殿下のやることを全面的に応援しますッ 〜孤立殿下とその側近 優しさだけで突っ走るッ〜

琴音

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後編 ヴァルキア王国編

93 隠されていたこと

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 ある日の昼下がり。私たちが王になって数年。ライラ様の旦那様クレイグ様があちこちでこの国を宣伝してくれて、王都の占有率が一気に半分埋まった。日が落ちてから二階のポーチに上がる。そこから王都を眺めると明かりがキラキラと輝き、酔客の笑い声や怒鳴り声が微かに聞こえる。

「感無量だわ。こんなに早くお店が増えるなんて」
「ああ。クレイグ様に感謝だな。まああの一族の関係者が多いけど」
「いいの。その人らが成功すれば、もっと人が来てくれるから。そしたら働くところも出来るし、その間にヴァルキアの民も増えるもん」

 クレイグ様の一族やその仲間の方たちは、積極的にこちらに関わってくれている。でもあの国の王は静観。若い三十にもならない若い女が実質の王と言われている不気味な国。実務を担うサイラスも、国政にあまり関わってはいなかった。一言「コワッ」が正解らしい。

「そのとおりだろ」
「まあね。闇の賢者はユルバスカルとラセイネイの常識なんだけどね。他国には知られてなかったから余計かな」
「ああ」

 春先の心地よい風。夜でももう寒くない。柵の前で肩を抱いてくれるサイラス。んふふっ幸せ。

「一応寒いかなと持ってきた。羽織れよ」
「ありがとう」

 さすが旦那様。パジャマだけじゃ寒そうってね。私のはネグリジェで生地が薄いからとショール持参してくれていた。

「キスして。褒美に」
「うん」

 頭を下げてくれる。ありがとう……ンンッ長いキスは気持ちいい。チュッチュッとしてねろんと舌が絡む。んあっ……ッ

「震えてるぞ。寒いのか?」
「あっ…分かってるくせに」

 抱き合い長いキス。とても幸せな時間なのだけど。

「グチョグチョ。さすが俺の姫」
「やめてよね」

 キスしながらズボンに手を入れ、中に指を入れてグチュグチュと捏ねる。

「やんっ……ああ…」
「立ってられない?」
「うっ…ンッ」

 脱げよって下を脱がされた。後ろ向かされて中を捏ねる。私たちは時々こうして外を眺めに来るの。中からここは見えない作りで、入り口の扉の奥に護衛はいるけど……うっ

「イ…ク……」
「ダメだよ」

 近くの椅子にサイラスは私を抱きかかえ座り、私を跨らせる。彼は当たり前のように熱いモノを擦り付け、ぬるりと侵入してくる。──ッあ

「いいだろ。動かすぞ」
「う…ん……」

 たまには環境を変えようってのもある。マンネリ?そうならないようにと。俺はならんけど、興奮はするって。

「む…むり……」
「イケよ」

 パジャマを捲られて乳首をカリッと噛まれるとあうッ

「気持ちいい。ビクビクするの気持ちいい」
「うー……」

 そしてサイラスがイクと、抱っこされて部屋に帰って続き。

「出る。そこ責めたら持たないよ」
「ふぁふふぁふ……」
「クッ」

 口に入れてはしゃべりにくい。ごめん!って奥に押し込まれ飲み込む。美味しくないけどなんかトロンとする。あそこがムズムズもする。

「後ろ向けよ」
「うん」

 サイラスは逢瀬の時あまり萎えない。ぐちゅりと押し込むと脚に流れ出したのを感じる。

「君咥えるとすごいよな。溢れ方がすごい」
「だってぇ」

 私はサイラス仕様と言っていい。彼が触ればすぐに反応するのは仕方ないでしょ。愛されてるのは抱かれるとよく分かるんだもん。その愛情が嬉しくて体が反応するの。自分も楽しんでいる様子だし。思いやりがあって本当にいい夫なの。

「気持ちいいティナ」

 背中に張り付いて腰を……あっんっ…ふあっ…激しくなるとぬるんと抜けた。

「ハァハァ…濡れすぎて抜けるな」
「入れてぇうっ……ンッ」
「当然」

 すぐに入れ直し、何度でもイケよと激しい。私の感触を確かめるようにしつこく責め続ける。軽くイクのを何度もで、もう訳分かんない。気持ちよくてふわふわ。グッグッと奥を押されるとあっという間にビクッとして呻く。

「たまにしつこいのもいいだろ」
「あー……んあっ…くっ…っ」

 もう力入んなくて腰が上げてらんない。激しく果てないからすぐに気持ちよくなって、何度も甘く果てる。足りない感じが強く、いくらでも果てるの。そんなだから欲しい気持ちがなくならない。

