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しおりを挟むこれからどうするか考えた時に、この事は周りに知られない方が良いと思った。
伝説のドラゴンだ。きっと大騒ぎになる。
まだ僕が龍気をあげないと生きていけない状態だと分かれば、さっきのゾックみたいに人に害をなす前に処分した方がいいという意見も出かねない。
それに、龍の王の親を殺してしまった事も隠し通せるかどうか。国の知るところになればゾックが何かの責任を問われるかもしれない。
別に、本当に、ゾックの事は好きでもなんでもないが、あれだけの実力者が前線から離れるのはいけないことだと思う。
そう考えていたら特に何か相談したわけでもないのに、ゾックは僕を彼の家に連れて行くと言った。
龍の王を連れて騎士学校の寮に戻るわけにもいかないから、特に反論せず大人しく従った。
「勝手に帰って来ちゃって部隊は大丈夫なの?」
龍の王を抱いた僕を背中から包み込むように前に乗せて小飛竜を操るゾックに訊ねる。
「ああ、副長に後処理は頼んだから大丈夫じゃないか。元々その辺の面倒な事はやらなくていい約束で今の仕事をしている。」
こいつ、マジでフィジカルの強さだけで今の地位にいるのか……。
あのドラゴン退治の腕前を持ってすれば納得しかないけど。
「でも、やっぱり隊長なんだからちゃんと指揮した方がみんな喜ぶと思う。ゾックに憧れて騎士を目指す人もいるんだしさ。僕は違うけどね。今日は助かったからいいけど。」
「そうだな。自覚が足り無かった。マルが言うなら明日から態度を改める。」
「もう、見習いの僕が教えなくても分かってよ。」
「ははっ、マルの言うとおりだ。」
ゾックの声はなんだか弾んでいるように聞こえる。
何かさっきからやたら機嫌が良い気がするんだよな。
僕はこの先どうしようか色々心配なのにさ。
「んぅ、うぁ。」
じとっとゾックを見ていると腕の中で寝ていた龍の王が身じろいだ。そのまま何かうにうに声を発している。
「どうしたの、えっと……龍の王ちゃん?」
名前、あった方がいいかもな。
「粗相か?」
「え?どうかな。」
「うー……」
ひえ、何かいきみはじめたぞ。
今この子は頭からすっぽり僕のマントにくるんでる。中に出したら不味いことになるじゃん!
「わー!まだまって!」
あわててマントを剥いて赤ちゃんの脇を持って両手を小飛竜の外に突き出す。
空中にぶらんと投げ出された足の間、オスだった龍の王の可愛いキノコちゃんからチョロチョロッと何かが流れ落ちた。
ど、どうか下に生き物がいませんように!
その後もうにうに言いながら龍の王がいきんで、後ろの方からポトポトと黒い固まりが落ちていく。
本当に、本当に下に何もいませんように……。
「落とすなよ。恨まれるぞ。」
「わかってますよーだ!」
終わったタイミングでまた抱き寄せて体をマントでくるんだ。
拭くもの無いしお尻はゾックの家で拭かせて貰おう。
すっきりして気持ちがいいのか、うわうわ言いながら手足をバタつかせてはしゃいでいる。
振り回した小さな手が僕の唇を掴んできたのでそのまま指にキスしてみた。
自然とこっちも気分が和らいで笑顔になる。赤ちゃんって可愛いんだな。
「はぁ、こんな光景が見られて私は幸せ者だな。」
ゾックが後ろで唐突に噛みしめるように呟いた。
何言ってんだこいつ。
確かに黄昏時で結構景色はきれいだけど。
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