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前世の話 唯と蓮華編
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「待って!!??私はそんな事しないよ!!??」
「嘘よそんなの!どうせ私に乱暴する為に拾ったんでしょ!!そんなの分かってます!!」
「響一朗さんそんなことする人だったの!?ロリコン!?」
「唯ちゃん!!!???」
私の言葉に、先程入って来た男は分かりやすく動揺する。そんな事しないよ!とか言う奴ほど信用出来ない。男なんて皆そんなもんだ。
そもそも誰だよこいつ。
「本当に君に乱暴する気は無いって!」
「じゃあ何ですか!?そもそもあんた誰なんですか!?」
「落ち着こう!?あ、自己紹介した方が良い?えっと、私は月雪響一朗。マフィアだよ」
「マフィア…?騒いですみませんでした殺さないで下さい乱暴しても良いですから」
「媚び方がいっそ清々しいね。あと乱暴はしないから。私紳士だから」
死んでも良いとは思ったがマフィアに殺されるのはお断りだ。絶対痛い。
え?マフィアだと知った瞬間態度変わり過ぎじゃねって?
そんな君に私が貧民窟で思い知った人生でベストスリーに役立つ言葉を教えてあげよう。
長いものに巻かれろ。
逆らうな。巻かれるんだ。だって権力に逆らった所でどうなる?理不尽に声を上げてどうなる?何も変わらないじゃないか。
この世は、所詮はそんなものだ。
正義など、そんなものありはしない。
でも、何故マフィアが私を拾う?
どっかの金持ちが貧民窟に慈善でもしに来て、私を拾ったんならまだ分かる。
だが、マフィアに私を拾う理由など無い。
邪魔なだけだろう。
「何故、此処に居るのか、心底分からないと言った顔だね」
「貴方はマフィアです。私を拾う、理由が無い」
「…理由が無くちゃ駄目なの?」
「…え?」
先程まで何故か私の手を握り締めて寝ていた少女が、口を開く。
理由が無くちゃ、駄目なの?
別に、駄目では無いだろう。でも、わざわざ自分の得にもならない事をするのは、理解出来ない。
貧民窟にもいた。自分勝手な優しさを押し付けてくる人間が。
優しさ。それはとても無責任なものだ。例えるなら、そう、毒のようだ。
一度知ってしまったら、もう抜け出せない。もう二度と其の優しさに触れる事は無いかも知れないのに、もう一度と、望む。
「わたしはもう駄目だけど、あなたは生きなきゃ…」
別にそんな事、望んでないのに。
「理由が無くちゃ、誰かに優しくしちゃ駄目なの?そんなの可笑しいよ!」
「唯ちゃん」
自分の事をマフィアだと言った男…月雪さんが彼女の方見て、静かに首を振る。
「厨房に確かお粥が有ったから、持って来てくれる?」
「でも…!」
「唯ちゃん」
「……はい」
そう言って彼女は、少し不服そうにしながらもドアをあけ、部屋から出て行く。
それを見届けてから、こっちの方を見て、月雪さんが少し困った様に笑う。
「…とても、優しい子でね」
「…………」
「あの子も、色々有ったんだよ」
「…それよりも、何故私を拾ったんですか」
あの子の事に興味など無い。
それよりも私が何故ここに居るかだ。
私の言葉に月雪さんは、苦々しそうな顔をする。そして嫌々、といったように、口を開いて、こう言った。
「………君の居たあの貧民窟は、無くなった」
「……は…?」
ナクナッタ
ついさっき、と言ってもどれ程眠っていたかは分からないが、ついさっきまで居たはずのあの場所が、無くなった?
