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しおりを挟む「そんな、僕と仲良くって、試験の為に仕組んだ事でしょ!適当言って!嘘つきって大嫌い!」
「もちろん試験の方がついでというか、周りを協力させるための方便だ。」
事実なら職権乱用が過ぎる!
「はぁ?信じると思う?なんであんたがそこまでするのさ?」
「マル、俺たちは小さい時会ってるんだ。覚えていないかもしれないが。」
会ってる?全然心当たりないし、フェルデン家とは家同士の関わりもないはず。
「俺はフェルデン家には養子で入った。生家はゼイマンだ。母親が知らぬ男に孕まされて生まれた私生児だけどな。」
ゼイマン家なら遠戚だ。昔一度だけ屋敷に行ったこともある。確かに、その時年の近い男の子と遊んだような……。
「あの子がゾ、騎士長なの、なんですか?」
「マル、頼むから今までどおりゾックと呼んで、親しくしてくれ。」
だから親しくしたつもりは欠片も無いけど!?
騎士長、戻してゾックのポジティブ解釈に思わず眉間を押さえた。
「あっそ。じゃあゾックでいいのね。後で文句言わないでよね!」
「もちろんだ。ゼイマンの家で、私はいないものとして扱われていた。母は未婚だったから、外聞が悪かったんだろう。マル、優しくしてくれたのは君が初めてだったんだ。ありがとう。」
「っ……。」
ゾックに熱心に感謝されて面ばゆい。
酷いこといっぱい言っちゃってるのに……。
い、今なら素直に謝れる、かも……?
よ、よ、よ、よし!
言うぞ!気持ちを素直に!
「は、はぁ!?遅いんだけど!恩人を半年騙すとかしんじらんない!」
ねぇ、僕の口と頭って繋がってなかったりする?
何かゾックに見つめられてると頭いっぱいになって自分が何言ってるか分からなくなるというか。
「マル、すまなかった。私の嘘が君をそんなに傷つけてしまうなんて。」
「べっ別に傷ついてない!騎士長なんてそもそも大した正体じゃないし?ちょっと選ばれたくらいで、国から強い武器も防具も支給されてさ。そんな援助があれば、誰でもドラゴンなんて倒せるんだからね!だから、ぜーんぜん傷ついてないもん!!」
頼むから誰か僕を止めてぇ!
流石のゾックもまじめな顔で僕を睨んでくる。怒ったに違いない。
当たり前だ。国から最上級の武器を与えられているのは、ゾックがいつも一番先頭で戦うから。
そうしてこれまで何人の騎士長が命を落としてきたか。
「マル、君の言うとおりだ。君は真実を見抜く不思議な目を持っている。私が門番でいた時も、いつも、私は門番などしている器ではない、さぼるな。と叱っていたな。」
なるほどね!?僕が選ばれたのはゾックのどでかい勘違いね!?
復讐じゃなくて良かったよ畜生!
「初めて会った時も、腕相撲に勝った私にマルはきっとドラゴンも倒せると言ってくれた。だから、私はこの仕事に就いた。」
遠い目で懐かしそうに言ってるとこ悪いけど、それ多分負けたことを自分に納得させるために適当言ったんだと思う。
相手を強敵にすれば勝てない言い訳にできるからね。覚えてないけどいかにも子供の僕がやりそうなことだよ。
「見ていてくれ。武器は全て置いてきた。私はこの体一つで、君の言葉を証明できるのが心から嬉しい。」
ゾックは仄かに紅潮した顔で胸の前で拳を握りしめた。
こいつ今なんて言った?
「へ?武器を、なんて?」
「置いてきた。君の言うとおり、誰でもできることをしても君に恥ずかしいからな。」
にかっと笑うゾック。
「おっ、お馬鹿なのあんた!?今すぐ戻って武器持って再出発しなよ!」
僕はずいっとゾックに歩み寄ってビシッと王都の方角を指さした。
ドラゴンに素手とか正気の沙汰じゃない。
死んじゃうじゃん!そんなの絶対駄目!
「マル、今更無理だ。これだけの部隊での遠征はそう何度も頻繁にできない。」
「その判断力があって何で武器置いてくるの!!!ばかばかばかばかぁ!」
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