クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

文字の大きさ
1 / 99

キャラブレって作品的に致命的じゃない?

しおりを挟む

 クラスカースト「そんなものは存在しない」まあカースト上位の人間はそう言うよね。


 でもね、僕みたいにカースト下位、底辺に居る者から言わせて貰えば、あるよ絶対に……


 例えば学園祭、やっぱり学園祭と言ったらカフェでしょう! メイド喫茶でしょう! 昔はお化け屋敷、今はメイド喫茶……え? もう古い? そ、そんな事ないよ! メイド喫茶だよ? メイド喫茶、考えてみてよ、お化け屋敷なんて何が面白いんだよ、怖い格好をして脅かすだけ、こっちとしては何も面白くない。

 そこへ行くとメイド喫茶、クラスの女子がメイドの格好をしてくれるんだよ? 自分の好きな娘がメイド姿に……ああ、もう冥土に行っても良いくらいだよ。

 えっと……すみません……ここでブラバは止めてください、もう少し先までお付き合いを……

 えっとどこまで話したっけ……そうそう、まあとにかくメイド喫茶は僕の憧れなんだよ、高校生になったら学園祭はメイド喫茶でって。

 だから1年の秋、学園祭で何をやるか議題に上がった時、僕は思いっきり大きな声で言ったんだ、「メイド喫茶をやりたい!」と……


 あ、ちなみに僕は日頃から、影が薄いキャラとしてクラスで過ごしていた。
 キャラだよ、あくまでもキャラ……高校生になったら皆キャラ設定ってするよね?
 まあ、学校という所に通うようになって以来キャラ変更はしていないんだけどね。

 そんな僕が委員長(通称赤メガネ)の「何かありますか~?」に被せる様に言ったので、クラスの皆がキョトンとしていた。

 そりゃそうだよね、後で気が付いた、これじゃキャラブレだよね? これが小説だったら書いてる作家は才能ないよね。


 でも、僕はそんな事を気にせずに熱く熱く語ったわけだよ、メイド喫茶について。それはもう熱く熱く語った、熱すぎて10月なのに残暑かよってくらい熱く暑く。

 そして全てを語った、語り尽くした後に我に帰った僕は、すっかりとキャラブレしていた事に気が付く……いや気が付かされたんだ……その冷たい視線に。

 クラスカースト上位達の冷たい視線、そして「えーーー何こいつ、こんな奴いたっけ?」と言う話し声、「それよりもっと面白い事やろーー」との一言で僕の提案したメイド喫茶はあっさりと流された……

 僕みたいな、クラス底辺の奴が何言っても、カースト上位の一言でなかった事にされてしまう。

 まあいいさ……そういう物だと諦め僕はそのまま席に座った……でも話題はとっくに変わって僕は再び居ない者として扱われているのに、何処からか視線を感じる……僕はその視線を探すとクラスで一人僕を物凄く冷たい視線で見続けている人物が……。

 その人物は……皆の憧れの存在、その出で立ちから間違いなくお嬢様、深窓の令嬢、悪役令嬢はちょっと違うか、とにかく物凄く冷たい、雪女かと言うくらい冷たい凍る様な視線で僕を見ていた。

 『薬師丸 泉』クラスカーストの頂点、黒髪ロングなその艶やかな髪は清楚なお嬢様然としている、スタイルはとにかく細い、しかしガリガリという感じではなく適度に出る所は出ている、顔はいつも凛としているが時々見せる笑顔がとても可愛いく愛らしい。

 ここまで言えば分かるかな? 分かるよね……そう……僕がメイド喫茶にこだわったのは、中等部からの夢と……彼女……

 薬師丸さんに着せたかったんだ……メイド服を、彼女のメイド服を見れたら、冥土に行っても良い位だ。

 えっと……ごめんなさい。

 薬師丸さんとは中等部からのクラスメイト、僕の憧れの人、僕の初恋……でも彼女は中等部からクラスの中心人物、クラスカーストの最上位、いつも輝いている太陽、僕は地面を這うアリ、彼女とは立場が違う、違いすぎる。

 だから僕はこの思いを心に秘め、目立たない様にひっそりと過ごしていた。

 まあとにかく僕はやってしまったんだ、最悪のキャラブレを……そして気付いてしまったんだ最悪の事を…………そう僕の秘めた思い、隠していた恋が隠れたまま終わってしまった事に……

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...