「あの近くでよく、紛争が起きていたのは、君も知っていただろう?今日、と言っても今は夜中の3時で昨日だけど、昨日もそうでね。あの貧民窟にも爆弾が投げ込まれ、貧民窟は全壊。住人も全滅だ。後処理に向かった我々が発見出来たのは、君一人だけだよ。爆風で吹っ飛ばされていたのだろうね」
「…でも、何で私を此処に連れてきたんですか?難民キャンプでも、良かったでしょう?」
「………そこで、だ。お嬢さん。君に話したい事がある」
さっきも見た苦々しそうな顔で、月雪さんは言った。
「………マフィアに、ならないか」
「……は?」
もう今日だけで、は?という言葉を何度繰り返しただろうか。それ程に、意味がわからない事しか起きない。
「…どうしてそうなるんですか」
どうしてもそうなるのだ。人手不足なのか?でも幾ら人手不足でも、最近のマフィアは貧民窟で拾って来た子供をマフィアにしたがるのか?
マフィアというものは全く分からない。
「…君を見たうちのボスが、君には才能があると言ってね」
「……何の?」
「暗殺の」
スゲーな最近のマフィア。気絶している少女を見て暗殺の才能があると分かるのだ。何だその能力。
今も尚驚いている私を見て、月雪さんがまた口を開く。
「…勿論、無理矢理にとは言わないよ。
でもお嬢さん、一つ言っておく。君がこれから穏やかな場所で生活して行けば行くほど、貧民窟に居た頃の血腥い記憶は、消えない」
「!!ッ!」
「必ずフラッシュバックするだろう。穏やかな所で暮らして行けば行くほど、不幸な思い出として蘇る」
「だが我々はマフィアだ。君のその血腥い記憶を、忌々しい過去では無く、只の日常にする事が出来る。流石に我々もまだ少女の君に、この提案を無理矢理押し付けるつもりはない。どうしたい?忌々しい過去の記憶に追われても、平穏な毎日を追い求めるか。血腥い記憶では無く、只の日常にするか。
これはお嬢さん、君が決める事だ」
「……………」
「…やっぱり、難民キャンプに「…よろしく、お願いします」
「………もう、戻れないよ。平穏な毎日には」
「…はい」
「……そうかい。ありが「響一郎さんお粥持って来たよ!!!!」唯ちゃんもっと静かに入って来てくれないかな!?!?!?」
バン!!と大きな音がしてドアが開く。めっちゃデカい音したけど大丈夫か?ドア壊れたんじゃね?
「だって響一郎さんもしかしたら本当に何がしてるかなって!」
「しないって言ってるじゃん!!!」
「嫌だと言ったのに…うっ…」
「お嬢さんもやめて!?!?」
「響一郎さん!!??」
「だから何もしてないって!!!」
「あ、大丈夫?お粥持って来たよ!」
「突然話切り替えないで??」
先程お粥を取りに行ってくれた少女と月雪さんが目の前でコントらしきものを繰り広げる。緩いなマフィア。月雪さんも普通に優しそうな人だし。
「大丈夫?食べられそう?」
「…えっ、あ、うん。ありがとう」
少女からお粥を受け取る。こうやってまともに食事をとるのは、もう何ヶ月ぶりだろうか。
レンゲで一口掬い、口に入れる。
「……美味しい」
めちゃくちゃ美味しい。久し振りの食事だから、とかでは無く、本当にめちゃくちゃ美味しい。ふわっと微かに香る出汁の匂い、程よく柔らかいお米にとろとろとした卵。胃に優しく染み込んで行く。
「本当!?ありがとう!」
「あなたが作ったの?」
「いや違う。奏藍さんって人だよ!」
……じゃあなんでお前がそんな嬉しそうなんだよ。という言葉を飲み込んで、二口目、三口目とお粥を口に運ぶ。すると何やら視線を感じて横を見ると、少女が楽しそうに此方を見ている。若干の居心地の悪さを感じる。人の食事をする所なんて見て何が楽しいのだろうか。そんな事を思いながらお粥を完食する。
「ご馳走さまでした」
手を合わせ、作ってくれた人に、奏藍さんと言うらしい、感謝する。
さて、このお粥の入れ物はどうしようと考えていると、月雪さんが戻してくると言ってくれた。やっぱり優しい人だ。この人がいるならマフィアでもやっていけるかも知れない。
と思ったのだが、
「飴食べる?」
「…ありがとう」
どうしてこうなった
「嘘よそんなの!どうせ私に乱暴する為に拾ったんでしょ!!そんなの分かってます!!」
「響一朗さんそんなことする人だったの!?ロリコン!?」
「唯ちゃん!!!???」
私の言葉に、先程入って来た男は分かりやすく動揺する。そんな事しないよ!とか言う奴ほど信用出来ない。男なんて皆そんなもんだ。
そもそも誰だよこいつ。
「本当に君に乱暴する気は無いって!」
「じゃあ何ですか!?そもそもあんた誰なんですか!?」
「落ち着こう!?あ、自己紹介した方が良い?えっと、私は月雪響一朗。マフィアだよ」
「マフィア…?騒いですみませんでした殺さないで下さい乱暴しても良いですから」
「媚び方がいっそ清々しいね。あと乱暴はしないから。私紳士だから」
死んでも良いとは思ったがマフィアに殺されるのはお断りだ。絶対痛い。
え?マフィアだと知った瞬間態度変わり過ぎじゃねって?
