は優しいよね。俺は自分の能力の限界を知ってるんだ。だからあんまり裏とか考えないようにしてて、言葉のまま受け取るようにしてる。それを純粋と取ってくれてるんだろ?でもそれは違う。考えても無駄なことはしないだけ。他人に興味がないとも言うね」
「そんなことない!それはお前のいいところなんだよ!」
和樹がイライラしているの俺は初めて見た。ごめんね、俺はこんななんだよ。猫とかペットならかわいいんだろうけど、俺は和樹にとってそれ以上にはなれないんだ。
怒りとイライラを隠さない和樹を見て、怖さより申し訳ない気持ちしかない。あの時勢いで「うん」と言わなければよかったと後悔した。付き合ってる間は不安だったけど、隣にいると安心出来る心地よさもあったんだ。こんなに好きになる前に言えばよかった。
「ごめんね、俺帰る」
「なんで帰るんだよ!僕の話は終わってない!」
立ち上がった俺の腕を掴んで引き止めた。
「もう無理だろ。和樹も分かってるでしょ?俺を恋人にしてても意味ないって感じてるでしょう?セフレにしかならないヤツを「恋人」とは呼ばないよ」
「なに言って……僕はそんなこと感じたこともない!」
「和樹、手を離して」
「いやだ!僕の話を聞いてくれ!」
こんなに感情をあらわにしてる和樹は見たことなかった。俺は思ったよりは愛されてたのかな。本当にありがとう。俺は力一杯手を引き抜き、カバンを持って玄関に向かった。
「待てよ!」
「和樹にはもっといい人いるよ。これからも仕事ではいつも通りお願いします」
「ふざけんな!」
後ろから抱きしめられた。ふふっこの体温と体は大好き。でも俺には過ぎだものだったね。諦めの感情が大きくて涙すら出ない。大好きだったのにさ。こんなに引き止められて嬉しいのに。後から哀しみが来るのかもね。
「離して和樹。今までありがとう」
「いやだ!お前は何か勘違いしてる!僕の言葉が足りなかったんだ。言い訳させてくれ!」
「違うよ。俺は今でも和樹が好き。でも隣にはいられない」
「なんでだよ!僕はお前が!クソッ」
首に回る腕をポンポンと叩いた。
「嬉しいよ。でもね、俺は和樹のパートナーとしては足りなさ過ぎる。尊敬もしてるし愛してもいた。俺がダメなんだよ」
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