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前編 ユルバスカル王国編
16 不安は友だちに相談でしょ
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私と殿下は仕事の間はなんも変化なく普通に働き、視察にも同行し自分だけでも行く。ただ護衛が増えただけ。それと時々結婚式準備で衣装の採寸したり仮縫いしたり、新たな屋敷の家具の選定をしなさいと言われた。
「お金を掛けることは憚られるご時世だ。王家の倉庫から使えるものは使ってくれ。人目の部分は体裁もあるから新規で購入するが、自室や他人を立ち入らせない場所は中古で頼む」
「はい。私にはそれでも贅沢で嬉しいですけどね」
「その経済観念はずっと持ち続けて欲しいもんだ」
はあ。育ちがありますし私はそこまで物欲はない。だからお城に部屋をもらった時、かなりの量の私物を却下と言われてもそんなもんかと受け入れた。婚約後上位の貴族のお友だちにそれとな~く聞いたら、
「うふふっティナらしいけど、急に子爵になったのなら家の格にあう姿をしなくてはなりませんよ?今は伯爵なんでしょ?なら当然よ」
と、笑顔で叱られた。目先のことしか見えてなかった敗北。見えるところはきちんとねって。ならみんな指摘してくれてもいいのに。
「自分より上の身分の人にそんな小言など言えません。ティナ、そんなところはあなたの甘えですよ?」
「でもねイリーナ様。伯爵と子爵の間の深い谷はご存じ?その身分の深い谷はお金や矜持の谷でもあります。気持の切り替えは簡単ではないのです。お金はまあその、なんとかは出来ますけど」
「ならそうねえ……」
イリーナ様はお茶を優雅に持ち上げ口にする。その所作すら違う気がした。お菓子を口にする口元も手つきも優雅で、女の私ですらボーッとするくらい美しい。殿下とキスする間柄になって、女性の口元を見るようになり、彼女はとても艶っぽく見えた。
「なにかしら?」
「いえ。イリーナ様に大人の色気を感じました。でもこれは躾の違いではなく、心のあり方なのでしょうか」
「正解です。人の目を気にしましょうね。年齢相応の立ち居振る舞いは必須です。妻が他人を誘惑するくらい美しいことに、男性は喜びますから」
「そうなのか……とても嫌な汗が出ます」
うふふっと小鳥がさえずりのように笑う。私はこの友だちがとても好き。優雅で美しくてアリスたちとは違う「お姫様」の見本のような人。恋なのか?と錯覚するほど学生時代は見惚れていた。名前に様などいらないのにあなたはとよく笑われる。
「こんなご時世だから仕事中心なのは仕方ありません。私も仕事中は叱責したりで声を荒げたりもします。でもね」
そこはきちんと分けましょうねって。男性は凛々しくいくつになってもカッコいいと思われる所作を上位の者は忘れません。女性もいくつになってもその時のその人の魅力を最大限表す。貴族のたしなみですよとイリーナ様は微笑む。うん……出来るなら聞きません。あまりに身分違いの結婚だから悩んでるのです。分かってぇ~と甘えてみた。
「なら殿方の手をこのように取って見て。きっと反応がありますよ」
彼女は私の隣に移動し、そっと体を預け手を取り指を絡め半目で顔を見上げる。どこかゾクリとする微笑みで、反対の手で握った手をスルスルと撫でる。
「これはなんの気持ちを?」
「好きという気持ちとお誘いかな?女性からでもいいでしょう。結婚後ね。これも妻のたしなみですよ。あちらから誘われるのを待つばかりはダメですからね?」
「はい……」
こういった自分から発信することを覚えましょう。そうすれば自ずと身につく。受け身だけだとどうしても控えめになりがちで、その人本来の美しさを引き出せないものよって。そうか。ちなみにアリス伯爵夫人(彼女は元々は侯爵家の姫である)にも聞いたけど、
