ぱっちのおっさん

蘭爾由

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第七話 母・南麗子「思い出したらまた腹立ってきたわー」

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第七話 母・南麗子なつこ「思い出したらまた腹立ってきたわ」

初めて視界の端になんか変なもん見えるなって意識したのは秋の終わりだっただろうか。

ぼんやりと視界の端に、ちっこい何かが見える気がする、と思ってそっちを見ると何もない。

視点を合わせなければ何かが絶対に視界の端にぼんやり見える。

カーテンのふさが揺れて何かがプラプラしているとか、戸棚の上や下を高速で走り抜ける何かとか。

こんなとこにこんなもん置いたかな?、っていうこともある。例えば置いた覚えのない目薬を蓋開いた状態でダイニングテーブルに見つけた時はイラっとして「誰や!」って誰もおらんのに叫んでしまったり。今思えばアレもぱっちのおっさんの仕業ちゃうんか、腹立つわー。

食べようと思ってた豆大福無くなってた時もあったな……。

買い置きしてる焼酎の減りが早いなーと思ってたけどまさか……。

テレビドラマ見てたらいつのまにかうとうとしてて気付いたらテレビのチャンネルが、よくわからんアイドルが売れてない芸人とアハハうふふのアダルト番組に変えられてたし。

買い物メモに書いた覚えのない「大関」って書いてあったこともあったな。

ろくなことせーへんやんけぱっちのおっさん。
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