「ティナもう一人作らないか?」
「え?」

 ドンッと押し込まれドクドク。奥を押された刺激でビクビクと震えた。これ本気の絶頂ぉ……完全に漏らした。

「違うから」
「うー……ッ」

 そのままベチョとベッドに潰れた。お尻の穴までヒクヒクしてる気がする。

「出来るといいなあ」
「うん……次は姫がいい」
「ああ」

 今は私がいなくても畑が耕せるようになったの。土系の術者が育ったから、雨降らし以外なら対応可能にね。ずっと姫が欲しいねえと話したんだけど、今は子作りは……と避けていたの。やっとなのよ。私たちはワクワクしながら翌月を待った。

「イヤーッロッティお股が大変なことに!なんでなの!」

 トイレから叫んだ。現実とは思えず呆然とする。

「なんで……前回は一回で……嘘でしょ?出来るものと疑わなかったのに」

 そのうち涙で視界が滲む。シクシクと泣きながら出た。なんで?前回は一発よ?あんなに気持ちよくて、出来やすい時だから毎晩したのに。ねえロッティなんでよ!と抱きついた。ロッティはヨシヨシと背中を擦り、うーん。

「ティナ様。わたくし思うんですよ。ティナ様たちはいい歳こいて毎晩に近いくらいしている。それも避妊のお薬飲んでませんよね?」
「……うん。あれ飲むと気持ちよくない気がする」

 お薬は絶対じゃないけどあるにはある。ミーレンの時代の女性向けのお薬で、唯一現存する安全性の高いもの。なぜこれだけ残ったかは不明なのよね。(どーせ殿方の都合だろうとは思ってるけど)

「飲まないのに赤ちゃんが出来ないって、本来は出来にくいのかもしれませんね」
「へ?そうなの?」

 ロッティはうんうんと。こんだけするご家庭の夫婦なら、毎年生まれても不思議じゃない。なのに狙っても簡単に出来ないってことは、失礼承知で言うならば、どちらかに問題がある可能性が……と言い淀む。

「そう……そうなの……」
「だからゆったりした気分で狙っちゃダメ。ライアン様の時そうだったでしょ?」
「うん」

 不妊ではないけど出来にくいと考えるのが妥当。ライアン様の時は半年はせっせとがんばってたでしょ?って。そっか……なら私かな。変な賢者だし。ごめんねサイラス。そう考えたら落ち込んでソファにドサッと座る。また涙がジワジワと。ふえ……

「なんの声?」
「あ、サイラス様。月のものが来てしまってそのティナ様が落ち込んでしまって……」
「あー……それは仕方ないだろ。出来る時は出来るもんさ」
「……ごめんなさい」

 フラフラと立ち上がり抱きついた。きっと私が悪いんだ。出来にくいのは術者のせいよきっとと訴えた。

「え?関係ないだろ」
「でもぉ」

 さめざめと泣いていると、フンと鼻を鳴らした。沈黙の後優しい声で、

「……気になるならシュルツ様に診てもらえばいい」
「そうする。グスッ」

 月のものが終わって、診察のために侍医のお部屋へ伺う。私が原因だったら?心は締め付けられるような不安があった。出来にくいからサイラスは私をたくさん抱いていたのかもと、ものすごい不安で、手が汗ばんだ。中に入り先生は前もって伝えていたからヘッドに横になれと。そして診察。

「姫。術者は関係ないのよ。関係あったら雪鬼の国自体存在しなくなる。我らは何者?ってなるでしょ」
「そっか。でも私は女だし!」
「昔の女性の賢者は七人産んでます」
「ええ?」

 ならなんだろ。先生の手がほんのり光り、術で体をゆっくりと調べてくれている間、私は考え込んだ。なんにも浮かばなかったけど。

「これは王様。サイラス様だと思うね。種が少ないんだと思う。王族には時々いるのよ」
「へえ……」

 先生は隠されてることだからねって前置きした。それに姫に問題はないよって。触れての診察はすでに終わってて、どこもおかしくはない。健康だよって。ならやはり……

「王家一族の方で、たまに長い間実子が出来ないご夫婦がいるでしょ」
「うん」
「これが原因のことが多いのよ。女性の時もあるけど稀。旦那様は恥を偲んで、その……ご兄弟に奥様を抱かせるのよ」
「うそ……」

 ユルバスカルの今の第二王子夫婦いるでしょ?あそこがそう。王子の気性が荒いのもそのせい。若い頃は活発なだけだったそう。彼は兄には頼めず(嫌だから)、血の近い公爵家の当主に頼んだ。だからどちらもなんか怖いでしょう?不満がお顔に出てるらしい。

