3 / 6
3,
しおりを挟む「はーお腹いっぱい。スバル君先お風呂入っていいよー。」
スバル君とビストロで食事とお酒を楽しんだ後、ぽやぽやした心地で部屋のベッドにダイブする。
どうにか引き止めようと誘った食事だったけど、何だかんだ考えていたらつい酒が進んで結局時間を楽しんで終わった。
スバル君はお喋りじゃないし愛想もないけど、率直で反応のテンポもいいから一緒にいると気楽で楽しい。
「お前大丈夫?だいぶ酔ってるだろ。」
心配してくれてるのかよく分からないあまり表情のない顔で覗き込まれる。
「大丈夫じゃないよ!スバル君がいっちゃうから!!」
酒の勢いでつい本音が漏れた。
だって仲間や僕が下手したら死んじゃうかもしれないんだよ!?
「あのさ、何であんたは俺に良くしてくれるの?」
「当たり前じゃん!だって、スバル君のおかげで僕たち楽で高額な仕事が出来てたんだよ?それがスバル君いなくなったら、絶対大変になるだろうし。」
あ、今のは口がちょっと滑った。
「…………そう。」
スバル君が両手を僕の顔の横のマットに突いて見下ろしてきた。
さっきより更に無表情。
まずい。完全に自分のことしか考えてない失言だった。
「で、でも!もう無理には言わないよ!スバル君のこれからを応援する!だから、もし勇者が戻って来てって言ったらどうかちょっとでいいから手を貸して欲しい。もう遅いはやめて!お願いします!」
「…………。」
あ、今のも失言か?えっと、えっと、考えがまとまらない。
「スバル君?」
「そんなに楽したいなら、俺と一緒に来る?」
「へ?」
なろう主人公のパーティに入る?
男の僕が?
ありえないでしょ。
なろうのパーティは絶対ハーレム!最初の仲間は猫耳奴隷美少女って決まってるの!
主人公以外の男なんて要らん!!!そんなのブラバだブラバっ!
「いや、絶対ないよ。無理無理。」
完全になろう脳で脊髄反射的な返し。
「…………チッ」
ひぇ、何か見たことないくらいイラついてる。
当たり前か。ついなろう基準で返しちゃったけどけど今の断り方は最低だ。
「スバル君、ごめん。でもパーティのみんなを置いて僕だけ一緒に行くわけには……」
「あっそ。いいよ。今までどおり勇者のクエストの前に補助してやっても。」
「え?」
「あんたのパーティが参加する時にクエストの情報くれるなら出来るだろ。」
「そうだけど、いいの?」
「ああ。ミントが今日から俺の性奴隷になるなら、やってやる。だから抱かせろよ。」
はい?
思わず怪訝な顔でスバル君を見る。
けど、無表情で冗談には見えない。
どゆこと?
スバル君も酔ってるの?
確かに奴隷が最初の仲間になるのは定番だよ。
虐待されてる美少女の獣人奴隷を解放してやって、コロッと好かれて褒めマシーンになるみたいなの鉄板だよ。正直たまらないよ。
でも、今の状況はおかしいよね。
なろうテンプレじゃないよね。
性奴隷とか、そもそもなろうは性描写NGだよ。
この世界ノ○ターン?いや、ムーン○イト(BL)だったの!?
「どうする?」
どうする?どうするって、どうするよ僕!?
「ほ、本当になったら助けてくれる?」
「ああ。」
つまり、僕のケツを犠牲にすればざまぁ回避。みんなのあるかもしれない死亡フラグも回避。
…………。
「わかった。スバル君と、エッチする……。」
前も当然後ろも前世からピッカピカの未使用だからな!もってけ!
「違うだろ。性奴隷にして下さいだろ。」
「う……スバル君の……」
「ご主人様の。」
「ご、ご主人様の、性奴隷にして下さい……」
もう本当なんでこんな事になってるの!?
「っ、はぁ……」
スバル君が切なげなため息を吐いた後、体をかがめて来た。
思わず目を瞑ると、唇にふにっと柔らかいものが触れる。
あ、僕スバル君とキスしてるんだって一拍遅れてわかった。
その頃にはもうぬるりと歯列を割って熱い舌が入り込んできて、ぬちぬち口内を舐め回される。
「んんっ……はぁ、はンっ……」
ぬるぬるの舌に上顎や舌の付け根をなぞられると、くすぐったいようなたまらない感覚がした。
思わず顔を背けようとして、ぐっと顎を掴まれ固定される。
「嫌がるなよ。自分から言ったんだろ。」
一瞬離れた唇が囁くように呟いて、またねっとり吸い付いてきた。
嫌がったわけでは……むしろ案外嫌じゃないのに自分でも驚いてるんだけど。
65
あなたにおすすめの小説
幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。
叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。
幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。
大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。
幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
悪役未満な俺の執事は完全無欠な冷徹龍神騎士団長
赤飯茸
BL
人間の少年は生まれ変わり、独りぼっちの地獄の中で包み込んでくれたのは美しい騎士団長だった。
乙女ゲームの世界に転生して、人気攻略キャラクターの騎士団長はプライベートでは少年の執事をしている。
冷徹キャラは愛しい主人の前では人生を捧げて尽くして守り抜く。
それが、あの日の約束。
キスで目覚めて、執事の報酬はご主人様自身。
ゲームで知っていた彼はゲームで知らない一面ばかりを見せる。
時々情緒不安定になり、重めの愛が溢れた変態で、最強龍神騎士様と人間少年の溺愛執着寵愛物語。
執事で騎士団長の龍神王×孤独な人間転生者
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる