R18短編/転生したら親の顔より見てきた追放イベが目の前で始まった!(もっと親の顔を見ろ)

ナイトウ

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スバル君はギルドを出てすぐに空間転移で移動してしまったらしく、なかなか見つからなかった。
もう街から出ちゃったかもしれない、
何せなろうの序盤展開はスピード勝負だから、と心配しつつ街中を走り回った。
やっと見つけたのは街外れの川辺、スバル君はぼうっと水面を見ていた。

「スバル君、よかったまだ近くにいて……!」

背中に話しかけると、特に驚く様子もなく振り返る。
彼のことだから、とっくに僕の気配は察知してたんだろう。

「ミントが俺を探すと思ったから。」

飄々と返ってくる返事。

「じゃあ転移しないでよ~探すの大変だったよ。」

ふうふう息を整えながら川辺に進んで彼の隣に座る。

「転移くらい誰でもできるだろ?それに荷物取りに宿に戻ってたんだ。」

流石なろう主人公。無自覚だし成功に向けた切り替えが早い。

「あれ?でも手ぶらじゃない?」

「俺の荷物全部捨てられてた。」

勇者サイド、なぜわざわざそんな陰湿なこと……ってヘイト貯めてざまぁをよりおいしくするためだよな。うん。

「酷い……僕と僕のパーティはそれは酷いと思うよ!!」

とりあえずこっちのざまぁフラグが減るようにフォロー。
そんな自己保身に必死な僕をスバル君は一瞥した。

「格好悪いとこ見られたな。」

「そんな、酷いのは勇者の方だよ!スバル君はパーティのためにいっぱい貢献してきたんだから!」

スバル君が無能、役立たずと言われるのは彼がクエスト中サポーターとしてあまり何もしないからだけど、実は彼はめちゃくちゃ実力のある最強俺ツエェェ主人公なのだ。

それで、勇者パーティが受けたクエストに向かう前日に1人でクエストの場に向かい、厄介なギミックや敵をささっと排除してボスのHPをギリギリまで削った後戻って翌日のクエスト攻略に参加する。

彼がどんなに難しい依頼も実施前日に骨抜きにしてしまうので、勇者パーティは当日無双出来てしまうし攻略が楽ちんだからスバル君のサポーターとしての仕事もほぼ無いのだ。

本当はサポーターってタイミング良くアイテムを冒険者に提供したり雑魚敵が落としたドロップアイテムを拾ったりなんだけど、そういうのが要らないくらいスバル君が前日に整えちゃうからスバル君の仕事はクエスト中の食事提供くらいしかない。
そして、スバル君は料理だけは壊滅的に下手なのである。
だから、パーティに役立たずと馬鹿にされまくっている。

こういう中々無理のある状況だ。
何せここはご都合優先のなろう世界だから。

明らかに他のクエストより雑魚敵やギミックが少ないんだから不審に思っている他パーティの冒険者はいると思う。
だけど、「このクエスト楽じゃないっすか?」と言って勇者の機嫌を損ねれば仕事が来なくなるから外注を受けたパーティはうち含め黙ってるか過剰に勇者の功績を持ち上げる連中しかいない。
だから、ずっとスバル君が整えたクエストしか知らない勇者はそれを当たり前と思ってスバル君を邪険にしている。

僕はそうした実情を彼をつけまわして突き止めた。そしてばっちり尾行がばれ、そこから少しずつ交流するようになって今に至る。

「ありがとう。ミントだけだよわかってくれるのは。」

「それはちゃんとスバル君が言わないからじゃん。今からでも説明しに行かない?」

どうにかスバル君を勇者パーティに戻せないか。
じゃなきゃ次のクエストから早速ざまぁ開始だ。

「いいんだ。ずっと、あいつに花を持たせろって母さんに言われてきた。けど母さんももういない。だからもう、楽になりたい。」

キラキラ西日を弾く水面をまた眺めるスバル君。
そうか。お母さん亡くなったんだもんね。
気負ってたものがぷっつり来ちゃったのか。

本音を言えば、スバル君は次の場所に行くべきだと思う。
そしたらきっと上手くいく。だってこれ追放モノだし。

けど、そうすると、僕たちへのざまぁが……う゛う゛う゛………。

「あの、あのね、迷惑かもしれないけど、僕はスバル君に去って欲しくない。」

「何で?」

「へ?」

スバル君のスッキリ整った顔が僕の目の前にずいっと寄せられた。

「何で俺に行って欲しくないの?」

真っ直ぐ見つめられて罪悪感が増す。
そ、それは、保身です……。
なんて言えるわけない。

「……えと、友達?、だから……」

「そ。」

スバル君は興味なさそうに僕から離れてまた川辺を眺め出した。

だよね。淡白やれやれ主人公に友情なんて言っても響かないよね。
しかも僕男だし。女だったらワンチャンチョロインの1人に加えてもらえたかもしれないけど。
僕の今の顔の造形考えたら難しいか。

「えっと、えっと、そうだ。多分街を出る気なんだろうけど、今日はもうすぐ日も落ちるし僕んちに泊まっていきなよ!夕飯奢るし。」

時間稼ぎの提案だったけど、スバル君が頷いたから部屋の鍵と住所を渡して向かってもらった。
僕はパーティの雑用があるから一旦メンバーに合流するためにギルドに戻り、しばらく次のクエストの準備をした後帰宅してまたスバル君と合流した。


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