「は?ムラムラしたら服をむしり取りこちらから攻める。向こうが求めてきたらそれは応戦する」
「なんじゃそれ」
「あれは戦いの一種と心得る」
「聞く人を間違えました」
アハハッとアリスは豪快に笑う。愛の確かめ方や美しさの基準などそのカップルごとのルールが出来る。イリーナの言うことも一理、私の関係もそのひとつだ。人の数だけその関係性はあるもの。夜のことだけでなく他もなって。ごもっとも。
「アリス……あなたが男ならやはり色仕掛けをしたかった。あなたとなら楽しい生活があったのにと夢見ることがあるの。身分など超える努力も厭わなかった。これほど気の合う人も中々いないんだもの」
「私もだよ姫。君のその儚げな顔を見ると、私にちんちんがないのが辛い。私も君が好きだ」
「うん」
チュッと頬にキス。この関係性は変わらずで、大好き過ぎて抱きついた。凛々しくかっこよく、男性より時にカッコいい。
「アリスに抱かれるのもキスも好き。あなたは私の特別です」
「そうか私もだ。私が男なら今すぐにでも突っ込みたい欲が出るくらいにはティナが好き」
「うん。ありがと」
そうだアリスは母様の芯の強さが似ているのね。だから大好きなのかも。いやいや、今はそこじゃないと思い出して、お茶を口にした。
「ロッティ、私は殿下の隣では見劣りしませんか?仕事はともかく」
「いいえ。雰囲気も似てきましたから問題ありません。愛し愛されている関係が出来てきてますよ」
「そうですか……」
夜自室で寛いでいた。食事も済んで殿下はご家族の元へ行かれた。お話しがあるそうで、だから今日はお呼びは掛からない。たくさん話して仲良くなろうって夜お部屋でおしゃべりすることが増えたの。時計を見ればいい時間。寝るか。ふわ~っとあくびが出る。
「姫様おねむですか?」
「はい。少し眠くなって来ました」
この「姫様」呼びにも慣れないけど頑張ってはいる。言葉遣い、立ち居振る舞いもマナーの先生に改めて付いている。下位の貴族は崩れ気味だから。それと戦で男女ともに貴族としてのマナーが緩んでいて(忙しくてそれどころではなかった)平時に戻しましょうと、国全体に王よりお達しが出ている。貴族も民もね。先ずは食糧や生活基盤が整った人から落ち着きましょうと。その通りなんだけどとブツブツ言いながらベッドに入る。
「ではまた明日。おやすみなさいませ姫様」
「うん。おやすみなさい」
ロッティが下がり目を閉じる。静になるとリーンリーンと虫の声が窓の外から少し聞こえて、秋も深まったなあなどと。すると扉がまた開いたのか瞼の裏が明るい。なに?と目を開けると殿下。殿下?ガバッと起きた。
「まだ寝たばかりと聞いてさ。少し話さないか?」
「ええ構いませんが、女性の部屋に殿方は入ってはなりません。私の許可を取って下さいませ」
「君は俺のなのに?」
「まだ完全に俺のものになってません」
その生真面目さは好きだが、大概にしてくれとベッドの縁に座り、そっと抱き寄せてチュッ。
「殿下誤魔化してますね?」
「いいだろ?」
そう言うと彼の胸にぽすんと入った。兄様とは違う居心地のいい場所。他人に愛を向けることを教えてくれた人の胸は安心出来て心地いい。
「君の家が少し不味い」
「え?」
「王党派になったことでの軋轢と、若い後ろ盾のない領主で兄上は苦戦している」
「そうですか。やはり」
優しい大きな手は下ろした私の髪をクルクルともてあそぶ。言葉を探しているように何度もクルクルと。サイドの小さな明かりの中でもて遊ぶ手の影が動く。
「でな。俺の父が手を出すと。もう後戻りは出来なくなる」
「はい。ご迷惑をおかけします」
「うん」
