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花嫁〜獣の世界編
11 翠のお店 2
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楽しそうな三人を横目に、僕は高級そうな料理を眺め、見たことないお造りを推測することにした。料亭とか行ったことなくて、分かんないんだよね。
「たぶんこれは貝だろう。何の貝だろうか。この形状は見たことないな」
野菜などもろもろ季節ガン無視は、蓬莱と呼ばれるこの世界の神様の力だと以前聞いた。この世界は不思議なんだ。力のある方(この東の地域の管理者)が町や村など人の住む場所だけ常春にしているんだ。夏冬は町の門をくぐると別世界になる。それ以外は人の世界と同じ。
「おおっこれコリコリしておいしい。マグロとかブリは分かる。イカも……んー甘くて美味しい」
「おねえさん。ここはビールありますか?」
ちょうどお料理を運んできたおねえさんに、僕はお酒を頼むことにした。
「ええございます。お持ちしましょうか?」
「お願いしますッ」
「はい。んふふっ」
僕日本酒が苦手なんだ。すぐに酔うし飲む習慣がないんだよね。すぐにおねえさんがビールを持って来たけど、見覚えのあるラベルで人の世界の瓶ビールだ。受け取って手酌しょうとすると私がと、若草色の瞳の美しい猫のおねえさん。僕は伏せてあったグラスを取りありがたく注いでもらう。
「何か召し上がりたいものはございますか?お品書きはこちらです。おーいと外に声を掛けてもらえば近くの者が来ますので」
「はい。ではこのタコの唐揚げと、この店の名物キジ焼きをお願いします。味は塩で」
「かしこまりました」
おねえさんが下がると僕は御膳の料理を少しずつ口に運ぶ。おお屋敷と味付け違う。このほうれん草のごま和えは香ばしい。たぶんクルミが入ってると思う。とても美味しい。
「御子、こちらのお味はいかが?」
その声の方を向くと、紅様が肘置きに頬杖ついてこちらを見つめていた。
「美味しいです」
「それはよかった。翠の店は全国の物があるからね。飽きないよ」
「へえ」
紅様が僕を興味深く見つめている。少し酔った感じで品定めという目つきだ。
「いい子そうだけど、どこがいいの?色が白くてなよってしてて……俺の好みじゃないかな」
やはり、明らかな品定めだった。この視線は屋敷に出入りする外の人から向けられていてね。慣れないけど当然とも思うから、僕は気にしないようにしていた。気になるのは仕方のないことだから。逆なら僕もたぶんするだろうし。
「お前の好みなど知らん」
「そうかよ。そう言えばリョクの御子もこんなだと聞きているよ。見せてくんないけど」
セイ様はやめなさい。こちらから見れば、人の子はみんな色白でなよっとした子ばかりだよって助け舟?か分かんないけど出してくれた。今どきは男女共にそうだけどさと紅様。こちらの人からはそのように見えてるんだね。
「リョク自体にあんまり会わんもんな。屋敷から出ないし、あいつ家と神社の往復しかしねえし」
「それもあるだろうがな。紅に会わせたくないんだろ」
「酷い翠!紅さんいい子よ!」
そのうちリョク様の話に移り、僕から視線が外れる。翠は淡々と食べて飲んで二人の相手をしている。僕ね、こういうの慣れてんだ。こうして話してる人の横で、美味しい食事を楽しんでることが会社の飲み会でも多くてね。聞いてるのも楽しいんだよ。
「御子様、タコの唐揚げと塩味のキジ焼きです。これは本物のキジですから野生味があって美味しゅうごさいますよ」
「キジは美味しいですよね。ここに来てよく食べるのですが塩味は家では出ません。だから珍しくて」
「そうですか。塩も美味しゅうございますよ」
少なくなった僕のグラスにビールを注いでくれるとおねえさんは下がる。ここには女性はつかないようだ。その方がいいけどね。
「ウマッこのキジ炭火だ。この香りがたまらん。タコも美味しいよぉ」
人の世界だとたまに野性味というか、腐りかけというかの悪いものも出したりする居酒屋がある。まあ翠の店だからないだろうけどね。翠たちが頼んでくれたのであろう料理も来て僕は夢中だった。このお味なら割烹とかのいい料理屋のものだろう。人の世界では僕は行けないかな。そんなにお金は稼いでなかったから。親は付き合いで行ってたらしいけどさ。
「おおっこのイクラ臭みが全くねえ。どんな調理したらこんなになるんだ。生卵の黄身みたいだ」
ぷっくりとして綺麗なオレンジ色のイクラ。僕は一つ一つと摘んでビールを飲む。コンニャクの酢味噌もある。口に入れれば確実に芋をおろし金で下ろして作ったもの。このザラッとした口触りと酢味噌がこれまた美味い。こういうの最近食べてなかったんだよなあ。翠のところにきてからまた食べるようになってさ。素材を生かした料理が懐かしくなおかつ美味しい。
「この世界は野菜のうまさが格別なんだよね」
三人でワイワイ話してるけど、僕の耳には会話が聞こえなくなり自分の世界に。僕は自炊をあんりしなかったし、こんな凝ったものは作れない。味付けのレトルトを多く使っていたからね。ここに来てから物珍しさと丁寧な仕込みに感心するばかりなんだ。目の前の料理はどれも美味しいし、盛り付けも美しい。普通の総菜的なのもあるけど、それすら別ものに見えるくらい。
