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1章

4 : 殺し屋 冒険者になる

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朝になり顔を洗うために鏡の前に立つ。そして自分の顔を見た時に驚いた。結論から言うと、若返っていた。自分が17か18くらいの時の顔つきだった。昨日酔っ払いが言っていた事が脳裏に浮かんだ。あれは…そういう事だったのか…でもなぜだ?なぜ若返っているんだ?内心驚きつつも、もうここは元の世界ではないことを知っていた以上、自分の身体に変化が起きてもおかしくはないと思っていた。水を飲み少し落ち着いた後、俺はギルドの場所を宿主から聞き、昨晩の詫びとして銅貨を3枚多く支払い宿を後にした。確かにこの国の土地は穏やかな気候で風はほどよく、日差しも柔らかで心地良いものだった。ギルドは宿からそう遠くない場所にあった。建物の扉を開け中に入る。中は意外と広かった。俺は受付嬢のもとへ行き、冒険者登録について話を聞きに行った。
「おはようございます!見ないお顔ですが、冒険者登録でしょうか?」
受付嬢は優しい笑みをこちらへ向けた。
「ああ。冒険者登録を頼みたい。」
「かしこまりました!それではこちらの書類に必要事項を記入後、銀貨2枚をお持ちの上、再度こちらへお越しください。」
そう言われ、受け取った書類には名前などの基本的な情報を記入する欄の他にスキルや主要使用武器などを記入する欄、その他ジョブといった項目があった。
「このスキルだとかジョブっていうのは何だ?」
「アレ?もしかして…お客さん、スキルをお持ちでないのですか…?」
受付嬢は物珍しそうな顔でこちらを見つめた。
「スキルがないと何かまずいのか…?」
「いえ、スキルを持たない方はいらっしゃいますが、本当にごく少数なので…もしよろしければスキル鑑定をされていきますか?たまにスキル鑑定を今まで1度もされたことがなく、ギルドの受付で初めて自分のスキルを知る方もいらっしゃるんです。」
スキル鑑定…きっとどんなスキルが自分に備わっているかが分かるものなんだろう。やっておいて損は無い。
「じゃあ、それも頼む。」
「かしこまりました!それではこちらの水晶を10秒ほど見つめてください。瞬きはしてはダメですよ~。」
「ああ。分かった。」
言われるがまま、10秒ほどその水晶を見つめていると、水晶が光り文字が映し出された。
「ええと、お客さまのスキルは…んー…ん?見たことないものが多いですね…。私が知らないスキルというだけかもしれませんが…」
映し出された文字には【徒手格闘SS】【銃撃戦SS】【短剣SS】【ガンスミスS】【周囲探知AAA】【体力A】【リロードA】なるものがあった。
「この中で私の知らないスキルは【体力】【短剣】以外のスキル全てです。似たようなスキルで知っているものはありますが、このような名称のスキルは初めて見ました。」
「そうか…まぁいい。とりあえずこのスキルを全て記入して後で書類と銀貨を出せば問題ないな?」
「はい!それで大丈夫です!それでは後ほどお待ちしております。」
俺はスキルやその他の項目を埋めて、書類を提出した。
「ジェイデン・ウィルソン様ですね!ジョブの欄だけ空欄ですが…」
「ジョブの説明だけ受けていなくてな…。ジョブとはどんなものなんだ?」
「ジョブの説明も一緒にしておくべきでしたね!すみません!ジョブというのは、冒険者の主な依頼に関わってくる重要なものでして、主に剣を扱い魔物の殲滅を主とする【ファイター】弓を扱い後方支援を得意とする【アーチャー】斧と盾を駆使して攻撃に優れた【バイキング】エルフなど異種族の方々が得意とする回復魔法が専門の【ヒーラー】短弓と双剣を扱い身軽な装備でパーティーのサポートを主とする【レンジャー】など様々なジョブがありますが、基本的に今申し上げたジョブが冒険者の方々は多いです。その他特殊なジョブがありますが、ジェイデン様の場合、主な使用武器が銃器と、スキルに探索系が備わっていましたので、特殊な部類になりますが【ガンナー】もしくは【アサシン】などどうでしょうか?」
「なら、【アサシン】で。」
「かしこまりました!それでは冒険者登録申請の承認手続きをしてきます。後ほど名前をお呼びしますのでしばらくお待ちください。」
「ああ、ありがとう。」
長々としたスキルやジョブの説明で久しぶりに疲れた。とりあえず冒険者登録は無事に済みそうだ。これからどうするか…。俺はギルドの長ベンチに座り、一人考えた。
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