兄様には聞いていた。でも頑張るから気にするなって。鉱山の取引も足元を見られるようになり、農作物は顕著。よい出来なのに等級を下げられたりして安く買い叩かれたり。領地の民の不満は大きくなりつつあった。それでもお前が幸せならいいと兄様は笑ってくれていた。エミリーも嫁ぎ先は中立派のお宅で、居心地は悪くなっていると人づてに聞く。エミリー本人はなにも言わず、旦那様が庇ってくれてなんとかかなと想像している。
「父が動くことは王が動くことと同義。セドリックは経済的には上手くいっても、他は苦しくなることも増えるだろう。人付き合いも変わるはずだ」
「はい」
「でも俺は君が欲しい」
「はい……」
俺の気持ちに共感してくれる妻がいい。共に歩める妻がいいとポツリ。薄暗い中では表情が読みづらく、なにを考えているか分からない。
「そのようになれるよう頑張ります」
「頑張らなくてもいい。そのままでいてくれ」
「はい」
私を抱いたままポフンと倒れた。俺が他の兄妹より結婚が遅かったのは、妻が欲しくなかったからじゃない。俺のやることに理解がない人ばかりだったから。王党派の女性ですら「なぜ大臣や王に異を唱えるのです?」とみんな口にした。それが辛かったと腕に力が入る。
「俺は民は資産と思っている。民がいなければ国の意味はないから。ただ食べるだけなら森の中でひとりで住むことすら可能だろ?猟師や漁師がそうだ」
「はい」
俺はバカだから民と笑い合える国がいい。飢えたり奴隷になったりすることがない国がいいと。私もそう思う。民の「姫様みてみて」と、宝物だろう見せにくる子どもたちの笑顔。「ほら美容にいいよ食べて」と少ない野菜を私にくれる農家の奥さん。あの笑顔を守りたいと強く思い、必死に領主をおじいちゃんたちと頑張ったんだもの。
「君は俺をバカにせず肯定してくれた」
「だって貴族の意味はそれでしょう?民が暮らしが楽になるよう公共施設を作り、他国との交流をやり易くする。その代わり、その代金や諸々として税を取る。搾取とは違いますから」
「ああ、その通りだ」
理解してくれる君だから欲しい。ずっと傍にいて欲しいと呟く。君との幸せな未来を作りたいと体を離し頬を撫でてくれる。
「殿下のお望みのままに」
「ああ。愛してるティナ」
少し辛そうな瞳の揺らめきと、重なる唇に身を任せた。
「お金を掛けることは憚られるご時世だ。王家の倉庫から使えるものは使ってくれ。人目の部分は体裁もあるから新規で購入するが、自室や他人を立ち入らせない場所は中古で頼む」
「はい。私にはそれでも贅沢で嬉しいですけどね」
「その経済観念はずっと持ち続けて欲しいもんだ」
はあ。育ちがありますし私はそこまで物欲はない。だからお城に部屋をもらった時、かなりの量の私物を却下と言われてもそんなもんかと受け入れた。婚約後上位の貴族のお友だちにそれとな~く聞いたら、
「うふふっティナらしいけど、急に子爵になったのなら家の格にあう姿をしなくてはなりませんよ?今は伯爵なんでしょ?なら当然よ」
と、笑顔で叱られた。目先のことしか見えてなかった敗北。見えるところはきちんとねって。ならみんな指摘してくれてもいいのに。
「自分より上の身分の人にそんな小言など言えません。ティナ、そんなところはあなたの甘えですよ?」
「でもねイリーナ様。伯爵と子爵の間の深い谷はご存じ?その身分の深い谷はお金や矜持の谷でもあります。気持の切り替えは簡単ではないのです。お金はまあその、なんとかは出来ますけど」
「ならそうねえ……」
イリーナ様はお茶を優雅に持ち上げ口にする。その所作すら違う気がした。お菓子を口にする口元も手つきも優雅で、女の私ですらボーッとするくらい美しい。殿下とキスする間柄になって、女性の口元を見るようになり、彼女はとても艶っぽく見えた。
「なにかしら?」
「いえ。イリーナ様に大人の色気を感じました。でもこれは躾の違いではなく、心のあり方なのでしょうか」
「正解です。人の目を気にしましょうね。年齢相応の立ち居振る舞いは必須です。妻が他人を誘惑するくらい美しいことに、男性は喜びますから」
