クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

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キモいよ?

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  足にしがみつき泣き叫ぶ僕の頭をゆっくりと撫でるみかんちゃん……
 泣きながらみかんちゃんを見つめるとみかんちゃんは笑顔で返してくれる。

 天使の羽が、天使の輪が見える、みかんちゃんの背中に後光が差す。
 ああ、また一人天使が、なんだろうこの学校って天使が二人もいるんだ……

「ううう、ぐすっ……みかんちゃん、みかんちゃああああんんん」

 また涙が出てきた、優しいみかんちゃん、可愛いみかんちゃん、天使のみかんちゃん、僕のアイドルみかんちゃん。

 僕が涙を流してそう言うとみかんちゃんは僕の涙を優しく指で拭きながら満面の笑みでこう言った。


「佐々井君……キモい」

「酷い!!」
 うわあああああああん、酷いよおおお! 

 みかんちゃんは天使じゃなく堕天使だった……鬼! 悪魔!



 ◈◈◈◈


「バレた?」

「うん、多分」
 ようやく泣き止み落ち着いた所でみかんちゃんの尋問が始まった……って言ってもまあ僕にわかるのは、みかんちゃんの正体が泉にバレたって事だけなんだけど。

「本当に?」

「うん……恐らく」

「多分とか恐らくとかはっきりしないなーー今まで佐々井君以外にバレた事無いんだけど……本当に本当?」

「いや、まあ、それ以外に考えられないから」

「うーーん確かにあの日は佐々井君と二人きりだと思ったから、少し手を抜いたけど、でも今まで誰一人気付かれた事無いんだけど……」

「まあ、泉は凄いからね!」

「そんなシャキーン見たいな顔されても、なんかムカつくなーー結局それで……なんて言ってるの? その泉さんは」

「いや別に、でもなんか不機嫌で僕もちょっと困ってる」

「ん? 何で私の正体を知って泉さんが不機嫌になるの?」

「うーーん、学園のアイドルは二人要らないとか?」

「まさか……でも……無くはないかその考え」

「でしょ?」

「いや多分佐々井君の考えてる事とは違うと思う」

「え? どう違うの?」

「教えて上げないよ~~~~だ」
 あかんべをするみかんちゃん、うーーーん、どんな表情でも可愛いとかマジで堕天使なんじゃない?

「えーー」

「とりあえずこの事は保留って事にしておいて、本当に泉さんにバレたって分かるまで」

「そ、そうしたら……いつまでも泉の機嫌が直らないんじゃ……それはちょっと困るというか……」
 いくら兄妹とは言え、あまり喧嘩はしたく無いんだけど……

「多分泉さんが怒ってるのは私の正体のせいじゃないよ、それだけはわかるから」

「そ、そうなの?」

「うん、あの子嘘つきだから」

「嘘つき? 泉って嘘つきなの?」

「そだよ、あの子は嘘つき、自分に嘘をついてる」

「自分に? よくわからないよ、それってどういう事なの?」

「知りたい?」

「うん」

「だが断る!」

「えーーーーまた、もうそればっかり」
 今度は変な立ち方で変な決めポーズをするみかんちゃん……
 本当みかんちゃんて結構意地悪だなぁ、やっぱり堕天使なの? というよりは小悪魔?


「ねえねえそれよりさ、今日夕方空いてる?」

「え?」
 なにその話しのずらし方? 才能無い小説家が書いている様な場面転換の仕方だけど……嘘はどうなったの?

「放課後暇かって聞いてるの!」

「ああ、うん、まあ、僕はいつも空いてる様なもんだし」
 部活もしてないし、多分今日泉とは帰りも別だろうし……

「じゃあさ、じゃあさ、うちに来ない?」

「うちってみかんちゃんの家?」

「あ、ごめん言い方間違えた、うちの店に来ない?」

「なんだびっくりしちゃった……て……えええええええ!」

「そんな驚く?」

「そ、そりゃ……お店って事はメイド喫茶?」

「他に無いでしょ」

「ええええええええ! でも、僕行った事無くて……その……お高いんでしょ?」

「あはははは、なにそれ、大丈夫だようちは、普通の喫茶店だから」

「そうなの?」

「まあ、高校生可だからね~~変なボッタクリとかすると大変だしね」

「ボッタクリ……やっぱりあるんだ……」

「まあ、無いとは言えないのが悲しいけどね、だからイメージ回復の為に色々やってるんだよ、私も嫌々だけど協力してるの」

「そうか……」

「だから一度ちゃんと見てもらいたいの、佐々井君には私の本当の姿をね」
 そう言って僕にウインクをするみかんちゃん、言われて見れば写真でしか見たこと無かった、みかんちゃんのメイド姿……これで、こんなんで本当にファンと言えるんだろうか? 僕は友達と言えるんだろうか?

「……本当の姿……うん……そうだね、僕も見たいな、みかんちゃんの働いてる姿、本当の姿を、行くよ、行く行きたい!」

「オッケー、じゃあ帰り一緒に行こう」

「わかった! 楽しみだな~~」

  遂に初メイド喫茶だ、ちょっと怖いけど、僕はみかんちゃんを信じる。
 みかんちゃんの初生メイド姿……「うふ、うふふ、うふふふふふふ、うふふふふふふふふふふふふふふ」


「うーーんやっぱりキモいよ佐々井君……本当、日頃はおとなしいのにメイドとなるとこうも変わるって……」

「ほっといて、メイドは僕の命なんだ!」

「ハイハイ」

 とりあえず泉には放課後用事があるってメールを送っておくか……
 帰ったら機嫌が良くなってたらいいんだけど、まあ喧嘩って間を開けた方が良いって言うしね。

 いやあ、本当に楽しみだな、みかんちゃんのメイド姿。




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