6 / 6
媚薬に冒された村人LはSランク冒険者に助けられた!(続編・後編2)
次に起きた時、見覚えのある天井が開いた視界に入ってきて思わずまた目を細める。
横を向けば、大きな背中を丸めて自分の机で何か書いているダグさんがいた。
僕の気配を感じたのかダグさんが振り返った。
立ち上がって、水差しからコップに水を注いで持ってきてくれる。
だるい体を起こして受け取って一気に飲んだ。
あー。腰、痛いよぅ……。
「大丈夫か?」
心配そうに聞いてくるけど、あんた元凶の一つじゃん……
「大丈夫じゃない。体痛い。歩けない。」
ふて腐れたように口にしてしまってからハッとする。
だって、スライムに酷い目にあったのだって自分が不用意な行動を取ったからだし、最後にダグさんが暴走したのは僕が煽ったからだ。
それを棚に上げてこんな子供みたいなこと言ったら呆れられるんじゃないか?
こんなわがまま、今まではちゃんと我慢出来てたのに。
「じゃあ良くなるまでここに住むか?」
僕の心配なんて無駄にするような弾んだ声がして、ベッドにドサリとダグさんが腰掛けた。
重量があるから、隣の僕の体が反動で浮く。
ちらっと横を伺うと、僕の悪態を全く気にしてない、というかむしろそれが可愛くて仕方がないというとろけた笑顔で僕を見ている。
あーもう、その顔ずるい。
胸がキュウっと締まる。
「……住んじゃおっかな。」
「ああ。俺が調査でいる間は好きに使っていい。」
「そう言えば、今日の調査はどうなったの?」
「ああ、大したことなかった。いると踏んでいた中ボスすらいなかったからな。戦闘要員の俺は退屈だったくらいだ。
ダンジョン自体がもう寿命なのかもしれない。珍しい鉱石や魔石はそれなりに採取できたようだが。」
「そうなんだ。でも、そんなに防御が弱くて素材がたくさん残ってるもの?」
人里に出現するダンジョンと人間は持ちつ持たれつなところがある。人間はダンジョンでしか採取できない素材を採って、ダンジョンは増えすぎた下級魔を適度に退治してもらったり、中の植物を間伐してもらったり、アレな話だけど巣食ってる魔物の餌にしたりする。
人を阻む魔物のボスがいなければ素材が取り尽くされて人が来なくなるからダンジョンは荒れる。
「あのダンジョンほぼ過去に人が入った形跡が無かった。元々そういう人の前に現れない孤立したダンジョンだったんだろう。なぜ今になって現れたのか……」
ダグさんが含みのある視線を僕によこした。
僕に流れる魔物の血、僕の前にだけ現れる入り口、スライムが僕をママモドキと呼んだこと。
何かあのダンジョンに関係があるんだろう。
多分、あのダンジョンのボスに。
「僕、またあのダンジョンに入りたい。」
「ああ。一緒に行こう。」
「でも、これは返す。」
僕はパチっとブレスレットの留め金を外して突き返した。
「え、いや、それは防具だからダンジョンに入るときは着けてないと……」
妙に慌て出すダグさんに、疑念が確信に変わった。
「ダグさん、これ、何か細工してるでしょ。」
「いや、それは……」
「じゃあ何で僕がスライムに自分から近づいたって知ってるの。僕が中にいるって知らないはずなのに助けに来れたの。」
「それは……」
やっぱり嘘が吐けないんだな。額から汗が噴き出してる。
だから、防具だって聞いて信じたのに。
貰って嬉しかったのに。
「僕にうそついたの?」
「違う。ちゃんと防御力も上がる。」
「も?」
ジロっと睨みつける僕に観念したのか、ダグさんが立ち上がって自分のアイテムポーチを手に取った。
中からいくつかのボタンがついた薄い金属板のようなものを取り出す。
「もう一度着けてみてくれ。」
言われたとおりに着けると、ダグさんがボタンを操作した。
金属の板に映像が浮かび上がる。
それはベッドに腰掛ける現在の僕の姿だった。