「そうなのか……とても嫌な汗が出ます」
うふふっと小鳥がさえずりのように笑う。私はこの友だちがとても好き。優雅で美しくてアリスたちとは違う「お姫様」の見本のような人。恋なのか?と錯覚するほど学生時代は見惚れていた。名前に様などいらないのにあなたはとよく笑われる。
「こんなご時世だから仕事中心なのは仕方ありません。私も仕事中は叱責したりで声を荒げたりもします。でもね」
そこはきちんと分けましょうねって。男性は凛々しくいくつになってもカッコいいと思われる所作を上位の者は忘れません。女性もいくつになってもその時のその人の魅力を最大限表す。貴族のたしなみですよとイリーナ様は微笑む。うん……出来るなら聞きません。あまりに身分違いの結婚だから悩んでるのです。分かってぇ~と甘えてみた。
「なら殿方の手をこのように取って見て。きっと反応がありますよ」
彼女は私の隣に移動し、そっと体を預け手を取り指を絡め半目で顔を見上げる。どこかゾクリとする微笑みで、反対の手で握った手をスルスルと撫でる。
「これはなんの気持ちを?」
「好きという気持ちとお誘いかな?女性からでもいいでしょう。結婚後ね。これも妻のたしなみですよ。あちらから誘われるのを待つばかりはダメですからね?」
「はい……」
こういった自分から発信することを覚えましょう。そうすれば自ずと身につく。受け身だけだとどうしても控えめになりがちで、その人本来の美しさを引き出せないものよって。そうか。ちなみにアリス伯爵夫人(彼女は元々は侯爵家の姫である)にも聞いたけど、
「は?ムラムラしたら服をむしり取りこちらから攻める。向こうが求めてきたらそれは応戦する」
「なんじゃそれ」
「あれは戦いの一種と心得る」
「聞く人を間違えました」
アハハッとアリスは豪快に笑う。愛の確かめ方や美しさの基準などそのカップルごとのルールが出来る。イリーナの言うことも一理、私の関係もそのひとつだ。人の数だけその関係性はあるもの。夜のことだけでなく他もなって。ごもっとも。
「アリス……あなたが男ならやはり色仕掛けをしたかった。あなたとなら楽しい生活があったのにと夢見ることがあるの。身分など超える努力も厭わなかった。これほど気の合う人も中々いないんだもの」
「私もだよ姫。君のその儚げな顔を見ると、私にちんちんがないのが辛い。私も君が好きだ」
「うん」
チュッと頬にキス。この関係性は変わらずで、大好き過ぎて抱きついた。凛々しくかっこよく、男性より時にカッコいい。
「アリスに抱かれるのもキスも好き。あなたは私の特別です」
「そうか私もだ。私が男なら今すぐにでも突っ込みたい欲が出るくらいにはティナが好き」
「うん。ありがと」
そうだアリスは母様の芯の強さが似ているのね。だから大好きなのかも。いやいや、今はそこじゃないと思い出して、お茶を口にした。
「ロッティ、私は殿下の隣では見劣りしませんか?仕事はともかく」
「いいえ。雰囲気も似てきましたから問題ありません。愛し愛されている関係が出来てきてますよ」
「そうですか……」
夜自室で寛いでいた。食事も済んで殿下はご家族の元へ行かれた。お話しがあるそうで、だから今日はお呼びは掛からない。たくさん話して仲良くなろうって夜お部屋でおしゃべりすることが増えたの。時計を見ればいい時間。寝るか。ふわ~っとあくびが出る。
「姫様おねむですか?」
「はい。少し眠くなって来ました」
この「姫様」呼びにも慣れないけど頑張ってはいる。言葉遣い、立ち居振る舞いもマナーの先生に改めて付いている。下位の貴族は崩れ気味だから。それと戦で男女ともに貴族としてのマナーが緩んでいて(忙しくてそれどころではなかった)平時に戻しましょうと、国全体に王よりお達しが出ている。貴族も民もね。先ずは食糧や生活基盤が整った人から落ち着きましょうと。その通りなんだけどとブツブツ言いながらベッドに入る。
