壊れた玩具と伝説の狼

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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壊れた玩具1-3

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時折ダイアスが来るとセイラは必死で
「お願いします。ダイアスだけが良いです」
と懇願したが、大概殴られるか、精々散々口淫させられて、精子を飲まされて、酷い時には『聖水』と称して尿を掛けられ飲まされて終わった。
ただそういう時はその後一晩位は人が来なかった。
ダイアスがそうさせている事は明白だった。
一日だけでもそれはセイラにとって有難い事で、だからセイラはダイアスが来ると必死に縋りついた。
セイラの左足が治療される事は遂になかった。
壮絶なその生活は、四年も続いた。

二年目ですっかり正気を失ったセイラは、その頃にはすっかり抱き人形と化していた。
ダイアスに監禁されて、六年の月日が経っていた。
二十八歳になったセイラの状態は、六年前の姿など見る影もなくなっていた。
生きる事も死ぬことも諦めた正真正銘の生き人形、壊れた玩具だった。
反応の薄くなったセイラにダイアスは殆ど興味を見せなくなっていた。
山の中なんて娯楽は殆ど無い、文字でも読めれば図書室の本が慰めになるだろうが、使用人達のほとんどは文字が読めなかった。
そうなると、あとは恋愛かセックスか狩か喧嘩位しか楽しみなんて無い。
抱き人形と化したセイラは恰好の餌食だった。
一日中誰かしらセイラに悪戯していた。
脱走失敗から四年目にしてやっと、セイラはこの地獄の様な生に終止符を迎える事が出来た。
死という形で。この時のセイラにとって死は僥倖となっていた。
虐待の限りを尽くされたセイラの肉体は四年もの時間をかけてやっと限界を迎えた。
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