 ここだけの話にしてね。一族と言えど他人のプライベートを話すのは、姫が元ユルバスカルの王族だから。家族のことだからだよって。口外しないようにって。しませんよ。私だったらと考えると辛いもん。

「赤ちゃんはお身内だから彼にも似てて、誰も疑わない。まあ血は近いから血統としても問題もない」
「そんなことあるんですね。うちはいなかったから」
「うん」

 ティナ様のお家は王家ゆかり方との結婚がなかった。でもね、歴代の王族のお妃様は、血の近いお家からもらうことが多い。身分のせいでね。だからかもねって。そっか。そんなこと考えたこともなかった。サイラスは知ってるの?と、問えば、

「もちろん。赤ちゃん出来るから問題はないけど、確かに出来にくいと私も思う。二人の逢瀬の様子の報告は来ているから。あれなら姫がたくさん産んでもおかしくないはずなのよ」

 ……確かに。出来やすい日を避けてても、出来るよって先生。お薬も飲まずそれだけ姫たちは愛し合ってるのにだ。統計は私調べだよって。
 
「もしかしたら、サイラス様が多く姫を求めるのもそのせいかもね。ユルバスカルの時より多いとロッティたちから報告あるから」
「はい。そっか……」

 サイラス言っくれればいいのに。そしたら私はこんなに落ち込まなかったのにと話すと、いやまあって眉をしかめる。

「言えないもんだよ。自分に非があるかもしれないけどお嫁に来てって。プロポーズの時に言える男はいないのよ」
「だからあの時……」

 子どもは欲しくないと言っていた。知ってたからそんな言い方になってたのかも。もしかしたら自分も?と疑ったか。生い立ちもあるし、ならいらないになってたのかも。

 よくよく考えれば王族で、子どもがいらないなどありえない。国のためにたくさんいた方がいい。なにか病が流行れば子どもは真っ先に減るし、言葉は悪いけど予備的な意味も大きい。それは貴族もそうだけど。

 先生はサイラス様は思ったより繊細なのよ。忘れた?って。そうでした。少し家空けるだけで寂しがるもの。いつも涼しい顔して弱音を見せなくなってたから忘れてた。

「でしょ?ティナ様で心のバランス取ってるところがあるのよ。きっとね」
「焦らずチャレンジします」
「うん。二人目産んで時間経ってないでしょ?年齢的には余裕よ」

 普通にしてればいつか出来るから、思い詰めないようにねって。診察室を出ると目の前にサイラスが立っていた。驚いてどうしたのと聞けば、バツの悪そうな顔をする。

「先生に聞いたか?君じゃなかったろ」
「……うん」
「やっぱりな」

 ごめんなって抱いてくれる。子どもが生まれにくいのはライアンの時に疑った。二人目は奇跡で一発。だから今回もと期待したけど……ごめんと。

「王家は血が濃くなってるんだと思う。身内婚みたいになってて、歪みがあるのだろう。ユルバスカルの侍医の筆頭に言われたことがあるんだ。第二王子の話は?」
「聞いた」

 彼の腕に力がこもりギュッとする。私は胸に頬をつけ身を委ねる。

「そっか。あの夫婦今は身内全部と仲が悪い。ふたりとも相手を愛していた分苦しんでいるんだ」
「うん……」

 気長な話になるが、娘欲しいよね?と聞かれた。うんと答えた。

「出来そうな時させてくれ」
「うん」

 子どもは王家としては足りているけど、姫もいいよねと前から話していた。私とサイラスとの赤ちゃんで、サイラスに似てたら美女出来上がり。王子二人はどちらもサイラスそっくりで、二番目はほんのり私に似ている。笑うと似てるかな?程度だけど。

「君にいている姫か。いいな」
「いや……かぼちゃは可哀想よ」
「そう?俺の好みの真ん中なのに?」
「そんな奇特な人は少ないの。それにカールたちみたいなのにまとわりつかれたら可哀想でしょ」
「アハハッそうだな」

 廊下を歩きながら、でもごめん言い出せなかった。君は俺に合わせてくれて、赤ちゃんを最初は欲しがらなかった。俺もこれがあったから子どもいらないってのもあった。母親が理由だけじゃなかったんだ。本当にごめんと、立ち止まった。

「いいの。コウノトリの気分にしましょう」
「ありがとう」

 なんてことがあって、ゆっくり励もうとなった。その後、サイラスは王様の仕事をバリバリして、私は新たな術を探し、そして試しに山の中。山の中いいわあ。空気が美味しい。

 いっくよおー!

「地の精霊よ。地中に眠る光る糧を地上に表せ。地の神の恵みを我に与えよ。アッパー!」

 術が発動すると土がモリモリと動き、ドフッと爆発したように盛大に吹き上がる。そして、それが降り注ぐ。周りは驚いて叫ぶ。そして土が落ち着くと大量のアメジストが地面に現れた。大きな塊の形を保ったままの美しい姿。よっしゃあ!

「姫、鉱夫いりませんな。ゲホッ」
「いるわよ。誰が運ぶのよ街まで。ペッペッ口に土が……」
「あはは。そうですな。そして姫にお願い。出来れば土を被りたくないもんですな。ぺッ」
「……ごめん」

 私の術を見ていた鉱夫十数人。完全に靴が土に埋まり、マントは着てるけど頭から全身泥だらけ。その真ん中に大量のアメジストをじーっと見つめていた。うーむ。これはイアン様に相談ね。練習とは違うのね。こんなにならなかったのなあ。

 みんな足を泥からズボッと抜いて、スコップで土をよけて道を作っていた。荷馬車を寄せらんないって。そうね……ごめん。いいよ姫。これから土を払い積むから気にすんなって。鉱夫のみんなの優しさに感激だわ。

 このアメジスト鉱山は中が広く思ったよりたくさんあった。手前だけじゃなかったの。それはよかったんだけど、だんだん掘り進めると坑道が危険になって来てね。新たな入り口を途中で掘るならと、私がやったらこうなった。

 山道を整備し馬車も通れるようにしたのに。どうも私は細かい調整がマズいっぽい。練習あるのみか。土を払いながら、

「きっちり練習して下さいませ。これを売って道を整えたら、またお呼びしますから」
「はい!それまでになんとかします!」

 ちまちま掘るより早いから、今後もよろしくって。なんて終わらせてカールのところに戻りお風呂。玄関であまりの姿に、なにしてたんだと言われた。いや…あのとゴニョゴニョ説明したら爆笑。

「アハハッさすがティナ。相変わらず精度が低い。ウハハッ」
「笑わないでよ!」

 ミリガンと共にお腹抱えて笑う。酷い!まあいい。メイドさんが二人はどっか行け。姫はマントもドレスも脱いでって。全部酷すぎると。はい。

「お洗濯します?それとも持ち帰りますか?」
「お洗濯お願いします。引き取りは次回でいいです」
「かしこまりました。こちらへ」

 ヒューと口笛がした。振り向くと遠くにカール。

「下着姿でもいい体だな。やっぱり抱きたい」
「見んな!」

 すると後ろからミリガンが来て後頭部に一発。

「イタッ!」
「許可なく見るのはダメ!正々堂々と脱がせなさい!」
「はい!」
「はいじゃねえ!」

 この二人は完全におかしなっている。私に関しては全て。ミリガンはなぜか嬉しそうについてくる。

「ミ、ミリガン?」
「お風呂のお支度をお手伝いしますわ」
「い、いいあいいえ?自分で出来ます」
「あら。王妃なのに介助の者は?」
「ふへ?」

 メイドさんが、姫は昔から着けてません。サイラス様もね。嫌なんだって説明してくれる。

「いけません。今後他国にも行きますから人に慣れましょう!姫!」
「ふえ?」

 ほらほらと押し込まれたけど追い出した。

「なんでよ!入れてぇ!触らせてー!お股ああ!」
「コワッ」

 本気で怖いぞミリガン。触らせてとかお股とか何ぞや。

「やばい人だったか?」

 入口でメイドさんと騒いでるけど気にせず体を流す。フードかぶってたけど頭はかなり土だらけ。茶色の水ですわ。本気でイアン様に助けてもらわないと毎回こんなになるのはイヤ。ワシャワシャと髪を洗い、湯船に浸かる。

「入れてえ!ティナサマーっ」
「奥様諦めて!ティナ様は他人を嫌うのよ!ダメなの!」

 うわーんと叫んでる声。なんでそんなに入りたいんだろ。同じ女性の体見てもつまんないでしょ。つか、あなたの方が素敵でしょ?なに考えてるやらよ。湯船でゆらゆらしてるとカールの声がして、イヤーッて声が遠くになる。……いなくなったか。なら出よ。

「いないよね?」

 そーっと扉を開けて覗く。いない。

「姫大丈夫ですよ」
「よかった。でもなんであんななの?」
「はは……聞かない方がいいですよ」
「……うん」

 そして着替えて居間に行くと、ミリガンがカールに抱きついてシクシク泣いていた。

 意味わからん……

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