異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

yuimao

文字の大きさ
66 / 84
第三章 悩める剣士との出会い

第55話 商業ギルドからのお誘い

しおりを挟む
 コンコン

「ん?メイドさんかな?」

 最近慣れてきた巨大なベットの中、ノックの音で目を覚ます。
 窓の外を見るとすっかり日が昇り、太陽がサンサンと大きな部屋に降り注いでいる。

「ウェンディ・・・また落ちるぞ」
「・・・うーん・・・」
「だめだこりゃ」

 俺の上で大の字で寝ているウェンディは起きそうもないので、ゆっくり体を起こし扉に向かった。

「おはようございます。ワタル様。朝早く申し訳ございません」
「おはようございます。セバスさん。どうしたんですか?」

 いつものように背筋をピンと伸ばし、キレイなお辞儀をしているのは、アドレーヌ様の執事セバスさん。

 まさにテンプレのようなロマンスグレーの老執事を見ると何故か緊張してしまう。
 やはり、あの執事服の下には暗器を仕込んでいるのか?
 それとも体術の達人だったりして。

「商業ギルドより手紙が届きましたのでお持ちしました」
「商業ギルド?」
「はい。先日ワタル様が商業ギルドへ向かうとお話しておりましたので、私が商業ギルドのギルド長へ手紙を出しておきました。その返答のようです」
「へ?そ、そうですか。ありがとうございます」

 この執事セバスさんはやはりできる男だった。
 しかし、王家から手紙なんかを出して良かったのか?
 俺としてはふらっと行って商業ギルドで身分証を申請するだけで良かったのだが・・・

「では確かにお渡しましたので、私は失礼します」
「あ、はい。あのユキナ共々ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえ、ユキナ様はアドレーヌ様にとても懐いておられます。アドレーヌ様は最近とても楽しそうで・・・こちらこそ感謝しております」
「そ、そうですか・・・」
「ユキナ様を見ていると幼い頃のアドレーヌ様を見ているようで・・・ゴホンッ!それでは」

 ユキナは執事セバスさんまでメロメロにしたようだ。恐るべしユキナ。

「さて、何が書いてあるのかな?」

 俺は商業ギルドの封蝋がされた手紙を、部屋に備え付けられたペーパーナイフで丁寧に開いた。

 ・・・・・・・・・

「それで手紙にはなんて書いてあったの?」
「今日のお昼時に来てほしいって。一緒に昼食でもどうですかと書いてあった」
「多分王家からの手紙で、よほどのVIPが来ると思われているわよ」
「そうだよな~。別に身分証を貰うだけなんだけど・・・」
「なんか面白いことになりそうね」

 俺とウェンディは商業ギルドがある建物を目指してシップブリッジの街を歩いている。
 
アドレーヌ様にも出かけることを伝えた。

 今日はユキナと一緒にお貴族様のお友達とお茶会をするらしい。ノーミーもユキナとアドレーヌ様の護衛として参加するようだ。
 ただし、姿を見せることはしないらしい。

 伝説の妖精がいると知ったら、大騒ぎになるからとアドレーヌ様が言っていた。

「ワタルが頼りないから私が仕方なくついていくわ!」

 上から目線のウェンディは俺についてきた。別に身分証の申請ぐらい一人でできるぞ。

 ギギギ

 やがてセバスさんから教えてもらった商業ギルドの建物に到着して重厚感のある扉を開けた。

 ようやく就職活動の第一歩を踏み出す。別に面接しに来た訳では無いが、まるで応募した会社のエントランスに入る気分だ。

 まずは第一印象が大切だ。ハキハキとした挨拶で元気をアピールしよう。
 すでに会社に入る時から面接は始まっているのだ。

「失礼致します!商業ギルドで身分証の申請に参りましたワタルと申しましゅ」

 ・・・しーん・・・

 ヤベッ・・・噛んだ・・・恥ずかしい・・・

 会社員の最上級のお辞儀である90度のまま固まる俺。きっと顔が真っ赤になっている。

「「「いらっしゃいませワタル様!!」」」

「へ?なに?・・・うおっ!」

 恐る恐る顔をあげると、ズラリと並んだ職員らしき人たちが一斉に頭を下げていた。

「なにこれ?ウェンディ」
「やっぱりVIP待遇で間違いないわね」
「あのー皆さんどうしたんですか?」

 理由が分からないので一番手前の若く見える女性に声をかけた。

「はい!お、お、お、王家から手紙がと、と、と、届きましてー」
「まずは落ち着きましょう」

 声がうわずっている女性を見ていると、こっちが虐めているみたいじゃないか。

「うちの職員が失礼いたしました。副支店長のギルと申します。お話は承っておりますのでご案内致します」
「はじめまして。ワタルと申します。これは一体なんですか?」
「はい。アドレーヌ様直々にお手紙を頂戴しまして、国を左右する重要な人物がお越しになると・・・よって商業ギルド一同ワタル様を歓迎します」

 やりやがったあの王女様・・・てっきりセバスさんが俺が行くことを伝えただけかと思ったが、アドレーヌ様が直接手紙を書いていたようだ。

 なんだよ国を左右する重要な人物って。
 まだこの国に来て1週間くらいだぞ。国なんて左右できるわけないだろ。

「ウェンディ違うんだ。こんな接待プレイは俺が思っている就職活動じゃないんだ」
「アハハ!やっぱり面白いことになってる」

 俺はウェンディが妖精であることを忘れて普通に話しかけてしまった。
 他の人は俺が独り言を言っていると思うだろう。

「おおやはり妖精様とご一緒なのですな・・・素晴らしい」
「あ・・・・・・やらかした・・・」
「もうこれはVIP待遇受けるしかないわねワタル!」

 こんな状況でどうすればいのだろう・・・
 俺はヘコヘコしながら、たくさんの職員さんの視線を感じつつ応接室へ案内された。
 ・・・誰か助けて

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

面白い、続きが気になるという方はいいねや感想を頂ければ嬉しいです♪














しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...