殿下のやることを全面的に応援しますッ 〜孤立殿下とその側近 優しさだけで突っ走るッ〜

琴音

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前編 ユルバスカル王国編

62 一応帰宅

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 翌週からサイラスが来ない代わりに手紙が来るようになった。毎日のささいな報告。最後に待ってるよって締めくくられる。でも腰は上がらずお腹は大きくなる。

「ストレスも大きいけど赤ちゃんは大丈夫よ。それとこちらの医師に引き継いだから私はそろそろ帰るね」
「はい。ありがとうございました」
「帰る時はこちらの先生に着いて来てもらわなくても平気だから」
「はい」

 またねと先生は帰って行った。変わらないなあショルツ様は。でもこんな関係が心地いい。少し眠いからお昼寝しよ。部屋に戻ってお布団に入る。腰が少し痛いのよ。お腹大きくなったからもある。あれから三ヶ月。先生と家族のように過ごせたから寂しさは少なかった。だけど今日からは……まあいいや。寝よ。

「姫様。あんまり寝ると夜眠れなくなりますよ」
「んあ……起きますぅ」

 外が夕やげで明るい。日も長くなったなあとぼんやり窓の外を眺めた。去年の今ごろは雨降らしに走り回ったっけね。大変だったけど楽しかったなあ。

「姫様。我らも屋敷に戻らなくてもよろしいのですか?」
「うん。もう少しだけ」
「はい」

 そんな日々を送っているとサイラスからの手紙も来なくなり会いにもこない。本格的に捨てられたかと考えた。お腹はポンポコリンだしなあ。実家に帰るか。そうだその手もあったわ。でも遠いのよねここから。長旅は不可と言われてたか。まあなんとか休み休みなら行けるかなとこちらの先生に聞いたら、

「お腹が張るような感じがしたら馬車を停めてゆっくりすれば可能かと」
「はい」

 てことで支度をしていると誰か来た。サイラスではないようで?でも男性のような靴音。ガチャリと扉が開くと手を上げてニヤリとするいつもの見慣れた男性。

「よう!久しぶりだな」
「カール様!」

 いつもの元気で明るい声が響く。懐かしい笑顔に嬉しくなった。

「元気そうだしお腹は重そうだな」
「んふふっ重いですよ」

 荷物まとめてるってことは屋敷に帰るのか?と聞かれた。
「手紙も来なくなったたし本格的に見限られたと感じまして、実家に帰ろうかと」

 あははっとやりすぎたのかなと微笑んだ。するとため息。

「違うぞ。今殿下騎士団と訓練でいないだけだ。この時期はそうだろ?」
「え?……あ?そっか」
「忘れんなよ」
「んふふっ」

 毎年夏前に大きな訓練があって二週間くらい不在になるんだった。そっかもうそんな時期か。

「屋敷に帰ろうぜ。殿下やせちゃって可哀想になって来ててな」
「ふ~ん」

 感情のない声で答えた。するとティナいつの間にそんな冷たくなったの?と言われたけど。まあなんだ。

「おかしな噂はなくならないし、どうすっかなあとみんな頭を悩ませてるんだ。彼女思ったより……そのな?うっかりちゃんでさ」
「そうなの?」
「うん。ティナとはまるで違うんだ。ありゃ仕事向きの子ではない」
「ふ~ん」

 そんで早期に返すか?となってて、殿下帰宅後に考えることになってるそう。

「帰って来いよ。近いから殿下がここに通うのは問題ないけど、それも違うだろ」
「う…ん……」

 まあいいや。俺仕事のついでだからまた来るよ。ほら桃だ。食べろって渡された。ありがとう。

「君にって街の人だよ。このところ見かけないけど帰ったの?と聞かれてな。いるよって言ったらあげてってさ」
「うん」
「みんな心配してるぞ。また殿下と楽しそうに来てくれってさ」

 お腹もパンパンだし、ひねくれるのも終わりかなとお腹を擦った。

「彼女いなくなったら無理しない程度に来れるか?」
「え?行っていいの?」
「回んないでしょ?君いないと。ダチョウ食べ頃が増えてきたの。俺は率先して売らなきゃで、君がここにいると俺泊まるとこないの。セガール様のところは気を使って嫌なんだよ」