「ではまた明日。おやすみなさいませ姫様」
「うん。おやすみなさい」
ロッティが下がり目を閉じる。静になるとリーンリーンと虫の声が窓の外から少し聞こえて、秋も深まったなあなどと。すると扉がまた開いたのか瞼の裏が明るい。なに?と目を開けると殿下。殿下?ガバッと起きた。
「まだ寝たばかりと聞いてさ。少し話さないか?」
「ええ構いませんが、女性の部屋に殿方は入ってはなりません。私の許可を取って下さいませ」
「君は俺のなのに?」
「まだ完全に俺のものになってません」
その生真面目さは好きだが、大概にしてくれとベッドの縁に座り、そっと抱き寄せてチュッ。
「殿下誤魔化してますね?」
「いいだろ?」
そう言うと彼の胸にぽすんと入った。兄様とは違う居心地のいい場所。他人に愛を向けることを教えてくれた人の胸は安心出来て心地いい。
「君の家が少し不味い」
「え?」
「王党派になったことでの軋轢と、若い後ろ盾のない領主で兄上は苦戦している」
「そうですか。やはり」
優しい大きな手は下ろした私の髪をクルクルともてあそぶ。言葉を探しているように何度もクルクルと。サイドの小さな明かりの中でもて遊ぶ手の影が動く。
「でな。俺の父が手を出すと。もう後戻りは出来なくなる」
「はい。ご迷惑をおかけします」
「うん」
兄様には聞いていた。でも頑張るから気にするなって。鉱山の取引も足元を見られるようになり、農作物は顕著。よい出来なのに等級を下げられたりして安く買い叩かれたり。領地の民の不満は大きくなりつつあった。それでもお前が幸せならいいと兄様は笑ってくれていた。エミリーも嫁ぎ先は中立派のお宅で、居心地は悪くなっていると人づてに聞く。エミリー本人はなにも言わず、旦那様が庇ってくれてなんとかかなと想像している。
「父が動くことは王が動くことと同義。セドリックは経済的には上手くいっても、他は苦しくなることも増えるだろう。人付き合いも変わるはずだ」
「はい」
「でも俺は君が欲しい」
「はい……」
俺の気持ちに共感してくれる妻がいい。共に歩める妻がいいとポツリ。薄暗い中では表情が読みづらく、なにを考えているか分からない。
「そのようになれるよう頑張ります」
「頑張らなくてもいい。そのままでいてくれ」
「はい」
私を抱いたままポフンと倒れた。俺が他の兄妹より結婚が遅かったのは、妻が欲しくなかったからじゃない。俺のやることに理解がない人ばかりだったから。王党派の女性ですら「なぜ大臣や王に異を唱えるのです?」とみんな口にした。それが辛かったと腕に力が入る。
「俺は民は資産と思っている。民がいなければ国の意味はないから。ただ食べるだけなら森の中でひとりで住むことすら可能だろ?猟師や漁師がそうだ」
「はい」
俺はバカだから民と笑い合える国がいい。飢えたり奴隷になったりすることがない国がいいと。私もそう思う。民の「姫様みてみて」と、宝物だろう見せにくる子どもたちの笑顔。「ほら美容にいいよ食べて」と少ない野菜を私にくれる農家の奥さん。あの笑顔を守りたいと強く思い、必死に領主をおじいちゃんたちと頑張ったんだもの。
「君は俺をバカにせず肯定してくれた」
「だって貴族の意味はそれでしょう?民が暮らしが楽になるよう公共施設を作り、他国との交流をやり易くする。その代わり、その代金や諸々として税を取る。搾取とは違いますから」
「ああ、その通りだ」
理解してくれる君だから欲しい。ずっと傍にいて欲しいと呟く。君との幸せな未来を作りたいと体を離し頬を撫でてくれる。
「殿下のお望みのままに」
「ああ。愛してるティナ」
少し辛そうな瞳の揺らめきと、重なる唇に身を任せた。
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