そんな君に私が貧民窟で思い知った人生でベストスリーに役立つ言葉を教えてあげよう。
長いものに巻かれろ。
逆らうな。巻かれるんだ。だって権力に逆らった所でどうなる?理不尽に声を上げてどうなる?何も変わらないじゃないか。
この世は、所詮はそんなものだ。
正義など、そんなものありはしない。
でも、何故マフィアが私を拾う?
どっかの金持ちが貧民窟に慈善でもしに来て、私を拾ったんならまだ分かる。
だが、マフィアに私を拾う理由など無い。
邪魔なだけだろう。
「何故、此処に居るのか、心底分からないと言った顔だね」
「貴方はマフィアです。私を拾う、理由が無い」
「…理由が無くちゃ駄目なの?」
「…え?」
先程まで何故か私の手を握り締めて寝ていた少女が、口を開く。
理由が無くちゃ、駄目なの?
別に、駄目では無いだろう。でも、わざわざ自分の得にもならない事をするのは、理解出来ない。
貧民窟にもいた。自分勝手な優しさを押し付けてくる人間が。
優しさ。それはとても無責任なものだ。例えるなら、そう、毒のようだ。
一度知ってしまったら、もう抜け出せない。もう二度と其の優しさに触れる事は無いかも知れないのに、もう一度と、望む。
「わたしはもう駄目だけど、あなたは生きなきゃ…」
別にそんな事、望んでないのに。
「理由が無くちゃ、誰かに優しくしちゃ駄目なの?そんなの可笑しいよ!」
「唯ちゃん」
自分の事をマフィアだと言った男…月雪さんが彼女の方見て、静かに首を振る。
「厨房に確かお粥が有ったから、持って来てくれる?」
「でも…!」
「唯ちゃん」
「……はい」
そう言って彼女は、少し不服そうにしながらもドアをあけ、部屋から出て行く。
それを見届けてから、こっちの方を見て、月雪さんが少し困った様に笑う。
「…とても、優しい子でね」
「…………」
「あの子も、色々有ったんだよ」
「…それよりも、何故私を拾ったんですか」
あの子の事に興味など無い。
それよりも私が何故ここに居るかだ。
私の言葉に月雪さんは、苦々しそうな顔をする。そして嫌々、といったように、口を開いて、こう言った。
「………君の居たあの貧民窟は、無くなった」
「……は…?」
ナクナッタ
ついさっき、と言ってもどれ程眠っていたかは分からないが、ついさっきまで居たはずのあの場所が、無くなった?
