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白い天使
しおりを挟む僕が始めて泉を見たのは中学受験の時だった。
虐められてはいなかったが、小学校では皆と馴染めず友達はほぼ皆無、このまま中学に行った所で周りは変わらない、自分が変われば、そして1からスタートすれば……僕はそう思い中学受験を決意、ただあまり遠い学校は朝辛いかな? と中途半端な決意で歩いて行ける距離にあった、とある大学の付属中学を受験する事に決めた。
まあ、趣味といえばアニメや漫画それもメイド系だけ、そんな一杯あるわけじゃないのでそれほど時間を費やす事もなく、勉強自体も嫌いじゃなかったので合格出きると余裕綽々で受験当日を迎えた。
「無理だよ……知らなかった……」
僕はそこの学校の事を調べなかった、先生も何も言わなかった、でも知ってしまった、そこは元々お嬢様学校で最近共学になった事を
受験前日にその事を知り、それでもまあ今は共学だしと来てみれば、大量のお嬢様達が黒塗り高級車でお受験に来ていた……
「ええええええ、こう言う人達って幼稚園とかから行く様な学校に通ってるんじゃないの?」
僕はその場で立ち竦んだ。
「無理だ……受かった所で通えない……少なくとも高校卒業迄この人達と一緒って事だよね?」
僕はなんとなく入った店が超高級ブランドの店舗だった時の様な場違いな感覚に襲われた。
「無理、無理だよ、通えないよ……」
もっとちゃんと調べれば良かった……でもそうだよ、高校受験とは違うんだ、受けなくても公立に通うだけ、父さんには受けて落ちた事にすれば……
僕はそう思い、後退りするようにその場を後にしようと振り返った時、目の前に何処の学校か分からないが白いセーラー服を来た黒髪の美しい女子が歩いて来た。
あまり見た事の無いその白いセーラー服、僕は一瞬その娘がメイド服を着ているかと勘違いした。
硬直する僕の前でその娘は立ち止まり僕を見て言った。
「どうしました? お顔が真っ青、汗も凄い、具合が悪いの?」
「え、えっと、だ、大丈夫です、ちょっと緊張して」
「ああ、貴方もこの学校に受験を? 緊張しますよね、私も緊張してますよ」
そう言いながらハンカチを取り出し、僕の額の汗を拭く
「あ! す、すみません!」
僕は慌てて謝ると彼女は凄く可愛く笑いながら言った。
「いいのよ、これ使って下さい、春から通える様に、お互い頑張ろうね」
そう言って僕にハンカチを渡し軽く会釈をして学校入って行った。
僕はその場に立ち尽くし、彼女の行った先をずっと眺めていた……
「天使だ……天使がいた」
そう呟くと彼女に導かれる様に僕はフラフラと学校の中へ、そしてそのまま受験し、見事合格する。
後に彼女の名前が『薬師丸 泉』と知った。中等部では結局同じクラスにはならなかったが、時折廊下で彼女を見かけた。彼女の周りには常に人が集まり、その中心でいつも笑っていた。
ボッチの僕とは正反対、勿論話しかける事も出来ず、ハンカチを返す事も出来ず、僕は遠くから見つめるだけだった。
でもそれで良かった、十分だった。天使と同じ学校に通えるというだけで、僕はこの学校に入って良かったと思っていた。
しかし、まさかこんな事になるとは……
高等部で初めて同じクラスになっただけでびっくりしたのに、まさか家族になるとは……
家族に天使が迷い混んだらどうしますか? そんな嘘みたいな、らのべみたいな事が本当に起きてしまった。
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