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34, アリアスとラムール
しおりを挟む「さ、ちょっと奥でお話ししましょう。そっちの可愛い従者さんがリュス君ですね。挨拶も奥でしましょうね。」
ユジンのお師匠様だというアリアスがニコニコいそいそと不自由な体で器用に執務エリアに繋がる扉に向かう。
そこに待機していたおっきな体の男が扉を開けた。
アリアスがありがとうラムール、とそいつに声を掛ける。
その男の異常に気づいて思わずユジンを見た。
『ユッユジン!あのおっきい男、悪魔だぞ!!』
『ああ、言ってなかったか?』
『聞いてないのだ!』
『ラムールはお前と同じだ。害はない。とりあえず入れ。』
確かに、ここだと信徒の人が祈りを捧げてるから悪魔の話は出来ない。
俺様はユジンについて教会の奥に進んで行った。
アリアスの書斎らしきところに置かれたソファにみんなで腰掛けて向かい合う。
「初めまして。私はアリアス・デュポム。この教会の司祭で、ユジンの腹違いのお兄ちゃんです。こっちは助祭のラムール。リュス君には分かるんですよね?彼も土地神で、今は私の従僕です。」
「ユジンのお兄ちゃん!?」
ユジンにはお兄ちゃんがいたのか。知らなかったぞ。
そしてラムールはアリアスの従僕なのか。アリアスの隣に座るラムールを見やる。目が合うと静かに見つめ返された。
「そんなおっきいのに、ラムールもお尻にアリアスの……あたっ!」
スパーンと途中でユジンに頭を叩かれる。
『その話それ以上言うな。絶対言うな。』
ユジンの低い声が頭に響いてきた。
そうだった。姦淫の話はしちゃいけないんだった。
「ん?どうしました?」
アリアスが首を傾げて聞いてくる。
「ううん。初めまして。俺様はリュスなのだ。」
「ええ、ユジンから手紙で聞いた時はビックリしましたが、可愛らしい土地神さんですね。」
アリアスが優しく笑う。アリアスはラムールや俺様の事を悪魔って呼ばないんだな。
「訪ねた用件は手紙で書いた通りだ。セルトの土地神が“運命の人”と呼ぶものについて調べたい。不死とされる彼らを消せる存在のようだ。」
ユジンが礼拝堂にいた時より砕けた口調でアリアスに話しかける。アリアスが小さく頷いた。
ユジンは、やっぱり悪魔を消す方法を探してるのか……。
胸がズンと悲しくなる。
「リュス。お前無防備すぎる。そんなではユジンが相当な血肉を与えないと人の生活が維持できないだろう。」
ラムールが静かに俺様を見て言った。その後ユジンを見る。
「顔色は悪くなさそうだが、退魔の時にリュスが引き受けた穢れまで浄化しているんだろう?大丈夫か?」
「あ……ああ。問題ない。」
ユジンが歯切れ悪そうに言う。唾液や精液を出すのってそんなに体に悪い事なのか……!?
「そうか、ならいいが。リュス、俺が教えるからもう少し上手に人になる練習をしなさい。」
「う、うん。分かったのだ。ありがとう、ラムール。」
「まあまあ、今日はもういいでしょう?いい時間ですし礼拝堂を閉めて、晩御飯にしましょう!ラムールが朝から張り切って準備してましたよ。」
アリアスが左手をブンブン振って楽しそうに言ったので、その後はラムールが作った美味しいご飯とお菓子をいっぱい食べた。
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