「あの近くでよく、紛争が起きていたのは、君も知っていただろう?今日、と言っても今は夜中の3時で昨日だけど、昨日もそうでね。あの貧民窟にも爆弾が投げ込まれ、貧民窟は全壊。住人も全滅だ。後処理に向かった我々が発見出来たのは、君一人だけだよ。爆風で吹っ飛ばされていたのだろうね」
「…でも、何で私を此処に連れてきたんですか?難民キャンプでも、良かったでしょう?」
「………そこで、だ。お嬢さん。君に話したい事がある」
さっきも見た苦々しそうな顔で、月雪さんは言った。
「………マフィアに、ならないか」
「……は?」
もう今日だけで、は?という言葉を何度繰り返しただろうか。それ程に、意味がわからない事しか起きない。
「…どうしてそうなるんですか」
どうしてもそうなるのだ。人手不足なのか?でも幾ら人手不足でも、最近のマフィアは貧民窟で拾って来た子供をマフィアにしたがるのか?
マフィアというものは全く分からない。
「…君を見たうちのボスが、君には才能があると言ってね」
「……何の?」
「暗殺の」
スゲーな最近のマフィア。気絶している少女を見て暗殺の才能があると分かるのだ。何だその能力。
今も尚驚いている私を見て、月雪さんがまた口を開く。
「…勿論、無理矢理にとは言わないよ。
でもお嬢さん、一つ言っておく。君がこれから穏やかな場所で生活して行けば行くほど、貧民窟に居た頃の血腥い記憶は、消えない」
「!!ッ!」
「必ずフラッシュバックするだろう。穏やかな所で暮らして行けば行くほど、不幸な思い出として蘇る」
「だが我々はマフィアだ。君のその血腥い記憶を、忌々しい過去では無く、只の日常にする事が出来る。流石に我々もまだ少女の君に、この提案を無理矢理押し付けるつもりはない。どうしたい?忌々しい過去の記憶に追われても、平穏な毎日を追い求めるか。血腥い記憶では無く、只の日常にするか。
これはお嬢さん、君が決める事だ」
「……………」
「…やっぱり、難民キャンプに「…よろしく、お願いします」
「………もう、戻れないよ。平穏な毎日には」
「…はい」
「……そうかい。ありが「響一郎さんお粥持って来たよ!!!!」唯ちゃんもっと静かに入って来てくれないかな!?!?!?」
バン!!と大きな音がしてドアが開く。めっちゃデカい音したけど大丈夫か?ドア壊れたんじゃね?
「だって響一郎さんもしかしたら本当に何がしてるかなって!」
「しないって言ってるじゃん!!!」
「嫌だと言ったのに…うっ…」
「お嬢さんもやめて!?!?」
「響一郎さん!!??」
「だから何もしてないって!!!」
「あ、大丈夫?お粥持って来たよ!」
「突然話切り替えないで??」
先程お粥を取りに行ってくれた少女と月雪さんが目の前でコントらしきものを繰り広げる。緩いなマフィア。月雪さんも普通に優しそうな人だし。
「大丈夫?食べられそう?」
「…えっ、あ、うん。ありがとう」
少女からお粥を受け取る。こうやってまともに食事をとるのは、もう何ヶ月ぶりだろうか。
レンゲで一口掬い、口に入れる。
「……美味しい」
めちゃくちゃ美味しい。久し振りの食事だから、とかでは無く、本当にめちゃくちゃ美味しい。ふわっと微かに香る出汁の匂い、程よく柔らかいお米にとろとろとした卵。胃に優しく染み込んで行く。
「本当!?ありがとう!」
「あなたが作ったの?」
「いや違う。奏藍さんって人だよ!」
……じゃあなんでお前がそんな嬉しそうなんだよ。という言葉を飲み込んで、二口目、三口目とお粥を口に運ぶ。すると何やら視線を感じて横を見ると、少女が楽しそうに此方を見ている。若干の居心地の悪さを感じる。人の食事をする所なんて見て何が楽しいのだろうか。そんな事を思いながらお粥を完食する。
「ご馳走さまでした」
手を合わせ、作ってくれた人に、奏藍さんと言うらしい、感謝する。
さて、このお粥の入れ物はどうしようと考えていると、月雪さんが戻してくると言ってくれた。やっぱり優しい人だ。この人がいるならマフィアでもやっていけるかも知れない。
と思ったのだが、
「飴食べる?」
「…ありがとう」
どうしてこうなった
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