123 / 223
春のすすきと白い息1-1
しおりを挟む
溶け出した薬が、すっかり身体中に回っているセイラの足取りは、覚束なくて、まるで千鳥足だ。
アヤは、ふらふらと自分に纏わりつきながら、泥酔した酔っぱらいの様に歩くセイラを、優しく誘導しつつゆっくりと歩いた。
二人で戯れながら湖の岸辺を歩いて、アヤがセイラを連れて来たのは、一見して洞窟とは分からない程大きな洞窟だった。
その中に、
「わぁ」
天然の露天風呂が広がっていた。
「凄い!」
喜ぶセイラを確認して、アヤは満足そうにしっぽをゆらりと揺らした。
ゴツゴツとした岩肌がむき出しになっている洞窟の中を、セイラが温泉に向かってヨロケながら歩いて行った。
見かねてアヤがセイラを咥えて淵まで運んだ。
「ありがとぉ」
運ばれたセイラは、湯溜の縁に膝をついて、お湯の中にそっと片手を入れた。
「わぁ。お湯だ!」
温泉なのだから当たり前なのだけれど、あまりに久しぶりだったせいで思わず声を上げる程感激してしまった。
本当に久しぶりにお湯に触った。
ダイヤスの屋敷に居た最後の頃は、自力で起ち上がる事すらままならなくなっていたので、最後にお湯で体を洗ったのはいつだったのかも覚えていない。
ドキドキしながら片足ずつ足を浸けた。
「どうだ?気に入ったか?」
隣に伏せて体を落ち着けたアヤが目の前の温泉を気に入ったか聴いてきた。
「うん。気持ちいい」
セイラはうっとりしながら返事をして、首にキスをしてそのままに寄りかかった。
アヤが嬉しそうにヲフッと一つ喉を鳴らした。
アヤは、ふらふらと自分に纏わりつきながら、泥酔した酔っぱらいの様に歩くセイラを、優しく誘導しつつゆっくりと歩いた。
二人で戯れながら湖の岸辺を歩いて、アヤがセイラを連れて来たのは、一見して洞窟とは分からない程大きな洞窟だった。
その中に、
「わぁ」
天然の露天風呂が広がっていた。
「凄い!」
喜ぶセイラを確認して、アヤは満足そうにしっぽをゆらりと揺らした。
ゴツゴツとした岩肌がむき出しになっている洞窟の中を、セイラが温泉に向かってヨロケながら歩いて行った。
見かねてアヤがセイラを咥えて淵まで運んだ。
「ありがとぉ」
運ばれたセイラは、湯溜の縁に膝をついて、お湯の中にそっと片手を入れた。
「わぁ。お湯だ!」
温泉なのだから当たり前なのだけれど、あまりに久しぶりだったせいで思わず声を上げる程感激してしまった。
本当に久しぶりにお湯に触った。
ダイヤスの屋敷に居た最後の頃は、自力で起ち上がる事すらままならなくなっていたので、最後にお湯で体を洗ったのはいつだったのかも覚えていない。
ドキドキしながら片足ずつ足を浸けた。
「どうだ?気に入ったか?」
隣に伏せて体を落ち着けたアヤが目の前の温泉を気に入ったか聴いてきた。
「うん。気持ちいい」
セイラはうっとりしながら返事をして、首にキスをしてそのままに寄りかかった。
アヤが嬉しそうにヲフッと一つ喉を鳴らした。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる