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10, お出かけ
しおりを挟む今日はグイドが外に買い物をしに行くらしく、俺様もお手伝いをするついでに町に出て色々と教えてもらう事になった。
出掛ける前に朝食の片付けや部屋の掃除をグイドと一緒にすすめる。
「昨日はよく眠れたか?」
グイドが洗ったお皿を拭いていると話しかけられた。
「寝たけど、その前は大変だったぞ。ユジンが……」
そこまで言って話すのを止めた。
昨日ももう止めてと言ってもずっと気持ちいい事をされてお尻にユジンの精液をいっぱい入れられたのだ。
けど、それは言っちゃいけないんだった。
「あー。悪い。」
グイドが不思議な顔をして謝ってきた。
「はぁ、俺の心中は複雑だよ。リュスに申し訳ない気持ちもあるが、ユジン様の立場もわかっちまう。すまねぇな。恨んでくれていい。」
グイドの分厚い肩がくたっと落ちる。
「何でグイドが謝るのだ?俺様はグイドのこと優しくて好きだから別に恨まないぞ?」
首を傾げながら返せばグイドは笑ってありがとうと言った。
一通りの教会での作業が終わった後、出掛ける準備をする。
俺様もマントをもらって頭から被った。
グイドは小袋の中の丸い金属片を数えている。お金と言って食べ物や物と交換できる金属らしい。
あれを渡すだけでお菓子がもらえるなんて凄い。いっぱい持ってたら次のサウィン祭は困らないだろう。
「出るのか?」
準備をしていたら、玄関にユジンが来た。
ユジンは昼間はずっと枢機卿や司教として必要な執務をしていてほぼ出てこないと聞いていたからびっくりした。
「あ、はい。定期的な買い出しですが、リュスに色々教えながらになりますので夕暮れ前の戻りになるかと。」
「そうか。気を付けろよ。」
「心得ております。」
「お前も、馬鹿なりによく周りを見て勉強して来い。」
ユジンが俺様を見ていう。
「うん!グイドがパン屋さんという所でお菓子を買ってくれるのだ!」
「あっそ。……随分グイドに懐いたじゃないか。」
ユジンにも買ってもらうねと続けようとしたら、ピシャリと言われて遮られた。
……何なのだ?ちょっと変な気がする。
「ふぇ?グイドの事は好きだぞ。優しいからな。ユジンも……」
「うるさい。私は忙しいんだ。お前もピーチク喋ってないでシャキシャキ行動しろ。」
グイドと同じくらい俺様に優しくして欲しいと言おうとしたら、途中でスタスタと玄関から去ってしまった。
「ん?忙しいなら何でここに来たのだ?」
グイドに聞いてみる。
「うーん……。昨日からユジン様の知らない面を見てばっかりだな。」
グイドも分からないらしい。
その後グイドと二人で教会を出て町の中心部に行き、市場やお店で必要なものを買った。
野菜とか、油とかだ。
「リュス、お前具合はどうだ?気持ちが悪くなってないか?」
グイドに顔色を覗き込むように聞かれる。
「大丈夫なのだ。」
「そうか。ユジン様に、人が集まるところは負の感情も溜まりやすいからリュスにはリスクも大きいと聞いてたんだ。大丈夫なら何よりだな。」
確かに、街を歩いていると悪魔の穢れに繋がる邪念を発してる人もいる。
でも人間の体になっているからかそういう人とすれ違っても何ともなかった。
「俺様は大丈夫!」
もう一度言えばグイドに頭を撫でられる。
「よく言った。じゃあ、あと数件用事を回らせてくれよな。」
その言葉に思いきり頷いた。
それからユジンの司祭服の修繕を頼んだという仕立て屋に寄ったら、店のマダムが俺様を見て髪に結ぶリボンやレースをくれた。
すごく嬉しかったけど、何だか変な感じもした。お菓子以外のものを人間から貰うのは初めてのはずなのに初めてじゃない気がした。
屋台やパン屋さんでお菓子も買ってもらった。
グイドはその場で食べてもいいって言ってくれたけど、我慢した。
凄く美味しそうだから、帰ってユジンと一緒に食べてやるのだ。
「あーしまった!」
買い物も全部済んで教会に向かい始めた頃、グイドが言った。
「どうしたのだ?」
「ユジン様が、インクが切れそうって言ってた事を忘れてた。買い足さねぇと。」
「じゃあお店に行くのだ。」
「いや、文具屋はこっから少し遠いんだ。荷物も増えたから、リュスはここで荷物見ててくれ。俺が一人でパパッと行って買ってくる方が多分早い。
「分かったのだ。」
俺様が返事をすると、グイドは自分の持っていた荷物を俺様に預けて急ぎ足で来た道を引き返していった。
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