 そっか。あと少しだよって飼育員さん言ってたわ。初めの頃のが食べ頃になったのか。

「そうだよ。帰って来い。殿下は来週帰ってくるからな」
「はい」

 またなと軽く抱かれてうんと返事した。殿下の心配する気持ちも汲んでやれ。男はこんな時してやれることは少ない。気持ちだけでも汲んでやれと。……うん。またなティナと頰にキスをしてカール様は帰って行った。

「姫様どうされますか?」
「うん。せっかく準備もしたし、明日自宅に一度帰ります」
「はい。行き先変更ですね」
「うん」

 帰宅後いらねって言われたらそん時考えよう。これだけゴネれば嫌われても不思議ではないもんね。そして翌日昼前に自宅に着いた。なんか久しぶりだわ。出た時はバラはつぼみすら少なかったのに今は満開。季節がひとつ進んでるわね。いい香りがする。

「ただいま~」
「え?おかえりなさいませ。姫様!まあお腹そんなに大きくっ」

 お掃除のメイドさんがたまたまエントランスホールにいて、駆け寄ってくれる。

「ロッティどうなさるの?」
「姫様居間に行きますか?」
「うん。そうします」
「こちらへ」
「ありがとう。クロエ」

 扉を開けてくれて椅子も引いてくれた。おなか大きいと動きは辛くなるからって。

「でもようございました。あちらでご出産されるのかとヒヤヒヤしてました」
「ふふっそこまではいるつもりはなかっ……いえ、最悪ありかなと」
「え?そんなに揉めてたのですか?」
「違うわよ。私がわがまま言っただけなの。子どもなのよ」

 いやいやでもねえって。旦那様はティナ様のことになると周りが見えなくなるから。ティナ様の大切なお仕事をしなくていいなんて意地悪だわって、腰に手を置いて怒ってくれる。

「心配は分かりますが、事務仕事くらいさせてあげればいいのに。つわりが終わるくらいになれば安定するのにね」
「ありがとうクロエ」
「はい!私は姫様の味方ですから。あらロッティが戻りました。では失礼します」
「ありがとう」

 クロエは下がりロッティに交代。クロエはおば様らしい人だけど、街の人みたいで気が楽なの。ここの人はみんなそうだけどね。

「姫様!お帰りですか!」
「はい。ごめんなさいね」

 料理長も駆け込んできてよかった。殿下だけでは寂しかったし、仕事が朝だけになりがちでつまんなかったと。

「ではお食事は?」
「いただきます」
「ハイッ」

 みんな慌ただしく動き出し、姫様いないと寂しいと。リーノも駆け込んで来てよかった~ってヘナヘナ座り込んだ。

「殿下辛そうでしたから。なんでと毎日ため息で」
「ごめんね。どうにも仕事を取られたのが辛くて」
「そうでしょうが、姫にこんな頑固さがあるとは私も知りませんでした。毎日幸せそうでしたから」

 それはそう。私もここまでひねくれるとは想定外。それほど仕事が楽しくなってて、その尽くす相手に「いらない」と言われたことが辛かった。でも領地にいてみんなと話してるうちに落ちついたのも本当。モヤモヤが晴れた訳じゃないけど、帰るかって気分にはなったのよね。魔石の安定剤のおかげかもしれない。私は胸の石を掴んだ。リーノが立ち上がったから、

「ねえリーノ。もしあなたが奥様にいらないと突然言われたらどうする?」

 え?と怪訝そうにしたけど考えてくれたらしく、

「それは……ですが仕事だけでしょう?殿下があなたを愛してるのは変わりませんよ」
「ふふっ愛してないと聞こえたのよ」
「え?」

 そう……お手伝いの彼女に嫉妬もしてたのかもね。若くかわいくて私が側近に来た頃のようにみんなに教わって。あの楽しかった時間を取られた気がした。それに……側室の候補かもと思ったり。やはり私だけでは足りなかったかと考えたり。リーノはソファに座る私の傍に跪き手を取る。

「そんな噂は出出たのは聞いてます。ですが」
「うん。早とちりとカール様も言ってたけどね。正直心変わりなど誰にでもあるものだと私は知っているの」

 愛してるよと言われ、仲良く暮らしてると聞いていた友だち。ある日子どもを取られ家に帰されたなんてのを時々聞く。なにもしてないのにいきなりとか。後で調べればもっと若い人を妻にしたくてなんてね。妊娠前のお友だちとのお茶会で聞いていたの。それが頭の片隅にあったのかもね。

「殿下はそんな人じゃありません!」
「でもね、その時はそう感じてしまって」

 成人したばかりの十五~六歳に見えた彼女の輝き、かわいらしさや美しさに卑屈になったの。離れたら違うなって思われたのかなって。元々私はきれいでもないしね。ねえリーノと微笑んだ。

「なにを姫様。万が一お手付きがあったとしても気の迷いですよ」
「そうかな」
「絶対そうです!じゃなければ殿下はあんなに苦しそうにしないはずですッ」

 殿下は女好きとは昔から言われてるし、飲んでてムラッとなんて男は聞きます。私はないですが、男はその……続かない言葉の意味はわかるつもり。街のみんなとたくさん話したから。間違いは起こすものだし、その先に別れがあることも。だから本当は実家に帰ろうとしてたのと笑った。

「なんで?」
「お手紙もずいぶん来なくなってたから、ひねくれすぎて本当にいらなくなったのかと考えたの」
「違います。年に一度の騎士の大規模訓練ですよ」
「うん。カール様に言われて思い出したけどね」

 ロッティがギリギリだったのよって。私も忘れてたから。でも私も夫に姫様みたいに言われたら悲しいのは同じ。だから私はなにも説得などせずお傍にいたと。ありがとうロッティ。

「私はこの仕事好きなのですよ。王族の姫様方のお近くでお支えするの。妊娠で仕事を辞めろ母様をしろと言われたら辛いですもの」
「そうなの?ロッティ」
「そうです。王族のメイドなんて本来働かなくてもいい身分の貴族のお嬢様、奥様がするものなのですから」
「そっか。男のメイドとは違うもんな」

 そうね。殿下は珍しいの。文官から引き抜いてリーノをメイドにしたから。だから彼はこの屋敷の執事の役割もある。屋敷全般を管理してくれてるの。

「殿下は俺がお傍にいるから、実は男が好きなのか?とかも言われましたね」
「ふふっそれはないわね」

 ロッティもそれはないですねと力強く答えた。殿下評判通り女性好きでしたからねと。

「俺は下っ端の文官でなんでか貴族派の多い部署にいて居心地の悪さは折り紙付き。嫌がらせは当たり前。何かあるたびに嫌味三昧。そろそろ心の限界か?となってた頃に殿下に拾ってもらったのです」
「へえ。初めて聞いた」

 俺の身の上なんか聞いても楽しくないでしょう?だから話したことなどありませんよとリーノは笑った。そんなことないけどね。

「殿下の周りの男どもはみんななにか脛に傷ありですよ」
「ふーん」

 まあ、帰ってきたのはよかった。お腹も大きいし、生まれるまでゆっくりねって。

「うん。そうするつもり。お仕事は出来たらかな」
「産んでからでもいいでしょう?お城に行くのも大変だし」
「そうですよ。姫様あと数ヶ月で産まれますから」

 でもお家ですることないもの。ならお友だち呼んでお茶会すればいい。アリス様とかキャロライン様とか気の置けないお友だちはたくさんおられるはずだと。そうねえ。ゆっくり考えるかな。どうせ殿下帰ってくるまでお城には行けないし。

「そうしましょう」
「はい」

 サイラスが帰ってくるまでゆったりと過ごした。帰って来て両親に顔出ししたら、赤ちゃんのものはお母様が完璧に揃えてしまってた。で、私が用意することは全くなかった。前にもらった以上に届けられていたの。なら乳母を言ったらそれも予約済み。あの……と言葉がなくなり、父上にも「あれの好きにさせてやってくれ。楽しみすぎて仕事しないくらいなんだ」と言ってたし。なら私は?と聞けば、自分を癒やすものでもたくさん買い込めばいい。母が穏やかだと夫も子も嬉しいからって。そっかと。

 そしてとうとう明日サイラスは帰宅する。胸はドキドキ胃はキューッとする。どんな顔で会えばいいのかわかんないの。その夜、中々寝付けなかった。

「乳母車もクーファンも届いておりますから本当に足りないものはありませんね」
「うん。なにもかも完璧に用意されたなあ。なおかつ趣味がいいから嫌だって品もない」
「確かにかわいいです」

 うーむ。お嫁様とはこんなものなのかな。分かんないけど。





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