僕は丁寧な仕事の日本料理に夢中だった。小鉢のゼンマイもタケノコも絶品。アケビの芽のおひたしは本当に久しぶりに口にした。カツオ節がかかったお出汁の味は堪らない美味しさだった。懐かしい春の山菜で、幼い頃はお祖母ちゃんがよく出しててね。僕は思い出に浸り、完全に周りが見えなくなったんだ。
「たぶんこれは貝だろう。何の貝だろうか。この形状は見たことないな」
野菜などもろもろ季節ガン無視は、蓬莱と呼ばれるこの世界の神様の力だと以前聞いた。この世界は不思議なんだ。力のある方(この東の地域の管理者)が町や村など人の住む場所だけ常春にしているんだ。夏冬は町の門をくぐると別世界になる。それ以外は人の世界と同じ。
「おおっこれコリコリしておいしい。マグロとかブリは分かる。イカも……んー甘くて美味しい」
「おねえさん。ここはビールありますか?」
ちょうどお料理を運んできたおねえさんに、僕はお酒を頼むことにした。
「ええございます。お持ちしましょうか?」
「お願いしますッ」
「はい。んふふっ」
僕日本酒が苦手なんだ。すぐに酔うし飲む習慣がないんだよね。すぐにおねえさんがビールを持って来たけど、見覚えのあるラベルで人の世界の瓶ビールだ。受け取って手酌しょうとすると私がと、若草色の瞳の美しい猫のおねえさん。僕は伏せてあったグラスを取りありがたく注いでもらう。
「何か召し上がりたいものはございますか?お品書きはこちらです。おーいと外に声を掛けてもらえば近くの者が来ますので」
「はい。ではこのタコの唐揚げと、この店の名物キジ焼きをお願いします。味は塩で」
「かしこまりました」
おねえさんが下がると僕は御膳の料理を少しずつ口に運ぶ。おお屋敷と味付け違う。このほうれん草のごま和えは香ばしい。たぶんクルミが入ってると思う。とても美味しい。
「御子、こちらのお味はいかが?」
その声の方を向くと、紅様が肘置きに頬杖ついてこちらを見つめていた。
「美味しいです」
「それはよかった。翠の店は全国の物があるからね。飽きないよ」
「へえ」
紅様が僕を興味深く見つめている。少し酔った感じで品定めという目つきだ。
「いい子そうだけど、どこがいいの?色が白くてなよってしてて……俺の好みじゃないかな」
やはり、明らかな品定めだった。この視線は屋敷に出入りする外の人から向けられていてね。慣れないけど当然とも思うから、僕は気にしないようにしていた。気になるのは仕方のないことだから。逆なら僕もたぶんするだろうし。
「お前の好みなど知らん」
「そうかよ。そう言えばリョクの御子もこんなだと聞きているよ。見せてくんないけど」
セイ様はやめなさい。こちらから見れば、人の子はみんな色白でなよっとした子ばかりだよって助け舟?か分かんないけど出してくれた。今どきは男女共にそうだけどさと紅様。こちらの人からはそのように見えてるんだね。
「リョク自体にあんまり会わんもんな。屋敷から出ないし、あいつ家と神社の往復しかしねえし」
「それもあるだろうがな。紅に会わせたくないんだろ」
「酷い翠!紅さんいい子よ!」
そのうちリョク様の話に移り、僕から視線が外れる。翠は淡々と食べて飲んで二人の相手をしている。僕ね、こういうの慣れてんだ。こうして話してる人の横で、美味しい食事を楽しんでることが会社の飲み会でも多くてね。聞いてるのも楽しいんだよ。
「御子様、タコの唐揚げと塩味のキジ焼きです。これは本物のキジですから野生味があって美味しゅうごさいますよ」
「キジは美味しいですよね。ここに来てよく食べるのですが塩味は家では出ません。だから珍しくて」
「そうですか。塩も美味しゅうございますよ」
少なくなった僕のグラスにビールを注いでくれるとおねえさんは下がる。ここには女性はつかないようだ。その方がいいけどね。
「ウマッこのキジ炭火だ。この香りがたまらん。タコも美味しいよぉ」
人の世界だとたまに野性味というか、腐りかけというかの悪いものも出したりする居酒屋がある。まあ翠の店だからないだろうけどね。翠たちが頼んでくれたのであろう料理も来て僕は夢中だった。このお味なら割烹とかのいい料理屋のものだろう。人の世界では僕は行けないかな。そんなにお金は稼いでなかったから。親は付き合いで行ってたらしいけどさ。
「おおっこのイクラ臭みが全くねえ。どんな調理したらこんなになるんだ。生卵の黄身みたいだ」
ぷっくりとして綺麗なオレンジ色のイクラ。僕は一つ一つと摘んでビールを飲む。コンニャクの酢味噌もある。口に入れれば確実に芋をおろし金で下ろして作ったもの。このザラッとした口触りと酢味噌がこれまた美味い。こういうの最近食べてなかったんだよなあ。翠のところにきてからまた食べるようになってさ。素材を生かした料理が懐かしくなおかつ美味しい。
「この世界は野菜のうまさが格別なんだよね」
三人でワイワイ話してるけど、僕の耳には会話が聞こえなくなり自分の世界に。僕は自炊をあんりしなかったし、こんな凝ったものは作れない。味付けのレトルトを多く使っていたからね。ここに来てから物珍しさと丁寧な仕込みに感心するばかりなんだ。目の前の料理はどれも美味しいし、盛り付けも美しい。普通の総菜的なのもあるけど、それすら別ものに見えるくらい。
僕は丁寧な仕事の日本料理に夢中だった。小鉢のゼンマイもタケノコも絶品。アケビの芽のおひたしは本当に久しぶりに口にした。カツオ節がかかったお出汁の味は堪らない美味しさだった。懐かしい春の山菜で、幼い頃はお祖母ちゃんがよく出しててね。僕は思い出に浸り、完全に周りが見えなくなったんだ。
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