娘の様な義理の妹に俺が恋なんてするわけが無い。

新名天生

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妹は二人いる?

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 学生時代……が殆んどなかった俺。
 中学の頃から不登校になり、高校は通信。
 そして大学では授業とバイト。
 バイトも接客の無い、親父の親友の仕事の手伝い。
 まあ、それがそのまま今の仕事になっているんだけど……。
 
 そんな俺でも、まったく人とかかわらなかったわけでは無かった。
 そんな俺には、恩人がいた。

 旅行から帰ってきて直ぐ雪の高校の入学式、その後、俺と雪は揃って恩人の家に向かっていた。
 真新しい制服に身を包む妹、恐らく最後の学生服となるであろうその姿を亡き恩人に報告する為に……。

 俺は恩人家に向かう、その電車の中で親父が死んだ時の事を思い出していた。

 親父は……常に多くは語らない人だった。でも能天気で俺が何を言っても、ただ笑っている様な人だった。
 
 雪を連れて来た時既に親父は病魔に侵されていた。
 雪をプレゼントと言って俺に託したのは、俺を一人にしたくなかったからだったのか? 今となっては知るよしも無い。

 そして雪がよちよち歩きの頃に、親父は俺に黙ったまま入院した。
 日頃から、ろくに帰って来なかった為に、俺は暫く親父の入院には気が付かなかった。

 親父が入院している事を知った時、もう親父は手の施しようが無い状態だった。

 そして親父が死に途方にくれている俺に、手を差し伸べてくれた人がいた。
 
「賢作君……初めましてと、言った方が良いかな?」
 親父が死んだ日、病院で俺にそう言って声をかけてくれたのは、親父に年が近い中年の男性だった。
 聞けば大学時代の友人、何年も連絡を取って無かったが、先月唐突に連絡してきたとの事だった。

「大学時代に貸した金、利子を付けて返せって言われてね」
 そう言って彼は俺に向かって微笑んだ。 
 彼は堀江佑一、その後俺と妹は堀江おじさんと呼ぶ事になる。

 親父の葬儀を終え少し落ち着いてから、堀江さんは俺と真剣に向き合い、「どうしたい」と聞いてくれた。
 他に頼る者がいなかった俺は、コミュ症なんて気にしてる場合ではないと、全てを打ち明け、俺が今後どうしたいか、どうやって生きて行くか、じっくりと話し合った。

 そして、妹の面倒は全て見る……学校もなんとかする。
 でも……困った時、どうしても都合が付かない時だけ手を貸して下さい。

 俺はそう言って頭を下げた……自分の為に、妹の為に……。

 堀江おじさんは、俺達を養子にすると考えていたらしい。
 でも……俺の為に、俺の生きる希望……妹と、との事を考えて俺達の後見人となってくれた。
 そして、それを全てわかっていたかの様に、親父の遺言書には【堀江に子供達を全て託す】と記載されていた。

 その後……俺は大学迄行き、堀江おじさんの会社でアルバイトをしながら仕事を覚えていった。
 そう……今働いている会社はおじさんの会社だった。

 だったと言うのは、堀江おじさんは、俺が成人した後、暫くして亡くなってしまった。
 今は会社の規模を小さくして奥さんが社長としてやっている。

「──そう、もう高校生か、早いわねえ……」
 俺は妹を連れて堀江家に挨拶に来た。
 
 高校生になった事を、おじさんに伝える為に……。
 
 奥さん……今は社長に二人で挨拶をした後、別室にある仏壇の前で、妹と二人並んで遺影に手を合わせ挨拶をする。
 おじさんがいなければ、俺は妹を手離してしまっていたかも知れない。
 いや、もっと痛ましい事になっていたかも……しれない……。
 
 だから、本当にありがとうございます……妹が高校生になれたのも、今一緒に居られるのも、全ておじさんのお陰ですと、そう……挨拶をした。


「賢にい~~~~~!」
 
「うお!」

「賢にい! 久しぶりいい~~~~あ、雪ちゃんも、おひさ~~」
 俺と妹がおじさんに挨拶を終え、居間に戻ると、おじさん……堀江家の一人娘、堀江恵が俺に抱き付いて来る。

「め、恵さん! な、ななな、何、抱き付いてるんです!」
 
「えーー? 抱き付いて無いよ、後ろから首に手をまわしてるだけじゃん~~」

「そ、それを抱きついてるって言うの!」
 
「え~~、ああ、もうこんな程度で~~ホントおこちゃまは~~」

「おこちゃまって、私と一つしか変わらないじゃない!」

「まあ、まあ……恵ちゃん、ちょっと離れよっか?」
 いや、その……背中に……凄く柔らかい物が当たっているから……。
 ソファーに座る俺に後ろから抱き付く恵ちゃん。

「え~~~~~~」
 今年高校2年になった恵ちゃん、茶髪に髪を染め、少し派手な化粧、ピアスに指輪、いわゆるプチギャルって奴か?。
 その昔、どうしてもの時は、妹をこの家に預けていた。そして時々そのまま泊まったりもしていた。
 
 なので幼い頃から恵ちゃんを知っている俺にとって、彼女もまた妹の様な存在で、一人っ子の彼女も俺を兄の様に慕ってくれていた。

 それにしても……あの頃から比べると……大きくなったなあ……。

「お兄ちゃん? どこ見てるの?」
 
「いや、どこも……」

「ねえねえ、今日は泊まって行くでしょ?」
 俺から離れ今度は俺の前でショートパンツから伸びる綺麗な足を見せ付ける様にしながら、恵ちゃんがそう言った。
 いや、いくら部屋着と言っても、ちょっとセクシー過ぎるのでは?

「いや、帰るよ、今日はおじさんに挨拶しに来ただけだから」

「え~~~~、遊ぼうよ~~、いいでしょ~~~~」
 俺の前に膝をつき、俺の太ももを持って揺さぶる。
 や、やめて~~~~。

「い、いや、遊ぶって……何をして?」
 首回りがゆるゆるなTシャツを着ている恵ちゃんの胸元がチラチラと見える。
 って、高校生と家で遊ぶって、何をするんだよ? 

「なんでもいいよ、あ、ほら! 昔よくやってたお医者さんごっことか?」

「……お兄ちゃん?」

「し、ししし、してない! してない!」

「え~~~~してたじゃ~~ん」

「変な事言うな! してない! してるわけがない!」

「おにいちゃん~~~~!」

「恵ちゃん! 言っていい冗談と悪い冗談があるぞ!」
 そう、この子はいつもこうやって俺をからかう、昔からそうだった……。
 ケラケラと笑う恵ちゃん……でも……俺は何故か雪よりも、恵ちゃんの方が妹の様な、いつからかそんな感覚になっていた。 
 
 っていうか……本当にお医者さんごっことかしてないから! おい! 雪! 信じるな! 違うったら違うぞ!
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