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1章

5 : 武器調達は殺し屋の基本①

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無事にギルドでの登録を済ませ、俺はFランク冒険者としてこの街で過ごす事になった。ギルドの受付嬢から武器の調達を提案され、俺は勧められた武器屋へ行くことにした。鈴の鳴るドアをくぐり、俺は中にいる武器屋の店主へ話しかけた。
「武器の調達を頼みたい。職は…ジョブはアサシンだ。銃とナイフが欲しい。」
「あいよぉ!アサシンかぁ!若ぇもんは良く来るがお前さんの歳くらいでアサシンは珍しいなぁ!まぁゆっくり選んでくれ!」
俺は29だぞ…そう思いつつも、俺は銃とナイフを選ぶ事にした。殺し屋にとって必要な武器はその機能性だ。銃に関しては弾とマガジンの互換性、サイトの視認性、弾詰まりに強い機関部、強靭な剛性など、選ぶ上で重要な点はいくつもある。が、想像はしていたがこの世界の銃は技術的に俺が元々いた世界のそれとは遥かに遅れを取っていた。
「なぁ、全自動の長物は無いのか?」
「おいおい!お前何言ってるんだ?はっはっは!全自動の長物なんて、この国の最先端の武器じゃない限りそんなの無理だぞ!それも5発程度撃てば弾詰まりが起きるような物だし基本的にはほとんど半自動の単発だけだぁ!」
と、武器屋の店主は笑い飛ばした。仕方がない。無ければ作ればいい話だ。これでもライフル、小銃、拳銃の構造については十分頭に叩き込んである。
「よし、分かった。俺は全自動で弾詰まりもしない長物の銃の構造を知っている。取引しないか?俺がその最先端とやらを遥かに超えた最高の代物を作り出す"素"を提供してやる。その代わり料金を抑えて俺に作った武器を売ってくれ。悪くないだろう?」
「おいおい!冗談は口だけにしときな若いの!そんなの無理に決まってる!この国は小さいが魔法研究も武器の製造も進んでる方だぞぉ?それに全自動の長物の銃なんてなぁ、ここ8年は進歩がないんだぜ?全くおもしれぇこと言いやがるぜぇ!はっはっは!」
全く取り合おうとしないが、俺には確信があった。
「まぁいいさ。アンタが驚きすぎてひっくり返っても知らないからな。」
アテはある。ここでいう"素"というのは、そう。俺の銃だ。この銃はドイツの大手メーカーが作り出した45口径の自動拳銃。グリップの握りやすさと弾の威力が俺に合っていたため愛用しているものだ。どのみち小銃に関しても設計図を作り見せてしまえば驚くに違いない。なんならこっちが金を取ってもいいレベルだ。俺は銃をホルスターから抜き出してカウンターの上に置いた。
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