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すべては幻、隣の庭は枯れ木の庭 1ー20

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「何を言ってるのかしら?イマイチ意味が分からないケド。だからコレ使うんじゃない」
右手を腰にあてて、左手でルークの目の前で二つの小瓶を揺しながらシャルレが言う。
「?えぇ・・」
じゃ、何か?その瓶の中身を一晩、姫が帰って来るまで胎の中に溜めて置けとでも言うのか?!
ひどくないか?と心の中で叫ぶ。
「着るのは良いけど、下着はともかく、お前、着方分かるの?あぁ、ドレスは分かるわよねぇ、だって」
シャルレ姫が突然、ガツンとルークが片足を乗せているベンチを乱暴に踏みつけた。
驚いたルークは思わずベンチに尻もちでも着くみたいに腰を落とし、背中を後ろの壁に貼り付けた。
「ドレスはジェイコブ王子に着せてもらたものね!」
「・・・・あ」
今回の無茶ぶりの理由はソレか。
シャルレ姫はルークがジェイコブ王子にドレスを着せてもらった事にご立腹なのだ。
「あの、姫。着せてもらったと言っても城勤めの使用人服の上からですし、ヤラシイ事は何もされて無いし・・」
「あのねぇルーク。ドレスを男に着せてもらうという事自体がもうヤラシイ事なのよ?」
言い募るルークの言葉を遮って、シャルレが低音で言い聞かせた。
心なしか目が発光している気がした。こわい。
「さっき国王に呼び出されて昼間の騒動の事情説明に行った時、私がジェイコブ王子から鼻高々に国王の前でルークにドレスを着せた話をされたんだけど、どんな思いでその場に居たと思う!?」
プライドの高いシャルレが、お気に入り(という事になっている)の小間使いのルークにちょっかい出されたと、公の場で言いふらされたとあっては面白い訳がが無い。
というか、馬車の中でも不機嫌ではあったが、これは完全にご立腹だ。
『やべえ』ルークは心中で呟いた。
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