「その、それを着けた人物の映像とか、その場の音とか、位置がわかる魔道具なんだ。でも防御力も上がる。」
だまらっしゃい。
「そんなの黙って渡すって、すごく酷いことだって分かる?僕はずっとダグさんに監視されてたってことだよ?」
「監視だなんて、そんなつもりじゃない。ただ、こうしておけば君にいつでも会えるだろ?」
「いやそれ会ってないから。」
自分でも思った以上に低い声が出て、それを聞いたダグさんの眉が下がる。
「すまない。もうしない。ただ、それは俺からの贈り物だから返さないで欲しい。」
ダグさんが僕に金属の板を渡してきた。
「……これ、ブレスレットつけた人を呼んだりできないの?」
「今は機能が付いていないが、技工士に頼めば出来るオプションだ。」
「いくらする魔道具なの?」
ダグさんから聞いた値段は、僕の給料で最大限節約して数年貯金したらやっと貯まるくらいの額だった。
「ダグさん、これもう1個買える?」
ダグさんが頷く。
「じゃあ、もう1個買って、呼び出す機能つけて僕に貸して。何年かしてお金貯めたら買い取るから。それで今回の事は許してあげる。」
僕はブレスレットをつけたまま、板だけダグさんに返した。
ダグさんの目が驚きで丸くなる。
「もうひとつのブレスレットはダグさんがつけて。それで、ダグさんが今の任務が終わって王都に帰っちゃってもどっちかが会いたくなったら呼び出して会おう?でも勝手に覗くのはもうやめてね。」
そう伝えると、ダグさんが僕をぎゅうっと抱きしめた。
僕も同じように背中に腕を回してだきつく。
「王都に連れて帰りたい。」
ダグさんが吐き出すように言った。
「今は出来ないよ。仕事もあるし、調合師になるには今のお店で勉強するのが1番だから。」
「分かってる。でも離れたくない。」
そう言われて僕の胸も痛む。
僕だって離れたくない。
でもダグさんは王都の有名な冒険者で、僕はダンジョン前の村にいる平凡な店員だ。
好きだけど、今彼に着いて行ったらずっとその差を味わう事になる。
「僕、絶対腕のいい調合師になって王都に行くから、待ってて?」
ダグさんが無言で頷いた。
伝わったのが嬉しくて固めの髪をくしゃくしゃ撫でていると、向こうの手がするりとお尻に伸びてきた。
明らかに性的な動きできゅむきゅむ揉んでくる。
「ちょっ、ダグさん!今日はもう無し!」
慌てて擦り付いてくる体を引き剥がそうと手を突っ張ろうとしても強く抱き込まれて首すじをねっとり舐め上げられる。
「んっ……だめだってぇ……」
「ちょっとだけだ。ちょっとで止めるから。」
「うっ嘘つけっ……はぁんっ……あっ……まっ……」
結局ちょっとちょっとと言われて押し切られているうちに最後までしっかり付き合わされた。
翌朝先に目が覚めて机を見てみたら、昨日ダグさんが書いていた書き掛けの文書が広げてあった。
それは反省文で、『私は仲間と探索中に抜け出して好きな子にハメ倒す我慢の効かない猿です。』と100回書くようにと
ターナさんが出したお仕置きらしい。
朝から恥ずかしさで蒸発してしまいたくなった。
(おわり)
横を向けば、大きな背中を丸めて自分の机で何か書いているダグさんがいた。
僕の気配を感じたのかダグさんが振り返った。
立ち上がって、水差しからコップに水を注いで持ってきてくれる。
だるい体を起こして受け取って一気に飲んだ。
あー。腰、痛いよぅ……。
「大丈夫か?」
心配そうに聞いてくるけど、あんた元凶の一つじゃん……
「大丈夫じゃない。体痛い。歩けない。」
ふて腐れたように口にしてしまってからハッとする。
だって、スライムに酷い目にあったのだって自分が不用意な行動を取ったからだし、最後にダグさんが暴走したのは僕が煽ったからだ。
それを棚に上げてこんな子供みたいなこと言ったら呆れられるんじゃないか?
こんなわがまま、今まではちゃんと我慢出来てたのに。
「じゃあ良くなるまでここに住むか?」
僕の心配なんて無駄にするような弾んだ声がして、ベッドにドサリとダグさんが腰掛けた。
重量があるから、隣の僕の体が反動で浮く。
ちらっと横を伺うと、僕の悪態を全く気にしてない、というかむしろそれが可愛くて仕方がないというとろけた笑顔で僕を見ている。
あーもう、その顔ずるい。
胸がキュウっと締まる。
「……住んじゃおっかな。」
「ああ。俺が調査でいる間は好きに使っていい。」
「そう言えば、今日の調査はどうなったの?」
「ああ、大したことなかった。いると踏んでいた中ボスすらいなかったからな。戦闘要員の俺は退屈だったくらいだ。
ダンジョン自体がもう寿命なのかもしれない。珍しい鉱石や魔石はそれなりに採取できたようだが。」
「そうなんだ。でも、そんなに防御が弱くて素材がたくさん残ってるもの?」
人里に出現するダンジョンと人間は持ちつ持たれつなところがある。人間はダンジョンでしか採取できない素材を採って、ダンジョンは増えすぎた下級魔を適度に退治してもらったり、中の植物を間伐してもらったり、アレな話だけど巣食ってる魔物の餌にしたりする。
人を阻む魔物のボスがいなければ素材が取り尽くされて人が来なくなるからダンジョンは荒れる。
「あのダンジョンほぼ過去に人が入った形跡が無かった。元々そういう人の前に現れない孤立したダンジョンだったんだろう。なぜ今になって現れたのか……」
ダグさんが含みのある視線を僕によこした。
僕に流れる魔物の血、僕の前にだけ現れる入り口、スライムが僕をママモドキと呼んだこと。
何かあのダンジョンに関係があるんだろう。
多分、あのダンジョンのボスに。
「僕、またあのダンジョンに入りたい。」
「ああ。一緒に行こう。」
「でも、これは返す。」
僕はパチっとブレスレットの留め金を外して突き返した。
「え、いや、それは防具だからダンジョンに入るときは着けてないと……」
妙に慌て出すダグさんに、疑念が確信に変わった。
「ダグさん、これ、何か細工してるでしょ。」
「いや、それは……」
「じゃあ何で僕がスライムに自分から近づいたって知ってるの。僕が中にいるって知らないはずなのに助けに来れたの。」
「それは……」
やっぱり嘘が吐けないんだな。額から汗が噴き出してる。
だから、防具だって聞いて信じたのに。
貰って嬉しかったのに。
「僕にうそついたの?」
「違う。ちゃんと防御力も上がる。」
「も?」
ジロっと睨みつける僕に観念したのか、ダグさんが立ち上がって自分のアイテムポーチを手に取った。
中からいくつかのボタンがついた薄い金属板のようなものを取り出す。
「もう一度着けてみてくれ。」
言われたとおりに着けると、ダグさんがボタンを操作した。
金属の板に映像が浮かび上がる。
それはベッドに腰掛ける現在の僕の姿だった。
「その、それを着けた人物の映像とか、その場の音とか、位置がわかる魔道具なんだ。でも防御力も上がる。」
だまらっしゃい。
「そんなの黙って渡すって、すごく酷いことだって分かる?僕はずっとダグさんに監視されてたってことだよ?」
「監視だなんて、そんなつもりじゃない。ただ、こうしておけば君にいつでも会えるだろ?」
「いやそれ会ってないから。」
自分でも思った以上に低い声が出て、それを聞いたダグさんの眉が下がる。
「すまない。もうしない。ただ、それは俺からの贈り物だから返さないで欲しい。」
ダグさんが僕に金属の板を渡してきた。
「……これ、ブレスレットつけた人を呼んだりできないの?」
「今は機能が付いていないが、技工士に頼めば出来るオプションだ。」
「いくらする魔道具なの?」
ダグさんから聞いた値段は、僕の給料で最大限節約して数年貯金したらやっと貯まるくらいの額だった。
「ダグさん、これもう1個買える?」
ダグさんが頷く。
「じゃあ、もう1個買って、呼び出す機能つけて僕に貸して。何年かしてお金貯めたら買い取るから。それで今回の事は許してあげる。」
僕はブレスレットをつけたまま、板だけダグさんに返した。
ダグさんの目が驚きで丸くなる。
「もうひとつのブレスレットはダグさんがつけて。それで、ダグさんが今の任務が終わって王都に帰っちゃってもどっちかが会いたくなったら呼び出して会おう?でも勝手に覗くのはもうやめてね。」
そう伝えると、ダグさんが僕をぎゅうっと抱きしめた。
僕も同じように背中に腕を回してだきつく。
「王都に連れて帰りたい。」
ダグさんが吐き出すように言った。
「今は出来ないよ。仕事もあるし、調合師になるには今のお店で勉強するのが1番だから。」
「分かってる。でも離れたくない。」
そう言われて僕の胸も痛む。
僕だって離れたくない。
でもダグさんは王都の有名な冒険者で、僕はダンジョン前の村にいる平凡な店員だ。
好きだけど、今彼に着いて行ったらずっとその差を味わう事になる。
「僕、絶対腕のいい調合師になって王都に行くから、待ってて?」
ダグさんが無言で頷いた。
伝わったのが嬉しくて固めの髪をくしゃくしゃ撫でていると、向こうの手がするりとお尻に伸びてきた。
明らかに性的な動きできゅむきゅむ揉んでくる。
「ちょっ、ダグさん!今日はもう無し!」
慌てて擦り付いてくる体を引き剥がそうと手を突っ張ろうとしても強く抱き込まれて首すじをねっとり舐め上げられる。
「んっ……だめだってぇ……」
「ちょっとだけだ。ちょっとで止めるから。」
「うっ嘘つけっ……はぁんっ……あっ……まっ……」
結局ちょっとちょっとと言われて押し切られているうちに最後までしっかり付き合わされた。
翌朝先に目が覚めて机を見てみたら、昨日ダグさんが書いていた書き掛けの文書が広げてあった。
それは反省文で、『私は仲間と探索中に抜け出して好きな子にハメ倒す我慢の効かない猿です。』と100回書くようにと
ターナさんが出したお仕置きらしい。
朝から恥ずかしさで蒸発してしまいたくなった。
(おわり)
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(7件)
あなたにおすすめの小説
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
更新の通知が来てビックリ&嬉しいです!!
作者様ありがとうございますゝ(≧∀≦)ノ♪
これはあれですかね、リュート君の出生の秘密とか、王都編とかとか、期待しちゃダメですか?期待しちゃうなぁ♡(笑)
もし気が向いたらお願いします(๑>•̀๑)
これからも応援してます♡
コメントありがとうございます!
ずっと書かねばと思っていて、しんちゃんままさんのコメントで最期のパワーが湧きました。
激励ありがとうございました!
投稿は書けた順なのですぐではないかもですが、リクエストを頂けるうちは続きを書きたいです。
リュート君エロくて可愛い♡後編消えちゃったんですね💦
続き読みたかったから凄い残念です・゚・(。>д<。)・゚・
気力が早く戻ってくれる事を切に願ってお待ちしてます♡
ありがとうございます!
本当に私のミラクルガバのせいでご不便をおかけします。
ちょいちょいコメントいただいているおかげで、同じのを再現は出来ずとも新しく書く気力はやや湧いています。
ストーリー展開がすごく面白くてつい読みいってしまいました😚✨続編の後編も気になります😊💓💞投稿予定ってありますか??
コメントありがとうございます!
具体的な感想も嬉しいです。
後編は書いたんですが操作ミスで消えるという大惨事を起こしまして……
いつか再執筆した時は投稿します!